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12月23日
●2011年ACOレギュレーション確定  統一GTクラスの名前はGTE  GT1へ正式にNOの宣告

Photo:Sports-Car Racing

 既にACOは、従来のGT1クラスを撤廃して、2011年より、現行のGT2クラスをベースとしたカテゴリーを唯一のGTクラスとすることを発表している。6月にルマンで行われた記者会見の際ACOは、新しいGTクラスはクルマの区別は無く、プロフェッショナルとアマチュアの2つのクラスを設けることも公表している。
 火曜日(ACOの日付は月曜日)は、新しい統一GTクラスの名前を“GTE”とすることを発表した。

 最初にACOは、改めてGT1カーは非合法であることを述べた後、GTEカテゴリーの説明を行った。
 プロフェッショナルとアマチュアの2つのクラスは、それぞれGTE“Pro”とGTE“Am”と名付けられた。
 新たにGTEと名付けられるGTクラスは、現行のGT2クラスをベースとして構想されたもので、現行のGT2クラスとは95%が同一であることを宣言している。95%が現行のGT2と同じと説明するように、テクニカルとホモロゲーションは共に現行のGT2をベースとした内容となる。数少ない違いは、現在基本的に禁止されているカーボンファイバーコンポジット製のモノコックについて、GT2カーのベースモデルに求められる300台の生産を満たすことが可能な場合、ホモロゲイションを申請する権利を有することだ。
 具体的には10日前に発表されたポルシェ911GT3RSRの2011年モデルや2月にデリバリーが開始されるフェラーリ458GTCが、新制GTEレギュレーションを具現したものだろう。

 現行のGT1クラスについては、2011年に限って、ACOが認めたクルマについて、性能調整を行う条件で、アマチュアを対象とするGTE“Am”クラスへの参加を認めることも明らかとした。
 しかし、2010年レギュレーションのGT1カーとは、ACOルールの場合Matechが作ったフォードGTが唯一の存在で、既にMatechは、GT1活動を取り止めることを発表しているため、火曜日のACOの発表の内容だけで判断すると、GT2スペックに改造したGT1カーが2011年に参加する可能性は無い。

 範囲を2009年までの旧GT1ルールに基づいて作られて、2010年、参加台数が少ないため、特例で参加を認められたマシンまで含めると、コルベットC6R、アストンマーティンDBR9、サリーンS7Rが存在する。
 しかし、コルベットには、GT2クラスで活躍するZRモデルが存在するため、わざわざ高価なGT1カーをダウングレードして参加するとは考えられない。アストンマーティンDBR9については、既に、作られた32台の多くがコレクターに販売されている。その意味では、DBR9を買った裕福なアマチュアドライバーによってGTE“Am”に参加する可能性があるようにも思えるが、アストンマーティンには“ヴァンテッジ”GT2カーが存在するため、こちらも、現実的には、可能性があるとは思えない。

 唯一残された可能性はサリーンS7Rだ。しかし、サリーンの場合、300台の生産を求められるベース車両が存在しない、事実上のレース専用スーパーカーであることが、辛い条件となる。
 しかも、そのレース専用マシンは、2000年に登場した最初のS7RがRML製で、その後本体のサリーン・アレン・スピードラボのスーパーロードカー時代を経て、その後ORECAが作っていた。ORECAが開発を行った段階で、初期のRML製とはまったく違うクルマとなっているため、何らかの特例処置が必要だ。

 ACOルールでなく、2010年のFIA GT1チャンピオンシップまで範囲を広げると、ニッサンGTRとランボルギーニも対象として浮上する。ACOによると、ランボルギーニについては、実際にGT2スペックへダウングレードして、ACOへGTEカーとして申請する動きがあるらしいが、その場合アマチュア対象のGTE“Am”クラスにしか参加出来ないため、最初からGTEスペックで作ったマシンを登場させるだろう、と述べている。
 ニッサンGTRについては、2010年の活動自体がメーカーのサポートを前提としたもので、GT2スペックへダウングレードするだけでなく、アマチュアを対象としたクラスへ参加する可能性はないようだ。

 ちなみに、昨日、ある日本のモータースポーツWEBが掲載した、2011年のACOのGTEクラスについての「FIA GT1選手権に出場するGT1カーについては、引き続きGTEクラスへ参加が可能」(原文そのまま)と言う記事について、昨夜日本の彼方此方の関係者の間で大きな話題となった。
 2010年でさえ、ACOはGT1カーを排除する意向だったし、FIA GT1選手権に出走するGT1カーを特別に認める考えはない。そのため、この日本のモータースポーツWEBが掲載した情報の真偽について話題となった。
  誰がACOへ真相を確認するのか?手の内を探り合った結果、当方がACOへ連絡することとなった。
 クリスマスを目前としながら、ACOは直ぐに回答を送ってくれた。その内容な先に述べた通りで、FIA GT1選手権に出場するGT1カーについては、ACOが認めることを前提として、GT2スペックへダウングレードする一方、アマチュアを対象としたGTE“Am”クラスにしか参加出来ないことが確認されただけだった。
 しかも、ACOによると、FIA GT1選手権云々については一切発表してなく、その日本のモータースポーツWEBからの取材を受けたこともないと言う。ACOは、火曜日に英語かフランス語のWEBが掲載した記事を、翻訳して転載したものだろう、と判断している。
 彼らも英語から日本語、あるいはフランス語から日本語へ翻訳する際、様々な間違いが生じることを理解しているが、他のメディアの記事を間違って翻訳して転載したことには呆れている。

 また、今回発表されたACOルールには存在しないが、既にALMSがGT3カーの出走を認めることを公表しており、ILMCとLMSでもGT3カーの出走について検討している。

12月13日
●2011年バージョンのポルシェ911GT3RSR発表

Photo:Porsche AG

 12日ポルシェは、2011年バージョンの911GT3RSRを発表した。2011年モデルの911GT3RSRは、2010年スペックのの911GT3RSRをベースとして開発されており、フロントとリアの空力デザインが新しくなる一方、タイヤサイズの変更に伴うサスペンションの変更とエンジンにも改良が加えられている。
 エンジンは、2009年に登場した4ℓフラット6を改良したもので、新たにデザインされたエキゾーストシステムと改良されたインテイクハウジングによって、28.6mm×2のリストリクターを取り付けた状態で、従来より5馬力大きい455馬力を7,800rpmで絞り出す。許容回転数も9,400rpmに引き上げられている。

 2007年に現在の997モデルの911GT3RSRが発表された時、最も大きな変更は、100kg重い1,200kgの車重を選択して、1,200kg以上の車重で許される、それ以下より2インチ太い幅14インチのタイヤを履くことだった。タイヤの幅が2インチ太くなっても、100kgも重くはならないため、大きな重りを積むことが可能だった。もちろん、テイルヘビーの前後重量配分を改善するため、クルマの前寄りに重りは積まれた。その結果997モデルの911GT3RSRは、フロントに幅11インチのホイールを履くようになった。組み合わせるタイヤは、タイヤメーカーによって異なるが、ほとんどの場合幅280mmの太いタイヤを履くことが可能だった。
 しかし、リアホイールは幅13インチだったため、より太いタイヤが求められていた。
 2011年バージョンの911GT3RSRは、サスペンションジオメトリーを変更することによって、フロントに幅12インチのホイールを履く。昨日発表された内容によると、2009年に完全に作り替えられたフロントセクションのインナーフェンダー等は変更されてないため、フロントタイヤの幅は広がっても、直径は同じであるようだ。

Photo:Porsche AG

 2011年バージョンの911GT3RSRの価格は、ヴァイザッハ渡しで410,000ユーロ(約4,510万円)だ。
 2010年バージョンの911GT3RSRが2009年モデルからアップデイト可能だったように、2010年バージョンの911GT3RSRをベースとした場合、2011年バージョンへの総てのアップデイトが出来るため、2009年モデルの911GT3RSRをベースとすれば、2011年バージョンに作り替えることが可能だ。

12月11日
●アウディR18公開  2011年4月登場 セブリング12時間へはR15++で参戦

Photo:AUDI AG

 10日アウディは、2011年のモータースポーツ活動を発表した。従来通り3つの柱に分かれており、ルマンを中心としたスポーツカーレースのトップカテゴリーへ、新しいR18クーペで挑戦する一方、新しいA4DTMカーによるDTM活動、R8LMS GT3カーによって活動するカスタマーレーシングをサポートする。R8LMSによる活動の中心はニュルブルクリンク24時間とスパ-フランコルシャン24時間だ。
 何と言っても注目は、完全に新しいR18によるスポーツカーレース活動だろう。

 既に漏れ伝わっているように、アウディは、現在3.7ℓV6ディーゼルターボエンジンを積むR18クーペを開発している。2011年に施行される新しいLMP1レギュレーションは、ディーゼルターボエンジンの最大シリンダー数を8気筒としているが、2009年のR15が、R10で開発したV12を止めてV10を採用したように、R18も軽量かつコンパクトを目標として、新たにV6で3.7ℓディーゼルターボエンジンを開発している。
 アウディによると、軽量コンパクトなV6としたことによって、前後の重量配分が大きく変わったため、前後のホイールサイズも変更したことを明らかとしている。
 2009年アキュラARX-02aは、フロントにもリアと同じ大きなタイヤを履いて登場して、世界中のエンジニアを驚かせたが、2011年のR18は、そこまで極端ではないらしい。

Photo:AUDI AG

 R18の大きな見所は、アウディのスポーツプロトタイプカーとしては、1999年にRTNが開発したR8C以来12年ぶりに“屋根付き”であることだろう。写真で明らかな様に、2010年のR15+をベースとして“屋根付き”とした様なデザインとなっている。
 2011年に義務つけられる“シャークフィン”が、リアカウルには設置される。2011年のレギュレーションが明らかになった後で開発が行われたようで、“シャークフィン”の前端は、ルーフ上に設けられた、ターボチャージャーへ空気を取り入れるエアインテイクに繋がる一方、“シャークフィン”とリアカウルの接合部分も、取って付けたものではなく、エンジンカウルとスムーズに繋がる様なラインを描いている。
 R10とR15は、テストカーを除くと、ディーゼルターボエンジンの巨大なトルクに耐える様、分厚い歯車を使った5速ギアボックスが使われていたが、新しいR18は、常識的な6速ギアボックスを備える。
 写真で明らかな様に、アウディのLMPカーとしては初めて右ハンドルを採用している。

 現在のところ、R18は開発中で、11月にシェイクダウンテストを行ったばかりであるため、4月24日のルマンの公式テストディまで公のイベントで走る予定はない。そのため、3月に行われるILMCとALMSの開幕戦であるセブリング12時間で走るため、2010年に走ったR15+の改良型の開発も行われている。R15++と呼ばれる改良モデルは、5.5ℓV10ディーゼルターボエンジンを、2011年レギュレーションの小さなリストリクターと低いブースト圧で開発し直したマシンだ。低くなるブースト圧に併せて、小さなラジエターやインタークーラーを使う可能性もあると言うから、セブリングのテクニカルコースにはR18より向いているかもしれない。
 4月24日のルマンの公式テストディを走った後、R18はアウディスポーツ・チームヨーストによって、ルマン24時間レースを含むインタコンチネンタルルマンカップ(ILMC)へ参戦する。

Photo:AUDI AG

12月3日
●レベリオンが2011年にトヨタLMP1エンジンを独占的に使用

Photo:Sports-Car Racing

 昨日レベリオンレーシングを運営するSEBAH Racingのバート・ハイデンは、トヨタとの間で、2011年にトヨタのLMP1エンジンを独占的に使用する契約を結んだことを公表した。
 SEBAH Racingは、2010年からスイスの時計メーカーであるレベリオンの委託を受けて、レベリオンレーシングの運営を行っている。2010年は、ローラとジャドに資金を提供して、使用するローラB10-60をレベリオンローラと、ジャドGV5.5S2 5.5ℓV10エンジンをレベリオンジャドとして登録して活動していた。
 現在のスポーツカーチームの中では比較的資金的余裕があることから、レギュレーションが変更される2011年に向けて、レベリオンレーシングは様々な作戦を練っていた。
 最初ポルシェのハイブリッドLMP1プログラムを買い取るプラン、さらにポルシェRSスパイダーの開発を再開させるプランが話し合われたが、ポルシェ自身が2011年にトップカテゴリーへ復帰することを諦めたため、レベリオンレーシングは他のプランを求めることとなった。

 既に(旧アキュラ)HPDの3.4ℓV8エンジンが圧倒的なパワーを持つ事が明らかであったため、ポルシェと提携出来ないのであれば、HPDエンジンを手に入れるか、HPDエンジンに匹敵するエンジンを手に入れる必要があった。そして、白羽の矢を立てたのがトヨタのFNエンジンだった。
 レベリオンレーシングが交渉したのは、以前F1GP活動を担当していたドイツのトヨタGmbHだった。どのような交渉が行われたのか、公表されなかったが、レベリオンレーシングが幾らかの資金を支払って、トヨタGmbHはLMP1エンジンを開発して、独占的にレベリオンレーシングへ提供する。

 昨日SEBAH、トヨタGmbH、そしてローラのマーティン・ビランは、トヨタのLMP1エンジンとだけ述べて、詳しい内容を語らなかったが、既にポルトマヨで走った際、レベリオンローラにトヨタのFNエンジンが搭載されていることが目撃されているため、トヨタのFNエンジンそのものか、FNエンジンをベースとして開発したLMP1用3.4ℓV8エンジンであるのは間違いないだろう。

 既に10月始めスネッタートンにおいてレベリオンローラ/トヨタはシェイクダウンテストを行っており、10月末にはポルトマヨにおいて本格的なテストも行っている。10月末のポルトマヨのテストは、ダンロップタイヤがコースを借りていたため、レベリオンはダンロップを使用すると噂されているが、昨日レベリオンは何も発表してないため、2010年同様レベリオンはミシュランを使用するものと思われる。
 SEBAH Racingのバート・ハイデンは、同時に2010年と同じニール・ジャニ、ニコラス・プロスト、アンドレア・ベリーチ、ジャン-クリストフ・ブリオンと契約する予定であることを明らかとしている。


11月30日
●2011LMSカレンダー発表  5レースのみ 総て6時間耐久レース

Photo:Sports-Car Racing

 ACOは、ILMCの確定サレンダーを発表した2時間後、LMSのカレンダーを発表した
 もちろん、ILMCのカレンダーを発表した段階で、大体予想出来る状況だったが、ILMCに追加されたイモラがLMSにも加わえられる一方、昨年直前になって編入されたハンガリーが外され、7月に行われたポルトガルのレースは9月に移動することとなった。
 昨年7月にポルトガルのポルトマヨ(アルガルブ)でLMSが行われた際、あまりの暑さが予想されたため、レースは夜開催されている。しかし、ナイトレースを開催するには、ポルトマヨの設備が不充分だったため、2011年にポルトマヨでの開催は危ぶまれていた。現在、涼しくなる9月25日にスケジュールを移動する一方、プロモーターは、ポルトガルの他のサーキットでの開催も含めて計画を練り直している。

 2月のセブリングテストと共に、その年のスポーツカーレースの状況を占う大切なイベントであるポールリカール合同テストは、例年より1週間遅い3月11日と12日に行われる。セブリングでは間に合わなかったニューマシンの多くも登場することとなるだろう。
 また、細かなレギュレーション変更や曖昧なルールについても、ポールリカールで確認されている。今年の場合、テイルエンドのフィンのレギュレーションが課題となったが、2011年は、完全に新しいレギュレーションが導入され、ハイブリッドカーも登場する予定であるため、様々な話し合いが行われることだろう。

TEST:3月11-12日ポールリカール(F)
Rd1:4月3日ポールリカール6時間(F)
Rd2:5月8日スパ-フランコルシャン6時間(B)
Rd3:7月3日イモラ6時間(I)
Rd4:9月11日シルバーストーン6時間(GB)
Rd5:9月25日TBA(P)*ポルトガル、サーキット未決定

11月30日
●2011ILMCカレンダー確定  富士スピードウェイは無し

Photo:Sports-Car Racing

 3週間前ズーハイでACOは、2011年ILMCの改訂版のカレンダーの概要を公表している。そのカレンダーには日本の富士スピードウェイとALMSの“プチ-ルマン”が存在せず、逆に開催場所すら決まってない中国と新たにヨーロッパで1つのレースを行うことが記載されていたため、様々な波紋を呼んでいた。
 特にパノスの地元のロードアトランタで行われる“プチ-ルマン”は、セブリング12時間と並ぶ一大イベントで、毎年レースウィークに10万人以上の観客を集めている。そのビッグイベントを外したことに対して、北アメリカでは大きな反発が巻き起こっていた。ACOに対して強烈なアピールを行った“プチ-ルマン”が2011年のカレンダーへ復帰することは予想されていた。北アメリカへ行きたくないメーカーも納得しなければならなかったようだ。その際、日本の富士スピードウェイも同様に2011年のカレンダーへ復帰すると思われていたが、“プチ-ルマン”の様な大きなアピールはなされなかったようだ。

 問題が山積みで、しかも観客スタンドに充分な観客を集めることが出来なくても、巨大な市場と判断される中国での開催は既定路線であるらしい。3週間前ズーハイでACOは、中国のプロモーターとの間で2011年のILMCを開催する約束を結んでいる。どうやら正式な契約ではないらしいが、ACO自身が資金を投入したり、スポンサーを集める苦労を行わなくても、2011年に中国でILMCを開催する糸口を見出したようだ。
 総ての自動車メーカーは、中国での販促を望んでいるため、開催場所が見つからなくても、それが中国であるなら、大歓迎だったのだろう。

 しかし、新たにイモラのレースが加えられたことによって、新たな波紋を呼ぶ状態となっている。25年前のグループCの時代、イモラでも毎年スポーツカーレースが行われていた。しかし、充分な観客を集めることが出来なかったため、イタリアでの大きなスポーツカーレースはモンツァで行われるのが通例となった。その後WSPCの時代を経てFIAGTが開催されるようになると、観客の要望とは関係なく、開催権料を支払って誘致に動いたサーキットで大きなスポーツカーレースは行われるようになった。イタリアの場合、ACOやステファン・ラテルは、ムゲロと共にイモラと積極的に交渉を行うようになった。
 どうやら、ヨーロッパでは、ILMCを誘致するため、様々なアピールを行ったサーキットがあったようだ。

 日本では、レースファンもサーキットも、「開催してやる」とか、「やって来て当たり前」と宣言する人々多い。「開催してやるのだから、開催権料を払うなんて、もってのほか」とまで主張する。しかし、世界では、「開催を望む人々が、誘致の努力を行わなければ、レースは開催されない」のは当たり前だ。
 コックスが行ったJLMCがどうなったか、覚えているだろうか? その後林みのるや大岩湛矣の仲介によって、ACOが日本での開催を望んだ際、F1GPが大切な日本のサーキットは、どのような対応をしただろうか?
 F1GPがなくなったから、ルマンのレースを開催するのでは、積極的な誘致と充分な開催権料がなければ、ACOを納得させることは出来ない。第一現在の日本は、アジアで唯一の存在ではない。東京モーターショーの惨状を忘れてはならない。日本以外のメーカーの多くが参加を中止して、中国でのモーターショーへ行ってしまった。
 25年前であっても、WECを富士スピードウェイへ誘致した日本人達も、楽に誘致を実現した訳ではない。
 そのことを日本のレースファンは知るべきだろう。

Rd1:3月19日セブリング12時間(US)
Rd2:5月8日スパ-フランコルシャン6時間(B)
Rd3:6月11-12日ルマン24時間(F)
Rd4:7月3日イモラ6時間(I)
Rd5:9月11日シルバーストーン6時間(GB)
Rd6:10月1日“プチ-ルマン”10時間(US)
Rd7:11月12日中国でオーガナイズされる6時間レース(CA)

11月24日
●HPD LMP2エンジンがシェイクダウン

Photo:Endurance-Info SpecialThanks:Marshall Pruett

 6月のルマン24時間レースの際HPDは、2011年にデリバリーする2.8ℓV6ターボLMP2エンジンを公開している。2011年のLMP2レギュレーションによると、2011年のLMP2カーは、販売価格を制限するGT2カーのエンジンしか使うことが出来ない。しかし、ロードカー用をベースとして開発されたエンジンであれば、条件付きでLMP2でも使用出来る。この条件と言うのが曲者だ。シリンダーブロックの下半分を作り替えてドライサンプとするのは認められている。しかし、ロードカーと基本的に同じシリンダーヘッドとブロックの使用が義務つけられ、インテイクシステム等の変更にも条件が付けられる。GT2カー用エンジンに対してハンデがあると判断され、ACOは、NAの場合500cc大きい4.5ℓまで、ターボの場合2.8ℓの排気量を認めている。

 HPDの2.8ℓV6ターボエンジンは、写真でも明らかな様に、NSX用ではなく、アキュラセダンに積まれているV6エンジンがベースとなっている。6月に公開されたエンジンは、ロードカーと基本的に同じインテイクシステムと、ロードカー故触媒の効率を高めるため、事実上マニホールドを廃したエキゾーストシステムに直接ターボチャージャーが取り付けられていた。
 ちなみにHPDは、2012年新しいルールに基づいたインディエンジンを供給することを発表しているが、LMP2用の2.8ℓV6ターボエンジンは、HPDによると2012年のインディエンジンとは違うエンジンであると言う。

Photo:Sports-Car Racing

 先週ハイクロフトのHPD ARX-01cにHPDの2.8ℓV6ターボエンジンは積まれて、サイモン・ペジナウのドライブによって、カロライナモータースポーツパークにおいてシェイクダウンテストを行った。
 ハイクロフトのダンカン・デイトンによると、ターボエンジン故ウエストゲートバルブ等、些細なトラブルは発生した様だが、大きな問題なく435milを走行して、最初のテストを終了している。
 今後もハイクロフトによるテスト走行は行われるようだが、ハイクロフトのダンカン・デイトンは、ALMSでLMP2を走らせるだけでなく、インディカーシリーズへの参入も目論んでいるため、2011年にハイクロフトがHPDエンジンを積んだLMP2カーを走らせることは決まってないようだ。

 6月にルマンで公開されたエンジンは、写真で明らかな様に、ドライサンプと言っても、レース専用エンジンとは比べられないくらい、クランクシャフトの高さが高かった。現在スポーツカーレースで使われているXトラックやリカルド製ギアボックスは、クランクシャフトの高さを床板から92mmとすることを前提としている。その後床板を作り替える等、何らかの開発が行われてなければ、ギアボックスを作り替えなければならない。

 また、マーシャル・プルートによると、現在のところIMSAとALMSは、2011年のALMSのルールを公表してないことを心配している。もし、2010年がそうだったように、LMP1のエントリーが希薄な場合、LMP1だけでなくLMP2カーと共に総合優勝争いが可能なルールを設けなければならない。場合によっては、2010年のLMP2カーが、そのまま出走を許される可能性もあるように思える。

11月18日
●2011年ILMC 富士スピードウェイと“プチ-ルマン”は開催を主張 中国で何が起こった?

