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2009年

12月23日
●ソデモBMWからマツダへ交換したペスカロロの目論み

Photo:Sports-Car Racing

 ペスカロロは9月に、ソデモが作るBMWベースのV8エンジンを2009年以降LMP2カーに採用することを発表している。ソデモBMWは、一昔前メカクロームが開発していた旧M5ベースのマーダーエンジンではなく、最新のM3ベースであって、生産ブロックを使うことから、レーシングエンジンの3.4リットルではなく、ホモロゲイションエンジンに許される4リットルが可能と考えられていた。
 誰の目にも有望なプロジェクトに見えた。もし、問題があるとすると、2011年以降同じエンジンがLMP1でも使われるため、その際激化する開発競争への対応だけだった。

 同じ頃北アメリカのマツダは、AERによって開発された2リットル4気筒ターボエンジンによって活動していた。最初フォーミュラマツダを卒業するドライバー達がステップアップする受け皿として構想されたプロジェクトだったため、実績のないBKモータースポーツと提携して計画は進められた。しかし、次第にコストが嵩むようになったため、北アメリカマツダは、2008年限りでBKモータースポーツとの契約を打ち切って、2009年以降ロブ・ダイソンと共に計画を進めることを決心していた。

 北アメリカマツダがBKモータースポーツとの契約を打ち切って、ステップアップを計画していた時、当然ながら、ルマンへの参加が話し合われた。しかし、2リットル4気筒ターボエンジンによるスポーツカーレース活動は、北アメリカマツダによる計画であって、ヨーロッパは北アメリカマツダのテリトリーではなかった。
 急激な経済の落ち込みもあって、北アメリカマツダは、ルマン参戦を認めなかった。
 その頃ACOの面々は、フランスマツダに対して、ルマンプロジェクトを誘っていたらしい。フランスマツダは、ルマンプロジェクトを実施するような予算を持ってなかった。しかし、カスタマーチームに対してのサポートは可能だった。

 サポートすると言っても、マツダエンジンを使ってくれるレーシングチームが存在しなければ、計画そのものが成立しない。そしてACOは、既にソデモBMWの採用を発表していたペスカロロに話を持ち込んだ。
 ソデモとの計画は、ペスカロロとの間で進められていた。しかし、ペスカロロオートモビルはコンストラクターであって、ペスカロロLMP2カーは、ペスカロロオートモビルの出資者であるジャック・ニコレによるセルニエレーシングが走らせる。
 発表から3ヶ月を経ても、ソデモとセルニエの間で契約は存在してなかった。ACOの勧めによって、ジャック・ニコレは、フランスマツダのティエリー・グイレモーと話し合った。ジャック・ニコレは、フランス中にショッピングセンターを展開する実業家であるため、フランスマツダとの話を断り難かったかもしれない。
 その結果、2009年セルニエレーシングが走らせるペスカロロLMP2カーには、マツダの2リットル4気筒ターボエンジンが搭載されることが決まった。

 複雑なのは、この契約がフランスマツダとセルニエレーシングとの間で交わされたことで、ペスカロロオートモービル自身は、ソデモBMWの開発を継続することだ。
 なぜなら、ソデモBMWがホモロゲイションエンジンと認定された場合、明らかにソデモBMWが有利となるからだ。

12月3日
●JMIAがREAL RACE Vol.2を発行


 今年林みのるは、日本自動車レース工業会(JMIA)を設立した。末席ながら、当Sports-Car Racingも関わっているため、少々JMIAについて説明を行いたい。
 JMIAは、日本のレースに関わるコンストラクターや部品メーカー等を中心として、今年2月に設立された。日本のレース産業の発展と向上を目標として、共同してマシンやパーツを開発することだけでなく、新たなレースカテゴリーの設立や、ルマンレギュレーションのレースを日本で確立させることまで、多岐にわたる活動内容に掲げている。

 発足と同時にJMIAは、従来フォーミュラルノーを輸入して使っていたFCJの状況に異議を唱えて、管理するJRPに対して、日本のレース産業の枯渇化を促進する行為であるとして、日本のレース産業によって、次期FCJを開発供給することを提案した。
 JRPも驚いただろうが、取りあえずJMIAによるプレゼンテーションも受け入れた。
 しかし、少々遅かった。次期FCJは、再びフォーミュラルノーを輸入することが決まってしまった。8月末以降の急激な景気後退の影響を予想できたのであれば、JRPは、間違っても、日本のレース産業の仕事を奪う、このような決定はしなかっただろう。

 さらにJMIAは、F20と名付けた、新しいレースのカテゴリーを提案する一方、その最初のプロトタイプの製作を開始した。F20とは、直径20mmのリストリクターのことで、何と直径20mmのリストリクターの装着を義務づけることを除くと、総てが自由と言う、林みのるらしい大胆なカテゴリーだ。

 直径20mmのリストリクターは、120〜130馬力程度を許容するため、マイナーレベルのフォーミュラカーのカテゴリーと勘違いしている方々も多い。しかし、ボディは、フォーミュラでもスポーツカーでも可能で、実際、現在JMIA加盟企業によって開発が行われている3台のF20は、1台がスポーツカー、1台がタイヤだけをカバーした、限りなくフォーミュラに近いスポーツカー、フォーミュラは1台だけだ。しかし、その1台だけのフォーミュラも、何と15年前に絶滅したグループCカーと同じウイングカーだ。
 直径20mmのリストリクターの装着が義務づけられるだけで、エンジンも、完全に自由だ。形式や排気量が自由なだけでなく、トップレベルのレーシングカーと同様、ヘッドとオイルパンを加工してフレームとして使われる。

JMIAでは、これらの多岐にわたる活動を広く公表するため、REAL RACEと言う小冊子を発行している。従来JMIA会員にしか配布されなかったため、REAL RACE誌はレースファンにとって幻の雑誌だった。しかし、JMIAも多少余裕が出てきたため、実費(本体315円+送料185円)と引き替えで、一般のレースファンにも配布することを決定した。
 本日発行されたVol.2は、F20を大々的に特集している。興味のある方々は、下記のアドレスまでコンタクトしてください。

日本自動車レース工業会
〒107-0062 東京都港区南青山4丁目2番1号 コンフォリア南青山DEUX401
Tel:03-6906-5753 Fax:03-6906-5754 E-mail:post@jmia.info  http://www.jmia.info/

12月2日
●2009年のルマン公式テストディはキャンセル!

Photo:Sports-CarRacing

 8月末以降の急激な景気後退は、スポーツカーレースにも大きな影響を与えている。アウディやプジョーは2009年の計画を発表出来ないでいるし、北アメリカの状況は悲惨と言うべき。ザイテックや童夢のような積極的なコンストラクターも状況は変わらないし、スポンサーの支援に頼って活動するプライベートチームの中には、既に活動を中止して、買ったばかりのマシンを売りに出している場合も多いだろう。

 ルマンの主催者であるACOが、世の中の事情に非常に敏感だ。第一次オイルショック後の1975年、最初の燃費規制を行ったのもACOだった。これが1982年のグループCレギュレーションの誕生に繋がった。
*Sports-Car Racing Vol.19を参照してください。

 急激な景気後退を配慮したACOは、コスト削減について話し合いを行っていた。そして、テストディをキャンセルすることを決定した。
 元々5月初めに行われていたテストディは、2005年から、本番レースウィークのたった1週間前に行われている。どうして、たった1週間前に行われるようになったのか?と言うと、北アメリカで行われているALMSに参戦しているチームがルマンに参加する場合、5月にテストディを行うと、マシンを含むチームが2回大西洋を往復しなければならない。本番レースウィーク直前にテストディを行えば1回の往復で済むため、現在のようなスケジュールで行われるようになった。
 もちろん、多くのチームはそのままルマンに滞在するため、地元に落ちる金が増えるという、地元の要求もあっただろう。

 しかし、いきなり水曜日の予選を走る訳には行かないため、ACOは、予選前にフリープラクティスを行う新しいスケジュールを計画している。従来テストディの際行われた、新しいドライバーのクオリファイも、この時に行われることだろう。
 月曜日と火曜日にジャコバン広場で行われる車検は、プロモーションを兼ねたイベントであって、本当の車検はテストディの際行われていた。この本当の車検について、8日(月曜日)にサーキットで行うことが公表されたが、と言うことは、ジャコバン広場で行われているイベントは、どのようなスケジュールで行われるのだろうか?

 また、同時にLMSのコスト削減についても公表された。従来LMSは、車検を含む4日間で行われていた。それを金曜日からの3日間とすることが発表された。

 テストディをキャンセルすることによって、1,000〜2,000万円程度コストを削減出来ると考えられている。この提案によって、2009年のルマンにたくさんのスポーツカーチームが戻ってくることが出来るのだろうか?


11月30日
●景気後退の直撃を受けるスポーツカーレース AUDI R15はV10付きで登場

Photo:AUDI AG
噂通りR8のGTレースカーにはV10エンジンが積まれていた。何とR8LMSと名付けられてエッセンショーに登場した。
どうやら、R8LMSのV10をベースとして開発されるディーゼルターボエンジンがR15に組み合わせられるらしい

 先週エッセンモーターショーの際、アウディは、2009年のモータースポーツ活動についてコメントを公表した。DTMやR8LMSと共に、新たにR15を開発してルマンに参加することを述べた。近々R15を発表することも明らかとした。しかし、正式な発表でなく、わざわざコメントを公表したことで、苦しい状況も明らかとなった。
 どうやら、急激な景気後退の影響によって、アウディは、LMSやALMSの活動について、現在に至るも、決定出来ないでいるらしい。

 アウディに限らないが、8月後半以降の景気後退は、スポンサーの支援によって活動するプライベートチームだけでなく、ファクトリーチームをも直撃している。
 9月始めに行われたLMSシルバーストーンの際、プジョーは、KERSを組み合わせた908を公開して、デモンストレーションさえ行っている。ところが、その後急激な景気後退によって、2009年についてのコメントを避けている。

 北アメリカのGMやフォードの状況はそれ以上かもしれないが、アウディやBMWも、急激な景気後退によって、2009年の計画を発表出来ないようだ。
 現在のところ、2009年の計画を発表したのはORECA/AIMだけで、意欲的に開発を進めているザイテックや童夢でさえ、2009年の計画を発表出来ないでいる。
 スポーツカーレースはどうなってしまうのだろうか?

 先週コメントを公表した際、R15については、様々なことが明らかとなった。
 巨大な5.5リットル90度V12ディーゼルターボエンジンを搭載するR10は、ディーゼルエンジンスポーツカーの第一世代であって、前後に長く重いエンジンによって、R10はテイルヘビーに苦しんでいた。ルマンの際、新しいR15には、完全に新しいエンジンを搭載することが明らかとなったため、W12やV10が噂されていた。
 8月にアウディは、ルマンで連勝したR8プロトタイプスポーツカーの名前を与えたR8ロードカーのGT3バージョンを発表している。現在FIAとACOは4WDを禁止しているため、R8GT3バージョンは、2WDに作り替えられることがポイントであると考えていた。もちろん、R8プロトタイプスポーツカーがV8ターボエンジンを搭載していたため、V8ターボエンジン付きで登場するものと思われていた。ところが、つい先日内容を明らかとなったR8“LMS”(GT3ではなかった)は、500馬力のV10を積んでいた。
  R8LMSが公開された際、R8LMSのV10をベースとして開発されるディーゼルターボエンジンについての質問について、アウディは否定しなかったため、どうやら、R15がV10ディーゼルターボエンジンを搭載することも明らかとなった。

11月30日
●1.6mリアウイングで登場したフォーミュラルマンカップ

Photo:Claude Foubert

 昨日ルマンのブガッティーサーキットにおいて、来年から開催されるフォーミュラルマンの公開テストと発表会が行われた。既にフォーミュラルマンは、ポールリカールでシェクダウンテストを行っているが、公の場で正式に発表されるのは今回が初めてだった。

 クロード・フーボルトの写真を見ても判る通り、フォーミュラルマンは、2007年モデルのクラージュLC75の発展型だ。と言うより、LC75そのものだろう。
 フォーミュラルマンは、LMP2レギュレーションに基づいてORECAクラージュが作るワンメークシャシーに、420馬力の6.2リットルV8プッシュロッドエンジンを組み合わせたワンメークレースとして構想されている。6.2リットルV8は、サリーンS7R用としてORECAのマニクール工場で作られている、フォードのストックブロックをベースとしたプッシュロッドエンジンで、420馬力に抑えられる。

 エンジンを除くと、LMP2レギュレーションに基づいたマシンであるため、最初フォーミュラルマンに参戦するために購入した後、LMP2レギュレーションのエンジンと積み替えることで、LMSやルマン24時間に参戦することが可能だ。

 昨年9月にクラージュを買収したORECAは、現在、以前から拠点としているポールリカール工場、エンジンの開発と製作を行っているマニクール工場、そして旧クラージュのルマン工場の3つの工場を所有している。2008年ORECAのワークスチームが走らせたLC70Evoは、従来のポールリカールで開発が行われて、クラージュ時代のLC70をベースとしながら、まったく新しいボディを組み合わせている。新しいLC70Evoが存在するため、フォーミュラルマンも、LC70Evoと同じボディを使うと思われていた。

 しかし、クラージュ時代の古いLC70/75のボディを使って登場した。クロード・フーボルトによると、フォーミュラルマンの製作はルマンで行われるらしい。噂されていた通り、どうやら、フォーミュラルマンは、ルマンの旧クラージュ工場の人間を活用するための計画でもあるようだ。

 昨日走ったフォーミュラルマンは、2009年レギュレーションの幅1.6mのリアウイングが取り付けられていた。現在のところ、2009年スペックで正式発表された最初の例だ。


11月25日
●ACOが2009年のルマンに自動的にエントリーされる29台を発表

Photo:Sports-Car Racing

 ACOは、ルマン24時間レースの各クラスの上位2台、LMSの各クラス上位2台ずつ、ALMSの各クラスのチャンピオン、FIAGTの各クラスの上位2台ずつ、そして、“プチ-ルマン”の各クラスの優勝チームに対して、翌年のルマン24時間レースに自動的にエントリーされる権利を与えている。今年も総てのシリーズが終了したため、ACOは、オートマチックエントリーされる29台のリストを公表した。詳しくは、下記のリストを参照してもらいたい。

http://www.lemans.org/sport/sport/actu/2008-11-24_GD_3612_gb.html

 このシステムが適用されるのは、1チームあたり最大2台であるため、アウディとコルベットレーシングは、3台目の権利を得ることは出来ない。そのため、ALMSの2位のチームがオートマチックエントリーの権利を獲得した。LMP1クラスはインタースポーツが、LMGT1クラスはベルモータースポーツに対して権利が与えられた。

11月19日
●ニッサンがGT1カーでルマンへ?

Photo:Sports-Car Racing

 先週行われたFIAのワールドカウンシルの際、不可解なロビー活動が行われた。
 既にFIAは、2010年から、現在のGT1クラスを廃止することを決定している。ルマンの主催者であるACOも、この件については、FIAと連携することを発表している。そのため、GT1クラスは風前の灯火であって、現在のところシーズンを通して活動する唯一のGT1クラスのワークスチームであるコルベットレーシングも、GT2クラスへコンバートすることを発表している。新たにGT1クラスの公認を取得するメーカーは皆無で、プライベートチームのカテゴリーとなっていた。
 ところが、先週のFIAワールドカウンシルの場で、ニッサンはGTRのGT1カーについて、相当なロビー活動を行った。

 現在のところ、正式に公認申請が行われた事実は確認されていない。そのため、可能性についてだけ考えてみよう。現在のレギュレーションの場合、FIAでもACOでも4輪駆動は認められていない。過去に、大メーカーであると共に、モータースポーツに対して多大な貢献を行っているアウディが、4輪駆動を認めさせるため、ACOとFIAにおいて何度もロビー活動を行っている。しかし、それほど重要なアウディの求めであっても、その都度門前払いにされているため、久しぶりに登場したニッサンが要求したら、現在のレギュレーションで4輪駆動が認められる可能性は皆無だろう。

 ところが、2010年以降、現在のGT2クラスを、新GT1クラスに格上げする一方、よりロードカーに近いカテゴリーとすることが決定している。もちろん、ACOもFIAも4輪駆動については、従来通り、参加を拒否すると思われている。
 しかし、ロードカーに近いカテゴリーでありながら、ロードカーが4輪駆動であるクルマが参加出来ないのであれば、少々不可解な内容であることが指摘されていた。例えば、先日GT3バージョンのプロトタイプを公開したアウディR8やランボルニーニ・ガイヤルドは、基本となるモデルは4輪駆動だ。ポルシェの911ターボの基本モデルも4輪駆動だ。そして、ニッサンGTRも4輪駆動しか生産されていない。

 どうやら、この点を突いて、ニッサンはロビー活動を行ったようだ。しかし、アウディやフォード等、過去に4輪駆動について提案したメーカーは、いきなり現れて、自分たちの都合でロビー活動を開始したメーカーに対して、冷ややかな反応を見せている。
 自分たちも高性能な911ターボ4輪駆動車を持つポルシェは、「もし、4輪駆動を認めるのであれば、自分たちが有利となる」と発言する一方、ハンデの必要性を述べている。
 ポルシェが言うように、4輪駆動が認められていた時代、4輪駆動に対しては100kgのハンデウエイトを積むことが義務つけられていた。

 現在ACOとFIAは、ベースとなるクルマから、GTレースカーとして改造されたクルマが25台存在することを条件としてホモロゲーションを与えている。つまり、充分な台数を生産されたベースカーが存在するのであれば、それをベースとして、GTレースカーと同じ内容のクルマを25台作ることで、GTレースに参加することが可能だ。
 FIAのワールドカウンシルの際、ニッサンは、25台の生産についても質問している

 GTRは排気量3.8リットルのターボエンジンを搭載するため、もし、ハンデウエイト無しで、2輪駆動のライバル達と同じ条件で参加を認められたとしても、元々レギュレーション上、相当重い車重で走らなければならない。
 そのため、例えばGTRをベースとして、屋根を低く作り直す一方、4.5リットルV8のNAドライサンプのレーシングエンジンを低い位置に積み、2輪駆動に仕立て直したGTレースカーを25台生産してしまえば、ポルシェやアウディが反対しても、ロードカーをベースとしたポルシェやフェラーリのGTレースカーと一緒に走ることが可能だ。
 第一日本で、既にそのようなクルマが5台ほど走っているではないか?