Photo:Sports-Car Racing

 11月6日ズーハイで行われたプレスコンファレンスの際、ACOは、2011年のILMCのカレンダーを改めて発表して、その中に“プチ-ルマン”と富士スピードウェイが含まれてなかった。ズーハイでの出来事は大きな波紋を呼んでおり、直ぐALMSは、「ACOと契約をかわしている」とのコメントを公表した。富士スピードウェイは、公式には何も公表していないが、先週末Fujiスプリントカップの際、当方が直接質問したところ、ズーハイでの出来事は、彼らにとって寝耳に水の出来事であることが明らかとなった。
 もちろん、“プチ-ルマン”を開催するロードアトランタと富士スピードウェイは、正規の手続きに従って、それぞれのASNを通じてカレンダー申請を行っている。先週JAFが発表した、2011年の国際カレンダー申請においても、キチント、富士スピードウェイで行われるルマンシリーズは掲載されている。
 以前と違う部分は、開催日時が10月29〜30日となったことだけだ。

 ズーハイでACOが発表した後、ACOといくつかのメーカーに対して、ズーハイでのACOの発表について質問してみた。アウディは、ズーハイに行くまで“プチ-ルマン”と富士スピードウェイが外れたことを知らなかったと語っている。“プチ-ルマン”はセブリング12時間と並ぶビッグイベントで、3日間で15万人もの観客を集める。そのビッグイベントを外したことに対して、既にアウディはACOに不満を伝えている。
 ポルシェは、もっと直接的に「犯人は我々ではない」と語った。BMWも驚いているようだ。BMWは2011年に日本へ行くことを想定して、モーターショーを含む様々な交通整理に取りかかっていたようだ。
 ポルシェのコメントから推測すると、ズーハイで発表された不可解なカレンダーには、あるメーカーの意向が大きく関わっていることが容易に予想される。開催場所もプロモーターも決まってないにも関わらず、中国でのレースへの遠征を望んで、日本と北アメリカへ行く理由がないメーカーだ。

 エンデュランスインフォのSuperGTのFujiスプリントの記事の制作に協力した際、クロード・フーボルトを通じて、ズーハイの出来事について、フランス、特に彼が住むルマン周辺(ACO)の意見を聞いてもらった。噂のあるメーカーの意向については、ルマンの人達にとって周知の事実らしい。しかし、あるメーカーの意向に従って、ズーハイでACOが発表しても、当の中国での開催そのものが怪しい、と言うのがルマンの人々の意見だ。
 クロード・フーボルトは、自分の個人的な意見だが、と前置きしながら、2011年に“プチ-ルマン”と富士スピードウエィでILMCが開催されると思う、と語っている。
 これらを考慮すると、改めて1週間前に中国で何が起こったのか?と言う疑問が出てくる。

11月7日
●2011年のILMCから富士スピードウェイと“プチ-ルマン”が外れた?

Photo:Sports-Car Racing

 昨日ACOは、ILMCを開催中のズーハイで行ったプレスコンファレンスにおいて、2011年のILMC(インターコンチネンタル・ルマン・カップ)のカレンダーを改めて発表した。2011年のILMCのカレンダーについては、既に6月のルマン、9月のILMC(LMS)シルバーストーン、そして、つい1ヶ月前のILMC(ALMS)“プチ-ルマン”において発表されている。シルバーストーンと“プチ-ルマン”の内容は同じもので、3月にセブリング、5月にスパ、6月にルマン、9月にシルバーストーン、9月末に“プチ-ルマン”、10月に富士スピードウェイ、11月に中国で開催するとしていた。しかも11月の中国以外、サーキットが特定されているだけでなく、既に各国のASNを通じてFIAへカレンダー申請が行われていることも明らかとしていた。

 ところが、昨日ズーハイで行われたプレスコンファレンスにおいて、ACOはまったく違うカレンダーを公表した。第1戦3月19日セブリング12時間、第2戦5月8日スパ-フランコルシャン、第3戦6月11-12日ルマン24時間、ここまでは変わらない。ところが、その後7月にヨーロッパで第4戦を行い、9月11日にシルバーストーンで第5戦を行う。本来のスケジュールであれば、その後“プチ-ルマン”と富士スピードウェイでILMCは行われる予定だったが、昨日公表されたカレンダーでは、その両方が記載されていなかった。新たに10月にヨーロッパ以外の場所で第6戦を行い、11月に中国(サーキット不特定)で第7戦を行うと記載されている。

 富士スピードウェイの場合、2011年10月23日にルマンシリーズを開催するため、JAFを通じてカレンダー申請が行われていた。“プチ-ルマン”は10月1日に開催する予定でALMSはカレンダー申請を行っただけでなく、既に2011年ALMS最終戦として発表されていた。たった1ヶ月前の出来事だ。
 いったい何が起こったのだろうか?

11月5日
●プジョー“90X”のエンジンは何?

Photo:Peugeot-Media

 先週プジョーが90Xテストカーを公開した後、90Xに搭載されているエンジンについて、世界中で様々な憶測が飛び交っている。プジョーが90Xを公開した直後、ミュルサンヌコーナーのマイク・フラーと話し合ったところ、マイク・フラーが、写真から分析して、大まかなホイールベースとオーバーハングを割り出していることを知った。既にミュルサンヌコーナー上において公開されているため、ご覧になった方の多いだろうが、マイク・フラーの分析によると、90Xのホイールベースは約2.800mm、フロントオーバーハングは約810mm、リアオーバーハングは制限いっぱいの750mmと推測している。これらの数値を合計すると、全長はレギュレーションが許す4,650mmから290mmも短い4,360mmにしかならない。
 この数値で明らかな様に、フロントとリアのオーバーハングはベースとなった908と同じで、ホイールベースだけが短くなっている。ホイールベースが短くなった分だけ、全長も短くなっている。
 優秀なプジョーが、レギュレーションより29cmも短いクルマを作るとは考えられないため、90Xは、908をベースとして、小さなエンジンを搭載して、その分ホイールベースが短くなったテストカーであることは明らかだが、V12から、噂されているV8に交換しただけで、29cmもホイールベースが短くなるのだろうか?

 今年5月ACOのテクニカルミーティングにおいて、アウディが3.7ℓV6ディーゼルターボエンジンを開発していることを認めた際、プジョーは、V8であることを示唆している。そのため、誰もがプジョーは、その後もV8ディーゼルターボエンジンを開発していると考えていた。
 ところが、908と同じ同じモノコックを使っているハズのテストカーのホイールベースが29cmも短くなると言うことは、前後方向に2気筒減らしただけとは考えられない。

 予想外の出来事から、SpeedTVのマーシャル・プルートは、908と90Xの違いを、写真で比較することによって明らかとしようと試みてるが、29cmも短いホイールベースの謎の解明についてはお手上げの状態のようだ。

 フランスのメーカーのことは、フランス人に訊いてみようと言うこととなった。ちょうどコンタクトしてきたエンデュランスインフォのクロード・フーボルトを通じて、情報を集めようとしたが、真面目なクロード・フーボルトが急いで調べたところ、プジョーが2011年マシンに積むエンジンについて、公式には、一切公表していないことが明らかとなっただけだった。ACOのテクニカルミーティングの際に明らかとなったV8についても、フランスでは、2010年5月にプジョーが開発していたエンジンの1つと考えられているらしい。
 それどころか、プジョーはエンジンを決定していない可能性も大きいと言う。

 疑惑の中心となっている、リアカウル上の大きなインダクションボックスについても、マーシャル・プルートは、デモカーであったとしても、何も使わないエアインテークを設けるとは考え難い、と判断している。
 もし、ハイブリッドカーであったとしても、フロントにドライブシャフトが見えないため、ザイテックと同じリアのみにモーターを備える、旧タイプのハイブリッドカーだ。つまり、5月のACOのテクニカルミーティングにおいて、プジョーが主張したフロント回生を行うタイプではない。
 この事を考慮すると、リアのみにモーターを備えて、リアのみで回生するハイブリッドと思われるが、リアフェンダー前のエアインテークが小さくなっていることを考慮すると、このインテークは新たにブレーキのため使われ、リアカウル中央上の大きなインダクションボックスは、ターボへ空気を送り込むためとも考えられる。

11月1日
●プジョー“90X”公開

Photo:Peugeot-Media

 土曜日プジョーは、開発中の90Xの写真を公開した。
 公開された写真は3枚だけで、同時に送られたプレスレリースにもこれと言った重要な内容はない。写真を見れば明らかな様に、ノーズセクションとフロントフェンダー、フロントウインドーはスプリントバージョンの908そのものだ。908と違うのは、童夢S102やペスカロロP01EVOの様に、先端下部が大きく剔られたサイドポンツーンと、真ん中にインダクションボックスとシャークフィンが取り付けられたリアカウルだけだ。リアカウルも、1.6mリアウイングに合わせて、リアタイヤ後方が大きくせり上げられていることを除くと、908のものと変わらない様に見える。

 2009年に1.6mリアウイングのルールが導入された時、多くのコンストラクターが、リアタイヤ後方がせり上がったリアカウルを作ったが、プジョーは、2mリアウイング時代と同じ後端が低いリアカウルを使っていた。2009年プジョーの空力開発を行うジェローム・カテラーニは、1.6mリアウイングに合わせた空力開発が終了していたことを明らかにしている。同時にブルーノ・ファミンは、予算と時間の不足によって、新たな開発の多くを諦めたことを公表している。
 この時の2人の証言から推測すると、今回公開されたリアカウルは、既に2009年に開発されていたものと考えられる。ノーズセクションが908そのものであることを考慮すると、今回公開された“90X”は、908をベースとした次世代スポーツカーのプロトタイプか、もしかしたら、次世代スポーツカー自体が908の発展型なのだろう。

 2011年に施行される新しいACOのLMP1レギュレーションによると、ディーゼルターボエンジンは、排気量3.7ℓ以下、シリンダー数は最大8気筒に制限される。軽量かつコンパクトであることを優先したアウディがV6を開発していることが知られているが、プジョーの新しい3.7ℓディーゼルターボエンジンはV8であるらしい。
 軽量コンパクトなV6のアウディだけでなく、プジョーも、従来の5.5ℓV12から3.7ℓV8に変わることによって、前後の重量配分が大きく前寄りとなることが予想される。このことは3.4ℓV8となるガソリンエンジン勢も同じだが、前後の重量配分が前寄りとなると、2009年のアキュラARX-02aの様に、フロントにもリアと同じサイズのタイヤを履くと言われていた。
 しかし、最新の情報によると、アウディとプジョーは、ミシュランに対して、少なくとも、アキュラの様なリアと同じ大きなサイズのフロントタイヤをオーダーしてないようだ。ウルトラハイスピードのルマンでの成功を考慮すると、大きなフロントタイヤを履くことによって、フロント部分のディフューザーのスペースが小さくなるのを避けたいのかもしれない。
 この情報を裏付ける様に、今回プジョーが公開した写真の“908X”は、従来と同じ幅330mm、直径680mmのフロントタイヤを履いている様に見える。
*注:Sports-Car Racing Vol.19を参照してください

 2011年ルールで義務つけられる、高速でのスピンを防止するシャークフィンは、アストンマーティンの様な凝ったデザインではない。問題はリアカウル中央に設けられたインダクションボックスだ。
 リアタイヤハウス直前にターボへのインテークは存在する。ラジエターとインタークーラーはサイドポンツーン内に納められているハズだ。と言うことは、このインダクションボックスは何のために使われるのだろう?

Photo:Peugeot-Media

 プジョーはハイブリッドシステムの開発を進めている。2008年LMSシルバーストーンにおいて、ハイブリッドシステムを盛り込んだ908HYがデモランを行っている。その後開発のペースは遅くなったかもしれないが、プジョーは、現在でもハイブリッドシステムの開発を続けている。2011年ACOはハイブリッドのルールを正式に導入する。5月まで、開発が進んでいるザイテックと共にプジョーとアウディのハイブリッドカーが2011年に登場すると予想されていた。
 5月にACOにおいて、2011年のハイブリッドのルールの話し合いが行われた際、最大の争点となったのは、フロントでの回生を認めるのか?だった。従来フロントでの回生を認めた場合、発電のためフロントにも電気モーターを設置することとなるため、4輪駆動を拒否出来ないと判断され、フロントでの回生はNGだった。しかし、今年の5月のテクニカルミーティングでは、基本的にフロントでの回生を認める発言が主流を占めた。しかし、その導入時期については様々な意見が出された。
 ザイテックは、フロントでの回生を認めるのであれば2011年から、しかし、4輪駆動を拒否するのであればフロントでの回生を認めるべきではない、と主張した。ザイテックのハイブリッドシステムの場合、リアのエンジンと同軸上に電気モーターを備えることによって、能力を発揮出来るシステムであることも、反対の理由だっただろう。
 プジョーとアウディはフロントでの回生を求めた。しかし、2011年からではなく、2012年!からフロントでの回生を認めることを主張した。つまり、2011年プジョーのハイブリッドカーは登場しない。
*注:Sports-Car Racing Vol.20を参照してください

 今回発表された“90X”を見たエンジニアの多くは、リアカウルのインダクションボックスが、ハイブリッドシステムの冷却に使われると推測している。“90X”が単なるテストカーであれば、何に使われるのか不明なインダクションボックスを備えていても、何ら不思議ではないが、もしかしたら、プジョーは、2011年にハイブリッドカーを走らせるのかもしれない。


10月18日
●明日へ向かって ペスカロロの資産がオークションへ

Photo:Sports-Car Racing

 今年春ペスカロロスポーツが崩壊した。アンリ・ペスカロロはフランスの英雄で、ジャック・ニコレをはじめとする、たくさんの支援者達は、最後までペスカロロを支えようとしていた。彼らは、ペスカロロの決定に従う意向だった。残念ながら、SORAコンポジットと提携したペスカロロは、リーマンショックによって、SORA自身の景気が急激に悪化したため、一気に崩壊への道を歩むこととなった。

 土曜日、ペスカロロスポーツの資産のオークションが開催された。
 オークションの対象となったのは、No.1:輝かしい64に及ぶカップとトロフィー、No.2:工場の設備(既に、崩壊前、ジャック・ニコレに大半は販売されていた)、No.3:見慣れたトランスポーター、No.4:部品輸送用のトラック、No.5:サーキットでの前線基地として使われたモービルハウス、そして、No.6:ペスカロロP01EVOの8号車、No.7:ペスカロロP01の1号車等だった。これらの中で、最も興味深い物件は、最後に残された、つまり最新の2台のペスカロロP01 EVOだろう。
 
 P01EVOの8号車は、2009年シーズンを通して使われた最後のマシンで、岡山で開催されたアジアンルマンシリーズにおいて、クリストフ・ティンサウと中野信治によって優勝したシャシーだ。P01 EVOの1号車と8号車は、2009年の1.6mリアウイングルールによって誕生した優秀なLMP1カーだ。たぶん2009年最強のガソリンエンジンLMP1カーだった。2010年ジャック・ニコレのOAKレーシングが走らせたP01 LMP2カーは、この2台のP01をベースとして開発されている。

 参加者の中で2人は、電話によってオークションに参加して、名前も公表しなかったため、ペスカロロの支持者から反対する声も上がったが、ジャック・ニコレの賛同によって、参加が認められた。
 これまでペスカロロスポーツと深く関わってきたジャック・ニコレは、現在のモータースポーツを散り巻く状況を考慮すると、少しでも高い金額で販売するため、多少怪しげな人物も相手にしなければならなかったことを、オークションの後語っている。そうでなければ、二束三文で買い叩かれる可能性もあった。

 オークションは非常に激しい競り合いとなった。しかし、ジャック・ニコレの言葉を証明するように、高値で取引されると思われたP01 8号車は、5万ユーロの設定に対して、7万ユーロ止まり、P01 1号車はに至っては、5万ユーロに過ぎなかった。
 今回のオークションの設定金額は合計27万ユーロだったが、それを、ほんの少し下回る253,000ユーロで販売することに成功した。予定の金額には達しなかったかもしれないが、今回のオークションによって、それなりの資金を得たことによって、ペスカロロの明日が見え始めたと言われている。
 彼方此方でアンリ・ペスカロロ自身が語っている様に、新たなプランが提案されているようだ。
 ペスカロロの復活を希望したい。

10月4日
●ポルシェ北アメリカが“プチ-ルマン”における997GT3Rハイブリッドの無料ビデオを公開

Photo:Sports-Car Racing

 ニュルブルクリンク24時間レースに続いて、ポルシェはILMC/ALMS“プチ-ルマン”で997GT3Rハイブリッドを実戦に投入した。ニュルブルクリンクの時と違って、世界中のトップGT2カーを相手とした熾烈な闘いに投入された997GT3Rハイブリッドは、とてもテストカーとは思えない素晴らしい速さを披露することとなった。“プチ-ルマン”はSpeedTVによってTVプログラムが配信された。しかし、全世界のスポーツカーファンが無条件で、その映像を見るのは少々難しい。
“プチ-ルマン”の際広報を担当したポルシェ北アメリカは、ALMSとSpeedTVの協力によって、Youtubeによって無料で997GT3Rハイブリッドのビデオの公開を決定した。

http://www.youtube.com/watch?v=zJCOtsSYtdg

10月3日
●ILMC/ALMS“Petit-LeMans”フィニッシュ プジョーが1-2 GT2は僅差でコルベットが制する

Photo:Sports-Car Racing

 日が暮れた時レースリーダーだったのはNo.07プジョーだった。しかし、直ぐ後ろにNo.08プジョーが走っており、2台はピットインのタイミングによって順位を入れ替えていた。唯一の対抗馬と考えられたNo.7アウディは周回遅れとなったが、2年前アウディは、一旦周回遅れとなりながら、イエローコーションとピットワークの速さで、プジョーを破って優勝している。そのため、プジョーは、2台でレースをリードしながらも、ピットインのタイミングをずらす等慎重にレースを行っている。
 残り1時間を切って、No.7アウディが2周遅れとなっても、プジョーの慎重さは変わらなかった。最後のピットストップで前に出る順番だったのはNo.08プジョーだった。
 そのままNo.08プジョーが先頭で10時間レースをフィニッシュした。
 2位のNo.07プジョーと合わせると、プジョーは394周の内299周レースリーダーだった。
 4位にLMP2クラスのNo.1ハイクロフトHPDが入ったが、2010年のALMSはLMP1とLMP2を一緒のクラスとしてレースを行っている。LMP2カーは2008年と同じ2mのリアウイングを使用しているため、ハイクロフトにとっては、LMP2トップではなく、ガソリンエンジントップの方に意味があるかもしれない。
 シルバーストーンに続いてプジョーが2連勝したことで、インターコンチネンタルルマンカップの行方は、中国でアウディが、速いプジョーを破ってポールtoフィニッシュを飾って、しかもルマンがそうだったように、プジョーが全滅でもしない限り、プジョーが獲得することとなりそうだ。

 GT2クラスは、真っ暗になっても、テイルtoノーズの熾烈な闘いが繰り広げられた。しかし、それだけにアクシデントも多く、残り1時間の時点で、GT2トップ集団と2台のルマンプロトタイプカーとの間でアクシデントが発生した。双方とも直ぐにレースに復帰したため、2周の間イエローコーションとなっただけだったが、GT2はレースの総合トップではないため、セイフティカーの入った位置によって、No.4コルベットとNo.01エクストリームフェラーリが同一ラップで、イエローコーションの前、2台と共にテイルtoノーズの激戦を繰り広げていたライバル達は周回遅れとなってしまった。
 その結果、残りの40分レースを制したNo.4コルベットが優勝した。
 LMP1のプジョー同様フェラーリがインターコンチネンタルルマンカップで2連勝した(“プチ-ルマン”のGT2クラスで優勝したコルベットはインターコンチネンタルカップ未登録)が、こちらは9ポイント差でポルシェが追っているため、中国で勝った方がタイトルを手に入れることだろう。

2010“Petit-LeMans”RACE
LMP
1. No.08 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP /394laps
2. No.07 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP/394laps
3. No.7 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /392laps
4. No.1 Patron Highcroft  HPD ARX-01c/383laps     *LMP2
5. No.37 Intersport Racing Lola B06/10 AER /383laps
6. No.9 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /377laps

GT2
1. No.4 Corvette Racing Corvette ZR1/355laps
2. No.01 Extreme Ferrari F430 GT2/355laps
3. No.62 RiSi Ferrari F430 GT2/354laps
4. No.92 Rahal Letteman BMW M3 E92/354laps
5. No.45 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR/534laps
6. No.3 Corvette Racing Corvette ZR1/354laps


10月2日
●ILMC/ALMS“Petit-LeMans”7時間終了 プジョーが1-2 GT2は史上希に見る混戦

Photo:Sports-Car Racing

 スタートから5時間が過ぎても、2台のプジョーとNo.7アウディは熾烈な闘いを繰り広げた。午後4時を過ぎると、コースコンディションが悪化しているため、頻繁にイエローコーションが出されるようになった。プジョーが差を広げても、イエローコーションによって、振り出しに戻ってしまう状況が続いている。しかし、スタートから7時間が過ぎて、日が暮れ始めると、少しずつプジョーが差を広げ始めた。
 No.07とNo.08の2台のプジョーは、しばしばテイルtoノーズとなる等、トップ2を独占しつつある。唯一の対抗馬はNo.7アウディだが、とうとう1周遅れとなってしまった。
 よほどの問題が発生しない限り、2台のプジョーのどちらかが優勝するだろう。
 心配なのは、午後4時を過ぎる頃から、しばしばプジョーのエンジンから白煙が上がることだ……。

Photo:Sports-Car Racing

 LMP2クラスは、No.1ハイクロフトHPDが独走態勢を築き始めている。スタートからペースが上がらないNo.6CytosportポルシェRSスパイダーは、スタート直後に1気筒を失って、7気筒で走っていることを認めた。ハイクロフトの唯一の対抗馬はNo.16ダイソンローラだが、午後4時頃ガレージに入れられたままとなっている。リタイヤ届けが出されるのは時間の問題だ。
   GT2クラスは、日が暮れても、誰が勝つのか?まったく予想が出来ない熾烈な闘いが繰り広げられている。No.62RiSiフェラーリ、No.92BMW、No.3とNo.4コルベット、No.45フライングラザードポルシェ、No.01エクストリームフェラーリが、何と同一ラップでテイルtoノーズの闘いを繰り広げている。
 30分で終わってしまうスプリントレースではないのだ。これほど激しいGTレースは珍しい。
 ポルシェ997GT3Rハイブリッドも好走を続けている。熾烈な6台によるGT2のトップ争いから2周遅れと言う、上々のポジションを走っている。

Photo:Sports-Car Racing

スタートから7時間経過時点の順位
LMP
1. No.07 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP/288aps
2. No.08 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP /288laps
3. No.7 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /287laps
4. No.1 Patron Highcroft  HPD ARX-01c/281laps     *LMP2
5. No.37 Intersport Racing Lola B06/10 AER /281laps
6. No.9 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /272laps

GT2
1. No.62 RiSi Ferrari F430 GT2/261laps
2. No.3 Corvette Racing Corvette ZR1/261laps
3. No.4 Corvette Racing Corvette ZR1/261laps
4. No.92 Rahal Letteman BMW M3 E92/261laps
5. No.45 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR/261laps
6. No.01 Extreme Ferrari F430 GT2/261laps

10月2日
●ILMC/ALMS“Petit-LeMans”決勝レーススタート プジョーリード No.9アウディクラッシュ

Photo:Sports-Car Racing

 週末になるに従ってブラセルトンは暑さを増している。朝9時15分ウォームアップ走行が行われた際、気温はたった60度だったが、11時30分決勝レースがスタートする頃になると、早くも85度を超えた。
 11時30分10時間レースがスタートした。2列目4番グリッドからスタートしたアラン・マクニッシュが乗り組んだNo.7アウディは、早くも1コーナーで2番手のNo.08プジョーに仕掛けた。フォレストヒル手前の下り右コーナーでマクニッシュが前に出る。2周目バックストレート先のシケインへの進入でマクニッシュは抜かれてしまうが、プジョーはタイヤが暖まり難いようで、2台のプジョーと2台のアウディは僅差の闘いを繰り広げた。スタートから20分スズキブリッジ先の最終コーナー手前の下り坂でアクシデントが発生したため、最初のイエローコーションとなった。
 イエローコーションの間にほとんどのクルマはピットに入った。イエローコーション前トップはNo.08プジョー、2番手にNo.7アウディ、3番手にNo.9アデウィ、ポールポジションからスタートしたNo.07プジョーは4番手を走る。そのままの順位で再スタートを切った。
 トップを走るNo.08プジョーのペースは速く、No.7アウディはついて行けない。直ぐに独走状態を築き上げた。3番手のNo.9アウディと4番手のNo.08プジョーは接戦を繰り広げた。

Photo:Sports-Car Racing

 LMP2は、スタート直後No.6ポルシェRSスパイダーがペースが上がらず、No.16ダイソンローラがリードを拡げた。その後No.16ダイソンローラのペースが落ち、No.1ハイクロフトHPDが追いつき、トップの座を奪取した。しかし、ピットイン後No.16ダイソンローラのペースが復活したため、No1ハイクロフトHPDとNo.16ダイソンローラがLMP2のトップ争いを繰り広げた。

Photo:Sports-Car Racing

 午後2時アンドレ・ロッテラーのドライブするNo.9アウディが、フォレストヒル手前の右コーナーでクラッシュした。フロントカウルの左右が完全に脱落してしまったが、カウルの破片をまき散らして、No.9アウディはピットを目指した。もちろん、2度目のイエローコーションとなった。
 コースの2/3に渡ってカウルの破片がまき散らされたため、20分間もイエローコーションは続いた。ほとんどのクルマはピットに入って、給油と共にドライバーを交代した。再スタート時トップはNo.07プジョー、2番手にNo.7アウディ、3番手にNo.08プジョーとなった。
 再スタート後の混乱の中で何台かが接触して、サッシャ・マッセンの操るNo.6ポルシェRSスパイダーは、右フロントタイヤをバーストさせてしまった。再びイエローコーションとなるが、アウディと違ってポルシェは、タイヤの破片をほんの少ししかまき散らさなかったため、直ぐにレースは再開された。

Photo:Sports-Car Racing

 レースが再開された後、アンソニー・デビッドソンが乗り組むNo.07プジョーは独走態勢を築き上げた。2番手のリナンド・カペロがドライブするNo.7アウディはペースが上がらない。ステファン・サラザンが乗り組むNo.08プジョーの攻撃に晒された。圧倒的に速いステファン・サラザンは、バックストレート先のシケインの入り口でリナンド・カペロに仕掛けた。プジョーはインに飛び込んだが、アウディは入り口を閉じてしまった。アウディとプジョーは接触して、プジョーが取り残され、アデウィが2位を守り抜いた。

**スタートから3時間経過時点の順位**
LMP
1. No.07 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP/131laps
2. No.7 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /131laps
3. No.08 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP /131laps
4. No.1 Patron Highcroft  HPD ARX-01c/127laps     *LMP2
5. No.37 Intersport Racing Lola B06/10 AER /127laps
6. No.16 Dyson Racing Lola B09/86 Mazda/125laps     *LMP2

GT2
1. No.4 Corvette Racing Corvette ZR1/117laps
2. No.61 RiSi Ferrari F430 GT2/117laps
3. No.45 Flying Lizard Motorsport Porsche997GT3RSR/117laps
4. No.01 Extreme Ferrari F430 GT2/117laps
5. No.3 Corvette Racing Corvette ZR1/117laps
6. No.92 Rahal Letteman BMW M3 E92/116laps

10月2日
●2011年ALMSカレンダー発表 ラグナセカは9月 ボルチモワの開催決定

Photo:Sports-Car Racing

 昨日行われたALMSの定例プレスコンファレンスにおいて、スコット・アタートンは、正式に2011年のALMSカレンダーを発表した。8月に公表した通りラグナセカが、以前と同じ9月に開催されると共に、実現不可能と思われたボルチモワでの開催も正式に決定した。わざわざボルチモワのオーガナイザーが“プチ-ルマン”までやってきて、スコット・アタートンと共にイベントの内容を発表した。

2月9-10日セブリングウインターテスト(US)
3月19日Rd.1セブリング12時間(US)土曜日
4月16日Rd.2ロングビーチ(US)土曜日
7月9日Rd.3ライムロックパーク(US)土曜日
7月24日Rd.4モスポート(CA)日曜日
8月6日Rd.5ミッドオハイオ(US)土曜日
8月21日Rd.6ロードアメリカ(US)日曜日
9月3日Rd.7ボルチモア(US)土曜日
9月17日Rd.8ラグナセカ(US)土曜日
10月1日Rd.9ロードアトランタ(US)土曜日

10月1日
●ILMC/ALMS“Petit-LeMans”金曜日 ポールポジションはプジョー GT2はフェラーリが1-4独占

Photo:Sports-Car Racing

Practice4
 天気予報通り、朝までに完全に雨は止んで、快晴の中金曜日のスケジュールはスタートした。
 午前9時30分、公式スケジュール上4回目のフリープラクティスが始まった。昨夜のナイトプラクティスを除くと、公式スケジュール上、昼間初めて完全なドライコンディションでのセッションとなった。
 セッション開始直後アウディ勢が頑張るが、プジョーとの差は明らかで、2台のプジョーが次々と1分8秒台に突入したのに対して、2台のアウディは1分10秒の壁を破るのが精一杯だった。
 LMP2クラスは、CytosportのポルシェRSスパイダー、ハイクロフトのHPD ARX-01c、ダイソンのローラ/マツダが争う。CytosportポルシェとハイクロフトHPDの争いと思われたが、終盤になってダイソンローラが速さを増して、Cytosportポルシェ→ダイソンローラ→ハイクロフトHPDの順となった。ILMCのため遠征したOAKレーシングのペスカロロは格下のLMPCマシンにも太刀打ち出来ない状況に陥っている。
 GT2クラスは、予想通りコルベット、フェラーリ、BMWがトップタイムを争った。真っ先にコースインしたフライングラザードのポルシェ997GT3RSRは、上位に進出することが出来ない。結局ワークスコルベットがトップタイムを記録した。
 997GT3Rハイブリッドは、ワークスコルベットの1.2秒遅れの好タイムを記録した。

Qualifying GT2
 晴天となってブラセルトンの気温はどんどん上昇した。午後3時15分GTクラスの予選が開始される頃になると路面温度は90度を超えた。セッション開始早々ジェイミー・メローのRiSiフェラーリがトップタイムを記録する。ディレク・ミュラーのBMWが追う展開となった。25分しか時間が無く、同じタイヤを決勝レースのスタートでも使用しなければならないため、せいぜい4回しかタイムアタックを行うことは出来ない。RiSiフェラーリは素晴らしい速さを見せつけた。ジャンカルロ・フィジケラ、ジェイミー・メロー、ミカ・サロの豪華メンバーが乗り組んだNo.61 RiSiフェラーリ(タイムアタックはジェイミー・メロー)は1分19秒889を記録して、文句なしのポールポジションを獲得した。
 2位以下は、終盤フライングラザードポルシェとロバートソンレーシングのドラン-フォードGTが上位に顔を出したが、結局トップ4をフェラーリが占め、対抗馬と考えられたディレク・ミュラーのBMWは5位、続いて2台のワークスコルベット、フライングラザードポルシェの順となった。

GT2
1. No.61 RiSi Ferrari F430 GT2/1:19.889
2. No.62 RiSi Ferrari F430 GT2/1:20.070
3. No.02 Extreme Ferrari F430 GT2/1:20.165
4. No.01 Extreme Ferrari F430 GT2/1:20.185
5. No.90 Rahal Letteman BMW M3 E92/1:20.322
6. No.4 Corvette Racing Corvette ZR1/1:20.598


Photo:Sports-Car Racing

Qualifying LMP
 セッション開始早々アンソニー・デビッドソンの操るNo.07プジョーは最初のタイムアタックで1分10を切るラップタイムを叩き出した。アウディ勢はブノア・トレルイエのNo.9が頑張るが、1分11秒を切るのが精一杯だ。アンソニー・デビッドソンは2回目のタイムアタックで何と1分7秒187を叩き出した。たった4周を走っただけでNo.07プジョーはタイムアタックを終了した。
 2番手争いは、ペドロ・ラミーのNo.08プジョーとブノア・トレルイエのNo.9アウディの間で繰り広げられた。ブノア・トレルイエは予定を大きく超える10周を走ってペドロ・ラミーを追ったが、アンソニー・デビッドソンの0.2秒遅れでペドロ・ラミーのプジョーが2位フロントローを獲得して、さらに0.2秒遅れでブノア・トレルイエのアウディは3番手となった。
 LMP2クラスは、クラウス・グラフが乗り組んだNo.6 Cytosportポルシェ、デビッド・ブラバムが乗り組んだNo.9ハイクロフトHPD、ガイ・スミスが乗り組んだNo.16ダイソンローラが熾烈た闘いを展開した。
 3回目のアタックでクラウス・グラフのポルシェとデビッド・ブラバムのハイクロフトHPDは1分11秒を切る。僅差でクラウス・グラフがデビッド・ブラバムを抑えてトップタイムを記録するが、その差はほんの僅かだ。8周を走ると、タイヤを温存するため、デビッド・ブラバムはタイムアタックを終了した。その時点でガイ・スミスのダイソンローラは1分12秒台だったため、ポールポジションを確信したクラウス・グラフのポルシェは一旦ピットに入ってきた。ところが次の周ガイ・スミスは1分10秒台に突入して、続くタイムアタックでトップに躍り出た。
 そこからポルシェとダイソンローラの熾烈なタイムアタックが始まった。しかし、どちらもタイヤを消耗しており、そのままダイソンローラがトップのまま予選は終了した。

LMP1
1. No.07 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP/1:07.187
2. No.08 Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi FAP /1:07.409
3. No.9 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /1:07.610
4. No.7 Audi Sport Team Joest Audi R15 TDI /1:08.112
5. No.37 Intersport Racing Lola B06/10 AER /1:10.128
6. No.12 Autocon Motorsports Lola B06/10 AER /1:14.109

LMP2
1. No.16 Dyson Racing Lola B09/86 Mazda/1:10.417
2. No.6 CytoSport Porsche RS Spyder/1:10.548
3. No.1 Patron Highcroft  HPD ARX-01c/1:10.661
4. No.35 OAK Racing Pescarolo 01 Judd/1:15.989
5. No.5 Libra Racing Radical SR9 IES/1:21.820

Photo:Sports-Car Racing

10月1日
●ライリーテクノロジーがLMP2プランを発表

CAD:Riley Technologies
 リアホイールハウス前のエアインテイクに注意。ツインターボエンジンを対象
として開発されていることの証明だ。噂を信じるのであれば、ロウシュ-イエ
ーツ製のフォード3.2リットルV6ターボエンジンと組み合わせたいようだ。

 今日(10月1日金曜日)ALMSのスコット・アタートンが定例のプレスコンファレンスを開催した際、最初にスコット・アタートンは、自ら「第二幕を用意している」と説明した。第二幕とは、2011年に新たにALMSとのパートナーシップを約束したコンストラクターやエンジンビルダー、そしてレーシングチームの発表があることだった。レーシングチーム代表として紹介されたのはインディアナポリスを拠点とするWESTだった。WESTは、2011年ランボルギーニLP560(ガヤルド)GT2によって、ALMSのGTクラスへの参戦を発表した。WESTランボルギーニのプランは、完全にGT1クラスが消滅したことを宣言するものとして注目されたが、もう1つ、スポンサーとしてヨコハマタイヤが支援することも驚きだった。
 なぜなら、2010年ヨコハマタイヤは、ポール・ジェンティロッティのRSRジャガーのパートナーとしてタイヤを開発していた。TransAmチームだったRSRが優秀なGT2カーを開発するのは容易ではないようで、コース上だけでなくマーケットでもライバルであるポルシェ、フェラーリ、BMWに負け続ける結果となった。外部の我々の方が、ヨコハマタイヤの去就を心配するような状況だった。
 WESTとの契約を発表したことによって、RSRへはプレッシャーがかかるが、もしかしたら、ヨコハマタイヤからの決別宣言と判断すべきかもしれない。

 コンストラクターとして紹介されたのは、ライリー&スコットで1990年代北アメリカのスポーツカーレースで一世を風靡したライリーテクノロジーがLMPへ戻ってくることだった。
 ライリー&スコットから改名したライリーテクノロジーは、ボブ・ライリーと息子のビル・ライリーが運営していたが、現在は息子のビル・ライリーが取り仕切っており、SEA ATARグループの1部門となっている。1980年代末シボレーGTPで注目されたボブ・ライリーはライリー&スコットを創設して売り出したのがライリー&スコットMKVだった。既にカーボンファイバーコンポジットモノコックの時代だったにも関わらず、販売価格を抑えるため、四角の鋼管パイプのフレームの外側に建築用のカーボンファイバーコンポジット板を張り付けたフレームだった。誰の目にも時代錯誤に思われたが、MKVは1990年代のスポーツカーレースで大活躍を演じることとなった。フェラーリ333SPやローラB98-10、レイナード2KQが登場しても、次々と改良を加えられたMKVは活躍を続けた。
 2000年MKVの発展型のMKVcを送り出すが、角パイプのフレームにカーボンファイバーコンポジット板を張った構造は同じで、つまり安かったが、MKVの様なブームを作ることは出来なかった。

CAD:Riley Technologies
 フロントホイールハウスとサイドポンツーンの間に大きなスペースがあるのに注意。
LMP2専用とすることによって、要求される冷却能力が小さくなることに合わせて、
小さなラジエターを納めるため、サイドポンツーンが小さくなった結果だ。 

 ACOは2011年のLMP2の販売価格を325,000ユーロに制限したことから、ボブ・ライリーの興味を惹いたようで、完全に新しいLMP2カーを開発することを決心した。
 本日の段階では名前は発表されていないが、新たらしいライリーLMP2カーは、ライリーテクノロジーとして初めての、完全なカーボンファイバーコンポジットのモノコックフレームを持つ、エンジンはローシュ-イエーツが開発する3.2リットルV6ツインターボエンジン、HPD2.8リットルV6ターボエンジン、ジャドが開発するBMWの4リットルV8等を搭載することが可能と発表された。
 LMP2を対象として開発するようで、LMP2が要求する冷却能力に合わせたコンパクトなサイドポンツーンとコンパクトなリアタイヤハウスのスペースを設定しているようだ。

 CADイラストを見ても明らかな様に、リアタイヤハウス前の左右に2つのインテークが設けてある。つまり、ツインターボエンジンを対象として開発中であるのだろう。どうやら、ロウシュ-イエーツの3.2リットルV6ツインターボエンジンとセットで開発されているらしい。
 MKVによってデイトナ24時間を制したボブ・ダイソンがユーザー候補となっているが、ダイソンもライリーとフォードV6ターボエンジンに興味を示している。しかし、ダイソンはMKVを走らせた時、搭載していたのはラザーノブラザーズ製のフォードV8で、フォードに近いと言われるジャック・ロウシュやロバート・イエーツが作ったエンジンではなかった。また、現在ダイソンはマツダと契約しているため、マツダとの関係をどのように解消するかも問題となるだろう。