 本当に新たなメーカーが登場するのであれば、FIAやACOだけでなく、現在唯一のワークスチームであるコルベットレーシングも歓迎するかもしれない。しかし、GT500で走っているのと同じようなクルマによって、1度か2度ルマンに登場して掻き乱すだけであれば、プライベートチームにクルマを販売しているポルシェやフェラーリは、GTRを返り討ちにするため、新たなGTレースカーを大々的に販売するだろうし、その結果、プライベートチームは大きな負担を強いられる。
 もちろん、FIAとACOはレギュレーションの見直しを開始するだろう。

11月17日
●Acura ARX-02a LMP1カーは4リットルV8 NAエンジンを搭載

Photo:Sports-Car Racing

 2年間、クラージュLC70/75ベースのマシンによってALMSのLMP2クラスに参戦してきたアキュラは、既報通り、来年LMP1クラスに参戦する。
 2009年アキュラが走らせるLMP1カーは、ニック・ワースが率いるデザインチームによって、開発の最終段階に差し掛かっており、先週、イギリスからモノコックを中心としたパーツの多くが北アメリカのHPDに到着している。

 既にARX-02aと言う名前も公表されているが、クラージュのモノコックを使っていたLMP2カーと違って、自分たちでデザインしたモノコックが使われる。
 これまでHPDは、LMP1カーが搭載するエンジンの公表を拒んでいた。大方の予想では、ChampCarの経験を活かして、3.4リットル〜4リットルのV8ターボエンジンと考えられていた。しかし、非公式ながら、アキュラは、ARX-02aに4リットルのNA V8エンジンを積む計画で開発を進めていることが明らかとなった。
 もちろん、ザイテックがそうであるように、3.4リットルのLMP2エンジン(2009年FNと基本的に同じ)のスケールアップバージョンであるのは間違いないだろう。
 軽量コンパクトであることは間違いないが、10,000rpm以上での運転を常用するため、スポーツカーが必要とする信頼性の確保が、重要な開発テーマとなるだろう。

 ARX-01bのコンセプトを踏襲するものと考えられているが、軽量コンパクトな4リットルV8 NAエンジンを搭載するため、童夢S102がそうだったように、画期的な前後重量配分の実現を目指しているようで、フロント荷重が非常に大きいらしい。
 そのため、大トルクを発生するとは考え難い4リットルNAエンジンを搭載しながら、大きくパワーを食われる油圧駆動のパワステを採用している。
 ARX-01bと同じザイテック製の電磁石を使ったパドルシフトが使われる。
 しかし、童夢S102やポルシェRSスパイダーのような、画期的なフレームデザインが盛り込まれている訳ではないようで、常識的なサブフレームが存在するらしい。

 11月中に1号車の組み立てが終了して、クリスマスまでにシェイクダウンテストが行われる見込みだ。たぶん、1月後半にセブリングで行われるALMSウインターミーティングでは、2台か3台が走ることだろう。

 既にHPDは、ハイクロフトとジル・ド・フェランの2つのチームが、ARX-02a LMP1カーを走らせることを公表している。HPDによると、もう1チーム、LMP1カーを走らせたいようだが、現在に至るまで、3番目のチームは決まっていない。現在のところ、2年間大活躍したAGRの名前はない。IRLチームを中心として、幾つかのチームが噂となっている。
 今年、ジル・ド・フェランとの契約が決まったのは1月のことだった。しかも、その時点で、完全なチームは存在していなかった。ウインターミーティングで発表するのが精一杯で、シーズン途中の4月から参戦している。HPDと親しいジル・ド・フェランにチームを任せたことでも明らかなように、既にテストを行うチームが2つ存在するため、HPDは、自分たちの都合に合ったチームを、じっくりと時間をかけて探してのかもしれない。

 LMP2クラスに対しては、HPDがサポートするだけとなる。既にフェルナンデスがLMP2に参戦することを公表しているが、ワークス参戦ではないため、他にもアキュラLMP2カーでALMP参戦を望むチームが存在する場合、対応するようだ。

 ちなみにポルシェも、ペンスキーによる、LMP2クラスにおける、事実上のワークスを取りやめることを決定している。既報通り、ペンスキー自身によって、1台だけポルシェRSスパイダーがLMP2クラスに参加するが、ワークスチームではない。
 2009年のLMP2クラスは大きく変わる見込みで、ダイソンも、2008年限りで、ポルシェとの契約を打ち切ったことを明らかとしている。マツダは、自分たちの間違いに気づいて、BKモータースポーツとの契約を解消した。そのため、マツダとダイソンが契約するものと考えられているが、それは、経済危機の前の話だ。
 ポルシェとアキュラが、共にLMP2クラスでのワークス活動を取りやめることから、ALMSは、マツダとダイソンが提携してLMP2クラスで大々的なキャンペーンでも行わない限り、2009年に、LMP2カーをLMP1クラスと総合優勝争いをさせるため、従来のようなLMP2クラスを格上げすることはないと考えられている。

11月13日
●2009年富士1000kmへヨーロッパと北アメリカから20台以上がやって来る

Photo:Sports-Car Racing

 来年11月1日富士スピードウェイにおいて、ルマンシリーズのノンタイトルイベントとして富士1000kmレースが行われる。10月25日には、ACOの担当者が来日して、富士スピードウェイとの間で、正式に契約をかわしている。
 しかし、これまでの経緯もあって、誰もが、このレースには誰が参加するのか? 心配していることだろう。 

 この誰もが抱いている心配について、ACOは、ヨーロッパのLMSと北アメリカのALMSから20台以上を日本に送り込むことを計画していることを明らかとした。
 ACOによると、LMSとALMSから、それぞれ10台程度を日本に送り込むことを計画しているらしく、「アウディとプジョーのワークスチームを含む」と説明している。既に、それぞれのエントラントに対して、日本へ行く際の条件も提示している。
 残念ながら、日本へ行く際の正確な条件を確認することは出来なかったが、日本と上海までの輸送代金+αであるらしく、チームにとって、充分検討に値する内容らしい。
 その資金をACOが負担することも、公表されている。

 多くの人々が勘違いしているようなので、ここで富士1000kmを開催する形態を明らかとしよう。2009年に行われる富士1000kmレースは、富士スピードウェイや、あるいはトヨタ?が金を出して、レースを誘致する訳ではない。主催するのは、あくまでもACOで、ACOは、富士スピードウェイに対して、定められた金額を支払って、場所を借りて、レースを行う。

 と言っても、本当にアウディやプジョー、あるいは、LMSやALMSのチームが日本にやって来るのか? 当方も含めて、多くの人々は心配していた。
 ところが、先週になって、あるところから、この話が真実であることが明らかとなった。あるところとは、SUPER GT最終戦において、タイサンポルシェに乗り込んで、GT300クラスに優勝したドミニク・ファンバッハだ。ドミニク・ファンバッハの父親は、ALMSのGT2クラスにおいて、ポルシェを走らせるチームの共同オーナーとして活動しており、既に2009年富士1000kmへ行くことを希望していると言う。
 ACOは、まだ日本へ行くチームを締め切っていないが、ACOが主張する通り、20台以上となる可能性は高いだろう。

 また、富士1000kmと言っても、以前のような1000kmの単独イベントではない。500kmレースを2回行うこととなるようだ。

 先週新たに浮かび上がった問題は、FIAが、従来10月25日に予定されていたWTCCのカレンダーを、11月1日に変更したことだろう。昔のように、ACOに対するFIAの嫌がらせ、と勘違いされそうな出来事だが、どうやら、10月25日にFIAは、他の場所でWTCCを開催する予定を持っているらしく、そのための変更であるらしい。
 同じ日本で、同じ日に2つの海外からやって来るイベントが行われるため、観客やチーム、そしてスポンサー等々が分散することが心配されるかもしれない。しかし、現実的には、ルマンシリーズとWTCCの接点はほとんど無い。岡山と富士スピードウェイであるから、想定される観客も、多くの場合違うことだろう。
 もしあるとすると、WTCCがヨコハマタイヤのワンメークとして、大々的にヨコハマタイヤがサポートしているため、富士1000kmでヨコハマタイヤを履くチームのサポートが手薄となることだけだろう。

 どうやら、2009年11月1日、本当に盛大なルマンレギュレーションのイベントが富士スピードウェイで行われることは間違いないようだ。

11月12日
●2009年FIA GTカレンダー発表

Photo:FIAGT

 FIAのワールドモータースポーツカウンシルにおいて、2009年のFIAGTのカレンダーが公表された。
 中心となるFIAGTは、9つのレースが予定され、その内2つはヨーロッパを離れて、アルゼンチンとドバイで行われる。
 同時にFIAは、2010年〜2012年のFIAGTにおいて、マグネッティマレリ製の統一ECUの装着義務つけを発表した。
 統一ECUの採用によって、違反を阻止出来るだけでなく、強制的に性能調整を行う環境が整うこととなる。たぶん、GT3やGT4において、新たな性能調整の項目として、画期的な方法が採用されることとなるだろう。

2009 FIA GT Championship
@3月 TBA *12月のワールドモータースポーツカウンシルで発表
A5月3日シルバーストーン(GB)
B5月23日アドリア(I)
C6月28日オッシャースレーベン(D)
D7月26日スパ-フランコルシャン(B)
E8月30日ブカレスト(RM)
F9月13日アルガーブ(P)*
G10月11日ゾルダー(B)
H11月22日サン-ルイ(AR)*

2009 FIA GT3 European Championship
@5月2/3日 シルバーストーン(GB)
A5月23/24日 アドリア(I)
B6月27/28日 オッシャースレーベン(D)
C9月12/13日 アルガーブ(P)*
D10月3/4日 ポールリカール(F)
E12月4/5日 ドバイ(UAE)

Photo:FIAGT3

2009 GT4 European Cup
5月2/3日 シルバーストーン(GB)
5月23/24日 アドリア(I)
6月27/28日 オッシャースレーベン(D)
8月22/23日 ゾルダー(B)
9月12/13日 アルガーブ(P)*
10月3/4日 ポールリカール(F)
*サーキットの公認が条件

Photo:FIAGT4


10月23日
●2009年と2010年のORECAはAIMエンジンを使用   桜井淑敏の登場

Photo:Sports-Car Racing

 今年クリエイションと共にスポーツカーレースに登場したAIMは、クリエイションの資金難によって、少々失望すべきデビューイヤーを過ごすこととなった。ルマン24時間レースが行われる頃になると、新たな提携の噂が囁かれるようになった。
 AIMエンジンは、ヒロ・カネダがジャドと共に開発していた。そのため、周囲ではジャドGV5.5S2の2009年バージョンであると思われていたが、2009年もAIMとジャドGV5.5S2は存在して、別々にデリバリーされる。
 このことは、ルマン後ヒロ・カネダが、彼方此方のスポーツカーチームに対して、AIMエンジンをセールスしていたことで明らかとなった。

 昨年、クラージュを買収したORECAは、既にクラージュがAERと2008年の契約を結んでいたにも関わらず、契約を破棄して、新たにジャドと契約を結んだ。
 しかし、その後ACOは、GT1カー用エンジンをLMP1カーに積む際の有利なレギュレーションを発表した。ORECAは、レイ・マロックのRMLに代わって、現在サリーンS7Rの開発を行っており、サリーンS7Rに積まれるフォードのプッシュロッドV8は、ORECAのマニクール工場で開発されていた。そのため、2009年のORECAのLMP1カーには、サリーンのプッシュロッドV8が組み合わせられるものと思われていた。

 ところが、ローラに積まれたアストンマーティンGT1エンジンが有利であることが明らかになったため、その後ACOは、2009年LMP1カーに積まれるGT1エンジンのリストリクターを小さくすることを発表した。
 ORECAが、どのような結論を出すのか?興味が集まっていた。

 しかし、周囲の噂と違って、その頃のORECAはアウディと交渉を行っていた。
 2007年スイススピリットのローラに供給したように、アウディスポーツは、R8の3.6リットルV8ターボエンジンであれば、社外のチームに対してもデリバリーしている。アウディスポーツは、2009年についても、3台程度をリミットとして、R8のV8ターボエンジンをデリバリーする体制を築こうとしていた。幾つかのレーシングチームが、アウディと交渉したが、その中にORECAが含まれていた。
 しかし、アウディスポーツが提示した価格が高かったため、アウディスポーツが考えるデッドラインだった7月末まで交渉を続けていたのはORECAだけだった。
 このような状況だったため、アウディスポーツが主張する金額を捻出出来ないのであれば、2009年のORECAは、自前のサリーンプッシュロッドV8を使うものと思われていた。

 一方AIMは、その後計画を見直して、1980年代ホンダのF1GPプロジェクトを率いた桜井淑敏をアドバイザーとして迎えて、本格的な活動を目論んでいた。

 昨日ORECAは、2009年と2010年のORECAはAIMと提携して、LC70EプロトタイプカーにはAIMエンジンを搭載することを連絡してきた。
 ORECAの発表した内容には、既にジャドとの関わり示す表現は一行も無かった。AIMについては、500人以上のエンジニアが所属するエンジニアリング会社であると紹介している。そのため、今後AIMエンジンを開発するのが、ジャドなのか? それとも、日本のAIMの中にレースエンジンを開発する体制が築かれたのか? あるいは、まったく新しいエンジンビルダーであるのか?分からない。
 しかし、LMP1カーにジェントルマンドライバーを乗せて活動するような資金難のクリエイションと別れただけでも、AIMは能力を発揮出来るのは間違いないだろう。
*注:Sports-Car Racing Vol.18に関連記事有り

10月22日
●ACOが2009年のルマンカレンダーを発表 4月にLMSテストディも開催

Photo:Sports-Car Racing

 “スポーツカーレースはルマンの24時間レースを中心として回っている”ため、ルマン24時間レースのスケジュールは毎年変わらない。もし、他の主催者が間違ってレースのカレンダーを申請したとしても、ほとんどの場合変更することとなるだろう。そのため、例えACOが発表しなくても、2009年のカレンダーは予想されていた。

 今日ACOは、2009年のルマンのカレンダーを発表した。中心となるスポーツカーレースだけでなく、モーターサイクルからカートまで総ての予定が発表されたが、ルマン24時間レースは例年通り6月13日〜14日に行われる。2週間前にサルテサーキットで行われるテストディも5月31日と発表された。
 2週間前LMSが2009年のカレンダーを発表しているが、その際パトリック・ペーターは、3月8日と9日にポールリカールでテストディを行うことを公表している。しかし、ACOは、2009年、ポールリカールに加えて、4月22日と23日ルマンのブガッティサーキットでもテストディを開催することを発表した。
 サルテサーキットでなく、ユノディエールを含まないブガッティサーキットであること、そして、既に4月5日カタルーニャでLMSは開幕しているため、少々中途半端であるのは否めないが、6月に実際に使用される燃料やピットの状態を確認する機会となるだろう。

10月22日
●2009年に開催されるフォーミュラルマンの正体

Photo:Sports-Car Racing

 2009年のルマンのスケジュールを発表した際、同時にACOは、フォーミュラルマンのスケジュールも公表している。
 フォーミュラルマンとは、6月にACOが発表したLMP2カーをベースとした新しいスポーツカーのカテゴリーだ。昨年クラージュを買収したORECAが作るシャシーのワンメークで、基本的にはLMP2レギュレーションによってクルマは作られる。しかし、エンジンは、LMP2と違って、480馬力に制限されるORECA製の6.2リットルV8が積まれる。
 この6.2リットルV8について、詳しい発表はないが、ORECAが開発しているサリーンS7RのフォードV8プッシュロッドエンジンをデチューンしたものであるのは間違いないだろう。

 取りあえずフォーミュラルマンに参加して、将来LMP2にステップアップする際、エンジンをLMP2レギュレーションのものに積み替えることを想定しているのだろう。
 ORECAにとっては、安定した資金源となる。昨年、誰も買わなかったクラージュを、ACOに説得されて買収した理由が、何だったのか?明らかだろう。

 マシンの価格は24万9,000ユーロに抑えられ、22万ユーロ以上の賞金が提供される。シリーズチャンピオンにはLMP1カーの、2位のドライバーにはLMP2カーのテストの機会が与えられる一方、3位のドライバーはGT2チームのサードドライバーの機会が与えられる。

 5つのイベント、LMSのサポートレースとして行われ、ルマン24時間レースのサポートイベントとしての行われる。シリーズ最後に行われるイベントは4時間の耐久レースだ。
 ACOは、2004年にLMS(当時の名前はLMES)をスタートした時、前座でフォーミュラXと呼ばれるスモールスポーツカーのレースを開催した。GCカーと同じコンセプトの、フォーミュラカーにスポーツカーカウルを被せたマシンのレースだったが、その後衰退して、現在フォーミュラXは、ALMSに引き取られてIMSAライトの名前でレースが行われている。
 この時の反省から、LMP2との融合を目論んだのだろうが、車両価格を除くと、それほど安いカテゴリーではないため、慎重に計画は進められることだろう。

4月5日 カタルーニャ(E)
5月10日 スパ-フランコルシャン(B)
6月13-14日 ルマン(F)
8月2日 アルガーブ(P)
8月30日 ニュルブルクリンク(D)
9月13日 シルバーストーン(GB)
10月7日 TBA