10月1日
●2011年ルマン24時間レースのカレンダー発表 テストディは4月24日

Photo:Sports-Car Racing

 ACOは伝統のルマン24時間レースについては、6月11日〜12日に開催することを発表していたが、2009年以降廃止されていた独立したテストディを復活させるプランについて、カレンダーを決定していなかった。元々このテストディは5月初めに行われていたが、ALMSチームがルマンに参加する場合、2度大西洋を横断することとなるため、2005年より、本番のレースウィークの1週間前に行われるようになった。ところが、1週間前にテストディを行った場合、レーシングチームは、そのままルマンに居続けることとなるため、宿泊費が一挙に2倍に膨れ上がってしまった。しかも、まるまる2週間以上、多数の部屋が必要となったため、レーシングチーム同士でホテルの部屋の取り合いとなって、その結果、さらに宿泊費の高騰を招くこととなった。2008年のリーマンショックの後の急激な景気の後退によって、どのレーシングチームも経費の削減が必要となった。特にファクトリーチームは大きなコストカットが求められた。そして2009年以降、それまでレースウィークの1週間前に行ってきた独立したテストディを廃止して、レースウィークの中で、1日目に6時間連続でフリープラクティスを行って、その代わりとした。

 2005年テストディが、本番レースのレースウィークの1週間前に行われるようになった理由は、ALMS参加チームへの配慮だったが、レースの1週間前にサルテサーキットを走って、問題が判明しても、本番レースまでに修復出来ないため、多くのレーシングチームは、費用以外の面でも、賛成ではなかった。
 元々2005年以降ALMSは、ルマン参加チームへ配慮して、5月にカレンダーを組まなかったため、わざわざマシンを2度も大西洋を横断する必要はなくなっていた。
 そこで、再び1ヶ月前に独立したテストディを行うプランが話し合われるようになった。当初2004年までと同じ様に5月初めの開催が有力視されていたが、日本のメーカーへの配慮を含む、いくつかの理由によって、さらに1週間早い4月24日に開催されることが決定した。
 日本のメーカーへの配慮とは、5月の第1週SuperGT最大のイベントが富士スピードウェイで行われるからだ。JGTCの時代から、5月初めのゴールディンウィークに富士スピードウェイで行われるSuperGTと、その1日か2日後に行われるルマンのテストディは、日本のメーカーにとって大きな頭痛の種だった。
 日本メーカーが居なくなった後、アジア進出を目指したACOは失敗を重ねた。頼みの綱だった童夢も参戦を取り止めてしまった。これらの問題の理由の1つを日本のメーカーの不在と判断しているのだろう。


9月30日
●ILMC/ALMS“Petit-LeMans”木曜日

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよILMC第2戦、そしてALMS最終戦“プチ-ルマン”の公式スケジュールが始まった。しかし、ALMSの場合重要なセブリング12時間と“プチ-ルマン”だけの特別ルールとして、1週間前からテスト走行を行うことが許されている。今年の“プチ-ルマン”の場合ロードアトランタは、先週月曜日からALMS参加チームは走行出来るセッションを設けた。そのため、ポルシェが全力で開発中の997GT3ハイブリッドの様に、1週間もロードアトランタで走り続けるマシンも存在した。

 先週もアトランタ周辺は天気が不安定で、月曜日にポルシェが走行を開始した時、急に降り始めた雨によって、開発途上の997GT3ハイブリッドはコースアウトを演じている。
 今週も不安定な天気は変わらないようで、水曜日の夜ロードアトランタが存在するブラセルトン周辺は雨となった。明け方雨は止んだが、ロードアトランタの難コースは完全に濡れてしまった。
 昨年の悪夢が思い起こされるが、午前10時フリープラクティスが開始される頃となってもコースはウェットコンディションのままだった。今週末ブラセルトンを含むアトランタ全域の天気は晴れと予想されるため、多くのチームが走行を見合わせた。
 アウディ、プジョー、ハイクロフトHPD、ドライソンローラ、コルベット、BMW、RSRジャガー、997GT3ハイブリッド等は、レインタイヤを履いてコースインしたが、多くのチームはコースが乾くのを待った。セッション開始直後再び雨が降り始めたため、コースインしたチームの半数も、数周しただけでピットに戻った。
 残り20分を切る頃になって、雨が止んで急速にコースが乾き始めた。スリックタイヤに履き替えたアウディとプジョーは、1分10秒を切るラップタイムを記録している。LMP2クラスではハイクロフトHPDが圧倒的な速さを披露して、LMP1クラスに割ってはいる1分11秒台の総合4番手のラップタイムを記録した。GT2クラスは走行を続けたコルベット勢が1-2を占め、終盤走行を開始したBMWが続いた。
 セッション終盤になってダイソンローラが走り始めたが、CytosportのポルシェRSスパイダーやRiSiフェラーリ、フライングラザードポルシェは、ガレージから出ることはなかった。

 午後1時30分頃から再び雨が降り始めた。2時35分から2回目のフリープラクティスが行われる直前になると、大粒の雨が降り始めた。セッションが開始されると、997GT3ハイブリッドとアウディが997GT3Cupと共にコースインしたが、数周走っただけでアウディはピットに戻った。997GT3ハイブリッドが走り続ける間、フライングラザードの997GT3RSRが走り始めた。
 当然ながら、997GT3ハイブリッドは4輪駆動であるため、このようなコンディションに向いていると考えられている。5月に行われたニュルブルクリンク24時間で速さを披露しているが、ロードアトランタにやって来た997GT3ハイブリッドは997GT3Cupカーを抜くのも容易ではないようだ。
 雨が止む気配はなかったが、セッション中盤になってロバートソンレーシングのドラン-フォードGT(GT2)が走り始めると、あっさりと997GT3ハイブリッドのタイムを破ってしまった。
 圧倒的なパワーと4輪駆動によって、997GT3ハイブリッドはGT2カーに匹敵する速さを発揮すると考えられたが、現在のところGT2カーに対抗するのは不可能と言うべきだろう。

Photo:Sports-Car Racing

 夜7時から2時間のナイトプラクティスが行われた。夕方になって、やっと雨が止んだため、ほとんど総てのクルマが走ることとなった。と言っても、完全に雨雲が姿を消した訳ではなく、時折小雨が降る中での走行となった。ステファン・サラザンのプジョーが1分8秒台のトップラップタイムを記録した。
 LMP2クラスは、やっと走り始めたCytosportのポルシェRSスパイダーとハイクロフトHPDの闘いとなった。デビッド・ブラバムのハイクロフトHPDが、ルーカス・ロールのRSスパイダーを0.06秒だけ破るトップタイムを記録した。ルマン終了後ポルシェはCytosportのRSスパイダーに次々とテコ入れを行っており、ポルシェのエンジニアが997GT3ハイブリッドとかけ持ちでサポートしている。
 GT2は、昼間走らなかったRiSiフェラーリがExtremeフェラーリと速さを競い合った。僅差でExtremeフェラーリがGT2のトップタイムを記録した。

 しかし、去年がそうだったように、コントロールタワーは大混乱しており、ラップタイムモニターは作動しているものの、ラップタイムをプリントアウトする回線に不具合が発生した。IMSAはナイトセッションの公式リザルトを翌朝発表する予定だ。

9月24日
●2011年レベリオンはトヨタのFNエンジンを使用!? それともポルシェハイブリッド?

Photo:Sports-Car Racing
2010年レベリオンは最も裕福なスポーツカーチームだった。ローラとジャドに資金を提供して、それぞれレベリオン・ローラとレベリオン・ジャドと名乗った

 6月のルマンの際レベリオンは、2011年にポルシェとLMP1カテゴリーで提携する方向で交渉中であるのを公表している。その後ポルシェもレベリオンとの交渉を認めた。
 レベリオンがポルシェと交渉していたのは、RSスパイダーの3.4リットルV8と電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムについてだった。昨年12月ポルシェは、2011年にトップカテゴリーへ復帰する方向で検討していることを公表している。その際に開発中のハイブリッドシステムを使用する意向であることも明らかにしている。その後ポルシェがLMP1で使用する意向のハイブリッドシステムは、918スパイダーのため開発中であることも明らかとなった。

 しかし、7月になってポルシェは、2011年にLMP1クラスへ復帰する可能性が少ないことを明らかとしている。「可能性が少ない」と述べた理由は、現行のRSスパイダーをベースとすれば、幅16インチのタイヤを履くだけで、容易に2011年のLMP1カーが出来上がってしまうからだった。プライベートチームが既存のRSスパイダーをベースとしたLMP1カーを望むのであれば、拒否出来ない、との判断だった。

 この頃になるとレベリオンは、2011年にポルシェを走らせる可能性が無くなったことを認めた。そして、2011年に有力な3.4リットルガソリンエンジンを使用する計画であることを明らかとした。
 レベリオンが狙っていたのは、ジャドやザイテックの市販エンジンではなかった。2010年ストラッカがヨーロッパでHPDのLMP2カーを走らせるようになると、最新のワークスエンジンに対して、市販エンジンでは歯が立たないことが明らかとなったため、RSスパイダーに積まれていたポルシェの3.4リットルV8、ストラッカとハイクロフトが使用していたHPD(旧アキュラ)3.4リットルV8、そして、日本のフォーミュラニッポンで使われているトヨタの3.4リットルV8だった。

 2010年レベリオンは、ジャドに資金を投入して、ジャドGV5.5S2エンジンをレベリオンジャドと改名して使用している。そのため、ポルシェやHPD、そしてトヨタFNエンジンを使用するとしても、無償で供給を受けるのではなく、有償を前提として交渉していたようだ。
 RSスパイダーそのものを販売しているポルシェ、既に2010年HPDブランドで3.4リットルV8を供給しているホンダは、スムーズに話し合いが進んだかもしれない。しかし、既にポルシェとホンダの3.4リットルV8は使用しているレーシングチームが存在している。特にホンダの場合、ストラッカとハイクロフトが、2011年にトップカテゴリーへ参入するのは予想されていた。そこでレベリオンが第一候補として狙っていたのはトヨタのFN用3.4リットルV8だった。

 先週ヨーロッパの彼方此方でレベリオンとトヨタの交渉の噂が飛び交った。しかし、レベリオンはトヨタと交渉していることは認めても、決定したとは言っていない。トヨタは黙りを決め込んでいる。
 レベリオンは、ポルシェと言う保険を持っているため、慎重に交渉を行っているようだ。ポルシェへのオーダーの締め切りは12月初めと考えられるため、トヨタの決断をじっくりと待つつもりだろう。
 むしろ、トヨタエンジンを搭載するローラ製シャシーの改良に注文をつけているようだ。
 2週間前シルバーストーンでローラは、新しいLMP1カーについて、ハイブリッドシステムとの組み合わせることを念頭に置いて開発していることを公表している。
 既にザイテックは、ハイブリッドシステムの販売を公表しており、2011年に走るザイテックLMP1カーの総てがハイブリッドとなる方向であることも認めている。ザイテックのハイブリッドシステムは、ベルハウジングの中に電気モーターをレイアウトするタイプであるため、ザイテックLMPカーでなくても、新たにベルハウジングを造るだけで、どのLMPカーにも使用可能だ。
 ザイテック以外のエンジンを使う場合、エンジンのECUとハイブリッドシステムのザイテック製ECUとの統合制御が必要となる。しかし、パドルシフトと比べると、統合制御は容易と言われているため、ザイテック製パドルシフトはザイテック以外のエンジンにも使われている様に、充分に可能であるだろう。
 レベリオンが何を目論んでいるのか、判っただろうか?

9月22日
●今年の“プチ-ルマン”に参加するガソリンエンジンはE10とE85の2つのアルコール燃料を使用

Photo:Sports-Car Racing

 2004年以降ALMSは“エコ”を前面に出した戦略を推進している。ALMSが最初に取り組んだのは化石燃料からの脱却だった。そしてガソリンエンジンに対してエタノールを10%含有させたE10燃料の使用を義務付けた。E10燃料は、従来のガソリンエンジンを改造することなく使用することが可能だったため、ALMSだけでなく、ACOが直接管理するルマン24時間レースとLMSでも使用されることとなった。
 2007年ALMSは、よりエタノールの含有量を増やした燃料の使用を計画したが、よりコスト高となることを恐れて、ヨーロッパのレーシングチームやエンジンビルダーの賛同を得ることが出来なかった。
 しかし、ライバル不在のGT1クラスでは、ほとんどの場合GMワークスの2台のコルベット同士が争っていたため、GMワークスがE85燃料の使用を開始した。
 その後、徐々にE85燃料を使用するレーシングチームが増えたため、2010年ALMSは、ガソリンエンジンカーの基準燃料をE85とすることを決定した。

 エタノールの含有量が増えると、どのような影響が生じるのだろうか?詳しくはSports-Car Racing Vol.18をご覧頂きたいが、エタノールの含有量が増えることによって、急激にオクタン価が上昇する。また、エタノールの高い揮発性によって、気化熱にって燃焼室の温度を引き下げることも可能となる。よって、専用に開発されるのであれば、より大きなパワーを発生することが出来る。
 しかし、エタノールの含有量を増えると、劇的に燃費が悪化してしまう。

 そこでALMSがE85燃料を導入した際、E10燃料を使用するエンジンに対して、リストリクターの大きさを5%縮小して、エンジンパワーの均一化を図る一方、燃費の悪さを考慮して、より大きな燃料タンクの使用を許した。5%小さいリストリクターを装着したE85燃料エンジンの燃料消費率は、E10燃料エンジンより約30%悪いと考えられるが、LMPカーの燃料タンク容量は、元々100リットルであるため、現在のルールの90リットルより30%も大きな燃料タンクを搭載するのは少々難しい。
 そこで、LMPカーが無理なく搭載可能な110リットルとする一方、E85燃料マシンが、より多くのピットストップを行うことに配慮して、ピットで燃料を補給する給油タンクと給油ホースのルールを変更した。E10燃料の給油タンクの高さが2mで、給油ホースの直径が33mmであるのに対して、E85燃料の給油タンクの高さを2.2m、給油ホースの直径は38mmが許されている。

Photo:Sports-Car Racing

 ここまでは2010年のALMSのルールだが、来週ロードアトランタで開催されるALMS最終戦“プチ-ルマン”は、ILMC(インターコンチネンタル・ルマン・カップ)の第2戦としても行われる。
 困ったことに、3つのメーカーが熾烈なタイトル争いを繰り広げているLMGT2クラスは、E10とE85の両方の燃料を使用するマシンが争うこととなってしまった。
 しばらく話し合いが続いていたが、最終的にACOは、E10とE85の双方の使用を認めて、2010年のALMSのルールをそのまま使用することも決定した。
 一般的には、5%小さいリストリクターを装着しても、E85燃料を使用した方が、より大きなパワーを絞り出すことが可能と言われている。E85燃料を使用するGMワークスのコルベット、フェラーリ勢、フライングラザード・ポルシェ、そしてレイホール・レッターマンBMWが速さを発揮するのだろうが、10時間レースの間、2回程度余計にピットストップをしなければならない。E10燃料を使うロバートソンレーシングのフォードGTがチャンスを掴むこととなるかもしれない。

9月16日
●2011年バージョンのS102を開発していた童夢    見えない脅威の登場

Photo:Sports-Car Racing

 先週童夢は、S102による最後の風洞実験を行った。童夢のホームペイジでも公表された様に、発展型S102には、“スワンネック”によってマウントされる1.6mリアウイング、リアフェンダー後部が盛り上がったリアボディ、大きな1枚のスリットを設けられたテイルエンド等2010年空力パッケージだけでなく、何と2011年に義務付けられる“シャークフィン”が取り付けられていた。しかも、9月末には、実車も完成すると言うのだ!
 林みのるは、ご丁寧にも「決して走ることがない発展型S102」と表している。しかし、9月末には最新のLMP1カーが完成してしまうのだ。童夢は走らせなくても、最新のLMP1カーを求めるレーシングチームがコンタクトしてきたら、林みのるは、どのように対応するのだろうか?

 発展型S102は、興味深い試みが行われている。その1つは、テイルエンドに設けられたフィンだ。
 2010年ACOはマシンを後方から見た時、内部構造が見えることを禁止した。そのため、テイルエンドにはフィンを設けなけらばならなくなった。しかし、ACOはテイルエンドに設けるフィンについて、@左右対称、A直線で構成、B下方向の3つをフィンの条件としている。

 2010年に登場したLMPカーの中で、アウディR15+は、左右のタイヤハウス後方のテイルエンド部分に設けられたフィンの真ん中に横方向へ向かったフィンが取り付けられており、LMSスパ-フランコルシャンの車検の時、ライバルチームから説明を求められる事態に陥っている。車検には合格したが、ACOは、アウディのフィンが合法である理由を公表しなかった。
 アウディ以上に疑惑の対象のなっているのは、ストラッカとハイクロフトが走らせているHPD ARX-01cだ。ARX-01cのテイルエンドには、円形のフィンが取り付けられている。ニック・ワースは、どのような良い訳をして、円形のフィンをACOに認めさせたのか? 注目が集まっている。

Photo:Sports-Car Racing

 童夢の回答は、テイルエンド上部を塞いでしまう一方、その内側に大きな下向きのフィンを設けて、内部構造を隠している。アウディやニック・ワースの回答は、一休さんのトンチの様な押し問答を行う覚悟無しでは実現不可能だ。それに対して、童夢の回答は、単純明快な優れものに思える。
 童夢は、テイルエンドのフィンについて、謙虚にも「ルール上約−1%となるのを、ほとんど無視出来る程度まで取り戻した」と述べているが、実際は、逆に空力性能を向上できる可能性もあったようだ。
 2010年ガソリンエンジンのリストリクター径が拡大され、約5%パワーアップしているため、多少ドラッグが大きくなっても、より大きなダウンフォースを追求した方が有利と判断されたためだ。

 幅1.6mの小さなリアウイングで、大きなダウンフォースを求めた場合、より大きな迎え角を設けることとなる。しかし、大きな迎え角のウイングは、ドラッグが大きいだけでなく、失速し易い。その対策として編み出されたのが、“スワンネック”や後方がせり上がったリアフェンダーだ。
 これらのアイテムも、2010年ガソリンエンジンのリストリクターが拡大され、パワーアップしなければ、童夢は採用しなかったかもしれない。レギュレーションが是正されパワーアップしたため、小さいドラッグより大きなダウンフォースが有利と判断された結果開発されている。
 ペスカロロやORECAは、後方がせり上がったリアフェンダーを開発する際、同時に低いサイドポンツーンを開発しているが、ペスカロロのクロード・ギャローピンは、童夢S102がヒントとなったことを認めている。前面投影面積が小さくなるだけでなく、より多くの空気をリアウイングに導くには、低いサイドポンツーンであることが重要な条件だったようだ。
 逆に、元々低いサイドポンツーンだったS102は、後方がせり上がったリアフェンダーを巧妙にデザインするだけで、大きな空力性能を実現している。

Photo:Sports-Car Racing

 童夢はルマン専用として発展型S102を開発している。そのため、一切のカナードウイングが設けられていないが、せり上がったリアフェンダー後部は、同時にノーズ左右同様内側に窪んでいる。もし、発展型S102のスプリントバージョンを造る場合、この部分に何枚かのフィンが取り付けられるのだろう。

 昨日童夢が発展型S102の風洞実験を公表すると、その数時間後、ローラが連絡してきている。ローラやORECAにとって、現在でも、童夢が見えない最大の脅威であるのは変わらないようだ。
*注:Sports-Car Racing Vol.19の特集記事をご覧ください。

9月15日
●Jotaは2012年と2013年にアストンマーティンLMP1を走らせる

Illustration:AstonMartin Racing

 先週末アストンマーティンレーシング(AMR)は、2011年に“屋根無し”のLMP1カーを登場させることを発表した。その際デビッド・リチャーズは、そのクルマを6台だけ作ることを公表している。
 AMRの母体であるプロドライブは、CAREと共に行ったフェラーリ550GTSプログラム以来、マシンをレースで走らせるレーシングチームとマシンのオーナーを切り離して、クルマを購入するオーナーにとってコレクターズアイテムとなるよう、クルマの台数を限定すると共に、レースヒストリーを重要視した戦略を駆使して、スポーツカーレースでの活動を行っている。
 であるから、新しい“屋根無し”のLMP1の生産台数を6台に限定することは充分に予想されていた。誰もが知りたかったのは、その6台を買うのが誰か?と言うことだった。

 6月のルマンの後Jotaは、AMRとの間で長期的なパートナーシップを締結したことを発表している。そのため、6台の内の1台はJotaが走らせる可能性が高いと考えられていた。
 デビッド・リチャーズの発表を受けて、昨日Jotaは、2012年と2013年にアストンマーティンの“屋根無し”のLMP1カーを走らせることを発表した。
 しかも、早くも2012年と2013年のドライバーまで発表した。そのドライバーとは、Jotaの共同オーナーのサイモン・ドランと、今年AMRのドライバーとして活動しているサム・ハンコックだ。

 気になるのは、2011年にJotaが何を行うのか?と言うことだが、2011年Jotaは、アストンマーティン・ヴァンテッジGT2カーによって、ルマン24時間レースとインターコンチネンタル・ルマン・カップを闘うこととなる。2011年ACOのGTカテゴリーは、GT2をトップカテゴリーとして行われる。コルベットやBMWのワークスチーム、そして強力なポルシェとフェラーリ勢に対抗するため、アストンマーティンは強力なレーシングチームを求めていたから、両者の目論みが一致したのだろう。
 Jotaによると、2011年のJotaはJota Sport AMRを名乗ると言う。JotaによるヴァンテッジGT2カーによる活動は、事実上のAMRセミワークスチームであると考えられている。

9月14日
●SuperGT富士の代替えイベントは無し、2010年のSuperGTは全8戦のポイントで争う

Photo:Sports-Car Racing

 先週末富士スピードウェイで開催される予定だったSuperGT第7戦が台風の影響によって中止されることとなった結果、大詰めを迎えていたシリーズタイトル争いに大きな影響が出ることとなった。
 残るイベントは最終戦ツインリンクもてぎの1つだけで、しかも最終戦に限って、これまでシリーズを闘う過程で累積されたウエイトハンデは撤廃される。つまり、これまで多くのポイントを獲得したチームは、例外なく大きなウエイトハンデを課せられている。これらのチームは第7戦富士スピードウェイを無難に闘って、ウエイトハンデが無くなる最終戦もてぎで勝負をかけると思われていた。
 逆にシリーズポイント下位のチームはウエイトハンデが少ないため、第7戦富士スピードウェイで好成績を上げ、ポイントを獲得して、最終戦もてぎを迎えたいと考えていた。
 ところが、第7戦富士スピードウェイが中止されたため、このまま代替えレースが行われないのであれば、現在ポイント上位のチームが有利となる。そのため、代替えレースの有無が注目されていた。
 
 今日GTAは、第7戦富士スピードウェイ中止に伴うシリーズの取り扱いについて発表した。
 GTAの発表によると、@第7戦富士スピードウェイの代替えイベントは行わない。Aシリーズタイトルについては、全7戦の合計ポイントによってタイトルを決定する。B最終戦におけるウエイトハンデの取り扱いについては、第7戦にエントリーしたドライバーについては、参加したものとして取り扱い、第8戦におけるウエイトハンデは0kgとなる。C5戦以上の参加によって、参加の資格が与えられる特別戦(Sprint Cup)について、第7戦にエントリーしたドライバーは参加したものとして取り扱われる。

9月13日
●2011年ルールのシャークフィンはニューマシンにのみ義務付け アップデイトカーは装着免除

CAD Image:Lola Cars
このイラストは、7月末B11-80 LMP2カーを発表した際、同時に公開されたもの。
しかし、リストリクターが2つ存在する等、明らかに2011年のLMP1カー。
2010年までに作られたB08系の場合、垂直尾翼の装着義務はなくなりそうだ。

 2011年の新しいレギュレーションの中で、今年になって新たに追加されたのは、リアカウル上に取り付けられる垂直尾翼だった。この垂直尾翼は、高速域でのスピンを防ぐ特効薬と考えられている。
 しかし、総てのクルマに同じ条件で垂直尾翼の装着を義務付けるのは非常に困難だ。現在でも、正式な2011年レギュレーションは公表されてないが、これまでACOのテクニカルミーティングでは、@上端が路面から1,000mm以上、A後端がリアタイヤ後端、B前端はリアバルクヘッド(燃料タンク後端)部分、として話し合われている。つまり、面積の規定はない。
 ホイールベースが長く、リアバルクヘッドとリアタイヤとの間隔が大きなクルマの場合、大きな垂直尾翼が要求され、逆にホイールベースが短いクルマの場合、小さい垂直尾翼しか要求されない。
 しかも、垂直尾翼上端が1,000mm以上としか規定していないため、ローラは、垂直尾翼上部が、前が低く、後ろが高いデザインに仕立てた。アストンマーティンに至っては、垂直尾翼の後下部を切り欠いて、前部でのみリアカウルに取り付けるデザインを創り上げてしまった。

 元々、高速域でのスピンを防ぐ程の効果を期待する以上、垂直尾翼は大きくなると共に、大きな空気圧がかかる。そのため、強固にリアカウルと接合されることが要求される。
 走行中何らかな問題が発生して垂直尾翼が脱落した場合、大きな垂直尾翼は、新たなアクシデントの原因となるとして、反対する意見も少なくなかった。
 そこで、2011年の場合、ニューマシンに限って垂直尾翼の装着を義務付けることとなるようだ。

 既にローラとORECAが、従来マシンをベースとして2011年ルールに適合させるアップデイトキットの発売を発表しているが、その場合、垂直尾翼の装着は義務付けられない見込みだ。
 2011年に古い“屋根無し”のローラB05-40系が登場するとは考えられないが、“屋根付き”のローラB08系やザイテック勢にとって、朗報となったかもしれない。もちろん、ORECA 03の様に、ボディの総てを交換する様な場合は、ニューマシンとして垂直尾翼の装着が義務付けられるだろう。

9月13日
●ORECA 03の正体? ORECA 02は何? プジョーとORECAの提携は?

CAD Image:ORECA

 2週間前ORECAは、2011年ルールに従って開発したORECA 03 LMP2カーを発売することを発表した。この発表の数日前ORECAは、フォーミュラルマン/ルマンプロトタイプをベースとして2011年LMP2カーにアップデイトするキットの発売を発表していたため、新規に生産される2011年LMP2カーが存在することを表明したと言えるだろう。つまり、新規に生産される2011年LMP2カーとフォーミュラルマンをベースとしてアップデイトされるLMP2カーの両方が、2011年ORECA 03として登場することとなる。

 2週間前掲載した様に、現在ORECAの最新マシンであるORACA 01 LMP1カーは、フォーミュラルマン/ルマンプロトタイプの元となった旧クラージュLC70/LC75を発展させたクルマだ。当然フォーミュラルマン/ルマンプロトタイプや旧クラージュLC70/LC75を最新のORECA 01にアップデイトすることは可能だ。ORECA 01の2011年LMP2バージョンがORECA 03であると考えると判り易いかもしれない。

 ACOの2011年LMP2レギュレーションは、販売価格の上限を345,000ユーロと定めていることもあって、LMSとALMSのため、たくさん作られたフォーミュラルマンとルマンプロトタイプカーをベースとすることは重要なポイントだった。既に幾つかのフォーミュラルマン/ルマンプロトタイプチームは、ORECAに対してアップデイトキットについて問い合わせを行っているらしいが、総てのボディパネルとベルハウジングを交換しなければならないため、極端に安い訳ではないようだ。コンプリートカーでも345,000ユーロであるため、ニューマシンをオーダーするチームも少なくないだろう。

 ところで、現在最新のORECA LMPカーがORECA 01であるのに、新しくORECAが作るLMP2カーがORECA 03であることを不思議とは思わなかっただろうか?
 2週間前ORECA 03が発表された際、最も大きな疑問は「ORECA 02は何?」だった。

 先週末シルバーストーンでLMS最終戦とILMC開幕戦が行われた際、ORECAのヒュー・ド・ショーナックは、この疑問に答えた。昨年末ORECAがプジョーとの提携を発表した時、ORECAは2011年にプジョーエンジンを積んだLMP1カーを開発する旨を発表している。ORECA 02とはプジョーエンジンを搭載するLMP1カーの名前であるようだ。
 3月にポールリカールでORECA 01の2010年バージョンが公開された時、ヒュー・ド・ショーナックは「このマシンの空力コンセプトが、ニューマシンに活かされる」と語っていた。
 であるから、酷寒のポールリカールを訪れた誰もが、早い段階でプジョーエンジンを積んだORECAのLMP1カーが登場することを疑わなかった。

 しかし、先週末ヒュー・ド・ショーナックは、プジョーエンジンを積んだLMP1カーの登場について、明確な回答を避けた。かなり前から開発をスタートしている新しいLMP1カーの名前がORECA 02であることを認めているのであるから、少々不可解な状況と言うべきだろう。
 現在プジョーが、2010年の908をORECAに売却して、2011年にORECAが、ハンデ付きの908を走らせるとする噂さえ存在するため、プジョーとORECAが仲違いしたとは考えられない。
 もしかしたら、2011年プジョーは、新しい3.7ℓV8ディーゼルターボエンジンをワークスチームだけが独占的に使って、ORECAには供給しないのかもしれない。あるいは、供給出来ないのかもしれない。

9月12日
●アストンマーティンの2011年LMP1カーは“屋根無し”

Illustration:AstonMartin Racing

 昨日アストンマーティンレーシングは、2011年に“屋根無し”のLMP1カーを登場させることを発表した。
 2008年AMRは、ローラから購入したB08シリーズシャシーにDBR9の6ℓV12エンジンを組み合わせたLMP1プロジェクトをスタートした。2009年には、アストンマーティンに見える様に、CFDによってB08のボディを手直しして、AMRは非公式にアストンマーティンDBR1/2と名乗っている。
 既に3月のセブリング12時間の際AMRは、2011年に完全に新しい自製のLMP1カーを登場させることを明らかにしている。しかし、詳細は未発表で、少なくとも“屋根付き”であると思われていた。

 昨日AMRが発表した新しいアストンマーティンLMP1カーは、何と“屋根無し”だった。現在でも“屋根付き”と“屋根無し”のどちらが有利であるのか? ハッキリとした答えは出ていない。そのため、クルマらしいカタチを優先すると思われたAMRは、てっきり“屋根付き”で2011年LMP1カーを開発していると考えられていたため、“屋根無し”のLMP1カーを公表したのは驚きと考えられている。
 現在公表された1枚だけのイラストを見る限り、ノーズ中央にアストンマーティンらしいグリルが設けられ、フロントフェンダー後方に開けられた、ノーズ床下の空気を吸い出すダクトも、アストンマーティンのアイデンティティを表現したデザインとなっている。

 最も注目されるのは、2011年レギュレーションでリアカウル中央に装着が義務付けられる垂直尾翼だ。この垂直尾翼は、高速でのスピンを防止するための切り札と考えられているが、上端が路面から1,000mm以上であることが求められているだけで、面積の規定はない。そのため、様々なカタチで登場することが予想されているが、何とアストンマーティンは、垂直尾翼後方の下部を切り欠いてしまった。
 この垂直尾翼は、空力性能上大きなデメリットは無いと考えられている。逆に優秀なエンジニア達の課題は、垂直尾翼によって、より大きな空力性能を得ることとなっている。
 後方下部が切り欠かれた垂直尾翼は、どの様なアドバンテージがあるのだろうか?

 “屋根無し”のLMP1カーに組み合わせられるエンジンは、予想通り3.4ℓV8ガソリンエンジンだ。現在のところ、2011年のLMP1カーのレギュレーションは総てが発表されている訳ではない。中でも、性能の拮抗化を目指して、ガソリンエンジンのリストリクターのサイズは発表されていない。
 この曖昧な状況の中、AMRは最初に3.4ℓNAガソリンエンジンを開発している。
 シルバーストーンでの噂によると、F1GPで有名なエンジンビルダーが大きく関わっているらしい。このエンジンビルダーが開発したF1GPエンジンをベースとして、2009年にAMRが開発した直噴システムを活用するため、AMR製のシリンダーヘッドを組み合わせたエンジンと言われている。

 2011年始めに発表され、3月にILMCとALMSの開幕戦として行われるセブリング12時間でデビューする。
 ローラをベースとするDBR1/2が生産台数を3台に限定(実際は4台)して、コレクターズアイテムとしての価値を高めていたが、2011年LMP1カーも6台だけが作られる。たぶん、DBR1/2同様2011年LMP1カーも、実際に走らせるレーシングチームとは違う人物がオーナーとなるのを想定しているのだろう。
*Sports-Car Racing Vol.19の特集記事を参照してください。

9月12日
●Intercontinental Le Mans Cupエントリーリスト

Photo:Sports-Car Racing

 昨日ACOはシルバーストーンでプレスコンファレンスを行って、ILMCのエントリーリストを発表した。
 最初の構想によると、ILMCはIMP1だけのマニファクチュラーカップだったが、その後ファクトリーチームが凌ぎを削っているだけでなく、最も多くのエントリーを集めるGT2クラスを無視出来ないとの意見が出された。OAKの様にLMP2でのエントリーを望むレーシングチームも存在したため、その後ルマン24時間レースと同じカテゴリーでシリーズを行うことが決定した。
 当初エントリーが少ないGT1を除外する意見が出された。第2戦として行われる“プチ-ルマン”が属するALMSが今年GT1が存在しないこともあって、GT1を除外すると思われていたが、たった2台、しかもシーズンエントリーは1台だけでも、ACOはGT1クラスを設けることを決定した。しかし、シルバーストーンのプレスコンファレンスの際、たった1台のシーズンエントリーのサリーンが脱落した時点でGT1クラスは消滅することを公表している。

 LMP1クラスはプジョーとアウディの二大ファクトリーチームによる熾烈な闘いが繰り広げられる。既に発表した通り、アウディは2台をシーズンを通して走らせる。しかし、プジョーは充分な予算を確保出来ない様で、ORECAプジョーが参加するシルバーストーンへは、ワークス908を1台だけしか送り込まない。当初ILMCへフル参戦すると思われたORECAは、現在のところシルバーストーンでプジョーを走らせることを決定しただけで、その後の計画を明らかとしていない。既にILMCのエントリーは締め切られているが、噂を信じるのであれば第3戦ズーハイでORECA 01/AIMを走らせるようだ。

 有力なエントリーと思われたアストンマーティン勢、そして潤沢な予算を持つと思われたレベリオンはILMCへの参加を見送った。しかし、LMS最終戦シルバーストーンではアストンマーティン勢とレベリオンは予定通り参加している。アストンマーティンはシルバーストーンで独自に記者会見を行って、2011年のニューマシンを発表したが、“プチ-ルマン”とズーハイへの単発エントリーの可能性を否定した。

 現在最強のLMP2カーはHPD ARX-01cだが、HPDはILMCへのシーズンエントリーは行わないことを表明している。しかし、シルバーストーンへはLMS枠でストラッカHPDが、“プチ-ルマン”へはALMS枠でハイクロフトHPDが参加する。シルバーストーンへはザイテック勢が、“プチ-ルマン”へはCYTOスポーツのポルシェRSスパイダーやダイソンのローラ/マツダがエントリーしている。

 GT2クラスは最もバランスが取れたエントリーとなった。BMWはシルバーストンとズーハイにシュニッツァーが、“プチ-ルマン”へはレイホール-レッターマンが参加する。ジャガーRSRはズーハイへの参加が決定したためILMCへのシーズンエントリーを表明した。フェラーリ勢とポルシェ勢も、ヨーロッパを拠点とするレーシングチームがシルバーストーンとズーハイに参加して、ALMSチームは“プチ-ルマン”に焦点を合わせた。
 GT2クラスで最も強力なファクトリーチームはGMワークスのコルベットレーシングだが、“プチ-ルマン”にしか参加しないため、ILMCへのシーズンエントリーを諦めている。

 既に始まっているシルバーストーンへはLMSのみにエントリーしているレーシングチームを含めると47台が、今月末から開催される第2戦“プチ-ルマン”へは、ポルシェがハイブリッドカーを走らせるだけでなく、ハイクロフト、ダイソン、コルベットレーシング、ロバートソン等大量のALMSチームが参加するため、48台のエントリーを集めている。残念ながら、昨日ACOはズーハイのエントリーを発表出来なかった。ポルシェのハイブリッドカーや東海大学等が単発エントリーを表明しているが、ORECA 01/AIM等の噂を勘定に入れても25台を超えない。
 ACOは「ズーハイでも25〜30台が走る」と言う楽観的な見通しを明らかにしている。

ILMC ENTRY LIST

ENTRY EVENT

 

 

MANUFACTURES'CUP LMP1

TEAM PEUGEOT TOTAL

TEAM PEUGEOT TOTAL

TEAM ORECA MATMUT

AUDI SPORT TEAM JOEST

AUDI SPORT TEAM JOEST

DRAYSON RACING

FRA

FRA

FRA

DEU

DEU

GBR

M

M

M

M

M

M

PEUGEOT908

PEUGEOT908

PEUGEOT908

AUDI R15

AUDI R15

LOLA JUDD COUPE

Silverstone


Silverstone

Silverstone

Silverstone

Silverstone

PetitLeMans

PetitLeMans


PetitLeMans

PetitLeMans

PetitLeMans

ZHUHAI

ZHUHAI


ZHUHAI

ZHUHAI

ZHUHAI

MANUFACTURES'CUP LMP2

MIK CORSE

MIK CORSE

OAK RACING

OAK RACING

ITA

ITA

FRA

FRA

P

P

D

D

LOLA COUPE JUDD

LOLA COUPE JUDD

PESCAROLO JUDD

PESCAROLO JUDD

Silverstone

Silverstone

Silverstone

Silverstone



PetitLeMans

ZHUHAI

ZHUHAI

ZHUHAI

MANUFACTURES'CUP LMGT1

LARBRE COMPETITION

ATLAS e FX-TEAM FS

FRA

AUT

M

M

SALEEN S7R

SALEEN S7R

Silverstone

Silverstone


PetitLeMans

ZHUHAI

ZHUHAI

MANUFACTURES'CUP LMGT2

BMW TEAM SCHNITZER

RAHAL LETTERMAN

     RACING TEAM

RAHAL LETTERMAN

     RACING TEAM

AF CORSE SRL

AF CORSE SRL

CRS RACING

CRS RACING

RISI COMPETIZONE

RISI COMPETIZONE

JAGUAR RSR

JAGUAR RSR

FLYING LIZARD

FLYING LIZARD

PROSPEED COMPETITION

TEAM FELBERMAYR-PROTON

TEAM FELBERMAYR-PROTON

GULF TEAM FIRST

DEU

USA


USA


ITA

ITA

GBR

GBR

USA

USA

USA

USA

USA

USA

BEL

DEU

DEU

UEA

D

D


D


M

M

M

M

M

M

Y

Y

M

M

M

M

M

D

BMW M3

BMW M3


BMW M3


FERRARI F430 GT

FERRARI F430 GT

FERRARI F430 GT

FERRARI F430 GT

FERRARI F430 GT

FERRARI F430 GT

JAGUAR XKRS

JAGUAR XKRS

PORSCHE 997 GT3 RSR

PORSCHE 997 GT3 RSR

PORSCHE 997 GT3 RSR

PORSCHE 997 GT3 RSR

PORSCHE 911 GT3 RSR

LAMBORGHINI

  MURCIELAGO LP560

Silverstone





Silverstone

Silverstone

Silverstone

Silverstone







Silverstone

Silverstone

Silverstone

Silverstone


PetitLeMans


PetitLeMans






PetitLeMans

PetitLeMans

PetitLeMans

PetitLeMans

PetitLeMans

PetitLeMans

ZHUHAI





ZHUHAI


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ZHUHAI

 SilverstoneTotal47(ILMC20LMS27)

 PetitLe MansTotal48(ILMC15ALMS33)

 ZHUHAITotal2530(ILMC19+α)


8月26日
●ORECAはフォーミュラルマンカーを2011年LMP2へアップデートするキットを発売

Photo:Sports-Car Racing
右が最新のORECA P01、左が2007年のLC70/LC75をベースとするフォーミュラルマン

 現在ルマンやLMSではフォーミュラルマン、ALMSではルマンプロトタイプと呼ばれるワンメイクマシンは、2006年クラージュ時代に最後に開発されたLC70 LMP1/LC75 LMP2カーをベースとしたマシンだ。様々な部分をダウングレードされていることを除くと、少し手を加えるだけで、LMP1あるいはLMP2カーへアップデイトすることが可能だ。しかし、LC70/LC75登場直後クラージュは経営危機に陥ったため、充分な開発を行われることなく実戦に登場することとなってしまった。そしてクラージュ自身ORECAに吸収されてしまった。
 ORECAがクラージュを買収した大きな理由が、フォーミュラルマンと名付けられたLC70/LC75をベースとしたマシンによるワンメークレースをACOが計画していたことだった。つまり、クラージュを買収すれば、まとまった台数の販売が期待出来るフォーミュラルマンの仕事を手に入れることが可能だった。

 こうしてフォーミュラルマンはスタートした。フォーミュラルマンをデリバリーする際、ORECAはLMP1やLMP2へのアップデイトも可能と説明していた。しかし、クラージュを買収したORECAは、独自にLC70の開発をスタートして、直ぐに総てのボディパネルが作り替えられた。ORECAはワークス体制でLMP1カーを走らせたため、毎年ボディは作り替えられ、サスペンションも新しくなった。
 その結果、フォーミュラルマンをベースとしてLMP1やLMP2にアップデイトするとしても、現実的にはクラージュ時代の2007年バージョンにしか出来ない状況となってしまった。
 2009年シニアチュールは、ORECAからLC70の2008年バージョンを購入しているが、同じ年ORECAは、完全に新しいボディを持つ2009年バージョンを開発している。当然ながらシニアチュールの2008年バージョンは見劣りしたため、今年シニアチュールはローラ-アストンマーティンを購入している。
 しかし、フォーミュラルマンやルマンプロトタイプカーは、世界中に30台以上販売されているため、これらのマシンを所有するレーシングチームは、ORECAにとって、大きな資金を投じて開発した最新のLMPカーのパーツを買ってくれる有力な客だった。もちろんORECAは、フォーミュラルマンをベースとしてLMP1/LMP2へアップデイトするキットの販売を望んでいた。