10月15日
●ALMS最終戦ラグナセカでコルサザイテックが4.5リットルエンジンを使用


Photo:Sports-Car Racing

 10日前に行われた“プチ-ルマン”の際、ザイテックは、ワークスたるLNTジネッタが、新しい4.5リットルエンジンを使用した。しかし、今週土曜日に行われるALMS最終戦ラグナセカにLNTジネッタが出場しないため、カスタマーチームのコルサモータースポーツに、新しい4.5リットルエンジンをデリバリーする余裕が生まれた。
 “プチ-ルマン”でコルサモータースポーツのザイテック07Sには、ステファン・ヨハンソンが乗り組んで話題となったが、ラグナセカではステファン・ヨハンソンではなく、ジョニー・モレムが、グンナージャレットと共にドライブする。
 2009年コルサモータースポーツは、ザイテック07SによってP1クラスに参戦する意向だが、ACOそのままでなく、ALMSでは、IMSAが独自のモデファイを加えたレギュレーションを運用しているため、ALMSがレギュレーションを発表するまで、2009年の計画を確定することは出来ないだろう。

Photo:Sports-Car Racing

10月14日
●50周年を迎えたローラ

Photo:Lola
左は、パレードを行う、完成したばかりのRML MG-Lola。
右はローラを訪れたThe Duke of Yorkにローラ・アストンマーティンを説明するマーティン・ビランとステファン・モカ


 現在最も大規模なレーシングカーコンストラクターは、ダラーラとローラだ。今年ローラは、創業50周年を迎え、10月12日ローラの拠点である、ケンブリッジシャーのハンティングドンの街中で、50周年を祝うイベントが開催された。
 様々な16台のローラレーシングカーが街中を走行したが、最も成功したローラスポーツカーであるT70MK3bと共に、出来上がったばかりで、つい最近RMLにデリバリーされたB08-80クーペ(RMLではMG-Lolaと呼ぶ)が登場した。
 RMLにデリバリーされたB08-80は、3台目のLMP2クーペであり、2009年の活躍が期待されている。

Photo:Lola
左の写真は、エリック・ブロードレィを横に乗せ、T70KM3bをドライブするジョン・サーティース。
右の写真は、左から、現在のローラのチェマンであるマーティン・ビラン、ジョン・サーティース、エリック・ブロードレィ、そしてトニー・サウスゲート。

 T70MK3bは、ジョン・サーティースのドライブによって、助手席に、創業者であり、様々なローラレーシングカーを開発したエリック・ブロードレィを乗せて走った。
 ローラの50周年を祝うため、先週から、様々な著名人がローラを訪問しているが、7日にはアンドリュー王子(The Duke of York)が訪れている。今年アストンマーティンV12を積んだB08-60によって大活躍した、シュロースレーシングのステファン・モカが出迎えている。

10月11日
●2009年LMSカレンダー決定 5レース/6イベント、公式テストはポールリカール

Photo:Sports-Car Racing

 8月に行われたLMSニュルブルクリンクの際、パトリック・ペーターは「2009年のLMSは6レース程度を予定している。しかし、チームを維持するには、1年に9レース程度が必要であるため、チームの意見を聞いている」と述べていた。同時に、これまでポールリカールで行われた公式テストを、カタルーニャに変更することを検討中であることを明らかとしていた。

 その後パトリック・ペーターは、カタルーニャから、LMS開催について、魅力的な申し出を受けていることを公表した。
 これまでポールリカールで行われていた公式テストは、ポールリカールが支援したとしても、ACOの負担がゼロであった訳ではない。そこで、公式テストの場をカタルーニャに移動することが検討されていたようだ。

 しかし、ポールリカールは、ルマンを想定した高速でのテストが可能な数少ないサーキットで、LMSに参加するチームはもちろん、LMSのシリーズに参加しないレーシングチームの多くも、わざわざ参加している人気のイベントだった。
 当然チームはポールリカールでのテストを望んだため、2009年もポールリカールで公式テストを行うことが決まった。

 その代わり、開幕戦をカタルーニャで行うことが決まった。
 これまで、開幕戦はモンツァで行われていた。しかし、ほとんどプロモーションを行わないため、どんなに魅力的なエントリーを集めても、観客を集めることは出来なかった。そのため、これまで、改善が望まれていたイベントだった。
 パトリック・ペーターは、レース数を増やすことを条件として、4月以外の日程で、モンツァでもLMSを行うことを話し合っていた。しかし、モンツァは、スケジュールを決定出来ないようで、パトリック・ペーターがレース数の拡大を見送る決定をしたのと同時に、2009年の開催を諦めた。

 これまでのLMSは、5つのレースの内の3つは、6月のルマン24時間レースの前に行われていた。この理由は、ルマンのテストを兼ねてLMSに参加するチームがたくさん存在したためだった。
 しかし、2008年のLMSは、シーズンを通して40台のエントリーを集めたため、このような配慮は不要との判断から、ルマン前には2レースしか行われない。ポールリカールでの公式テストを継続したことも、理由の1つとなっているだろう。

 これまでLMSは、ニュルブルクリンクとシルバーストンで、何度かナイトレースを行っている。この理由は、1000kmと言う長丁場であるため、スケジュールに余裕を持たせることだった。北アメリカで行われるセブリング12時間と“プチ-ルマン”10時間レースが、その2/3の時間は夜走っていることをヒントとして実施されている。

 セブリングやロードアトランタに詰めかけるたくさんの観客は、キャンピングカーでやって来て、サーキット内でキャンプを行っている。セブリングやロードアトランタでは、サーキット内にキャンプのための施設が充実していることも理由となっている。しかし、旧コースを除いたニュルブルクリンクやシルバーストーンでは、サーキットの外側にキャンプ場が存在するため、北アメリカとは条件が違い、パトリック・ペーターの目論みと違って、ほとんどの観客は、近くのツィンマーやB&Bに泊まらなければならない。

 しかし、ナイトレースは、暑い季節でも、観戦し易いことから、非常に暑いポルトガルのアルガーブに建設されたサーキットの最初のイベントとして、LMSはナイトレースを行うこととなった。もちろん、1000kmの長丁場であるから、午後、まだ日がある時間(たぶん午後6時頃)にスタートして、暗くなってからフィニッシュさせることとなるだろう。

2009年LMSカレンダー
3月8-9日 ポールリカール公式テスト(F)
4月3〜5日 カタルーニャ(E)
5月8〜10日 スパ-フランコルシャン(B)
7月31日〜8月2日 アルガーブ(P)*ナイトレース
8月28〜30日 ニュルブルクリンク(D)
9月11〜13日 シルバーストーン(GB)

10月3日
●2009年ALMSカレンダー発表         同時にアジアン・ルマン・シリーズも発表

Photo:Sports-Car Racing

 毎年恒例のALMSのプレスコンファレンスが行われた。
 近年のALMSは、観客へアピールさせることに対して、非常に努力を行っている。同様の努力を行っている日本のSUPER GTと違って、ALMSの場合観客を取り込むため、ストリートレースの誘致を積極的に行っている。

 スコット・アタートンによると、このような努力の結果、ストリートレースを多数誘致した2年目の今年は、1年目だった昨年と比べて、観客に人気のある“プチ-ルマン”とラグナセカをを残しているにも関わらず、既に昨年を上回る観客を動員することに成功したようだ。ちなみに、例年10万人以上の大勢の観客を集めるセブリング12時間を含んだ数字だが、1レース平均7万人もの観客を集めていると言う。
 もちろん、Stピータースバーグとロングビーチのストリートレースが、大きなパーセンテージを占めていることだろう。

 このような状況であるため、2009年のALMSは、今年と同様のカレンダーで行われる。2008年、ChampCarとIRLの騒動に巻き込まれただけでなく、ヨーロッパのLMSともスケジュールがバッティングして、結局キャンセルされることとなったヒューストンのストリートレースは、復活することが出来なかったようだ。

 ALMSでは、Speed TV.com(童夢S102を表彰した)と提携して、様々なプロモーションを行っているが、大きな効果を上げていると判断出来るため、今後、より、拡大することが決まった。

 同時に2009年にノンタイトルで行われるアジアン・ルマン・シリーズについてのアナウンスも行われ、既に発表されている11月1日の富士スピードウェイと共に、翌週11月8日に上海で行われることが公表された。

2009年ALMSカレンダー
1月26〜28日 セブリングウインターテスト
3月21日 セブリング12h
4月4日 Stピータースバーグ
4月18日 ロングビーチ
5月17日 ミラーモーターパーク
7月18日 ライムロックパーク
8月8日 ミッドオハイオ
8月16日 ロードアメリカ
8月30日 モスポート
9月5日 デトロイト
9月26日 ロードアトランタ
10月10日 ラグナセカ

2009アジアン・ルマン・シリーズ *ノンタイトル
11月1日 Fuji
11月8日 上海

10月3日
●秘密兵器を投入したポルシェ

Photo:Sports-Car Racing

 昨年大活躍したペンスキーポルシェは、P2カテゴリーでありながら、次々とP1クラスのアウディを破って、もし、総合チャンピオンのタイトルが存在するのであれば、間違いなくタイトルを獲得したことだろう。もちろん、ペンスキーは、限りなくポルシェのワークスチームに近い存在であると考えられているが、今年アキュラが力をつけたことから、P2クラスのタイトルを防衛するのが精一杯の状況となっている。

 そのため、ルマン終了後、アキュラに対抗するため、開発中だった直噴エンジンを投入する一方、“プチ-ルマン”へは3台体制で乗り込んできた。これほどペンスキーとポルシェが大規模なテコ入れを行う理由は、これまでのような、限りなくポルシェのワークスチームに近いペンスキーによるP2活動は、今年限りであるためらしい。
 噂を信じるのであれば、2009年ポルシェは、これまでのようなペンスキーに対する大々的なサポートを取りやめ、ペンスキーはALMSでRSスパイダーを1台だけを走らせると言われている。
 現在のところ、ポルシェは、この噂に対して、肯定も否定をしないが、ほとんど決定事項と考えられている。
 つまり、今年アキュラを破って、タイトルを防衛するとと共に、シリーズ最大のイベントである“プチ-ルマン”で勝ことは大切な要素と考えられている。

 昨日のフリープラクティスから、ロマ・デュマとティモ・ベルンハルトが乗り組むNo.7RSスパイダーには、奇妙なホイールカバーが取り付けられていた。最初付けたり外したりしていたが、午後になると常にホイールカバーを取り付けた状態で走行するようになった。
 ミュルサンヌコーナーのマイク・フラー(本当の職業は、Gフォースの空力スペシャリスト!)によると、このようなホイールカバーは、ボディ外側を流れてくる空気が、ホイールの隙間から床下のディフューザーへ入り込むのを抑制すると言うより、純粋にボディ外側を流れる空気の整流に効果があるらしい。
 恐るべしペンスキー!と言うべきだろう。

 今日(金曜日)になると、3台のペンスキーポルシェの総てが、ホイールカバーを取り付けて走行するようになった。もちろん、効果が確認されたため、セッティングを煮詰めるためだが、昨日行われた車検の際、ホイールカバーを取り付けて、車検場に現れたのはNo.7だけだった。ACOとIMSAのルールでは、車検で取り付けられなかったアイテムを使用することは禁止されている。そのため、カナードや追加のエアインテーク類は、車検の際持ち込んで、暫定的であっても、取り付けて、車検を受けることが求められている。

 つまり、もし、No.5とNo.6の残る2台のペンスキーポルシェがホイールカバーを使うのであれば、今日午後行われる予選までに、新たにホイールカバーを取り付けて車検を受けなければならない。
 心配していたら、午前中のフリープラクティスが終了すると同時に、ホイールカバーを取り付けたNo.5が車検場に現れた。続いてNo.6もやって来たが、こちらはホイールカバーの無い状態で現れて、No.5と同じホイールカバーを使用することを宣言することを、IMSAの車検委員に申し出た。
 こうして、3台のペンスキーポルシェは、ホイールカバーを取り付けて走る権利を獲得した。


9月30日
●ソデモがBMW M3用をベースとしてLMP2エンジンを開発、2009年にペスカロロが導入した理由

Photo:SODEMO

 元々LMP2カテゴリーは、GT2カーと同じような3.4リットルまでのNAエンジンを使うことから、ポルシェやフェラーリのGT2カーのエンジンの使用を目論むプライベートチームは少なくなかった。
 しかし、GT2エンジンは、量産エンジンをベースとするため、純粋なレース専用エンジンには敵わないと判断されて、有力なチャレンジャーは現れなかった。

 2005年ACOは、LMP1に迫る高コストに悩むLMP2カテゴリーに対して、GT2カーのエンジンを導入することを目論んだ。そして、ホモロゲイションエンジンの名目で、GT2エンジンの導入を目指した。2006年のレギュレーションブックには、目立たないながらもホモロゲイションエンジンの項目が設けられていた。
 純粋なレース専用エンジンが3.4リットルに制限されるのに対して、ホモロゲイションエンジンは4リットルまで許されて、より大きなリストリクターの使用が許されていた。
 しかし、当時ホモロゲイションエンジンの資格が曖昧で、GT2と言うより、グループNのエンジンを指すものと考えられたため、開発するエンジンビルダーは現れなかった。

 ところが、2007年以降、ACOはLMP1がトップカテゴリーで、LMP2はその下のカテゴリーであることを宣言して、次々とLMP2に制限を加えるようになった。もちろん、LMP2の費用の高騰が叫ばれるようになって、いくつかのエンジンビルダーが、量産エンジンをベースとしたLMP2エンジンの開発をスタートした。
 ACOのイメージは、ポルシェのGT2エンジンだったらしいが、ポルシェ自身がRSスパイダーを開発して、素晴らしい3.4リットルV8を実現したため、ポルシェの参入は考えられない状況だった。

 そのような状況の中、フランスのソデモは、BMW M3に積まれている420馬力のV8をベースとしたLMP2エンジンの開発をスタートした。当時ソデモは、プジョーの支援で開発した3.2リットルV6ターボエンジンをペスカロロに提供していたが、ジャドの5リットルV10と比べると明らかに低性能だったため、ペスカロロは、プジョーを説得して、ジャドV10に積み替え、素晴らしい成績を修め始めていた。

 しかし、それでもホモロゲイションエンジンの概念は曖昧だった。そこで、プロドライブが、GT1カーのエンジンをLMP1で使うため、有利なレギュレーションを求めてきた時、ACOは、ホモロゲイションエンジンを「ストレスマウント出来ないこと」と規定した。

 ソデモが開発したBMW M3用をベースとする4リットルV8 LMP2エンジンは、7,500rpmで540馬力(2008年リストリクター付き)まで開発されていた。今後、10%小さい2009年のリストリクターを装着しても、520馬力を発生するよう開発されるようだ。レギュレーション通り、ストレスマウントとしてエンジンをフレームとして活用することは出来ないだけでなく、アキュラやポルシェに代表される、3.4リットルのレース専用LMP2エンジンより30kg以上重い140kgの重量となる。追加されるフレームの分を含めると、差は40kg以上だろう。
 しかし、圧倒的に安価な約2,000万円/年の価格を実現している。

 ソデモがBMW LMP2エンジンを開発していたことは知られていたが、問題は、誰が使うか?だった。9月になって、ペスカロロが2009年のLMP2カーに採用したことを公表した。しかし、ペスカロロは、クラス優勝しか出来ないLMP2で導入するだけでなく、違う目論みを持っているようだ。
 9月13日ACOは、「2011年のLMP1カーは、現在のLMP2エンジンを積む」と発表している。どうやら、ペスカロロは、2011年の保険として、ソデモのBMW LMP2エンジンを導入したようだ。5年前のソデモ製プジュー3.2リットルV6ターボエンジンのように、低性能であるなら、他のエンジンに交換してしまえば良いのだ。その判定を2009年と2010年にLMP2カーで行うつもりなのだろう。

9月27日
●掲載が不可能となった問題についてお詫びいたします
当Sports-Car Racing.netでは、7月にサーバートラブルによって、掲載が中断しました。その後、暫定的に復旧させることに成功しましたが、8月に入って、再度問題が発生して、掲載が不可能となりました。
様々な方法によって、修復を試みましたが、完全な復旧は不可能でした。
アクセス数の増加による問題であることは明らかですが、当方には、対応出来る充分な体制を築くことが出来ないため、しばらくの間、そのままとさせて頂きました。
現在においても、完全な状態ではありませんが、再び掲載可能な状態まで復旧いたしました。近い将来、完全にリニューアルしなければなりませんが、それまでは、現在の状態での掲載を続けさせてください。


●8月5日
ヨコハマに何が起こった? ヨコハマと分かれたマツダは“屋根付き”のローラで2009年のルマンを目指す!

Photo:Sports-Car Racing

 以前からヨコハマタイヤは、ALMSを闘うトム・ミルナーのPTGを支援していた。その頃PTGは、事実上北アメリカにおけるBMWのワークスチームで、M3GTR-V8によって、シュニッツァーと共にタイトル争いを展開していた。その後、M3がE46からE90にモデルチェンジしたのを機会として、BMWの戦略が変わってため、2007年からPTGはパノス・エスペランテを走らせるようになった。パノスを走らせるようになっても、ヨコハマタイヤはPTGを支援して、PTGパノスはアドバンカラーに塗られていた。今年もアドバンカラーのPTGパノスはALMSに挑戦していた。
 ところが、ルマンが終わって、ALMSのシリーズが再開された時、何かが起きた。
 ライムロックにやって来たPTGパノスは、アドバンカラーを剥がして黒一色となっていた。しかも、その足下にはヨコハマタイヤではなくダンロップタイヤを履いてきた。

 2005年にスタートしたマツダのLMPプロジェクトは、フォーミュラマツダで好成績を修めたドライバーのステップアップ先、と言う側面を持つ。そのため、これまで、マツダのLMPカーは最良のパッケージであった訳ではない。2005年と2006年は、あまり評判が良くなかったクラージュC65ハイブリッドカーに、開発が不充分だった3ローターロータリーエンジンを組み合わせた。推力軸が高いロータリーエンジンであるにも関わらず、通常のトランスミッションを組み合わせたため、リアサスペンションアームには大きな上半角がついている有様で、サスペンションジオメトリーはめちゃくちゃだった。
 ロータリーに固執する意見も多かったようだが、ロータリーエンジンそのものの開発が不充分であるため、2007年AERに頼んで2リットル4気筒ターボエンジンを開発した。同時にローラからB07-46を買って、リニューアルを図った。しかし、クムホタイヤと契約したことでも判るように、フォーミュラマツダで好成績を修めたドライバーのステップアップ先となるのが優先されて、速いマツダをアピールすることは、まだ先の話と考えられていたようだ。

 ところが、2008年マツダのLMPプロジェクトは大々的に意識改革されて、BPと契約する一方、クムホに代えてヨコハマタイヤと契約して、アキュラとポルシェを追撃する姿勢を明かとした。
 その頃ヨコハマタイヤは、勝てるチームと契約出来ないのであれば、モータースポーツから撤退することさえほのめかしていた。そのため、北アメリカでヨコハマタイヤとマツダが提携して、LMP2プロジェクトを推進することは、双方にとって復活への道と考えられて、好意的に受け止められていた。

 ところが、4月になって、ヨコハマタイヤは、ルマンへ挑戦する東海大学へタイヤを提供することを発表した。数ヶ月前まで、東海大学は、日本でテストを行う時はBSタイヤを使い、ルマンではミシュランを使うと公表していた。そのため、BSとミシュランの双方から反発を受けていることが知られていた。第一、その後の状況で明かとなるように、成績を見込めるどころか、明日を期待する以外、東海大学に取り柄はない。にも関わらず、ヨコハマタイヤは東海大学にタイヤを提供した。

 北アメリカで真剣勝負を望んでいたマツダは、それまでヨコハマタイヤから、開発が進まない理由について、少ない予算であることを告げられていた。成績が見込めるのであれば、プロジェクトを拡大する旨説明されていた。
 そのため、成績が見込めない東海大学との契約は、非常に不可解な内容と考えていたようだ。
 ルマンが終了して、ライムロックのレースを迎えても、ヨコハマタイヤの開発は進まなかった。しかも、ヨコハマと一心同体と考えられたいたPTGパノスは、ダンロップタイヤを履いてライムロックに現れた。

 マツダの不信感は相当なものだったようで、ライムロック終了後、直ぐダンロップと契約を結ぶと、翌周のミッドオハイオではヨコハマに代えてダンロップタイヤを履いてレースに参加した。
 ライムロックへ行く前、既にマツダはミシュランとダンロップとコンタクトしている。ミシュランは、シーズン途中の新規の契約に難色を示したため、マツダはダンロップと詰めた話し合いを行っていたようだ。

 マツダとPTGは、ヨコハマが東海大学と契約した時点で、相当な不信感を持っていたらしい。実際にどのような影響を彼らが受けたのかは判らない。しかし、トム・ミルナーとマツダは、共に「今後ヨコハマが精力的に開発を行うのであれば、再び、一緒に仕事を行うこともあるだろう」とだけコメントを残している。

 ちなみに、この騒動の最中、マツダは、ローラからB08-80を購入したことを明かとした。元々マツダは2台目のLMP2カーを購入する計画を持っていた。当初“屋根無し”のB07-46と思われていたが、より新しく、しかも大幅に高価な“屋根付き”のB08-80を選んだことを明かとした。10月4日の“プチ-ルマン”でローラB08-80/マツダはデビューする。
 SPEED tvのマーシャル・プルットによると、どうやら、マツダは2009年のルマンをターゲットとしているようだ。

●8月2日
FIAは2010年にGT1世界選手権を開催? GT2はヨーロッパ選手権としてリニューアル

Photo:FIAGT

■2010年にGT1世界選手権を開催
 スパ24時間を開催中のスパ-フランコルシャンで、ステファン・ラテルは、恒例の記者会見を開催した。冒頭ラテルは、2010年にGT1カーによる世界選手権の開催を宣言した。12レースを予定しており、その多くは、西ヨーロッパの外で開催される。アルゼンチン、ブラジル、ドバイ、サウジアラビアのリャド、中国の上海もしくは北京?、シンガポール、ロシアのモスクワ、ルーマニアのブカレストが加えられると言う。オーストラリアとアメリカでの開催も計画しているが、最初の年に行うのは難しいことも認めた。西ヨーロッパについては、シルバーストーン、モンツァ、スパの24時間レース、ポルトガル(公道?)、そして、ドイツで新しいイベントを計画中であると言う。

 気になる、新制GT1カーについて、ラテルは明言を避けたものの、現在、少々怪しいルールによって出走が許されているマセラッティMC12やサリーンS7Rのようなスーパーカーとなるようで、逆に、現在正真正銘のGT1カーであるアストンマーティンDBR9は好ましくないことを述べている。
 既に、昨年ラテルは、新しいGT1カーについて、断片的ながら概要を公表している。その内容そのものと言えるだろう。統一したECUの採用についても、レギュレーションに盛り込まれる予定で、2009年のFIAGTにおいて、独立したクラスで、何台かの新制GT1カーが走ることとなるようだ。

 昨年、新制GT1カーについて公表した際、様々な反対意見が噴出して、たった1ヶ月でラテルは、自身の意見を再検討することを明らかとしている。そのため、12月に行われるFIAのワールドモータースポーツカウンシルで、正式に認められない限り、本当に、このようなカテゴリーが実施されるのか?誰も判断出来ない。
 ポイントは、2009年に独立したクラスとして、何台かの新制GT1カーが走ることを公表したことだろう。つまり、現在既に新制GT1カーを開発しているメーカーかコンストラクターが存在すると言う事だ。

■GT2はヨーロッパ選手権として開催
 GT2については、全世界を転戦するのでなく、GT1世界選手権のヨーロッパラウンドを中心として、ヨーロッパ選手権として開催される。マシンは従来のGT2カーをモデファイしたもので、GT1のような大きな変化はない。ラテルによると、BMWのようなスポーティセダンも参加出来るようなレギュレーションとなると言う。

■GT3とGT4は従来通り
 現在ヨーロッパ選手権として行われているGT3とCupとして行われているGT4については、従来通りのカタチを堅持するようだ。クルマの性能を特定したハンディキャップルールも、基本的に継続されると言う。


●7月31日
ポルシェは、997GT3Rに4リットルエンジンを、RSスパイダーに直噴エンジンを投入

Photo:ALMS

■4リットルエンジンを積む新型997GT3R
 ポルシェにとって、最も大切なのは、ロードカーの発展型であるGTクラスで勝つことだ。ところが、2年前フェラーリ430GT2が登場して以来、ポルシェはフェラーリに負け続けた。昨年997GT3Rが登場しても、状況は変わらなかった。
 2008年大幅な改良が期待されたが、大きな改良はされなかったため、997GT3Rを買ったチームの幾つかは、新たにフェラーリを買って、997GT3Rを売りに出してしまった。ポルシェは、大変な状況に陥っていた。

 もちろん、ポルシェは、997GT3Rの改良に取り組んでいた。しかし、既存の997GT3Rをベースとしてアップデイト出来る内容でなければ、現在997GT3Rを走らせているチームからも反感を買うこととなってしまう。
 ポルシェが選択したのは、エンジンの改良だった。1996年ボクスターと共にM96完全水冷フラット6が登場した時、ポルシェは、ボアとストローク、特にボアを拡大することで、M96エンジンは容易に4リットルまで拡大出来ることを明言していた。1年後に登場した997は、最初3.4リットルで、その後3.6リットルとなって、997GT3Rでは3.8リットルとなった。
 そのため、次のステップとして、ポルシェが4リットルエンジンを登場させることは予想されていた。

 ルマン後、最もテコ入れが求められていたALMSにおいて、ポルシェは、997GT3Rを走らせるチームへ4リットルフラット6のデリバリーを約束した。7月12日に第6戦ライムロックパーク、19日に第7戦ミッドオハイオが行われるため、大急ぎでポルシェは、フライングラザードとファンバッファロールへ4リットルエンジンをデリバリーした。そして、ライムロックパークで、ファンバッファロールの997GT3RがGT2クラスのポールポジションを獲得して、決勝レースではフライングラザードが優勝した。ミッドオハイオでは、ファンバッファロールとフライングラザードの2台の997GT3Rが、予選の1-2を占めた。残念ながら、決勝レースではフェラーリに負けてしまったが、確実にポルシェの戦闘力は向上している。

 LMSのGT2クラスでは、ALMSのような熾烈な闘いは行われてないため、現在のところ、ポルシェはALMSを闘う997GT3R以外に4リットルエンジンをデリバリーする考えはないようだ。しかし、2009年に向けて、特にルマンでの成功を望むチームは、4リットルエンジン付きの997GT3Rを導入を検討することとなるだろう。

■直噴エンジンを導入したRSスパイダー
 ルマンに参加しないアキュラは、大幅な改良を行うことが予想されていた。ポルシェも、同じタイミングでRSスパイダーに改良を盛り込む計画だった。しかし、それまでLMP2クラスでペンスキーのRSスパイダーが圧倒的な強さを発揮していたため、急務だった997GT3Rへの4リットルエンジンのデリバリーが優先され、第7戦ミッドオハイオで直噴エンジンがRSスパイダーに搭載されることとなった。

 新しい直噴3.4リットルV8は、最大出力が、従来の476馬力から503馬力(10,000rpm)まで約5%パワーアップする一方、最大トルクは370Nm(7,500rpm)から385Nm(8,500rpm)へ約4%向上している。もちろん、直噴の特徴を活かした希薄燃焼によって、燃料消費率も向上している。

 しかし、ルマン後アキュラは素晴らしい速さを身に付けており、ミッドオハイオで直噴エンジンを実戦に投入しても、直ぐにそのアドバンテージを発揮するのは難しいようだ。そのため、予選でペンスキーのRSスパイダーは、アキュラに負けてしまった。しかし、決勝レースではアキュラを破ってLMP2クラスで優勝した。と言っても、ミッドオハイオはLMP2に向いたコースであるにも関わらず、予選で上位を独占したアキュラとポルシェのLMP2カーは、アウディのディーゼルLMP1カーの1-2フィニッシュを許す結果となった。
 今後慎重に直噴エンジンの開発は行われることとなるだろう。

Photo:Porsche     これが正真正銘の直噴V8。


●7月18日
ACOは、9月15日に2009年レギュレーションを公表する

Photo:Sports-Car Racing

 ルマン24時間レース開催中に行われたプレスコンファレンスの際、ACOは、2009年レギュレーションを大きくモデファイすることを明かとしている。しかし、その時点で公表されたのは、「LMP1クラスのディーゼルターボエンジンのパフォーマンスが際だっていることが明かとなったため、ディーゼルエンジンのパワーを引き下げることや、LMP2クラスの格付けを、明確にLMP1の下として、パフォーマンスを引き下げる」と言った漠然としたものだけだった。

 FIAの呼びかけによって、パリでテクニカルミーティングが開催された後、ACOは、2009年レギュレーションの実際の内容について部分的ながら、より具体的な内容を公表している。
 LMP1クラスのディーゼルターボエンジンについては、ペスカロロを中心として「最低でも150馬力引き下げるべき」との意見が中心だった。しかし、そこまで大きな引き下げは行われないらしい。
 ルマンの時点では、もし、ディーゼルを引き下げないのであれば、逆にガソリンエンジンの出力を引き上げる、との意見もあった。しかし、ガソリンエンジンのパワーを大きくしてしまったら、燃費も悪化するため、ACOは、ガソリンエンジンのパワーを引き上げるプランには消極的だ。

 また、今年新たに導入されたGT1エンジンについては、当初レース専用ガソリンエンジンとの差は20馬力程度考えられていた。しかし、実際には、最強のレース専用ガソリンエンジンであるジャドV10とアストンマーティンGT1エンジンの差は40馬力に及ぶと考えられている。そのため、GT1エンジンの出力の引き下げが行われるようだ。

 2007年ポルシェRSスパイダーの大活躍によって、ACOは、明確に「LMP2はLMP1の下カテゴリー」であることを宣言して、2008年基本となるACOレギュレーションは、LMP2クラスの車重を50kg重い825kgとした。LMP2カーが、アウディと総合優勝争いを行うことを期待したALMSでも、25kg重い800kgとしている。しかし、それでもLMP2カーの速さはLMP1カーを脅かしているため、2009年レギュレーションによって、LMP2クラスの出力の引き下げが行われる。

 LMP2の出力の引き下げに伴って、GT2エンジンの導入も計画されているようだ。LMP1クラスのGT1エンジンとクラスと同じように、ポルシェやフェラーリのGT2エンジンに有利なレギュレーションが盛り込まれるのだろうか?

 また、2007年ACOは「3分30秒のラップタイムがボーダーライン」と宣言している。しかも、“絶対に空を飛ばない”ハズのレギュレーションでありながら、2度の離陸が行われたことを重視して、LMP1とLMP2の両方のプロトタイプクラスの空力性能の引き下げを構想している。取り敢えず、2008年リアウイングの小型化を実施するようだ。
 ACOは、9月15日2009年のレギュレーションを公表する。
※Sports-Car Racing Vol.18を参照してください。

●7月16日
2004年レギュレーションは、本当に空を飛ばないのか?

Photo:Sports-Car Racing

 ルマン終了後、LMSモンツァでORECAクラージュが、ルマンのテストディでプジョーが空を飛んだことを理由として、ACOと言うよりFIAの申し出によって、今後新しいレギュレーションを構想することをテーマとしたテクニカルミーティングが、パリで開催されている。どうして、ACOでなく、現在プロトタイプスポーツカーのレースを1つも開催することが出来ないFIAが会議を招集したのか? と言うと、2004年に施行された、現在のACOのプロトタイプスポーツカーのレギュレーションは、1999年、ルマンでメルセデスが次々と空を飛んだことを理由として、FIAのテクニカルワーキンググループがまとめたレポートに基づいて作られているからだ。

 当時FIAのテクニカルワーキンググループは、パイパーデザインに対して、風洞実験を含む空力実験を行って、レポートをまとめるように指示した。そのため、このレポートは通称パイパーレポートと呼ばれている。パイパーデザインは、前後方向だけでなく、クルマを横向きにした状態でも風洞実験を行って、絶対に空を飛ばない床板のデザインを見出すと共に、FIAに提出するレポートをまとめ上げた。その後、リアのオーバーハングを短くする等、様々な部分が煮詰められて、ACOは、2004年レギュレーションとして発表した。

 つまり、パイパーデザインは、クルマがスピンして、横を向いた状態でも、空を飛ばないことをレポートしていた。
  ところが、実際には、2度も空を飛んだのであるから、ACOにデータを提出したFIAの立場は危ういのが判るだろう。

 パリで行われたミーティングについて、現在のところ、FIA側からの発表はなく、ACOを中心として、幾つかのコメントが公表されているだけだ。しかし、その会議でハッキリとした結論が出た訳ではないらしい。
 そして、再びパイパーデザインによって、風洞実験を行うことが発表されただけだった。


●6月12日
2009年11月1日アジアンルマンシリーズをフジスピードウェイで開催

Photo:Sports-Car Racing

 ACOは恒例のプレスコンファレンスにおいて、3月末以来空席だった副会長の席にピエール・フィロンが着いたことを公表した。ピエール・フィロンが、最初に行う大きな仕事は、2009年にアジアンルマンシリーズを開催することだ。
 元々2008年、単独イベントとして上海でルマンカテゴリーのレースが行われる予定だった。しかし、様々な問題から2008年の開催を見送る一方、2009年にアジアンルマンシリーズとして開催することを明かとした。

 2009年に行われるイベントは、フジスピードウェイと上海の2つで、フジスピードウェイのイベントを11月1日に行う予定であることも公表した。しかし、現在のところ、ALMSの2009年のスケジュールが確定していないため、ALMS次第(たぶん、最終戦ラグナセカ)で、予定は変更されることとなるようだ。

 上海のカレンダーは、フジスピードウェイの翌週か2週間後に行うことが予定されている。
 ALMSやLMSと同じように、翌年のルマン24時間レースへのオートマチックエントリーの権利も与えられる。

 しかし、今年同じ11月最初の週末にSUPER GTが行われる。そのため、もし、ACOとフジスピードウェイが11月1日にアジアンルマンシリーズを開催するのであれば、2009年のSUPER GTのカレンダーは、大きく変更されるのだろうか?

●6月12日
2008年のルマン24時間レースは、NTVとテレビ東京で放映!

Photo:Sports-Car Racing

 本日午前11時から、ACOは恒例のプレスコンファレンスを行った。その中でACOのコマーシャルダイレクターのファブリス・ボリガードは、2008年のルマン24時間レースについて、TV放送する放送局のリストを公表した。そのリストを見た我々日本人が驚いたのは、日本のNTV(日本テレビ)とテレビ東京がリストに含まれていることだった。NTVはオフィシャル映像を放映するだけらしいが、テレビ東京については、ライブでの放送も行うと言う。

●6月10日
ルッチーニ撤退、2台目のイプシロンがルマン参加の権利を獲得 中野信治ルマン参戦決定

Photo:Sports-Car Racing

 今年のルマンは、参加枠を得ることが非常に難しい状況だった。
 ACOは、参加資格を与える条件として、チームやマシンの実力を第一と考えている。しかし、同時にバラエティのあるエントリーリストを実現するため、違う車種や違うエンジンを使うチームを優遇する姿勢を見せている。
 ところが、このような稀少なエンジンやマシンを使うチームの実力は未知数であるため、参加資格を与えられたチームの幾つかがギブアップすることを前提として、ACOはエントリーリストのリザーブリストを作成している。

 今年の場合、リザーブリストの上位に居たペスカロロ勢がランクアップする一方、2台目のイプシロンが、リザーブリストに最後に残ってしまった。それでもイプシロンは、名の知れたステファン・ヨハンソン、ジャン・マルク・グーノン、中野信治の3人が乗り込むことを公表して、積極的にアピールを続けた。
 テストディとなっても、新たにギブアップするチームが現れなかったため、2台目のイプシロンのエントリーは不可能と思われた。ところが、9日月曜日になって、ACOが2台目のイプシロンの参加を決定したことが囁かれるようになった。

 ところが、スタート可能な台数は55台であるため、2台目のイプシロンが参加すると言うことは、既に参加を認められたチームの何れかが、参加を諦めるか、ACOからエントリーを拒否されなければならない。幾つかのチームの撤退が噂されたが、10日午後3時になって、ルッチーニが参加を取り消したことが明かとなった。ルッチーニは、先週行われたテストディの際、充分なパフォーマンスを証明することが出来なかった。そのため、ルマンからの撤退を決心したようだ。
 これによって、中野信治が乗り組む2台目のイプシロンの参加が可能となった。


●5月29日
Sports-Car Racing Vol.18発行

 長らくお待たせいたしましたSports-Car Racing Vol.18を6月11日発行いたします。価格は従来通り2,310円(税込み)です。最新のスポーツカーレースの話題満載で登場です。詳しくは下記をご覧ください。
Sports-Car Racing Vol.18のISBN番号:ISBN978-4-925254-13-7


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■CONTETS

○Who is the person of true revolution? 本当の革命者は誰だ?