 そこで、丁度2011年からLMPのレギュレーションが変わるため、ORECAは、フォーミュラルマンカーをLMP2にアップデイトするキットを開発することを決定した。2011年のLMP2はGT2と公認されたロードカー用エンジンの使用が義務付けられるため、これらのエンジンを搭載可能とするエンジンマウントとベルハウジング、そして現在ORECAのP01が使用している最新のボディキットも売り出される。
 この話は、先週ALMSロードアメリカの際マーシャル・プルートが、ORECAから聞いた内容だが、その後マーシャル・プルートは現在ルマンプロトタイプカー(フォーミュラルマン)を走らせているレーシングチームに、フォーミュラルマンカーのLMP2カーへのアップデイトについてきいている。ORECAとしては、ボディも含めて買ってもらいたいのだろうが、現在のLMPカーのボディはカーボンファイバーコンポジット製であるため、非常に高価だ。そのため、現在フォーミュラルマンカーを走らせているレーシングチームの多くは、最初のステップとして、エンジンマウントとベルハウジングだけを買うことを望んでいるようだ。
 ちなみに、現在GT2の中心はポルシェだが、ポルシェのフラット6はクランクシャフトの高さが高いため、専用のミッションが必要となる。ORECAはポルシェへの対応についての質問をはぐらかせたそうだ。

8月26日
●2011年ALMSスケジュール 2011年北アメリカのILMCはセブリングと“プチ-ルマン”

Photo:ALMS

 先週末開催されたALMSロードアメリカの際、ALMSのスコット・アタートンは記者会見を行って、2011年のALMSのスケジュールを発表した。4月16日のロングビーチの後3ヶ月の空白が存在する理由は、噂通り5月にルマンでテストディが復活することを意味しているのだろう。

 同時にスコット・アタートンは2011年北アメリカで行われるインターコンチネンタルルマンカップを公表した。6月ルマン24時間レースの際ACOが行った記者会見において、2011年北アメリカで行われるインターコンチネンタルルマンカップは、3月にセブリング12時間かラグナセカ、9月末か10月に“プチ-ルマン”の2つとアナウンスしている。北アメリカで行われるスポーツカーレースの中でも、ALMSのセブリング12時間、ラグナセカ、“プチ-ルマン”10時間の3つは圧倒的な人気を誇っている。この3つの中から2つを選ぶのは難しい。

 ドン・パノスの地元で1998年最初のALMSを開催だけでなく、現在もALMSが拠点としているロードアトランタを外すことは出来ない。セブリング12時間レースは、長い歴史を誇るだけでなく、ルマン24時間を除くと、最高の観客動員数を誇っている。しかし、この2つは共に東海岸だ。3つ目のラグナセカは、常に多くの観客を集めるだけでなく、西海岸に存在する。そのため、6月にACOが公表した際、ALMSは通常9月(注:2010年は5月)に行っているラグナセカのイベントを3月に移動することを前提として、調整していることを明らかとしていた。

 しかし、2010年レーシングチームの希望によって、ルマン24時間レースの前の5月にラグナセカのイベントを行ったところ、僅かであっても、予想に反して観客数が減少してしまった。そこでラグナセカは、例年通り9月に開催することを望んでいた。インターコンチネンタルルマンカップは、9月にシルバーストーンで行われることが決定している。北アメリカへの遠征はシルバーストーンの後行われるため、ラグナセカで開催するのであれば、10月に開催される“プチ-ルマン”と2週連続して行うことが有力な方法だった。
 スコット・アタートンは認めていないが、ALMSは東海岸の“プチ-ルマン”と西海岸のラグナセカで2週連続での開催について、レーシングチームに意見を求めている。1998年フロリダの南端のホームステッドと北カリフォルニアのラグナセカで2週連続でFIAGTが開催されている。この事実でも判る様に、北アメリカのレーシングチームの反応はOKであったらしい。推測となってしまうが、元々ACOは、イベントの間を2週間あけることを望んでいる。どうやら、ACOから良い反応を得られなかったのではないだろうか?
 その結果3月のセブリング12時間と10月の“プチ-ルマン”がインターナショナルルマンカップに指定された。

2月9-10日セブリングウインターテスト(US)
3月19日@セブリング(US)*インターコンチネンタルルマンカップ
4月16日Aロングビーチ(US)
7月3日BTBD(US)??
7月9日Cライムロック(US)
7月31日Dモスポート(CA)
8月6日Eミッドオハイオ(US)
8月21日Fロードアメリカ(US)
9月3日GTBA(US)
9月17日Hラグナセカ(US)
10月15日Iロードアトランタ(US)*インターコンチネンタルルマンカップ


7月30日
●東海大学は11月に開催されるインターコンチネンタルルマンカップ珠海に参加

Photo:Sports-Car Racing

 既報通りACOは、9月にLMSシルバーストーン、10月にALMS“プチ-ルマン”、そして11月にアジアンルマンシリーズのズーハイの3つによってインターコンチネンタルルマンカップを開催する。これまで中国の珠海(ズーハイ)で開催されるアジアンルマンシリーズについて、情報が伝わってこなかったが、先週ポルシェが911GT3Rハイブリッドカーによって(章典外)参加する計画を発表したことによって、イベントを開催する準備が行われていることが明らかとなった。

 既にインターコンチネンタルルマンカップについては、5月にエントリーは締め切られている。インターコンチネンタルルマンカップはLMP1クラスだけが対象で、アウディが2台、プジョーが2台、ORECAがAIMエンジン搭載の01EVOを1台、シニアチュールPlusのアストンマーティン、ドレイソンのローラ/ジャド、そしてOAKの2台のペスカロロがエントリーしている。OAKについては、通常走らせているペスカロロP01がLMP2バージョンであるため、本当にエントリーをするのか?疑問が残るが、少なくとも正式にエントリーを行っている。
 しかし、ズーハイのイベントはアジアンルマンシリーズとして行われることが決定しているため、インターコンチネンタルルマンカップに参加しないLMP1カーであっても参加することが可能だ。

 先週このアジアンルマンシリーズ枠で、東海大学はズーハイへの参加を発表した。
 走らせるのは、2008年のルマンと2009年のアジアンルマンシリーズ岡山で走らせたORECAクラージュLC70にYGKエンジンを組み合わせたマシンで、東海大学内ではTOP03と呼ばれている。タイヤについては公表されていないが、スポンサーとして日本電産が支援することが発表された。
 2008年のルマン、そして2009年の岡山を見る限り、実戦に参加する以前に、行うべき事柄が多いことは明らかだった。岡山から1年が過ぎ、東海大学が、どのような進歩を遂げているのか、期待したい。

7月29日
●2011年に登場する2つのローラLMP2カー 急遽発表した“屋根付き”のB11-80はロングホイールベース

Photo:Lola Cars  急遽発表されたB11-80、B09-80系からのアップデイトも可能

 既報通り2011年ACOは、新しいレギュレーションを導入する。GTクラスを現行のGT2をベースとしたものに統一する一方、LMPカーについては、LMP1のパワーを削減するため、ガソリンエンジンの場合現行のLMP2と同じ排気量3.4ℓNAもしくは排気量2ℓターボに、ディーゼルエンジンの場合排気量を3.7ℓに制限されると共にリストリクターとブースト圧を引き下げられる。LMP1が現行のLMP2のエンジンを使うため、LMP2はどうなるのか?心配する方も居るだろうが、2011年のLMP2はGT2カーのエンジンの使用を義務付けられる。
 しかし、車両本体のレギュレーションは現行のルールをベースとしたものだ。LMP1が幅16インチ、LMP2が幅14インチのタイヤを履くことも変わらない。LMP1の場合、現在ガソリンでも5.5ℓのV10、ディーゼルの場合5.5ℓのV10かV12が主流であるため、2011年は大幅にエンジン重量が軽くなる。車重は現行と同等の900kgであるため、前後の重量配分が大幅に前寄りとなることが予想されている。そのため、現在世界中のコンストラクターは、前寄りの重量配分となった時に最良のポテンシャルを発揮することを目指して、全力で開発に取り組んでいる。
 2004年以来の大きな変更で、前寄りの重量配分を活かすことが高いポテンシャルのポイントとなっているが、レギュレーション上、従来とまったく違うクルマが2011年に走る訳ではない。
*注:Sports-Car Racing Vol.19の特集記事をご覧下さい。

 トップカテゴリーであるLMP1の場合、大きな開発は、カテゴリーを活性化出来るため、歓迎される状況であるかもしれない。しかし、今年幾つかの有力なコンストラクターが活動を休止したことでも明らかなように、現在の経済状況を考慮すると、トップカテゴリーのLMP1でもコスト削減は重要な課題となっている。
 車両本体のレギュレーションが現行と大きく変わらないことから、2011年以降も現行と同じ大排気量エンジンの使用を求める意見も存在する。実際ジャドを介して、現行の5.5ℓV10ガソリンエンジンの使用について、ハンデを科すことを条件として、2年間の猶予期間を求める要求をACOは受けている。

 LMP1でもコスト削減が叫ばれている状況であるため、ほとんど総てが限られた予算で活動しているプライベートチームであるLMP2の場合、GT2カーのエンジンによってコストダウンを図っても、従来のクルマが完全に使えない状況となったら、エントリーは激減してしまう。そのため、ベースとなるGT2のエンジン本体価格を約900万円とするルールをACOは設けることを公表している。最初ACOはGT2カーに積まれているエンジンに限定することを公表した。しかし、コスト削減が目的である以上、GT2カーに積まれているエンジンに限定する必要はないと考えられるようになって、その後ロードカーに積まれているエンジンをベースとしたエンジンも生産台数の下限を規定することによって、LMP2のエンジンとして認められることが決定した。このACOの改革は世界中のメーカーの興味を惹き、BMW、フォード、HPD(ホンダ?)、ジャガー、ジャド(メーカー名は未公表)、ニッサン、そしてトヨタが、ロードカー用をベースとするエンジンを供給する意向を表明した。これらに現行のGT2カーの中心であるポルシェ、フェラーリ、アストンマーティン等を加えると、2011年のLMP2が大きな可能性を持つことが判る。

 と言っても、たくさんのLMP2カーが売れる状況とは考えられないため、マシンを販売するコンストラクターは様々な作戦を練っている。先週現在プロトタイプスポーツカーの最右翼のコンストラクターであるローラは、“屋根無し”のB05-40系LMP2をベースとした“屋根無し”のB11-40を発表している。既にローラは“屋根無し”のB05-40系の開発を終了したと考えられていたため、先週のローラの発表は、彼方此方から疑問を呈する意見が出された。第一2010年の状況を見ても明らかなように、“屋根無し”のB05-40系は“屋根付き”B09-80系LMP2カーに速さで敵わない。新たに大幅な開発を加えない限り、そのようなクルマを買うレーシングチームは存在しないと考えられていた。

Photo:Lola Cars  B05-40系をベースとしてアップデイトされるB11-40

 ローラは2010年2011年以降の使用を前提として“屋根付き”のB10-60 LMP1カーを発表している。B10-60は前寄りの前後重量配分への対応したクルマではなく、発表した時から、2011年にローラは、B10-60をベースとして前寄りの前後重量配分に対応したシステムを搭載する一方、前寄りの重量配分を活かして、大きなフロントタイヤを履くマシンを発表することが予想されていた。
 昨日ローラは、もう一つの2011年のLMP2カーとして、予想されていた“屋根付き”のB11-80を発表した。CFDイラストを見ると明らかなように、垂直尾翼を除くと、B11-80 LMP2カーは今年デビューしたB10-60 LMP1カーとソックリだ。たぶん、このCFDイラスト自体、B10-60に手を加えただけの暫定的なものだろう。
  大きな変更は、新しいB11-80 LMP2はホイールベースを延長していることだ。エンジンとギアボックスの間のベルハウジング部分を延長してホイールベースを延ばしているらしいが、ベルハウジングを延ばしてホイールベースを延長する場合、エンジンがクルマの前方に移動するため、前後の重量配分が前寄りとなることは理解出来るだろう。

 “屋根付き”のB11-80が、2011年のローラにとって本命のLMP2カーであって、“屋根無し”のB11-40が間に合わせであるのは明らかだろう。たぶん、B11-40の新車はほとんど作られることなく、ほとんどの場合、現在中古車市場で安価にに出回っているB05-40系をベースとしてアップデイトして作られることとなるのだろう。
 元々ローラは、7月にB11-80を発表する計画はなかった。しかし、B11-40を発表したことによって、疑問を呈する意見が出された結果、急遽B11-80を発表しなければならない状況となってしまったようだ。
 なぜなら、未だローラはB11-80の風洞実験も行っていない。これから風洞実験を行って、細かい部分のデザインを決める段階だった。第一前寄りの前後重量配分とした場合、パワステを初めとする様々なシステムを新たに開発しなければならない。そのため、本当の発表時期は例年通り1月を予定していたようだ。
 中古車市場で安価に出回っているB05-40系(屋根無し)にアップデイトパーツを加えるB11-40を開発するだけでなく、ローラは、新しいB11-80(屋根付き)についても、既存のB09-80系(屋根付き)をベースとしてアップデイト可能であることを明らかとしている。一度買ったシャシーを長年使用可能な状況とする配慮はローラ最大のアドバンテージだ。
*注:Sports-Car Racing Vol.19の特集記事を参考にして下さい。


6月13日
●LeMans24h FINISH プジョー全滅、アウディが1-2-3

Photo:Sports-Car Racing

 たった1ラップ差だったため、プジョーの速さを考えると、充分逆転可能と思われた。実際No.1ワークスプジョーとNo.4ORECAプジョーは、予選でさえアウディが出したことがない3分20秒台前半のラップタイムで走行していた。
 ところが、12時50分No.1ワークスプジョーはエンジンルーム右側から白い煙を吐いてストップしてしまった。No.2のように火災は起きなかったが、同じエンジントラブルだった。
 アウディの優勝は間違いないように思われた。しかし、唯一残ったNo.4ORECAプジョーが、3位を走るNo.7アウディを同一周回で追い上げていたため、慎重な闘いが繰り広げられていた。
 1時42分ルーティーンピットストップを終了したNo.4ORACAプジョーを、ヒュー・ド・ショーナックはコースに送り出した。フランスの期待は、残されたショーナックのプジョーに託された。ところが、レースに復帰したNo.4ORECAプジョーは、ユノディエールを走り切ってミュルサンヌへブレーキングを開始した際、No.1やNo.2ワークスプジョーと同じ様にエンジンルーム右側から白い煙を吹き上げた。インディアナポリスに到達した際エンジンルーム右側タイヤハウス手前のターボチャージャー付近から炎を吹き上げた。アルナージュまで走ってストップした。
 これでプジョーは全滅してしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 これで終わった訳ではなかった。プジョー勢の全滅によって4位を走行していたNo.009アストンマーティンは、No.4ORECAプジョーがストップした20分後の2時5分、まったく同じミュルサンヌで煙を吹き上げた。プジョー勢と同じエンジンブローと思われた、インディアナポリスでストップした。
 驚異が消滅したアウディは、ペースを落とす一方、ピットストップの際タイミングを見計らって、早めに3台を並べて走行させた。
 そして3時1分23秒694秒、3台のアウディは並んでダニエル・ポワスノの振り下ろすチェッカードフラッグを受けた。

Photo:Sports-Car Racing
 
 4位にはNo.6ORECA-AIMが入った。ローラ勢は、レベリオンが全滅して、6位のNo.007ローラ-アストンマーティンが最上位となった。LMP2クラスでは、No.42ストラッカHPDが優勝した。No.42ストラッカHPDは総合でも5位でフィニッシュした。GT2クラスはNo.77フェルベマイヤーポルシェが優勝した。総崩れのGT1クラスは、追い上げていたNo.52AMRのアストンマーティンが脱落したため、何とNo.50ラルブルコンペティションサリーンが優勝した。このサリーンは2007年にORECAが製作したクルマで、ORECAの力を示すレースともなった。

Photo:Sports-Car Racing

*総合順位
1  LMP1 No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/397aps
2  LMP1 No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/396laps
3  LMP1 No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/394laps
4  LMP1 No.6/AIM Team Oreca Matmut/ORECA 01EVO/369laps
5 LMP2  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/367laps        *LMP2 1位
6 LMP1 No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/365laps
7 LMP2 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/361laps
8  LMP2 No.25/RML/Lola B09-80/HPD/358laps
9 LMP2 No.24/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/341laps
10 LMP2 No.41/Team Bruichladdich/Ginetta-Zytek 09S/341laps
*上位10位まで

11 GT2  No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/338laps *GT2 1位
13 GT1  No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/331aps                 *GT1 1位


6月13日
●LeMans24h RACE 21:00-12:00 プジョーにトラブル、アウディがトップ、1周差の接戦

Photo:Sports-Car Racing

 午後10時頃、No.1プジョーはピットに入ってきて、そのままガレージに入れられた。プジョーの発表によると電気系トラブルだが、その際トランスミッションとパドルシフトも点検している。パドルシフトの電気系に問題があったのかもしれない。このトラブルによって、No.1プジョーは7位まで後退した。
 1位にNo.2プジョー、2位にNo.4ORECAプジョー、3位にNo.9アウディ、4位にNo.8アウディ、5位にNo.007アストンマーティン、6位にNo.7アウディ、7位にNo.1プジョーとなる。1-2位のプジョーと3位のNo.9アウディの間には1周差があるが、No.7アウディとNo.1プジョーは同一周回だ。

 プジョー勢は2台共3分21秒台のハイペースで走っているのに対して、アウディ勢は3分23秒台であるため、差は広がると思われた。しかし、午前3時頃No.4ORECAプジョーが駆動系のトラブルでピットに張り付いた。最初デフのトラブルと思われたが、最終的にドライブシャフトと判って、ドライブシャフトを交換してレースに復帰した。
 No.4ORECAプジョーが後退した後もNo.2プジョーのリードは続いた。しかし、気温が低くなった後、アウディ勢がペースアップしたこともあって、1周差から差は広がらない。

Photo:Sports-Car Racing

 夜が明けた後、7時47分No.2プジョーはエンジントラブルによって火災を起こした。ダンロップブリッジ付近で火を噴いたNo.2プジョーは、そのままテルトルルージュまで走行してストップした。
 そして、スタート前には考えられなかったNo.9とNo.8の2台のアウディがレースをリードすることとなった。3位にはNo.7アウディを抜いたNo.1プジョーがトップと1周差で追う展開に変わった。

 9時30分頃GT2クラスの2番手を走っていたジャン・カルロ・フィジケラがドライブするNo.95AFコルセフェラーリは、インディアナポリスでブレーキをロックさせてタイタバリアに直進した。しかし、上手くタイヤバリアによって衝撃が吸収されたようで、フロントセクションを壊しただけで、フィジケラのフェラーリは自力でピットに戻った。

Photo:Sports-Car Racing

 その後11時30分頃2位を走っていた、アンドレ・ロッテラーがドライブするNo.8アウディはアルナージュでクラッシュしてしまった。フロントカウルを壊したため、ピットに入って修理を行ってレースに復帰した。その間に3位を走っていたNo.1プジョーはNo.8アウディの背後に迫った。ロッテラーは1周だけ抵抗を試みたが、2周目第2シケインの入り口でNo.1プジョーに抜かれた。しかし、プジョーは次の周回でピットインしたため、同一周回でNo.8アウディとNo.1プジョーが2位を争っている。トップは1周差でNo.9アウディのままだ。
 LMP2クラスでは、No.42ストラッカHPDが、やっとハイクロフトを引き離した。それどころか、LMP1カーを出し抜いてトップ10に顔を出してきた。GT1は総崩れの状況となっている。その結果8台しか居ないGT1クラスの予選7位からスタートしたサリーンがトップを走っている。優勝候補最右翼だったNo.52アストンマーティンが、何とか2位まで挽回しているが、その差が6周もある。GT2クラスはワークスコルベットを抜いてトップを走っていたNo.82RiSiフェラーリがストップした後、ミュルサンヌとインディアナポリスであいつでワークスコルベットもストップしてしまった。その結果下馬評通りNo.77フェルベマイヤーポルシェがトップを走っている。

Photo:Sports-Car Racing

12:00時点の順位
*総合
1  LMP1 No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/347laps
2  LMP1 No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/347laps
3  LMP1 No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/346laps
4  LMP1 No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/345laps
5  LMP1 No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/344laps
6  LMP1 No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/335laps
7  LMP1 No.15Kolles/AUDI R10 TDI/331laps
8  LMP1 No.6/AIM Team Oreca Matmut/ORECA 01EVO/324laps
9 LMP2  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/320laps                *LMP2 1位
10 LMP1 No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/316laps
*上位10位まで