Chapter.1 4WDとターボをラリーに持ち込んだアウディ 4WDとターボの最良の使い方を可能としたプジョー
 25年前アウディとプジョーの因縁の物語は始まりました。当時アウディは、ラリーを舞台として革命を巻き起こしました。ところが、最終的にラリーを席巻したのはプジョーでした。しかし、グループBが廃止さたたため、本当の決着はつかないまま25年が過ぎることとなりました。

Chapter.2 ディーゼルエンジンで勝つ! それが重要だ
 アウディに続いてプジョーは、ディーゼルエンジンによるルマン制覇を目論みました。しかし、当時ツーリングカーレースのBMWを除くと、ディーゼルエンジンによって、モータースポーツで成功した例はありませんでした。たった245馬力のツーリングカーと違って、ルマンのスポーツカーは600馬力以上であるため、ディーゼルエンジンの開発は非常な苦労が伴いました。どうして、アウディとプジョーは、ディーゼルエンジンによるルマン制覇を目論んだのでしょうか? そして、スポーツカー用のディーゼルエンジンの開発とは、どのようなものなのでしょうか?
 トップレベルのレース用ディーゼルエンジンの開発の革新に迫る特集です。

Chapter.3 “屋根無し”を選んだアウディ “屋根付き”を選んだプジョー
 アウディは“屋根無し”を、プジョーは“屋根付き”を選びました。しかし、その選択の理由は、それぞれ違うようです。では、どうして、彼らは違った選択を行ったのでしょうか? そして、どちらの選択が正しいのでしょうか?

○Dome Magic スポーツカーレースの革命を目論む童夢

 やっと童夢はS102 Coupeを完成させました。待たされただけあって、童夢の新作は、スポーツカーレースの革命児と言うに相応しいエポックメイキングな内容を持っているようです。これまでのレーシングスポーツカーの中で、S102ほどレギュレーションを徹底的に研究して生み出されたクルマはないでしょう。そのため、童夢の面々は、S102の秘密をアウディやプジョーに知られることに神経質になっています。そのスポーツカーレースの革命児の秘密に迫る特集です。
 ルマンの本番前、この特集をご覧になっても、決してアウディやプジョーには知らせないで下さい。

○頑張れペスカロロ

 昨年、ルマンでは不可解な出来事が続きました。その結果、アンリ・ペスカロロは、ジャック・ニコレと共にペスカロロオートモビルを設立して、クラージュはORECAに買われることとなりました。一体、何がルマンで起こったのでしょうか?
 近年最高のプライベートチームであるペスカロロの活躍の秘密とP1カーを実現する苦労の一例を特集します。

○ザイテックは何処へ向かうのか?

 2002年を目指して、レイナードは02Sスポーツカーを開発しました。しかし、02Sが登場する直前、レイナードは倒産してしまいました。レイナードの遺産は、廻り巡ってザイテックが手に入れました。しかし、レイナードが倒産する前、唯一完成した02Sはクリエイションが手に入れる一方、元々レイナードで02Sを開発していたエンジニア達によって開発されることとなりました。その結果複雑な物語が始まりました。
 複雑な物語が演出された最大の理由は、02Sが優秀だったからでした。ザイテックは、彼らの独自の技術を次々と02Sに盛り込んで、開発を続けました。そして2007年P1カーを登場させました。
 複雑な物語を、ザイテックの側から見たストーリーです。

○クリエイションの選択
 一方のクリエイションは、ジャドと提携すると、徐々に独自性を持つようになりました。そして、レイナードで02Sを開発したKWMのエンジニア達によって、彼らもP1カーを開発しました。しかも、日本のAIMがジャドと共に開発する90度V10エンジンを組み合わせてルマンを目指しています。しかし、最初“屋根付き”で発表されたマシンは、実際に登場した時には“屋根無し”となる等、彼らは、様々選択を強いられたようです。

○LMP2の正体

 2007年最高のスポーツカーは、アウディでもプジョーでもなく、ポルシェのP2カーでした。どうしてポルシェは、格下のP2カテゴリーでありながら、アウディのP1カーに勝つことが出来たのでしょうか?
 P2レギュレーションの意味を徹底的に解析した特集です。
 しかし、P1カーを破ったP2カーが、ポルシェRSスパイダーだけであることも忘れてはならないでしょう。
 ポルシェRSスパイダーは、レギュレーションを使い切れば、ここまで工夫が可能であることを見せつけました。童夢がS102クーペを登場させるまで、スポーツカーレースの革命児でした。

○誰が2008年に笑うのか?

 2008年のスポーツカーレースは、昨年までとだいぶ様子が違うようです。と言うより、あまりにも細かくレギュレーションが変更されたため、それを理解しなければ、本当の意味を知ることは難しいようです。
 2007年暮れになって公表された2008年レギュレーションには、これまで噂にも上らなかったGT1エンジンを優遇する項目が盛り込まれました。しかも、レギュレーションが12月に公表されたにも関わらず、2月になるとプロドライブによって、アストンマーティンGT1エンジンを組み合わせられたローラB08-60クーペは、早くも走り始めました。
 また、大胆なデザインを採用したイプシロンEE-LMP1の特集も掲載しました。72度V10を完全なストレスメンバーとしたり、エンジンの後ろは、ギアボックス以外の総てがカーボンファイバーである等、奇抜な存在を公開します。
 早くも2010年のLMP-EVOについての特集等、最新のスポーツカーレースの盛りだくさんの特集です。

○我が道を歩むニッポンGT 日本版NASCARへの道
 2009年レギュレーションは、どうやら日本版NASCARなるそうです。2009年レギュレーションの意味を特集する一方、実際には、どのようなクルマが登場するのか?シュミレーションを行います。
 しかし、これほど騒がれている2009年レギュレーシュンでありながら、実際に2009年に登場するマシンは、たった3台に過ぎないようです。どうして、このようなことが起こってしまったのでしょうか?

*発行が遅れたことをお詫びいたします。

●5月16日
GT2クラスの振興に取り組むIMSA

Photo:Sports-Car Racing

 昨年秋FIAGTを運営するステファン・ラテルは、「2年後FIAGTをGT3とGT4カーによって行う」と発表した。その時、最も大きく反対したのは、ACOではなかった。ALMSとIMSAだった。
 その頃、ALMSとIMSAは、GT2クラスの振興に取り組んでいた。ALMS以外でも、ポルシェとフェラーリが反対したため、ステファン・ラテルは、たった1ヶ月で、将来計画を撤回して、FIAGTは存亡の危機に陥っている。

 スコット・アタートンの地道な勧誘によって、ALMSでは、2008年にアストンマーティン・ヴァンテッジ、ドランによるフォードGT、ライリーのコルベットC6 GT2カーの参加の約束を取り付けていた。プロドライブによるアストンマーティン・ヴァンテッジは、3月のLMSポールリカールテストに登場する等順調に開発が進んでいたのを除くと、いずれもメーカー自身による計画でなかった。そのため、ホモロゲーションを満たしながら、充分なポテンシャルを発揮するのは容易ではない。そこでIMSAは、性能調整を行って、現在最速のGT2カーであるフェラーリ430GT2と速さを整えることとなった。

 アストンマーティン・ヴァンテッジ、ドラン・フォードGT、ライリー・シボレー・コルベットC6、に加えて、元気のないパノス・エスペランテを加えた4台は、今週末ソルトレイクシティで行われる第5戦から、最低車重を25kg軽減することが許された。ポルシェも性能調整を要求していたが、例えフェラーリに負け続けたとしても、ポルシェ自身によって、ホモロゲイションに応じて開発可能であって、状況の違いは明かであるため、IMSAは、ポルシェの要求を退けた。

 また、同時にGT1クラスの数少ないプライベートチームのエントリーであるアストンマーティンDBR9は、85%エタノールのE85燃料を使うGMワークスコルベットとのパフォーマンスを整えるため、1125kgの最低車重のまま、85リットル燃料タンクとすることを条件として、31.2mm×2のリストリクターの使用を許された。

●5月16日お詫び
4月30日〜5月15日までサーバー移行のため、更新が不可能となりました

 サーバー移行のため、昨日まで更新作業が不可能となりました。同時にEメールの受信も不可能となりました。現在は復旧しましたが、この間にEメールにて投書された方々に対して、大きなご迷惑をかけました。本当に申し訳ありません。
 現在返信作業を進めておりますが、総てを完全に再受信することは不可能なようです。再度送信されることをお願いいたします。よろしくお願いいたします。


●4月24日
未来永劫GTRが勝つ法則

Photo:Sports-Car Racing

 シーズン開幕1ヶ月になって、GTAは特別性能調整なるプランを公表した。既に知らせたように、当初特別性能調整は、開幕戦鈴鹿と第2戦岡山で、開幕戦単独、もしくは2レース両方の結果によって、今シーズン終了まで下ろすことが出来ないウエイトハンデを課すことを明言していた。最大で60kgであるため、常識的には、この特別性能調整の対象となった場合、2008年のチャンピオン争いから脱落することを意味していた。
 ところが、その後、開幕直前になって、GTAが特別性能調整を施行した本当の理由が明かとなった。

 元々、2009年レギュレーションを先取りして参加するGTRは、2008年と比べると、0.3〜0.5%速いと判断された。もちろん、本来のレギュレーションのクルマではないため、特認扱いでの参加となる。そこで、特認条件として、何らかのウエイトハンデを課すことが話し合われていた。ところが、その後、2009年より大きなリストリクターが使われ、1リットル以上排気量も大きい2008年の4.5リットルV8や、2008年と同じ大きなリアウイングの使用まで許してしまった。
 そのどさくさに紛れて、特認条件のウエイトハンデの話しは忘れられてしまったらしい。

 2007年に一番速かったGT500マシンはNSX-GTであるから、「取り敢えずNSX-GTの速さを抑えたい」と言う希望もあっただろう。NS-GTに目を奪われた結果、2008年と2009年の良いとこ取りのGTRにはハンデを与えず、1年前速かったNSX-GTに50kgの重りを載せる、不可解な状態で2008年をスタートすることを決めてしまった。
 ところが、冷静になって考えたところ、大変なことに気づいたようだ。そうして設けられたのが、特別性能調整だった。

 しかし、2008年の大きなリストリクターと大きなリアウイング、2009年の幅が広いボディ、背の低いキャビン、そして、場合によっては、キャビンの位置まで前後に移動出来るのだ。この良いとこ取りによって、理論的に2%以上速く走ることが可能と考えられている。2分のラップタイムのコースで2%は2.4秒に相当する。大体鈴鹿が当てはまると考えて良いだろう。実際開幕戦鈴鹿で、GTRはレクサスSCとNSX-GTを秒単位で引き離している。
 既に、理論通り、2%のアドバンテージは証明されたと考えても良いだろう。

 この事態に驚いたGTAは、当初シーズン開幕時にのみ行う予定だった特別性能調整を、1回ではなく年1回以上行うことを明かとしている。つまり、性能の拮抗化が実現するまで何度でも行うと言うのだ。

 しかし、GTAのレギュレーションブックには、ウエイトハンデは最大100kgと明記されているのだ。100kg以上のウエイトハンデは数字上累積されるだけで、実際に積まれることはない。
 つまり、100kgのウエイトハンデを課せられても、勝つことが出来るようなクルマを特認で認めさせてしまえば、どんなにハンデを課せられても、シーズンを通して勝つことが出来るのだ。

 もちろん、GTAは、第3戦からの特別性能調整を見直して、NSX-GTの50kgは10kg軽い40kgとなった。逆に謎の0kgだったGTRには80kgが付け加えられた。

 では、特別性能調整はウエイトンデに含まれるのか?と言うことが問題となるだろう。もし、ウエイトハンデに含まれるのであれば、特認条件を見直さない限り、未来永劫不可解な状況が続くだろう。

●4月19日
童夢S102のターゲットは3分23秒以下!?

Photo:Sports-Car Racing

 16日と17日童夢は、S102の2回目のテストを富士スピードウェイで行った。元々余裕がないところへ、無理して2日間のスケジュールを組んだため、16日のテストは、夕方の午後4時から、富士スピードウェイの営業終了後の午後7時まで行われた。富士スピードウェイが、好意的な対応を示すのも、現在の童夢の大きな可能性を示している。

 S102プロジェクトは、速く走るだけでなく、確実に走ることを目的としている。そのため、最も心配されたザイテック製のパドルシフトシステムは、昨年12月から何度もテストを行って開発に努めた結果、既に問題ない作動を実現している。しかし、問題ない作動だけでは、現在の童夢は不満であるようで、より素早い作動を求めている。

 確実に速く走らせるため、昨年S101.5は、常に大きなエンジンパワーを得るよう、大きなクーリング性能を求めて、彼方此方に冷却用のダクトが設けられた。この教訓から、より大きなクーリング性能を、空力性能を犠牲としないで獲得することが求められた。その結果、上面にたくさんのスリットを設けたリアカウルが作られた。このリアカウルを取り付けて、クーリング性能がテストされた。しかし、サーモスタットが作動するような温度であるため、通常のリアカウルと比べても、ほとんど違いがなかった。そのため、月末にSUGOで行われる3回目のテストの際、再びスリット付きのリアカウルを装着して、クーリング能力の差を見極めるテストは行われることとなるようだ。

 富士スピードウェイでは、新しいクルマとして、行わなければならない、様々なテストが行われたが、基本的にトラブルは何一つとして発生しなかった。そのため、2回目の走行から、速さを求めたセットアップを期待するのは酷かもしれないが、既に周囲からは、早くも、速さを追求したセットアップを望む声が高まっている。

 童夢の計算によると、S101.5と比較して、S102は37%アップの空力性能を持つと判断されている。大きなセットアップを行わなくても、基本的な空力性能は大まかに判定することが可能だ。高速の富士スピードウェイで320km/hを超える最高速度を記録したことは、少なくとも、S102が高い空力性能を持つと言っても間違いないだろう。

 同様にシャシーの重量配分等々にも、現在のところ何も手を付けられていない。そのため、S102最大の特徴である、前よりの前後重量配分による、フロントタイヤの性能を引き出した速さも、これから追求されることとなる。

 残るテストはSUGOとスパの2回だ。ルマンのテストディを含んでも、3回のテストによって、S102の性能を引き出さなければならない。この点が、現在の童夢にとって、最も大きな悩みであるだろう。
 場合によると、追加でテストが行われるかもしれない。

●4月19日
やっぱりP2がP1を圧倒するALMS          IMSAの選択

Photo:Sports-Car Racing

 ACOのレギュレーションをそのまま使わないで、ALMSでは、拮抗したレースを実現するため、IMSAがACOのレギュレーションをモデファイして使っている。
 ACOは、間違っても、P2がP1に勝つことがないよう、P2の車重を50kg重い825kgとする一方、総てのP1カーの車重を25kg軽い900kgとした。P2は、燃料タンクも10リットル少ない80リットルとされた。しかし、ALMSではシーズンを通して参戦する強力なP1カーは、アウディだけだったため、P2カーの戦闘力が低くなってしまうと、常にアウディのディーゼルエンジンカーが勝つこととなってしまう。そこで、IMSAは、P2の車重を25kgだけ重い800kgとして、P1の車重は925kgのままとした。P2の燃料タンクも従来通り90リットルのままとした。

 ところが、セブリングで行われた開幕戦では、ペンスキーのポルシェP2カーが優勝して、今週行われている第3戦ロングビーチでは、スターティンググリッドの上位5台をP2カーが占める結果となっている。

 ロングビーチからの情報によると、性能を拮抗化させる方法が話し合われているらしい。P1の車重をACOと違って、従来と同じ925kgとしたのは、アウディやプジョーのディーゼルエンジンカーが、到底900kgまで軽量化を進めることが不可能だったからだ。実際ACOも、そこに目を付けて、ガソリンエンジンのP1カーにアドバンテージを与えている。

 現在IMSAが目論んでいるのは、P2カーの車重と燃料タンクの容量を変更することであるらしい。しかし、9月の“プチ-ルマン”まで長距離耐久レースは行われないため、燃料タンクの容量を制限したとしても、大きな効果はないだろう。
 と言う事は、車重を重くする方法しかないのだろうが、シーズン終盤、プジョーのALMS参戦が予想されるため、その時を考慮すると、ポルシェとアキュラのP2カーを遅くすべきでない、との意見もあるようだ。


●3月19日
童夢S102のルマンでのゼッケンはNo.11、車検は6月10日火曜日に決定 フォーミュラニッポン参加ドライバーが乗る?

Photo:Sports-Car Racing

 1週間前に発表された童夢S102クーペは、今年のルマンへゼッケンNo.11を付けて登場する。どうやら、林みのるは3人の日本人ドライバーを乗り込ませることを目論んでいるようで、現在最後の調整が行われているようだ。

 そこで問題となったのが、6月9日と10日にジャコバン広場で行われる車検のスケジュールだった。6月8日には岡山国際サーキットでフォーミュラニッポンが行われる。そのため、6月1日に公式テストが行われた後、もし、S102に乗り込むドライバーがフォーミュラニッポンに参加しているのであれば、一旦日本に帰らなければならない。そして、岡山でフォーミュラニッポンを闘った後、翌9日の飛行機に乗るのであれば、どんなに早くてもルマンに到着するのは9日夜となる。

 しかし、ジャコバン広場で行われる車検は、プロモーションを兼ねた公式行事であって、車検のスケジュールはチームが自分勝手に決められるものではない。そこで、ACOとの間で調整が行われていた。
 今日、やっとダニエル・プレスノットも事情を理解して、No.11童夢S102の車検を10日火曜日とすることを納得した。

 と言う事は、童夢に乗り組む日本人ドライバーの中に、今年フォーミュラニッポンに参加するドライバーが居るようだ。

●3月17日
4月1日株式会社GTアソシエイション誕生

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 昨年体制を一新したGTAにとって、最も大きな課題は、自分達が任意団体に過ぎないことだった。つまり、基本的に金を取り扱うことが難しい体制のまま、SUPER GTは行われていたのだ。昨年体制が変わった後、真っ先に行われたのは、金がかかるTVやプロモーションを担当する別会社を設立することだった。
 続いて、長年の懸案だった、GTA自体の法人化が求められ、4月1日株式会社として、GTAは再出発することとなった。
 代表取締役社長には、昨年体制を一新した後、GTA会長を務めていた坂東正明が就任する。

 気になる出資比率は、自動車メーカー系が47.34%、GTエントラント協会が同じ47.34%で中心となる。自動車メーカー系は、トヨタ関連がトヨタテクノクラフトと富士スピードウェイ、ホンダ関連がモビリティランド(モテギと鈴鹿サーキット)、ニッサン関連がNISMOによる。自動車メーカーとエントラントが持つ47.34%は微妙な数字で、それらだけでは過半数を占めることが出来ない。残りの5.32%の株の持ち主の存在が重要となるが、この5.32%は、唯一メーカー系でないサーキットとして出資する岡山国際サーキットが所有することとなる。
*注:発起人として、代表取締役社長を務める坂東正明が所有する1株を除く

●3月12日
JMIA誕生  日本のレースの健全化のため、日本のレース産業が結集

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これまでに、これだけのメンバーが揃うことがあっただろうか?

 11日童夢S102が発表された会場では、同時にJMIA(日本自動車レース工業会)設立の発表が行われた。
 JMIAは、日本の自動車レースについて、技術の面から考えて、様々な提案を行うために作られている。
 会長には童夢の林みのる氏、副会長にはトムスの大岩湛矣氏、5人の理事にはムーンクラフトの由良拓也氏、ウエストレーシングカーズの神谷誠二郎氏、ケン・マツウラ・レーシング・サービスの松浦賢氏、戸田レーシングの戸田幸男氏、東京アールアンドデーの間宮 篤氏、監査役には東名パワードの鈴木修二氏が就任して構成されている。この中心メンバーの名前を見るだけでも、日本のレース産業を中心で支えている頭脳が結集して結成された団体であることが判るだろう。

 JMIAの目的は多岐に渡っている。現在日本の自動車レースは、フォーミラだけでなくツーリングカーであっても、技術の発展を度外視して、ドライバーの闘いとして演出しようとしている。2009年のGT500レギュレーションに至っては、車高を1,100mm以下と規定して、背の高いクルマは、キャビンやクルマ本体を上下に縮める“ロールーフ”化まで許されている。
 駆動方式もFRだけで、つまり、クルマのカタチそのものが同じとすることを目的としている。
 いわゆるNASCAR化だが、本家アメリカのNASCARと違って非常に金がかかる不可解なレギュレーションだ。
 もちろん、GT500はメーカーだけが対象のカテゴリーであるが、メーカーにとっても、このような不可解な大きなお金の支出は望んでいない。余った金を、例えばレース運営に使えるのであれば、より良いレースが開催出来るだろう。

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由良拓也氏が説明するのが、2009年FCJ。安全性を徹底的に考慮したデザインであるのが判る。
戸田幸男氏が説明するのがJMIAエンジン。見えにくいが、フレームとしても使える高い剛性を発揮
するだけでなく、低い振動と合理化を両立した設計となっている。

 グループCの崩壊やJTTCの消滅等の経験がありながら、現在でも、このような不可解な状況に対して、正しい意見を述べる団体はなかった。会議の席で、個人が反論を述べるだけで、ほとんどの場合声が大きい人物に押し切られている。
 JMIA設立の大きな目的はここにある。

 また、自動車メーカーや特定の団体が、レーシングカーを必要とした時、日本国内に優秀なコンストラクターやエンジンビルダーが多数存在するにも関わらず、どういう訳か、外国のコンストラクターやエンジンビルダーに仕事を発注している。イギリスのレース産業を育てたのは、日本の自動車メーカーとさえ言われている程だ。
 これでは、日本のレース産業は枯渇してしまう。

 近年では、2009年にフォーミュラニッポンとGT500のエンジンが統一され、トヨタは完全な日本製、ホンダはIRL用をベースとして日本で開発する等、多少改善の兆しが見えるかもしれない。しかし、FCJに至っては、フォーミュラルノーそのものである等、まったく日本のレース産業の存在を無視して、円の輸出を続けている団体も存在する。

 このような問題に対して、意見を述べるだけでは、絵に描いた餅に過ぎないが、JMIAの場合、既に、様々なレーシングカーとエンジンの開発を進めている。既に2009年のFCJへニューマシンを提案している。この2009FCJにはエンジンもJMIA製が組み合わせられている。ところが、既に不可解な出来事は発生しており、FCJを統括するJRPは、JMIAの発表会が東京で行われているのと同じ11日、静岡県御殿場の富士スピードウェイでプレゼンテイションを行うことを指定した
 日本だけでなく東南アジアを含むマイナーカテゴリーとして、軽自動車のエンジンを使ったフォーミュラカーの提案、開発、製作、そして運営。そのため、非常に低価格のカーボンファイバーモノコックの開発も進められている。
 もちろん、日本で細々と行われているフォーミュラKとの融合も進められている。

 また、何処かのレーシングチームがレギュレーション違反を行ったとしても、日本のレースジャーナリズムは、ほとんどの場合批判することはない。それどころか、ブルテンによって違反が公表されても、非常に難解なブルテンを解読出来ないため、違反の事実を知らない者の方が多いかもしれない。これでは、違反をするレーシングチームが、違反を止めることはない。このような未熟なレースジャーナリズムの健全化と育成までも目的としている。

 JMIAは今月設立されたばかりで、6月には内閣府からNPO団体として認可を受ける予定だ。名誉会長には、国土交通副大臣の平井たくや氏が就任して、様々な活動が期待されている。

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国土交通副大臣の平井たくや氏の登場によって、人気のS102が単なる客寄せパンダであって、主役がJMIAであるのが明かとなった。
林みのるを中心とする日本のレース産業の重鎮達は本気なのだ!

●3月11日
童夢S102は、ディーゼルターボカーに対する最後の切り札か?

Photo:Sports-Car Racing

 やっと童夢はS102を発表した。何と9日朝完成した出来たてほやほやの状態でS102は発表会場に持ち込まれた。
 噂によると、本来正式発表後にWEBで公開される予定だったにも関わらず、喜んだ林みのる御大は、即日公開を指示したようだ。そのため、アットいう間に世界中にS102完成のNEWSが駆け回わることとなった。
 日本語の読めないイギリス人やフランス人が、童夢だけでなく、我々にまで次々と問い合わせてきた。中には、日本語の文章の翻訳を要求する強者まで存在した。それほどS102は、世界中から注目されていた。

 S102の最大の特徴は“屋根付き”のクローズドボディであることだ。
 現在のACOレギュレーションでは、アウディやプジョーのディーゼルターボエンジンの出力が800馬力に達しようとしているため、ガソリンエンジンを使う以上150馬力以上の差が出てしまう。
 もちろん、この問題は、童夢だけでなくペスカロロ等が、再三ACOに是正するよう求めている。しかし、今年やっとガソリンエンジンのリストリクターをほんの少し大きくしただけで、たった20馬力増やされただけだ。

 小さいと言っても、“屋根付き”の方が“屋根無し”よりも優れた空力性能を持っている。これを童夢が開発するのだから、優れた空力性能によって、童夢は、ディーゼルターボカーとの150馬力の差を埋めようとしていると考えてしまう。童夢のエンジニア達は、空力性能の指針であるL/Dを、S101.5と比べて32%も向上させることに成功している。しかし、これほど優秀な空力性能を持ってしても、150馬力の差を埋めることは出来ない。

 ディーゼルターボエンジンの重量は250kgに達すると考えられている。そのためディーゼルターボカーは例外なくテイルヘビーで、リアタイヤに大きな負担がかかだけでなく、充分な前軸荷重を得られないことによって、フロントタイヤは充分な仕事を行うことが出来ない。
 ところが、ミシュランは、大きな能力を発揮する、大きなフロントタイヤを用意しているのだ。

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 ここに目を付けた童夢は、フロントタイヤが充分に能力を発揮することが出来るよう、前軸に大きな荷重を与えようとした。ガソリンエンジンの中では大出力で有名なジャドV10を採用したことも、ジャドV10が、72度のバンク角故非常に軽量であることが理由となっている。バンク角72度のジャドV10は、軽くても、細長いレイアウト故、エンジン全体の剛性は高いとは言えないため、シャシーの一部としてストレスマウントするのは無理がある。しかし、大きなサブフレームを追加してしまったら、リアが重くなってしまう。そこで、童夢はカーボンファイバーコンポジット製のサブフレームを追加して、リア周りにも充分な剛性を与えることに成功している。
 何と前軸荷重は最大48%にもすることが可能であるらしい。
 これほど充分な前軸荷重がある以上、ミシュランも、それを活かすタイヤを開発することが求められるだろう。

 トランスミッションの製作はイギリスのXトラックに委託している。しかし、林みのる御大が暴露したようで、Xトラックは期日までに仕事を終了することに失敗した。そのため、11日に公開されたS102にはトランスミッションが取り付けられてなかったため、エンジンルームを開けて、自慢のカーボンコンポジット製サブフレームを公開されることはなかった。
 既に次々とシーズンが開幕していることを考えると、Xトラックの仕事は大問題だ。
 同時に発表されたJMIA(日本自動車レース工業会)が、日本国内のレース産業の優秀さをアピールしているように、Xトラックの仕事ぶりを見る限り、日本のメーカーが海外の部品メーカーに委託するのは考えるべきだろう。

 あらゆるモノをオブラートに包んで行われる通常の発表会が、儀式に過ぎないのに対して、今回の発表会は、本当の意味で発表会だった。童夢らしく、様々な情報を公開したのはもちろん、通常公開されることがない、細部にわたるデータまで公開した。一斉にメモを取る一方、あるメーカーの人物は、映写されたデータを一生懸命デジカメに録画していた。
 林みのる御大のトークショーを期待してやってきた方々も満足したことだろう。
 3分25秒以下を1分20秒以下と間違って語ってしまったのは、もちろんご愛敬と言うべきだろう。
 先週行われたポールリカールテストでは、期待のアストンマーティンGT1エンジンを積むローラが、アウディに2秒以上差を付けられている。童夢S102は、ガソリンエンジンにとって、最後の切り札となるのだろうか?
*注:Sports-Car Racing Vol.18の特集記事をご覧ください。

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●3月4日
2008年バージョンのシェイクダウンのためにやって来たアウディがあっさりトップタイム

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 3月2日と3日ポールリカールで行われたLMS公式テストは、LMSと言っても、24時間走行可能であるため、実際にはルマン24時間レースをシミュレートしたテストが可能であるため、毎年沢山のスポーツカーチームが参加している。
 今年は、初めてアウディスポーツが2台のR10と共に参加した。
 しかし、彼らの目的は違うようで、1日目だけ走行して、翌日荷物をまとめてインゴルシュタッドへ帰っていった。

 アウディスポーツがポールリカールへやって来た目的は、2008年バージョンのR10のシェイクダウンテストだった。
 アウディスポーツは、1月にセブリングで2007年バージョンのR10のテストを行っている。その時走ったシャシーは、1台だけ違うモノコックと噂されていたNo.2だった。我々は、新しいカラーリングを除くと、ポールリカールで走った2台の2008年バージョンのR10とセブリングで走ったNo.2との違いを判別出来なかった。

 ところが、外側の違いは無くても、5.5リットルV12ディーゼルターボエンジンは確実にパワーアップしているようで、ガソリンエンジンカーより2.5秒も速い1分39秒台をあっさりと記録した。ポールリカールで2.5秒のタイム差は、ルマンを想定した場合5秒に相当する。つまり、異常な速さであるのが判るだろう。

 シェイクダウンテストを終了したアウディスポーツの面々は、夜になると店じまいして、セブリングにR10を送るため、インゴルシュタッドへ帰っていった。

●3月3日
クリエイションAIM登場

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 今年のポールリカールテストの話題の1つは、クリエイションが、ヒロ・カネダが新たに開発したAIM5.5リットルV10エンジンを積んで、公の前で走ることだった。AIM 5.5リットルV10エンジンのバンク角は90度と広い。しかし、非常にコンパクトなエンジンで、従来の72度V10のジャドGV5.5 S2との差もそれほどではない。

 バンク角が90度と広がることで、アウディの90度V12やポルシェのV8のように、ストレスマウントされることが大きなメリットと考えられていた。しかし、今回登場したエンジンは、もしかしたら、クリエイションの車体の方の都合があるのかもしれないが、エンジンの両側に大きなサブフレームが設けられて、ストレスマウントされてはなかった。

 バンク角が90度に広がることで、ストレスマウントは大きなメリットであるため、将来、使用するチームやコンストラクターが望むのであれば、ストレスマウントを考慮したヘッドカバーや床下が作られるのかもしれない。

 ジャドGV5.5 S2のような、バンク角が72度のV10の場合、非常にカン高いエンジン音となるが、90度のAIMエンジンの場合、フラットプレーンクランクのV8と72度V10を組み合わせたようなエンジン音を発している。
 既に充分なパワーを発生しているようで、ペスカロロ、ORECAクラージュ、ローラ・アストンマーティンと共にガソリンエンジンのトップグループを走行し続けた。
 夜になって、気温が下がってくると、ジェイミー・キャンベル・ウォールターは1分42秒台までタイムを上げて、ガソリンエンジンクラスのトップタイムを記録した。


●2月29日
2008年SUPER GTの最初の2レースで勝ったクルマはチャンピオン争いから脱落する! 不可解なルールの実施が決定

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 「SUPER GTはプロレス」と言われるように、速いクルマに足かせとなる重りを積んで、遅いクルマと速さを調整することによって、拮抗したレースを実現している。しかし、素晴らしい速さによってレースで好成績を修めたクルマに重りを積むだけでなく、2006年には同じタイヤを履くクルマを1つのグループとして、そのグループのクルマが好成績を修めた場合、次のレースから、そのグループの総てのクルマに大きな重りを積む不可解なレギュレーションを施行した。
 その結果本来速かったクルマの戦闘力はガタ落ちとなって、不可解なタイトル争いが繰り広げられた。

 もちろん、2007年は、この不可解なレギュレーションは撤廃された。しかし、その結果NSX-GTが圧倒的な速さを背景として、シリーズチャンピオンに輝いた。
 NSX-GTはタイトルを獲得したことによって、NSX-GTにハンデが課せようとするロビー活動が行われていた。その結果、20008年のSUPER GTに参加するNSX-GTは50kgのウエイトハンデを積むことが決定した。
 ここまでは、誰でも予想出来る内容だ。あれだけ速かったNSX-GTであるから、シーズンが進むにつれて、優秀な童夢のエンジニア達が50kg(−1段階)のハンデを跳ね返すことが期待されていた。
 ところが、とんでもないルールについて話し合いが行われていたようだ。

 そのルールとはGT500のトヨタSC、ホンダNSX-GT、ニッサンGTRの3車だけを対象として実施されるもので、2008年に行われる最初の2つのレース、3月16日の鈴鹿と4月13日の岡山で、これらの3車の中の1つが、ある一定以上の速さを示した場合、シーズンを通して最大60kgのウエイトハンデを積むと言うものだ。

 このルールの恐ろしさは、同一形式のクルマが同時に2台表彰台(3位以内)を獲得した場合、無条件で適用され、その後、そのクルマが遅くなったとしても、2008年のシーズン終了まで重りを下ろすことは出来ない。
 開幕戦の鈴鹿だけで特定する場合と、鈴鹿と岡山の2つのレースの結果で特定する場合の2つのパターンがある。

 もし、間違って鈴鹿と岡山で、同時に2台が表彰台に上ってしまったクルマは、事実上2008年のタイトル争いの権利は無くなってしまう。また、2008年のSUPER GTは、第6戦鈴鹿1000kmまでの6レース中4レースが有効ポイントとなる。つまり、最初の2つのレースは無いモノと考えて、好成績を上げないことを目標とすることだろう。

 エンジンの負担を減らすため、適当な小さいリストリクターでも取り付けてエンジンの負担を減らして、ドライバーのトレーニングのため、コーナーを目一杯攻めることを指示するメーカーが表れることだろう。

 まさかこのルールが、そのまま施行されるとは思ってなかった。しかし、2月25日正式にブルテンとして発表された。非常に難解な数字が並んでいるため、詳しくは、そちらを見てもらいたい。

 ちなみに、1994年JGTCとしてスタートした時からGTAの事務局長を務めて、昨年GTAの体制が変わって、混乱の責任から事務局長を更迭された後、レースダイレクターとしてGTAに留まっていた人物は、先週更迭された。

●2月27日
ポール・フレール永眠

 2月23日ブラッセルでポール・フレールが亡くなった。享年91才の大往生だった。
 1917年ベルギーで生まれたポール・フレールは、第二次世界大戦が終了して、モータースポーツが復活した時、既に30才を迎えようとする時、本格的にモータースポーツに参加するようになった。

 1952年35才の時F1GPにも参加するようになった。しかし、ポール・フレールが、その能力を発揮したのは、ルマンを中心とするスポーツカーレースだった。1950年代後半ルマンのトップドライバーとして大活躍を披露した。
 1957年にはベルギーチームからジャガーD Typeで参加して4位。そのポテンシャルを見込まれて、1958年にはポルシェAGから、チッポケな718RSKで参加して4位(クラス優勝)。1959年にはアストンマーティンDBR1/30で参加して2位。1960年にはフェラーリテスタロッサTR59/60で優勝した。

 フェラーリでの成功によって、ポール・フレールはレーシングドライバーを引退して、ジャーナリズムの世界に身を投じた。
 モータースポーツだけでなく、ロードカーのジャーナリストとして活躍した。日本ではカーグラフィック誌への執筆したことによって、PF先生として一躍有名となった。我々若輩の世代にとっては、レーシングドライバーとしてのポール・フレールより、PF先生として、知っている方々も多いだろう。

 ポルシェ関連の著書が多いが、世界中のメーカーやレースのオーガナイザーがプレスコンファレンスを開く時、ほとんどの主催者は、最初の質問の機会をポール・フレールに与えていた。ポール・フレールの質問は、ほとんどの場合社交辞令はではなく、本当に知りたいことを求めていた。そのこともあって、他のジャーナリストも心得ていて、ポール・フレールが質問するまで待って、ほとんどの場合、彼の質問の網の目を拭って、漏れてしまった内容を聞くことも多かった。

 1999年ルマンでメルセデスが空を飛んだ時、メルセデスの若手の広報マンであるアレクサンダー・ヘイネンは、ポール・フレールの側でマイクを持って待機していた。そして、ポール・フレールは、「なぜ、空を飛んだのか? 危険を知らなかったのか?」と、いきなりPF先生らしからぬ、きつい質問をノルベルト・ハーグに浴びせた。

 我々若輩者にとっては、いつもニコニコと笑顔を絶やさないPF先生だった。近年は、顔は覚えていても、名前を忘れていることが多いようで、ひとしきり話しをした後、名前を聞かれることも多かった。

 ポール・フレールが亡くなった後、直ぐにACOとポルシェは、哀悼の意を表明した。
 ACOは、21世紀になってから、ポール・フレールにスピリット・オブ・ルマン賞を進呈している。ポルシェにとっては、決してメジャーではなかったポルシェの存在を、世界中で認知させた人物でもあった。

 謹んでご冥福を祈ります。

●2月19日
ACOが2008年ルマンの55台のエントリーリストを発表 日本からのエントリーは3台、童夢、Terramos、そして東海大学!