14 GT2  No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/296laps *GT2 1位
18 GT1  No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/289laps                        *GT1 1位

6月12日
●LeMans24h RACE 15:00-21:00 ポールポジションのNo.3プジョーリタイヤ、プジョーが1-2

Photo:Sports-Car Racing

 午前中で雨は止んで、昼休みにエコカーのデモランが行われる頃になるとコースは完全に乾いた。決勝レースのスタート前、スターティングドライバーが乗り込む際、伝統的なルマン式スタート同様、コースの反対側からドライバーは自分のクルマまで走って、コクピットに乗り組んだ。
 決勝レースがスタートすると、3台のワークスプジョーが編隊を組み、その直後にNo.4ORECAプジョーがつけて、早くもプジョーが1-2-3-4位を独占する。その後ろに3台のワークスアウディが走るが、あっと言う間に差は開いた。
 スタートから20分が過ぎる頃、ナイジェル・マンセルが操るNo.5ザイテックは、インディアナポリス手前の緩やかな右コーナーでバランスを崩してクラッシュしてしまった。この場所は最高速度が記録される丘の直後で、300km/h前後の高速であったため、最初左側フェンスにクラッシュしたNo.5ザイテックは、跳ね返されて、右側のタイヤバリアに叩き付けられた。直ぐにセイフティカーがコースインして、マンセルの救出とコースの修復が行われた。セイフティカーランは30分も続いたため、ほとんどのチームは、最初のピットストップを行った。

Photo:Sports-Car Racing

 セイフティカーランが終了しても、プジョーのパレードは続いた。ところが、4時30分頃テルトルルージュ手前のS字コーナーの入り口でNo.70/Marc VDSのフォードGTがクラッシュした。リアセクションを大破して、片側のサスペンションも壊れたが、辛うじて走ることが可能であるため、ドライバーは自力でピットを目指して走り始めた。しかし、努力虚しく、レースを諦めることとなった。
 5時28分、それまでトップを走っていたNo.3プジョーが突然ピットに滑り込んできた。そしてガレージに入れられてチェックしたところ、右フロントサスペンションが破損していることが発見されて、リタイヤすることとなった。
 ドライブしていたペロド・ラミーによると、突然バイブレーションが発生したためピットインしたと言う。フロントサスペンションがマウントされているモノコックに僅かな亀裂が見つかったらしい。No.3プジョーのシャシーは、昨年優勝した908-06で、新車ではなかった。度重なるテストで使われたシャシーであるため、モノコックに疲労が蓄積されていたのかもしれない。

Photo:Sports-Car Racing

 しかし、2位を走っていたNo.2プジョーがトップの座を引き継ぎ、ピットインのタイミングでNo.1プジョーと順位を入れ替えながらレースをリードしている。3番手もNo.4ORECAプジョーのままだ。アウディ勢はポジションを1つずつ上げたが、午後7時21分、アウディ勢のトップを走っていた、アラン・マクニッシュがドライブするNo.7アウディはポルシェカーブで、周回遅れのGT2カーと接触してしまった。マクニッシュは3周を失って、7位までポジションを落とした。

Photo:Sports-Car Racing

 LMP2クラスは、No.42ストラッカHPDがNo.26ハイクロフトHPDをリードしている。GT1クラスはMarc VDCのフォードGTがリタイヤしたため、No.73ルック・アルファンのコルベットとNo.60MatechフォードGTがトップを争っている。GT2クラスは、スタート直後2台のワークスコルベットは独走する気配だったが、昨日2日目の予選タイムを抹消されたNo.82RiSiフェラーリがワークスコルベットを追走して、午後8時50分コルベットを抜き去った。同一周回ながらトップを走っている。
                                  
21:00時点の順位
LMP1
1  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/98laps
2  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/98laps
3  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/98laps
4  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/97laps
5  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分97laps
6  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/96laps
7  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/95laps
8  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/95laps
10 No.008/Signature Plus/Lola AstonMartin DBR1-2/94laps
*上位10位まで

LMP2
1  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/91laps
2  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/91laps
3 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/89laps
4 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/89laps
5  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/88laps
6 No.41/Team Bruichladdich/Ginetta-Zytek 09S/85laps
*上位6位まで

GT1
1 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/85laps
2 No.60/Matech Competition/Ford GT/84laps
3 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/84laps
4 No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/83laps
5 No.52/Young Driver AMR/70laps
6 No.61/Matech Competition/Ford GT/59laps
*上位6位まで

GT2
1 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/85laps
2 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/84laps
3 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/84laps
4 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/84laps
5 No.95/AF Corse/Ferrari F430 GT/84laps
6 No.76/IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR/83laps
*上位6位まで


6月12日
●雨のルマン?

Photo:Sports-Car Racing

 金曜日ルマンは晴天に恵まれた。このまま今年のルマンはドライコンディションで24時間レースが行われるのかと思われたが、日付が変わる頃から雨が降り出して、夜が明けると完全な雨模様となった。
 午前9時ウォームアップランが行われる直前、一旦雨は止んだ。しかし、朝15℃もあった気温は7℃前後まで下がったため、到底コースが乾くような気配はない。
 ウォームアップランがスタートすると、アウディ勢が一斉にコースインした。しかし、プジョーやアストンマーティンは様子を見て、1周だけ走ってピットに入った。アウディはピットに入りながらも走行を続けたが、セッション後半になって、コースの一部にラインが出来るまでプジョーやアストンマーティンは連続走行を行わなかった。
 GT2クラスのポールポジションを獲得したNo.82 RiSiフェラーリは、昨日の夕方になって、リアウイングの角度(翼端板?)の違反によってタイムを取り消され、ワークスコルベット勢の後ろから決勝レースをスタートするが、今朝のウォームアップランで、その速さをアピールしている。
 参考になるようなタイムは記録されなかったが、アラン・マクニッシュが操ったNo.7アウディがトップタイムを記録した。たぶん、今年初めて、アウディはプジョーより速いタイムを記録した。
 セッション後半、テルトルルージュで雨が降り始めたが、本降りとはならず、そのままウォームアップランは終了した。

6月11日
●Qualifying2 上位陣はタイム更新ならず プジョーが1-4グリッド独占 LMP2はストラッカHPD

Photo:Sports-Car Racing

 木曜日ルマンは雨の朝を迎えた。午後グループCの予選が開始される頃になると、雨は激しさを増した。夕方ポルシェカレラカップの予選が行われる頃雨は止んだ。しかし、午後7時2回目の予選が開始された時、路面は完全なウェットコンディションだった。もちろん総てのクルマがレインタイヤを装着してコースインした。しかし、タイムが更新される訳でもなく、予選後半にコースが乾くことが予想されたため、総てのアストンマーティン、ワークスコルベット、BMW等はピットを離れなかった。予選開始20分後早くもコースが乾き始めた。と言ってもラインが出来始めただけだが、次々とピットインしてスリックタイヤに履き替えるチームが出てきた。
 しかし、午後9時までの最初のセッションでは、何とか3分30秒を切るチームが出ただけで、タイムは更新されなかった。午後8時過ぎポルシェカーブ2つ目の出口(メゾンブランシュ入り口)でジャン・クリストフ・ブリオンの操るNo.13レベリオンローラがクラッシュしてしまった。

 午後10時最後の予選が開始された。開始早々次々とタイムアタックが行われた。アラン・マクニッシュが乗り組んだNo.7アウディは、3分22秒台までタイムアップするが、アウディ勢のトップの座を奪取しただけで、プジョー勢には届かない。しかもアラン・マクニッシュのアウディ勢のNo.1をかけた闘いは、No.9アウディを操るマイク・ロッケンフェラーが3分21秒台を記録したことで、あっけなく幕切れとなってしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 昨日セバスチャン・ボーディによって3分19秒台の驚異的なタイムを記録したNo.8プジョーは、サイモン・ペジナウがセッティングを煮詰めているだけで、本気でタイムアタックを行い気配はない。プジョー勢はジャコバン広場で行われた車検で登場したのと違って、ORECAと同じ、ラジエターダクトと繋がったフィンを取り付けたボディによって予選を走っている。プジョーにこの点を質問したところ、使う可能性のあるパーツの総てを車検の際に提出する義務があるため、ジャコバン広場では、もう一つのボディを取り付けて行ったと答えられた。
 ノーズ左右に取り付けられた小さなカナードウイングの存在等、他にも違いが存在するため、ジェローム・カテラーニが行った風洞実験によって、何種類もの有力候補が見出されたため、火曜日頃、それらの中で最有力と思われる空力パッケージを採用したのではないだろうか? 基本的にORECAと同じボディだが、フロントフェンダーのスリットの後ろ半分を塞いで、ローダウンフォースを意識しているのが違う。
 このようなプジョーの高度な戦略にORECAが絡んでいるのは凄いと言うべきだろう。

Photo:Sports-Car Racing

 タイムの更新が難しい総合トップ争いと違って、LMP2クラスは熾烈な争いが繰り広げられた。何時ものように、素晴らしい集中力を発揮したダニー・ワッツによって、No.42ストラッカHPDは3分33秒台のタイムを叩き出した。それをNo.26ハイクロフトHPDが追う展開となった。終了20分前までハイクロフトの闘いは行われたが、3分34秒台が精一杯で、No.26ストラッカHPDがLMP2クラスのポールポジションを獲得した。

Photo:Sports-Car Racing

 11時20分を過ぎる頃からプジョー勢の動きが慌ただしくなった。No.4ORECAプジョーにはニコラス・ラピエールが乗り組んで、2種類のフロントカウルを付け替えながらセッティングが行われている。この2つのフロントカウルは、ヘッドライトのセッティングが違うのかと思っていたら、フロントフェンダー後方のスリットの存在するものと、ワークスプジョーの様に塞いでいるタイプを比較していた。最終的にニコラス・ラピエールはワークスプジョーと同じ後方のスリットを塞いだフロントカウルを選択したが、コースアウトによってタイムアタックは不発に終わった。
 終了30分前ニコラス・ミナシアンの操るNo.2ワークスプジョーは3分20秒台までタイムを上げた。セバスチャン・ボーディのNo.3プジョーも3分20秒台を記録して対抗した。しかし、最終的にどちらも昨日のタイムを更新することで出来ず、セバスチャン・ボーディのNo.3ワークスプジョーのポールポジションが決定した。

Photo:Sports-Car Racing
                                  
スターティンググリッド
LMP1
1  No.3/Peugeot Sport Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分19秒711*Q1
2  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒317*Q1
3  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒325*Q1
4  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒192*Q1
5  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/3分21秒981*Q2
6  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分22秒176*Q2
7  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分23秒605*Q2
8  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒680*Q1
9  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒747*Q1
10 No.6/AIM Team Oreca Matmut/ORECA 01-AIM/3分29秒506*Q2
*上位10位まで

LMP2
1  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/3分33秒079*Q2
2  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/3分34秒537*Q2
3  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/3分39秒648*Q2
4 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/3分40秒532*Q2
5 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/3分41秒310*Q2
6 No.29/Racing Box/Lola B09-80/Judd/3分47秒971*Q2
*上位6位まで

GT1
1 No.52/YoungDriver AMR/AstonMartin DBR9/3分55秒025*Q1
2 No.70/Marc VDS Racing Team/Ford GT/3分55秒356*Q2
3 No.60/Matech Competition/Ford GT/3分55秒583*Q2
4 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒810*Q1
5 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒906*Q1
6 No.61/Matech Competition/Ford GT/4分01秒628*Q2
*上位6位まで

GT2
1 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/3分59秒233*Q1
2 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/3分59秒435*Q2
3 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/3分59秒793*Q2
4 No.95/AF Corse/Ferrari F430 GT/3分59秒837*Q2
5 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/ 4分01秒640*Q2
6 No.76/IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR/ 4分01秒755*Q1
*上位6位まで

6月10日
●2011年テクニカルレギュレーション1

Photo:Peugeot-Media

 記者会見の際ACOのスポーツダイレクターのヴァンサン・ボメニルは、2011年のレギュレーションの主立った事柄の幾つかを発表した。まず、3月頃から話題となっている現行の大排気量エンジンの取り扱いについて、2011年に限って、ポテンシャルを調整することを条件として使用を認める考えであることを公表した。この発表の際、ヴァンサン・ボメニルは、2010年レギュレーションカーと述べているが、現在のところ2011年に新たに導入される項目はエンジンについてのみであるが、もしかしたら、今後他にも変更点が設けられるのかもしれない。

 2011年新たに設けられる最も象徴的なレギュレーションは、ハイブリッドの項目だ。これまでACOは、ハイブリッドについて電気のみしか述べていなかったが、機械的な方法ついても認めることを公表した。ハイブリッドのポイントである回生ブレーキについても、従来リアのみの設置しか認めなかったが、ご承知のように、彼方此方から反対意見が出されたことによって、フロントもしくはリアの一方から回生することを認めた。もちろん、リアと比べるとフロントの方が圧倒的に大きな回生が可能であるため、よほど大きな理由がない限り、総てのハイブリッドカーがフロントから回生することだろう。
 回生エネルギーを蓄える発電機は、事実上電気モーターそのものであるため、もし、フロントでの回生を認めた場合、フロントを電気モーターで、リアをエンジンで駆動する、4輪駆動とすることが可能となる。4輪駆動を禁止するACOのルールにおいて、フロントでの回生を認めた場合、4輪駆動が可能となることが、これまでリアのみの回生を主張してきた最大の理由だった。
 記者会見では発表されなかったが、既報通り、フロントに回生ブレーキを設けた場合、フロントに設置された発電機(電気モーター)に、電気モーターが駆動してないことを証明する、何らかのデーターロガーの設置が義務付けられる。
 回生可能なエネルギー容量については500KJ以下とすることも発表された。
 ヴァンサン・ボメニルは、既にザイテックがハイブリッドでの参加を計画していることも公表した。

6月10日
●2011年10月富士スピードウェイでインターコンチネンタル・ルマン・カップ開催!

Photo:Sports-Car Racing

 今朝ACOは記者会見を行った。今年インターコンチネンタル・ルマン・カップを開催するが、アジアの開催について、これまで正式に場所と日程を発表してなかった。2週間前非公式に11月14日とだけ公表したが、今朝正式に11月7日ズーハイで開催することを発表した。しかし、主催者は発表されなかった。その1週間前10月31日に上海でDTMが開催されるため、それに併せたと言う見方が大きいが、2週連続で同じ地域での開催について、疑問が提起された。
 差別化を図る目的からか、ズーハイで行われるレースは6時間の時間耐久レースとして行われる。

 インターコンチネンタル・ルマン・カップについては、2011年いよいよ全世界に展開する。同時に大まかなカレンダーが発表されたが、2011年は3月に北アメリカのセブリング12時間かラグナセカの6時間レースで開幕して、5月にスパ-フランコルシャン1000km、6月にルマン24時間、9月にシルバーストーン1000km、9月末もしくは10月初めに“プチ-ルマン”10時間、そして10月に富士スピードウェイで1000kmレース、11月中国で6時間レースを行うことが発表された。中国については、相変わらず場所は特定されなかった。
 ルマン24時間については、ポイントを2倍とすることは公表された。
 いよいよルマンシリーズが世界選手権になる時がきたようだ。

6月10日
●Qualifying1 プジョーが1-4を独占

Photo:Sports-Car Racing

 明日雨が降る可能性が高いため、午後10時最初の予選が開始されると、同時にタイムアタックが開始された。フリープラクティス同様4台のプジョーが主導権を握ったが、予選開始早々ニコラス・ラピエールのNo.4ORECAプジョーとNo.3ワークスプジョーは3分21秒台の闘いを繰り広げ、ニコラス・ラピエールが操るNo.4ORECAプジョーが最初のリーダーとなった。4台のプジョーの後ろ、5番手には、アウディ勢を出し抜いて、ステファン・モカが操るNo.007アストンマーティンが3分26秒台で付けた。

Photo:Sports-Car Racing

 しかし、No.4ORECAプジョーは、燃圧の低下(ガス欠?)によってインディアナポリスでストップしたため、ニコラス・ラピエールの挑戦は終わった。その後アクシデントによって赤旗が提示されセッションが中断され、セッションが再開されるとワークスプジョーがタイムアタックを試みて、ニコラス・ラピエールのタイムは破られてしまった。
 プジョーは完全にアウディの存在を無視しているようで、ワークスプジョー同士のポールポジション争いが繰り広げられている。11時過ぎワークスプジョー勢が次々と2回目のタイムアタックを開始したが、直ぐに再び赤旗が提示されセッションが中断されてしまった。30分後セッションが再開されると、次々と3台のワークスプジョーはタイムを更新した。そしてセバスチャン・ボーディの操るNo.3プジョーは3分19秒711と言う驚異的なタイムを叩き出した。

Photo:Sports-Car Racing

 アウディ勢は4台のプジョーの後ろに3台が並んだ。ガソリンエンジンクラスは再びGT1エンジンを搭載するアストンマーティンがトップタイムを記録した。AMRの2台と共にシニアチュール(シグネチャは間違い)のNo.008が3番手に付けた。No.6ORECA-AIMは11番手のタイムを記録するのが精一杯の状況だ。
 LMP2クラスは、ストラッカが躍進した。しかし、いつも大活躍を披露するダニー・ワッツではなくジョニー・カーンが、ハイクロフトとのHPD同士のLMP2トップ争いを勝ち取った。
 熾烈なGT2クラスのトップ争いは、No.82 RiSiフェラーリがワークスコルベットとの闘いに勝った。

Photo:Sports-Car Racing
                                  
LMP1
1  No.3/Peugeot Sport Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分19秒711
2  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒317
3  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒325
4  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒192
5  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/3分23秒578
6  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分24秒430
7  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分24秒688
8  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒680
9  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分26秒747
10 No.008/Signature/Lola AstonMartin DBR1-2/3分29秒774
*上位10位まで

LMP2
1  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/3分36秒168
2  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/3分37秒202
3 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/3分41秒968
4 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/3分42秒399
5  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/3分44秒598
6 No.29/Racing Box/Lola B09-80/Judd/3分51秒065
*上位6位まで

GT1
1 No.52/YoungDriver AMR/AstonMartin DBR9/3分55秒025
2 No.60/Matech Competition/Ford GT/3分57秒296
3 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒810
4 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分58秒906
5 No.70/Marc VDS Racing Team/Ford GT/4分00秒325
6 No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/4分03秒175
*上位6位まで

GT2
1 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/3分59秒233
2 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分00秒097
3 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分01秒012
4 No.76/IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR/ 4分01秒755
5 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/ 4分02秒001
6 No.95/AF Corse/Ferrari F430 GT/4分02秒492
*上位6位まで

6月9日
●Free Practice プジョーが驚異的な速さでアウディを圧倒

Photo:Sports-Car Racing

 午後4時いよいよ最初のセッションであるフリープラクティスがスタートした。2008年秋のリーマンショックに端を発する景気後退の影響を考慮して、昨年からテストディを廃止して、レースウイークの水曜日4時間連続のフリープラクティスが行われている。セッション開始直前ミュルサンヌ方向から雨が降り出した。雨は直ぐに止んだため、ほとんどのチームはスリックタイヤを履いてコースインした。しかし、不安定な天気を考慮したのか、プジョー勢はノーズ左右に小さなカナードウイングを取り付けて走り始めた。
 ミュルサンヌからインディアナポリスの間が濡れているようで、最初慎重な走行を行っていたが、30分後にはドライコンディションとなって、一気に3分30秒を突破するタイムを記録するようになった。
 最初にタイムアタックを行ったのは、No.4ORECAプジョーだった。ワークスプジョーと違う空力パッケージのNo.4ORECAプジョーは、真っ先に3分30秒を切るタイムを叩き出すと、そのまま次々とタイムを更新した。
 No.4ORECAプジョーを追ったのは3台のワークスプジョーだった。ニコラス・ラピエールが操るNo.4ORECAプジョー、ステファン・サラザンが操るNo.2ワークスプジョー、セバスチャン・ボーディが操るNo.3ワークスプジョーの3台がタイム争いを繰り広げた。そしてステファン・サラザンは驚異的な3分20秒034を叩き出した。

Photo:Sports-Car Racing

 アウディ勢は元気がなく、4台のプジョーの後ろのタイムを記録しただけだった。ガソリンエンジンのトップタイムは、GT1エンジンを積んだNo.009アストンマーティンが記録した。レーシングガソリンエンジンのトップタイムはNo.13レベリオンローラが記録した。ポールリカールテストで好タイムを記録したNo.6ORECA/AIMは13番手に沈んだ。

 LMP2クラスは、HPDパワーが上位を独占した。ハイクロフトとストラッカはトップ争いを繰り広げたが、ハイクロフトが僅差でトップタイムを記録した。3番手にもHPDエンジンを積んだRMLローラが入った。