 本日ACOは2008年のルマンのエントリーリストを発表した。
 LMP1クラスはアウディとプジョーがそれぞれ3台ずつ参加する他、有力なコンストラクター勢は、ペスカロロの2台、ORECAクラージュの2台、童夢の1台が登場する。
 ペスカロロが手強いロールセンターが、ORECAクラージュはTerramosと東海大学の2つの日本チームも走らせる。東海大学は12月に発表した通りだが、タイヤがヨコハマに変わった。
 ほとんどのスポーツカーファンが初めて耳にするTerramosは、寺田陽次郎氏の会社で、昨年JLMCでM-tecが走らせたクラージュLC70/無限を手に入れたCars東海と共に参加する。

 クリエイションは、AIMエンジンを積む1台とオートコーンの1台が参加する。話題のシュロースレーシングは、アストンマーティンGT1エンジンを積む“屋根付き”のローラB08-60とジャドエンジンを積む“屋根無し”のローラB06-10のエントリーを認められた。ローラ勢は、AERの4リットルV8ターボを積むチェンバレンが連続出場を実現した。
 もう1つの“屋根付き”のLMP1カーであるエスカディ-イプシロンも1台が登場する。

 LMP2クラスは、いよいよポルシェRSスパイダーが登場する。ザイテックは2台、エンバシーもエントリーが確定した。ペスカロロと合併したサルニエレーシングもペスカロロLMP2カーを走らせる。Speedy Sebahの“屋根付き”ローラB08-80も登場する。ローラ勢は、クルースモータースポーツはマツダエンジン付きのB07-40を走らせる。

 GT1クラスは、アストンマーティンとコルベットのワークスチームが姿を見せる。ORECAからサリーンを導入したラルブルコンペティションとアストンマーティンを走らせるFIAGTチャンピオンのヴィーターフォン、ルック・アルファンのコルベットが登場する。ランボルギーニは、これまで、フェラーリやアストンマーティンで活動していたロシアのSpartakによるチームがムルシエラーゴを登場させる。
 GT2クラスは、とうとうポルシェがたった3台となって、フェラーリが過半数の8台を占める。残る2台はスパイカーだ。

 今年のACOの選択は非常に明快で、昨年参加を認めてしまって、様々な波紋を呼んだ怪しいエントリーの総てを拒否する一方、実績が無くても、興味深いチャレンジャー達の多くに門戸を開いている。
 同時に8台のリザーブリストが発表され、リザーブ1位にサルニエレーシングのペスカロロ、2位にSpartakのランボルギーニ、3位に2台目のエスカディ・イプシロンが選定されたことも、このことを裏付けている。

*総てのエントリーが下記をご覧ください。
http://www.lemans.org/24heuresdumans/ressources/pdf/liste_invites_journee_test.pdf

●2月16日
プジョーが2008年のプロジェクトを発表   セブリングへ1台、LMSは2台、ルマンは3台で

Photo:Peugeot      1992年のトヨタのSWCチームを覚えているだろうか……。

 2週間前ALMSセブリングテストで、プジョーは素晴らしいパフォーマンスを見せた。その時我々は、既にプジョーがセブリングへ参戦するのは決まっているものと思っていた。
 しかし、現在アメリカで、プジョーはほとんど販売されてないため、もし、販促を目的とするのであれば、ほとんどセブリングへ行く理由はない。そのため、アウディを破って勝つことが出来ることが、参加の条件となっていたようだ。

 セブリングテストで、ニコラス・ミナシアンの操るプジョー908は、素晴らしい速さを披露して、アラン・マクニッシュのアウディR10を破るタイムを記録したため、正式にセブリング参戦が決まったようだ。しかし、他のプライベートチームと同じように、純粋にレースを行うことを目的として、プジョーはセブリングへ行くため、1台だけでの参加となる。

 昨年ワンサイドゲームを展開したLMSには、今年アウディが登場するが、去年と同様の体制で2台の908を送り込む。
 ルマンへは、まるでアウディの行っているように、Team Peugeot Totalから2台、Peugeot Sports Totalから1台の3台が参加する。この2つのチームの何が違うのか?判らないが、実質的に同じチームであるのは間違いないだろう。

 2008年バージョンの908については、レギュレーションが変わって、最低車重が25kg軽い900kgにあったことに合わせて軽量化を行ったことだけを明かとしている。しかし、セブリングで走ったシャシーが2008年バージョンであることを明かとしているため、2007年バージョンを正常進化させたマシンで、何台かのシャシーは2007年バージョンをモデファイして作られるようだ。そのため、最も大きな違いは、新しい2種類のカラーリングかもしれない。

●2月14日
2008年モデルの997GT3RSRは5千562万円で35台限定販売   ポイントはRSスパイダー用ギアボックス

Photo:Porsche AG

 昨年フェラーリにやられっぱなしだったポルシェは、2月13日アトランタで2008年モデルの997GT3RSRを発表した。
 昨年登場した997GT3RSRの発展型であるのは変わらない。幅14インチのタイヤを使うため、フェラーリよりも100kg重い1,225kgの車重もそのままだ。3.8リットルのフラット6には、昨年と同じ29.5mm×2のリストリクターが取り付けられるが、どういう訳か、昨年より15馬力少ない465馬力と発表されている。

 改良のポイントは、空力とギアボックスだ。写真で判るように、フロントノーズには様々なカナードウイングが取り付けられている。ギアボックスは、何とRSスパイダーのものが採用されている。

 2006年997GT3RSRの開発が進められていた時、100kg重い車重と2インチ広い14インチ幅のタイヤと共に、新しいギアボックスを盛り込むことが噂されていた。

 RRの弱点であるテイルヘビーな前後の重量配分を改善するため、ポルシェは、少しでもエンジンを前よりに積もうとしようとしたようだ。通常エンジン→クラッチ→デフ/ギアボックスの順でレイアウトされている。変速された出力はギアボックスとクラッチの間にレイアウトされたデフによって左右に振り分けられる。

 よりエンジンを前よりに積むには、エンジンとデフの位置を近づけるしか方法はない。そこで、エンジンとデフの間に存在存在したクラッチをギアボックスの前に移動して、エンジン→デフ/ギアボックス→クラッチの順にレイアウトした。
 エンジンから出た出力は、ギアボックスを貫通するメインシャフトによって、ギアボックスの前にレイアウトされたクラッチに伝えられ、そこからギアボックスによって変速され、エンジンの直ぐ手前にレイアウトされるデフによって、左右に振り分けようと考えた。
 フェラーリがしばしば採用してきた方法だが、何らかの不具合があったようで、昨年デビューした997GT3RSRには、この新しいタイプのギアボックスは盛り込まれなかった。

 アトランタで発表された2008年モデルの997GT3RSRは、RSスパイダーのGR6ギアボックスを盛り込んでいる。当然RSスパイダーはミッドシップであるため、そのままRRの997GT3RSRに取り付けたら、前進1速/後進6速となってしまう。
 もちろん、エンジン→クラッチ→ギアボックス→デフの順番でレイアウトされている。

 しかし、通常の方法で997GT3RSRのM96エンジンとGR6ギアボックスを取り付けるのでなく、通常と反対のギアボックスの後ろにエンジンを取り付けるのであれば、エンジン→デフ→ギアボックス→クラッチのレイアウトとなる。
 詳しい説明をポルシェは避けたため、実際には、どうような構造となっているのか?不明だ。
 ポルシェは、2007年モデルをベースとしたアップデイトは出来ないと説明している。もしかしたら、ホモロゲイションの問題があるのかもしれないが、そうでないなら、リアフレームに相当手の込んだ開発が加えられているのだろう。

 ポルシェは、フライングラザードの997GT3RSRを使って、1月にセブリングで新しいボディとギアボックスのテストを行っている。しかし、その後行われたALMSテストにやって来なかったため、詳しいパフォーマンスは判らない。
 昨年の情けない成績によって、昨年997GT3RSRを走らせたレーシングチームの多くは、フェラーリに買い換えている。ボビー・レイホールのようにBMWを走らせるチームも存在している。そのため、2008年モデルの997GT3RSRを走らせるのは、フライングラザードとIMSAパフォーマンスだけと考えられていた。

 ところが、ポルシェは、強気の34万9,800ユーロ(約5千562万円)+各国の税の価格で35台を販売する計画を明かにしている。昨年の状況を考慮するだけでなく、多くのレーシングチームが2008年の活動を公表しているため、実際にGTレースへ登場する997GT3RSRが35台も現れるとは考え難いため、投資家に対するセールスを盛り込んだ数なのかもしれない。

●2月12日
ローラB08-60クーペ/アストンマーティン登場

Photo:Lola Cars

 1ヶ月前突然発表されたローラ/アストンマーティンが完成して、シェイクダウンを行った。
 ACOが、LMP1カーにGT1カー用エンジンを使う場合、大きなリストリクターが使える、新しいレギュレーションを発表したのは12月だった。しかし、たった1ヶ月後にはアストンマーティンとシュロースレーシングは、アストンマーティンDBR9用の6リットルV12をローラB08-60と組み合わせるプロジェクトを発表した。

 間違いなく、かなり早い段階からACOと話し合いが行われて、9月にはプロジェクトがスタートしていたのだろうが、元々AERのV8ターボエンジンを積むつもりだったローラの“屋根付き”のB08-60が宙に浮いていたことも、計画が急速に進められた理由だったことだろう。

 その結果、予想より大幅に早くローラ/アストンマーティンは完成して、2月9日プロドライブの敷地内でヤン・シュロースのドライブによってシェイクダウンテストを行った。
 チームは月曜日にスネッタートンに移動して、現在月曜と火曜日の2日間の予定で、本格的なテストを行っている。

 このことでも明かなように、このプロジェクトは、多くの部分がプロドライブによって行われている。実際のレースオペレーションもプロドライブによって行われることが予想されている。
 3月2〜3日のポールリカールテストで、そのポテンシャルが明かとなるだろう。

●2月5日
2008年LMS最終戦は11月2日の上海に決定

Photo:Sports-Car Racing

 昨年公表したように、ACOは、2008年のLMS最終戦を上海で行うため、話し合いを行っていた。しかし、昨年ブラジルでLMSを行った際、様々な問題が発生したため、非常に慎重に話し合いは行われていた。

 第一、ブラジルの主催者の間で、金銭的な問題は解決した訳ではないようだ。詳細は不明ながら、ブラジルの主催者は、ACOの要求通り、2007年の資金を支払うことの条件として、2008年の開催を求めていたようだ。
 そのため、12月末には、ほとんど上海での開催が決まっていながら、カレンダーを発表することが出来なかった。

 昨日ACOは、11月1〜2日に上海でLMS最終戦を行うことを発表した。
 ACOによると、「アメリカとヨーロッパでのACOの総てのイベントが終了した後、アジアで行うイベント」と表現しているため、LMS最終戦と言うより、2008年の総てのACOのイベントの最終戦と言う位置づけなのかもしれない。

 2009年秋には、日本の富士スピードウェイと上海で連続して開催されることとなるだろう。

●2月2日
アウディはLMS参戦を確定 ALMSはどうする?

Photo:Sports-Car Racing

 今週セブリングでALMSテストが行われている時、インゴルシュタッドでアウディは、2008年のLMSへシーズンを通して参戦することを発表した。
 参戦体制は、噂通りヨーストを中心としたアウディ・スポーツ・ヨーストが2台のR10を走らせる。ドライバーは、アラン・マクニッシュとリナンド・カペロ、アレクサンダー・プレマとマイク・ロッケンフェラーのペアだ。
 これによって、2008年のアウディは、ルマンとLMSのヨーロッパでの活動は確定した。
 しかし、昨年12月に発表したALMSへの参戦は、非常に難しい状況となっている。

 現在でも、4月5日と6日はALMS第2戦StピータースバーグとLMS第1戦バルセロナが、4月26日と27日はALMS第3戦ヒューストンとLMS第2戦モンツァのカレンダーがバッティングしたままなのだ。
 セブリングテストの際、アウディかスコット・アタートンが、この問題を解決するヒントを明かにすると思われていた。しかし、何も解決策を見出すことは出来ないようで、何も発言することはなかった。

 昨年9月にALMSはカレンダーを公表している。その際、既に市街地公道レースとして行われるStピータースバーグ、ロングビーチ、ヒューストンを実現するため、それぞれの自治体の全面的な協力を得ていることを明かとしていた。
 つまり、Stピータースバーグとヒューストンのカレンダーを変更するのであれば、それぞれの自治体の年間のスケジュールを変更しなければならない。事実上変更するのが不可能であるのは明かだろう。

 そのため、アウディが、アメリカとヨーロッパのどちらを選ぶか?興味が集まっていた。しかし、LMS参戦を発表したことで、ALMSは非常に難しい状況となっている。

 もし、アウディがALMS参戦をキャンセルした場合、P1クラスの有力なエントリーは無くなってしまうのだ。
 ポルシェとアキュラのP2カーが常にトップ争いを繰り広げて、インタースポーツとCytosportのP1ローラが総合9位か10位と共にP1クラス優勝を争うことになるだろう。このチープな状況を納得出来るだろうか?

 取り敢えず、3月15日に行われるALMS開幕戦セブリング12時間は、何処ともバッティングしていないため、アウディだけでなくプジョーも参戦する。現在のところ、それまでアウディのALMSプログラムは決定出来ないと考えられている。

 LMS側は、バルセロナとモンツァのカレンダーを変更しないことを明言しているため、アウディがALMSプログラムを実現するには、もう1つのチームを用意するしかないと思われる。
 元々、2008年のALMSプログラムは、チャンピオンを中心とした体制で行われて、ドライバーとエンジニアだけが、ヨーロッパとアメリカを行き来すると思われていた。つまり、LMSを闘うのとは違う4人のドライバーをアウディが用意出来るおであれば、ALMSプログラムは可能となる。

 しかし、エマニュエレ・ピロとフランク・ビエラは事実上引退を宣言しているため、現在残っているドライバーは、トム・クリステンセンとマルコ・ヴェルナーしか居ない。去年の“プチ-ルマン”のようにルーカス・ロールを勧誘するとしても、DTMはALMSと4回もバッティングしているのだ。現実的な選択として、Stピータースバーグとヒューストンだけ、トム・クリステンセン、マルコ・ヴェルナー、ルーカス・ロールの3人と、エマニュエレ・ピロとフランク・ビエラのどちらか1人によって参戦して、他のレースは、LMSと同じ体制として、アウディは参戦するしか、選択枝はないだろう。


●1月30日
エタノール85%燃料で走るコルベットに対する挑戦者が登場 Bellアストンマーティン登場

Photo:Sports-Car Racing

 昨年のALMSのGT1クラスは、シーズンを通したエントリーが、GMワークスのコルベットレーシングしかなかった。今年も状況が改善される見込みはなかったため、2週間前のデトロイトショーでGMは、「2008年のALMSにコルベットレーシングは、エタノールを85%含有するE85燃料を使って参加する」と発表した。
 大きく熱価が低いE85を使うことによって、当然ながらパワーと燃費が低下する。ライバルが誰もいないことが明かだったため、GMが下した結論だった。
 ところが、たった2週間で、早くもコルベットレーシングは挑戦者を迎えることとなった・

 3年前まで大々的な活動を展開したACEMCOサリーンを覚えているだろうか? ACEMCOの銀色のサリーンS7Rは、ルマンでも上位を走行して、コルベットとプロドライブの一騎打ちに割ってはいる活躍を披露した。
 そのACEMCOのエンジニアだったジム・ベルは、昨年トランスポーツポルシェに参画したが、今年自分自身でスポーツカーチームを立ち上げることとなった。エンジニアのジム・ベルだけでなく、ビジネスマンのマイケル・フックスがチーム運営に参加することで実現したベルモータースポーツは、2008年アストンマーティンDBR9によって、ALMSのGT1クラスでコルベットレーシングに挑戦することとなった。

 ACEMCOとトランスポーツ時代同様、ヨコハマタイヤと契約して、月曜日昼に発表すると、早くも午後アストンマーティンDBR9のシェイクダウンを行った。
 E85燃料によって、どれくらいパワーが低下するのか?判らないが、ACOのレギュレーションでは、リストリクターのサイズは同じで、燃料タンクだけが10%大きくされる。そのため、ベルモータースポーツのプライベートアストンマーティンにも充分なチャンスがあると考えられている。

●1月29日
2008年のマツダはひと味違う  マツダはヨコハマタイヤとBPと契約

Photo:Sports-Car Racing

 2005年BKモータースポーツを支援することで始まったマツダのALMSスポーツカープロジェクトは、正直なところ、参加していることに意味があって、とても勝つことを目的としているようには見えなかった。同じLMP2クラスのペンスキーポルシェと比べると、予選タイムが4秒も遅いとあって、どうしても忘れられた存在となっていた。

 ところが、どんなにハンデとして大きなリストリクターをもらってもロータリーエンジンのパワー不足は解消出来なかった。軸線の高いロータリーエンジンを使う以上、適正なサスペンションジオメトリーを実現するには、専用のギアボックスが必要であることもあって、2007年マツダは、ロータリーエンジンを諦めて、フォーミュラマツダのMZRエンジンをベースとして、AERによって2リットルターボエンジンを開発することを決定した。同時にシャシーもクラージュC65ハイブリッドカーからローラB07-40に切り替えた。
 しかし、せっかく大きな決断をしたにも関わらず、2007年のマツダは、最下位争いから抜け出すことは出来なかった。

 そうして、大々的なテコ入れが行われることとなった。まず、昨年使用したクムホタイヤとの契約を解除して、スポーツカーレースの経験が豊富なヨコハマタイヤと契約を結んだ。さらに、充分な体制を実現するため、BPとのスポンサーシップ契約を締結した。BPは、ALMSが推進するグリーンエネルギー開発にも熱心であることも、契約の理由であるようだ。
 フォーミュラマツダからステップアップした若手ドライバーを育成するため、ドライバーラインナップは変わらない。

 こうして、ヨコハマタイヤを履くBPカラーのマツダローラがセブリングに登場した。
 去年との差は歴然としており、素晴らしいスピードをローラマツダは披露した。昨年であれば4秒もあったペンスキーポルシェとの差は、早くも2秒以内まで接近している。AER製ターボエンジンのトルク特性にも依るだろうが、既に場所によってはペンスキーポルシェを上回る区間タイムも記録しているようだ。

●1月29日
4つ目のアキュラチームはジル・ド・フェラン        アキュラの2008年ルマン参戦は無し

Photo:Sports-Car Racing
これが新しいARX-01b。写真は新しいスポンサーによってカラーリングが変わったハイクロフトのマシン

 2008年のALMSのため、アキュラが、4台目のLMP2カーを準備していることは知られていた。4台目のチームについて、これまで、既存のIRLチームと言われていたため、自身が希望していたボビー・レイホールの名前が噂されていた。
 また、既にアキュラLMP2カーを走らせているAGRが2台を走らせる噂。あるいは、IRLチームでなくても、ハイクロフトのダンカン・デイトンは、2台目を走らせる希望を、しばしば語っていた。

 今日セブリングで、HPDは記者会見を行って、4台目のアキュラLMP2カーは、ジル・ド・フェランのド・フェラン モータースポーツが走らせることを発表した。しかし、まだ、完全にチームが出来上がった訳ではない。現在のところ、ジョン・アンダーソンがゼネラルマネージャーに就任することが決まって、インディアナポリス近郊に拠点を築いている段階だ。

 一応記者会見で、ジル・ド・フェランは「ドライバーは決まっていない」と語りながらも、自分自身がオーナードライバーとしてドライブする可能性があることも、公表していた。
 そのため、開幕戦のセブリングと第2戦Stピータースバーグをパスして、第3戦ロングビーチから活動する予定だ。

 また、最初の予定によると、2008年にアキュラはオリジナルシャシーによってルマンへ参戦する計画だった。しかし、HPD社長のエリック・ビークマンは、正式に2009年以降の計画であることを明かとした。しかも、2009年のルマン挑戦が決定していることについて、明言は避けた。同時に現在のALMSのLMP2プログラムが大切であって、ペンスキーポルシェを破ってチャンピオンを獲得するのが最優先であるとして、ルマンやLMP1は次ぎの課題であることを強調した。

 先週セブリングでシェイクダウンを行ったARX-01bは、相変わらずクラージュLC75のモノコックを使っているが、空力とギアボックスに改良が加えられて、斬新なデザインのサイドボディを持つ。AGR、フェルナンデス、ハイクロフトの3つのチームが走らせて、ポルシェRSスパイダーに匹敵する速さを持つことを証明している。

●1月25日
アウディはALMSプログラムをキャンセルする?

Photo:Sports-Car Racing

 今週セブリングで、アウディは2008年バージョンのR10のテストを行っている。来週には、同じセブリングでALMSの合同テストが行われるため、非常に順調にプログラムが進行しているようにも思える。

 昨年アウディは、ALMSとLMSの両方のシリーズへの参戦を発表している。その時カレンダーが発表されていたのはALMSだけで、LMSの2008年のカレンダーは発表されてなかった。アウディが発表した直後、ACOは2008年のLMSのカレンダーを発表したが、驚いたことに、ルマン前に行われる3つのレースのカレンダーがALMSとバッティングしていた。

 バッティングしているALMSのイベントの総てが、公道を閉鎖して行われるストリートレースだったこともあって、LMSのカレンダーが変更されることが予想されていた。
 実際、直ぐにスパ-フランコルシャンがカレンダーを変更したため、残る2つのLMSのイベントのカレンダーも変更されるものと予想されていた。ところが、デッドラインと考えられた1月第1週にACOのLMSのプレスオフィサーに確かめたところ、LMSのカレンダーを変更する予定は無いと宣言した。

 と言う事は、もし、アウディが、ALMSとLMSの両方に参加するのであれば、2つのチームを組織しなければならない。あるいは、どちらかのシリーズへの参加を諦めなければならない。
 LMSのプレスオフィサー女史の発言は事実であるらしく、その後アウディが、2008年のスポーツカープログラムを見直していることが判明した。

 昨年アウディが2008年の活動について発表した時、ALMSとLMSで違うクルマを走らせるものの、ドライバーは同じだった。たぶん、その2つの体制は、ALMSがチャンピオンで、LMSがヨーストだろう。
 つまり、2つのシリーズを闘う、別々のドライバーを用意出来るのであれば、参加は可能となる。

 もし、ALMSにアウディが参加しないのであれば、P1クラスの有力なエントリーは無くなってしまい、総てのレースでポルシェとアキュラのP2カーによる総合優勝争いが行われることだろう。
 現在アウディは、非公式のコメントとして、ALMS開幕戦のセブリングには、予定通り参加することを認めている。しかし、その後の計画については、白紙状態であることを認めた。

 来週ALMSセブリングテストの際、アウディだけでなく、ALMSのスコット・アタートンも記者会見を行う予定であるため、その際に、この問題についての解決策の幾つかが明かとなるだろう。

●1月19日
グリーンレーシングは普及するか? コルベットがエタノール燃料でALMSへ参戦

Photo:Sports-Car Racing

 昨年“プチ-ルマン”で、2008年のシリーズについて発表した際、スコット・アタートンは、バイオ燃料やハイブリッド等グリーンエネルギーによる参加を促進することを明かとしている。既に2007年のALMSでは、ガソリンにエタノールを10%含有するE10と呼ばれる燃料を使用している。もちろん、ガソリエンジンに対してのみだが、その際、今後エタノールを85%含有するE85の使用を検討していること公表した。スコット・アタートンは、それらのグルーンエネルギーを使うレースをグリーンレーシング呼んで、参加を呼びかけていた。

 その後、アストンマーティンDBRS9 GT3カーを走らせていたバーウェルモータースポーツが、E85燃料を使うアストンマーティンヴァンテッジGT2カーを走らせる意向があることを公表した。しかし、バーウェルが参加するのは、スコット・アタートンが推進するALMSではなくLMSだった。
 何のアテの無く有能なスコット・アタートンが発表するとは考え難かったが、今週デトロイトショーで、GMは、2008年のALMSにE85燃料を使うコルベットC6Rを参加させるとを発表した。

 どうして、E85燃料を使うレーシングチームが、なかなか現れなかったのか?と言うと、エタノールが持つ熱価はガソリンと比べると34%も少ないためだ。100%のエタノールでないため、それほど極端な差はないかもしれない。しかし、大きく熱価が低いことは間違いないだろう。
 12月にACOが公表した2008年のレギュレーションは、バイオ燃料を使う場合、10%大きな燃料タンクの使用を認めることが記載されている。もしかしたら、E85の場合、10%大きな燃料タンクを使うと燃費のハンデは無くなるのかもしれない。しかし、低い熱価による、最も大きなデメリットは、パワーが少なくなることだ。現在のところ、少ないパワーについてのハンデは何も考慮されていない。そのため、多くのレーシングチームは、グリーンレーシングへの参加を断った。

 既に2008年の各シリーズへのエントリーは、大体予想出来る状況となっている。ALMSのGT1クラスへは、シーズンを通してエントリーしそうなのが、昨年同様GMワークスのコルベットレーシングのC6Rだけなのだ。自分達しかエントリーしないのであれば、パワーが少なくなったとしても、何も問題が無い、と言うべきだろう。
 例えば、多少貧弱な体制であっても、フレディー・リーエンハルトのマセラッティMC12RやアストンマーティンがALMSに参加するのであれば、E85燃料を使うコルベットレーシングは、負けてしまうかもしれないのだ。GMワークスのコルベットレーシングが、プライベートチームに負けるようなことがあったら、プロジェクトの存続に関わる大問題となってしまうため、他のエントリーが見込めないことが明かとなるまで、発表出来なかったのだろう。

●1月11日
ローラ/アストンマーティンの復活

Photo:Lola Cars

 昨年6月ローラは“屋根付き”のB08シリーズを発表している。ところが、最初11月にはシェイクダウンテストを行うと公表しながら、テストどころか、なかなか、実際の計画やカスタマーチームの発表を行わなかった。ローラB08クーペを買うと思われたインタースポーツがB06-10を走らせることを公表したこともあって、計画の進展が心配されていた。

 12月20日ACOは、GT1エンジンをLMP1カーに使う場合、純レーシングエンジンと比べて、約50馬力有利となる、新しいレギュレーションを公表した。その時、同時に噂されたのは、現在GT1クラスの中心であるコルベットとアストンマーティンが、LMP1に参加することだった。もう1つのGT1の中心はサリーンだが、サリーンのレースプログラムを行っていたORECAは、次ぎのプログラムとしてフォードV8 GT1エンジンを開発する可能性を示唆していた。

 コルベットレーシングは、直ぐにLMP1プログラムを公表したが、次ぎの計画であることを明かとした。
 そして、どうやら、ACOがGT1エンジンのため、LMP1レギュレーションを作った理由は、アストンマーティンであることが判明した。しかも、シャシーを作るのがローラであることも噂されるようになった。

 そして、10日、バーミンガムショーにおいて、ローラとシュロースレーシングシステムとアストンマーティンは、新しいローラB08-60クーペにプロドライブが作るアストンマーティンV12 GT1エンジンを積んで、2008年のルマンとLMSへ参加することを発表した。ドライバーも、2008年シュロースレーシング躍進の立役者となったヤン・シュロース、ステファン・モカに加えて、プロドライブの秘蔵っ子で、シュロースレーシングの母国であるチェコ出身のトーマス・エンゲが乗り組むことも公表された。メンテナンスも従来通りJotaを中心とした体制で行われる。

 ローラとアストンマーティンのジョイントは初めてではなく、1967年ジョン・サーティースのディレクションで、ローラT70とアストンマーティンV8を組み合わせて活動したことがある。
 2008年のローラ/アストンマーティンは、優秀なプロドライブとシュロースレーシングの優秀なドライバーが関わっていることでも判るように、中途半端な計画ではない。逆の見方をすると、ローラの実力が問われることとなるかもしれない。

 また、同時にLMP2クラスのローラB08-80クーペは、これまでGT2クラスに参加していたスピーディ-サバーレーシングが走らせることが公表された。

 最初、昨年11月にシェイクダウンを予定していたように、既にB08-60クーペは完成している。しかし、GT1エンジンのレギュレーションが発表されたのが12月20日であるため、アストンマーティンLMP1エンジンの準備が間に合わないようだ。たぶん、エンジンそのものではなく、フィッティングの問題であることが想像されるが、3月2日と3日にポールリカールで行われるLMS合同テストまでには走ることも公表された。
 童夢S102、エスカディ-イプシロンと共に、ローラも新しいルマンの風景を作ることとなるのだろう。

●1月10日
セブリングウインターテストでアウディvsプジョーvsポルシェvsアキュラが実現

Photo:Sports-Car Racing

 毎年、1月末にセブリングで行われるALMSウインターテストは、その年のスポーツカーレースを占うことが出来るイベントとなっているが、今年も、非常に興味深い内容で行われるようだ。
 昨年、結局プジョーはアメリカへ行かなかった。しかし、どうやら、2008年はALMSもターゲットとしているようで、1月28日〜30日にセブリングで行われるALMSウインターテストへの参加を表明した。

 もちろん、アウディも参加するため、昨年はルマンでしか見られなかったアウディvsプジョーの闘いが、年明け早々実現する。アウディとプジョーは、共に1台をセブリングに持ち込む。
 プジョーは、ヨーロッパで2008年スペックの908のテストを行った後セブリングへ向かうが、アウディは、21日〜23日まで、つまり、ALMSテストの2日前まで、同じセブリングで占有テストを行った後、プジョーとのテストマッチに登場する。

 セブリングテストの話題はそれだけではない。昨年ペンスキーポルシェが大活躍したため、今年P2カーの最低車重は、ACOでは+50kg、ALMSでも+25kgとなった。その25kg重くなったP2カー達にとっても、セブリングテストは、最初の貴重な勉強の場となるようだ。

 ポルシェは、25kg重くなるP2だけでなく、昨年散々のシーズンを過ごした997GT3RSRのため、9日〜11日までセブリングで集中テストを行っている。ALMSによると、ペンスキーとダイソンと共に、もう1台RSスパイダーが走っているらしい。
 アキュラは、来週14日と15日セブリングを占有して、新しいARX-01bのシェイクダウンを行う。AGR、フェルナンデス、ハイクロフトの3チームが登場する。

 ACOの場合2008年のP1カーの最低車重は900kgだが、ALMSでは従来通り925kgだ。P2カーもACOは825kgだが、ALMSは800kgだ。つまり、2008年のALMSでは、P1ちP2が入り乱れて、非常に拮抗したレースが見込まれている。もちろん、アウディvsプジョー、ポルシェvsアキュラの闘いも見逃せない。

 アウディ、プジョー、ポルシェ、アキュラの総てが、事前にテストを行った後登場するため、28日〜30日まで行われるセブリングウインターテストは、2008年のスポーツカーレースの状況を占う重要なイベントとなるだろう。

●1月9日
Sports-Car Racingがモータースポーツライターを募集

Photo:Sports-Car Racing

 当Sports-Car Racingでは、スポーツカーレースを取材/執筆するモータースポーツライターを募集します。Sports-Car Racing本誌だけでなく、Sports-Car Racing.netや、当方が業務委託されている、モータースポーツに関する取材とレポート作成が仕事となります。

 現在既に活躍されている方だけでなく、現在モータースポーツライターを目指して勉強中の方等、経験は問いません。取り敢えず、モータースポーツライターとして活動したい旨を表明してください。

 あなたの履歴書と共に、@モータースポーツに対して、どのような考えを持たれているのか? そして、あなたがAモータースポーツライターとして何を行いたいのか? を記して下記までご連絡ください。
 履歴書については、経験と資格の有無は問いませんが、対象がモータースポーツですから、語学、自動車関連技術の経験について、記していただくことをお願いいたします。
 その後、話し合いによって、提出していただきたいレポートのテーマを個別に連絡いたします。

 もしかしたら、即採用、待遇について、ご相談させて頂く場合もあるかもしれませんが、誰にでも出来る仕事ではありませんから、当方も、そのような甘い考えは持っていません。そのため、特別締め切りの期限は設けません。
 適任者が居ない場合でも、個別に仕事をお願いすることも考えております。取り敢えず、意志を表明してください。

**締め切りの期限は設けませんが、応募と問い合わせ等は、下記のアドレスまで Eメールでお願いいたします。

*注意:
 ご自分の将来と仕事に対して真面目に考えられている方を求めているため、応募だけでなく、問い合わせの際、ご自分のお名前とご住所、連絡先を表明出来ない場合、返答をお断りいたします。
ask@sports-carracing.net   鈴木英紀まで

●1月8日
2008年もポルシェのP2カーの活躍は続く IMSAが2008年スタート時点での最低車重を公表

Photo:Sports-Car Racing

 昨年、ALMSでポルシェのP2カーが大活躍したため、ACOは、P2カーの最低車重を50kg引き上げて825kgとすることを決定している。同時に総てのP1カーの車重は25kg引き下げて900kgとした。しかし、ALMSの場合、アウディのディーゼルターボカーを除くとP1クラスに有力なエントリーが見込めないため、IMSAは、再びACOレギュレーションを独自に運用して、アウディの対抗馬として、P2クラスのポルシェとアキュラの活躍を期待することとなった。

 新しいIMSAのレギュレーションは、2008年のシーズン開始時点で、P2カーの最低車重は25kg引き上げて800kgとする。それに対して、P1カーの車重は、従来通り925kgのままとなる。
 燃料タンクの大きさも、2008年のACOレギュレーションの場合、P2クラスは80リットルだが、従来通り90リットルのままで、P1クラスと変わらない。

 この800kgと言う、新しいP2クラスの車重がポイントだ。25kg重くなることで、P1カーとの速さの調整だけでなく、IMSAは、P2クラスの中の性能調整も目論んでいる。昨年P2クラスの最低車重である775kgを達成したP2カーは、ポルシェRSスパイダーだけと考えられている。つまり、25kg最低車重を重くして、アキュラとポルシェの性能調整も実現しようとしている。

*詳しくは、近日中に発行予定のSports-Car Racing Vol.18の特集をご覧ください。




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