Photo:Sports-Car Racing

 GTクラスは、GT1とGT2が入り乱れてタイムを競い合う状況となった。パワーが大きいGT1の方が速いハズだが、No.52AMRを除くと、強豪揃いのGT2カーと接戦を繰り広げることとなった。
 GT2クラスのトップタイムを記録したNo.64コルベットは、GT1クラスの3位に相当するタイムを叩き出した。GT2クラスはコルベットだけが突出している訳ではなく、2台のワークスコルベット、No.77フェルベマイヤーポルシェ、No.82RiSiフェラーリ、No.89ハンコックフェラーリがトップ争いを繰り広げた。6位にはNo.85スパイカーが入った。

Photo:Sports-Car Racing

LMP1
1  No.2/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分20秒034
2  No.3/Peugeot Sport Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒226
3  No.4/Team Oreca Matmut/Peugeot 908 HDi FAP/3分21秒514
4  No.1/Team Peugeot Total/Peugeot 908 HDi FAP/3分23秒605
5  No.7/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分23秒935
6  No.8/AUDI Sport Team Joest/AUDI R15+TDI/3分24秒099
7  No.9/AUDI Sport North America/AUDI R15+TDI/3分24秒779
8  No.009/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分27秒268
9  No.007/AstonMartin Racing/Lola AstonMartin DBR1-2/3分28秒133
10 No.13/ Rebellion Racing/Lola B10-60/Judd/3分29秒851
*上位10位まで

LMP2
1  No.26/Highcroft Racing/HPD ARX-01c/3分38秒691
2  No.42/Strakka Racing/HPD ARX-01c/3分38秒825
3  No.25/RML/Lola B09-80/HPD/3分40秒119
4 No.40/Quifel-ASM Team/Ginetta-Zytek 09S/3分42秒351
5 No.35/OAK Racing/Pescarolo P01EVO/Judd/3分44秒178
6 No.29/Racing Box/Lola B09-80/Judd/3分49秒938
*上位6位まで

GT1
1 No.52/YoungDriver AMR/AstonMartin DBR9/3分56秒839
2 No.72/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/3分59秒752
3 No.70/Marc VDS Racing Team/Ford GT/4分01秒665
4 No.60/Matech Competition/Ford GT/4分02秒546
5 No.50/Larbre Competition/Saleen S7R/4分03秒142
6 No.73/Luc Alphand Aventures/Corvette C6R/4分03秒879
*上位6位まで

GT2
1 No.64/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分00秒888
2 No.77/Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR/ 4分02秒101
3 No.63/Corvette Racing/Corvette C6 ZR1/4分02秒187
4 No.82/RiSi Competizione/Ferrari F430 GT/4分03秒007
5 No.89/Hankook Team Fambach/Ferrari F430 GT/4分03秒046
6 No.85/Spyker Squadron/Spyker C8 Laviolette 4分03秒336
*上位6位まで

6月8日
●ルマンの将来はエコカー

Photo:Porsche AG

 現在世界中の人々は、ハイブリッドカーに代表される、低燃費と低エミッションのクルマに大きな興味を持っている。自動車メーカーにとっても、最重要課題は、このような新世代エコカーの開発だ。ルマンでは、その最初のステップとして、2006年以降ディーゼルエンジンカーが登場している。ヨーロッパにおいてディーゼルエンジンカーは非常にポピュラーな存在で、西ヨーロッパで新規に登録される乗用車の半分以上がディーゼルエンジンで走っている。しかし、より低燃費で低エミッションであることが求められるようになって、ハイブリッドや電気自動車が普及し始めている。

 1975年20ラップルール(注1)を強行した様に、ACOは常に時代の感覚を意識しているが、将来の方向として、これらのエコカーの導入を決定した。現在活発にハイブリッドのレギュレーションが構想されていることは知っているだろう。
 そこで、このようなアイデンティティをアピールする意味もあって、12日土曜日12時10分から、最先端エコカーをサルテサーキットで走らせることとなった。
  ポルシェ997GT3Rハイブリッド、プジョーRCF ハイブリッド4、フェラーリ599XX HPDC、テスラ電気自動車、マツダRX8水素ロータリー、BMW水素自動車、VWシロッコ天然ガスカー、SECMA F16電気自動車、ANDROS電気乗車の9台の新世代エコカーがサルテサーキットを走る。
 我々は、この分野のリーディングメーカーのクルマが居ないことを残念に思うが、これだけたくさんの新世代エコカーがサーキットで走るのは、これまでに例が無い。
 噂によると、マツダRX8水素ロータリーは寺田陽次郎がドライブするようだ。
 新世代エコカーをルマンに持ち込んだメーカーも本気であるようで、ACOは、木曜日午後9時15分から35分まで、新世代エコカーのため20分間テストセッションを設けた。

*注1:第一次石油ショック後、ACOは1回の給油で20ラップ走ることを義務付けました。1975年のグループ5(現在のLMP1に相当)の燃料タンクは、排気量3リットルの場合120リットルでしたから、1975年のルマンでは燃費を考慮して、非常にスローペースのレースが行われることとなりました。詳しくはSports-Car Racing Vol.19をご覧ください。



6月7日
●ORECAプジョーはワークスプジョーと異なるボディでルマンに登場

Photo:Sports-Car Racing

 昨日ワークスプジョーが車検を行っている。ジャコバン広場に現れた3台の最新型908は、2010年バージョンの発展型で、フロントフェンダーとサイドポンツーンの間に設けられたフィンが、ラジエターダクト入り口まで延ばされていることが目を惹いていた。しかし、ラジエターダクト入り口とフィンの間には、明確なクリアランスが存在していた。それ以外の新しい部分は、フロントフェンダーのスリットの後ろ半分を塞いでいることだけだった。
 2010年ディーゼルエンジンは、ターボのブースト圧を引き下げられたため、ドラッグを減らして、ストレートスピードを重視していることが伺われた。

Photo:Sports-Car Racing

 今朝JLOCランボルギーニに続いてジャコバン広場にORECAが姿を現した。ポールリカールテストで好タイムを叩き出したORECA01EVOが人目を惹く一方、今年ORECAが走らせるプジョー908が人気を集めていた。
 既に昨日ワークスプジョーが公開されたため、ORECAプジョーは、昨年のペスカロロプジョーがそうだったように、2009年バージョンの908か、ワークスプジョーと同じボディであると考えられていた。
 ところが、ジャコバン広場に現れたORECAプジョーは、ワークスプジョーとは違うボディをまとっていた。フロントフェンダーには、スプリントバージョンと同様たくさんのスリットが設けられる一方、フロントフェンダーとラジエターダクト入り口の間に設けられたフィンは、ワークスプジョーと違って、完全にラジエターダクトに密着していた。
 たぶんORECAが使うボディも、ジェローム・カテラーニによる風洞実験によって考案された、たくさんの空力デザインの1つなのだろうが、ワークスプジョーと違うボディを採用することで、ORECAが冒険に出たのがうかがえる。

6月6日
●ルマンレースウイークスタート

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよ2010年のルマンウィークがスタートした。例年と違って、今年のルマンは、1日早い日曜日からスケジュールがスタートする。日曜日と月曜日にルマン市内のジャコバン広場で車検を行って、火曜日は写真撮影以外のスケジュールは無く、事実上の休みとなる。水曜日午後4時から4時間連続でフリープラクティスを行う一方、午後10時から12時まで最初の予選が行われる。木曜日は例年と同じスケジュールで、午後7時から9時、そして10時から12時まで予選が行われる。前座のグループCレースについては、木曜日午後4時から5時に予選を行って、土曜日11時5分から50分に決勝レースが行われる。そして午後3時第78回のルマン24時間レースがスタートする。

 今日から始まったジャコバン広場の車検は、同じジャコバン広場と言っても、例年使われている東側の広場ではなく、西側の広場で行われた。その理由は、東側の広場の手前にあった老朽化した劇場の取り壊しが決まって、新しい劇場の建築に併せて、東側の広場の地下を含めた開発が行われているためだ。既に劇場の取り壊しは終了して、東側広場の西側半分は、大きく掘り起こされていた。地下駐車場を含む、大がかりな開発が行われているそうだ。
 その結果、従来と違って、記念撮影の際、後ろに寺院が入ることとなった。残念ながら、寺院の西側部分の修復が完了しなかったため、修復のための足場が組まれた状態だったが、ルマンの2つの名物を一枚の写真に納めることが可能となった。

Photo:Peugeot-Media

 最初にジャコバン広場に姿を現したのは、昨年LMSのGT1チャンピオンを獲得したルック・アルファンのコルベットだった。続いてやって来たのは、優勝候補最右翼のプジョーだった。プジョーは金曜日サトレーのプライベートサーキットで最終確認のテストを行い、そのままルマンにやって来た。写真をご覧になると明らかだが、サトレーはプライベートサーキットと言っても、相当な規模のコースであるようだ。

 昨日パリで最高気温が35℃に達した。ルマンでも33℃を記録したが、今朝雷を伴った激しい雨が降り、金曜日まで不安定な気候は続くようだ。水曜日と木曜日に行われる予選は微妙な予報となっているが、土曜日以降は晴れの予報が出されているため、間違いなく、灼熱のルマンとなるだろう。

6月4日
●2012年JOTAがアストンマーティンLMP1カーを走らせる

Photo:Sports-Car Racing

 昨日JOTAは、アストンマーティンレーシングとの間で複数年のパートナーシップを締結したことを発表した。
 今年は、7月に行われるスパ24時間までにアストンマーティンGT4がデリバリーされ、スパとシルバーストン24時間へ参加する。2011年は現在事実上のGTクラスのトップカテゴリーとなっているGT2へ進出する。もちろんアストンマーティン・ヴァンテッジGT2カーをLMSで走らせる。2012年もGT2とGT4プログラムは継続されることを確認している。さらに2012年には、アストンマーティンレーシングの支援によってLMP1プログラムを開始すると言う。

 JOTAは、2005年ザイテックを走らせたことで、その名を知らせるようになった。黒沢治樹が乗り組んで、しばしば上位に進出したため、日本でもJOTAを知っているスポーツカーファンが多いことだろう。2007年シュロースレーシングが、ローラB07-10/ジャドを走らせた際、メンテナンスの多くはJOTAが担当している。2008年シュロースがローラ/アストンマーティンを走らせたことで、アストンマーティンレーシングとの強力な信頼関係が構築されることとなった。
 2009年アストンマーティンレーシングは、3台のDBR1-2(ローラ/アストンマーティン)を走らせたが、アストンマーティン自身が所有するのは1台だけで、残る2台はシュロースがオーナーだった。もちろん、2009年のDBR1-2の活動にもJOTAは大きく関わっている。JOTAの名前は出なくても、裏方として、DBR1-2の活躍を支えていた。

 3台中2台がシュロースの所有だった様に、アストンマーティンレーシング自身、カスタマーからの依頼に頼らなければ、スポーツカーレースでの活動を行うことは出来ない。つまり、景気が良い時、仕事が無い時が存在する。そのようなアストンマーティンレーシングにとって、有能なJOTAの貴重な存在と判断したのだろう。
 マイケル・コットン先生によると、アストンマーティンレーシングは、JOTAが他の仕事を受けて、アストンマーティンレーシングの仕事を断ることが無いよう、常にアストンマーティンレーシングと関わる環境を整えようと考えたらしい。

Photo:Jota

 元々コルベットやBMWの参入によって、今後熾烈な闘いが繰り広げられることが予想されるGT2カテゴリーは、ポルシェやフェラーリ等と同様、活動をプライベートチームに頼っているアストンマーティンにとって、サポート体制の強化が望まれていた。そこで強力なアストンマーティンGT2チームを用意することとなった。
 ついでに、GT4のサポートを頼もうと言うことらしい。

 アストンマーティンは2011年に向けて、新しいLMP1エンジンを開発中だ。2011年に間に合ったとしても、2011年は開発が中心の年となるため、2012年にJOTAに任せることも、充分に納得出来る内容だ。
 早くも2012年のプログラムを完成しつつあるアストンマーティンの強かさを高く評価したい。

6月4日
●2011年の大排気量エンジンの使用は難しい見込み

Photo:Sports-Car Racing

 2011年以降LMP1クラスで使用可能なガソリンエンジンは、現在のLMP2クラスと同じ3.4リットル以下のNAエンジンと2リットル以下のターボエンジンだけに制限される。ほとんどのエンジンビルダーはLMP2用のエンジンを作っているため、一斉に切り替わるものと思われていた。しかし、3月に明らかになったように、ジャドは、2011年以降も、現在のLMP1クラスで使用している大排気量エンジンを使用出来るよう、ACOと交渉していた。
 ところが、この話し合いは、ACOのテクニカルミーティングの場で行われていなかったため、この件が明らかになると、ジャド以外のエンジンビルダーからACOは反感をかうようになってしまった。

 その後ACOは、ジャドが2011年以降もLMP1クラスで大排気量エンジンの使用を求めていることを認めた。そして、2年間の猶予期間を望んでいることも明らかとなった。もちろん、何らかのハンデを課すことを前提として話し合いは行われていることも認めた。しかし、2005年ハンデを課せられたアウディR8がルマンで優勝してしまった様に、2011年を目標として3.4リットルエンジンの開発の努力をしてきたエンジンビルダーは、容易に納得しなかった。

 この話し合いが明らかになった後、もし、2011年に大排気量エンジンの使用が認められたとしても、登場するのは、レベリオン-ローラ/ジャドとシグナチャのアストンマーティンくらいで、多くても4台程度と予想されている。そのためALMSラグナセカの際IMSAは、基本的にACOは、2011年に大排気量エンジンの使用を認めないと、エントラントに説明していた。しかし同時に、ACOは認めなくても、ALMSではハンデを課すことで2011年以降も大排気量エンジンの使用を考慮することも示唆している。
 現在ALMSのLMP1クラスで大排気量エンジンを使用しているのは、ドレイソンレーシングのローラだけであるから、ドレイソンに向けた発言と判断しても間違いないだろう。

 来週木曜日11時(フランス時間)ACOは、2011年以降のプランを公表する。しかし、2011以降もLMP1クラスで大排気量エンジンの使用を認める件については、述べられないと言われている。アナウンスの中心は、現在曖昧なままのハイブリッドについてのレギュレーションの骨子であると考えられている。
 たぶん、正式に2011年以降も大排気量エンジンの使用を発表するレーシングチームが現れない限り、ACOは、正式には一切検討しない方針なのだろう。


5月19日
●インターコンチネンタルルマンカップは11月14日に中国で開催

Logo:ACO

 ACOは、今年アジアで開催されるインターコンチネンタルルマンカップについて、11月14日中国で開催されることを認めた。しかし、開催されるサーキットとオーガナイザーについて公表を避けた。もちろん、このレースはアジアンルマンシリーズのレースも兼ねて開催されるが、今年のアジアンルマンシリーズが、この中国で行われる1つだけなのか? それとも、他にも、例えば日本での開催される可能性があるのか? 一切公表しなかった。
 インターコンチネンタルルマンカップはLMP1のみを対象とした統一世界一決定戦だが、アジアンルマンシリーズのタイトルをも与えられることから、中国での販促を目論んで、幾つかのGTカーも中国へやって来る見込みだ。
 ポルシェは997GT3Rハイブリッドカーを、BMWはM3GT2を中国で走らせる意向だ。

5月9日
●LMSスパ-フランコルシャン決勝レース 大混乱の中プジョーが圧勝

Photo:Sports-Car Racing

 スパ-フランコルシャンは晴天の朝を迎えた。しかし、最低気温は0℃まで下がって、場所によっては霜が降りた。
 午前11時15分、決勝レース開始15分前になって、山側から雨が降り始めた。直ぐにオルージュ(フランス人によると、この読み方の方が正しい)や24時間ピット付近でもコースが濡れ始めたが、マシンが勢揃いしているGPピット付近は乾いており、予定通り11時30分ローリングラップが開始された。
 スパ-フランコルシャンは2年前に改装され、GPピットが拡充されて、F1GP同様GPピット前からスタートする。そのため1コーナーはオルージュではなくラ・ソースのヘアピンとなる。
 今回のレースの場合、エントリー台数が多いため、GPピットだけではピットの数が足りないため、24時間ピットも使用している。その結果ピットに入る場合、旧バスストップシケイン部分からGPピットに入って、GPピットと24時間ピットの総てを通過してオルージュからコースインしなければならない。非常にピットロードが長くなるため、1回でも余計なピットストップを行ったら、大きなタイムロスを覚悟しなければならない。

 決勝レース前のウォームアップランの際、アンドレ・ロッテラーが操るNo.8アウディは、スピンしてコンクリートウォールにクラッシュしてしまった。No.8アウディはパドックまで戻されたが、大きく破壊されているため、修理が完了次第、途中からレースに参加こととなった。

Photo:Sports-Car Racing

 部分的にコースが濡れている中決勝レースはスタートした。1コーナーへ進入した際、ポールポジションからスタートしたフランク・モンタギーの乗り組んだNo.3プジョーはスピンしてしまった。No.2プジョーを先頭に2番手のNo.4ORECAプジョー、3→4番手にNo.9とNo.7のアウディ順でオルージュに進入した。2台のプジョーが通過した後、何と2台のアウディは勢い余ってオルージュのアウト側に2台揃ってコースアウトした。その際にレベリオンローラをパスしているため、何らかのペナルティが与えられることが予想された。
 もちろん、2台が同時にコースを外れたため、その後方からオルージュへ進入したマシンは大混乱に陥った。その結果LMP2クラスのNo.29RacingBoxローラがクラッシュしてしまった。サイドポンツーンが完全に破壊され、周囲に破片が散乱したため、直ちにセイフティカーが導入されることとなった。
 セイフティカーランの間、何台かのマシンがピットに入ってウェットタイヤに履き替えた。もちろん、長いピットロードは走る間に順位を下げてしまうが、セイフティカーラン中であるため、最小限のタイムロスで済む。

Photo:Sports-Car Racing

 レースが再開された時、雨は止んでいたが、コースは濡れていた。トップはNo.2プジョー、2位にNo.1プジョー、3位にNo.7アウディがジャンプアップして、No.4ORECAプジョーは4位に順位を落として24時間ピット前のストレートを駆け下った。オルージュへ進入する際、ペースが上がらないNo.4ORECAプジョーを2台のレベリオンローラが襲った。どちらのレベリオンローラであるのか判らないが、ほんの少しどちらか一方のレベリオンローラとNo.4ORECAプジョーは接触して、No.4ORECAプジョーは、オルージュ先に右側フェンスにクラッシュしてしまった。
 その結果、レース再開1周目に再びセイフティカーが出動することとなった。

 その後、もう1回セイフティカーが出動したが、1回目のレギュラーピットストップが行われる頃になると、レースは落ち着いてきたように見えた。その頃になって、ピットで作業を続けていたNo.8アウディは、やっとコースインした。
 No.3→No.1→No.2の順で3台のワークスプジョーがトップ3を固めて、その後ろにNo.7とNo.9のアウディが走る。しかし、2回目のピットストップが行われる頃、No.2プジョーとNo.39KSMローラが下りのハイスピードコーナーで接触して、一旦コース上にストップしてしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 その直後事件は起きた。スパのパドックは、下側の24時間ピットのエリアと上側のGPピットのエリアの2つに別れている。コントロールタワー等レースコントロール設備はGPピット側に存在する。そのGPピットエリアが突然停電した。時折復活するものの、完全に電気を使用することは出来なくなってしまった。
 その結果、レースは中段されることとなった。ホームストレート上に全車ストップして、そのまま電力が復旧するまで、50分間もレースは中段された後、セイフティカー先導によってレースは再開した。
 停電によってタイムキーピングが心配されたが、どうやら、タイム計測の機能だけは生きていたようだ。
 レース中段時、ピットストップのタイミングによって、No.7アウディがトップ、続いてNo.3→No.1→No.2の3台のプジョーは着けていた。
 レース再開後、セバスチャン・ブーデェの操るNo.3プジョーは、リナンド・カペロのNo.7アウディをテイルtoノーズで追い回したが、カペロはトップの座を死守した。71周目No.7アウディがピットストップしたため、No.3プジョーがトップ、No.1プジョーが2番手にポジションを上げた。

Photo:Sports-Car Racing

 フィニッシュまで1時間となった午後4時30分頃から山側で再び雨が降り始めた。彼方此方でコースアウトするマシンが相次いだが、フィニッシュ15分前サイモン・ペジナウが操るNo.3プジョーもコースアウトしてしまった。しかし、無事コースに復帰してチェッカーフラッグを受けた。
 後方ではNo.7アウディとNo.1プジョーがピットイン毎順位を入れ替えた。しかし、午後5時頃No.1プジョーがクラッシュしたため、No.7が2位を確保したと思われた。しかし、レース終盤雨が降り始めた際、タイヤを交換するためピットインしたため、No.2プジョーが2位、No.7アウディが3位でフィニッシュした。

 LMP2クラスは、No.42ストラッカHPDがトップを走っていたが、午後2時18番ポスト先の下りコーナーでクラッシュしてしまった。自力でピットに戻るが、たくさんのボディーパーツをまき散らしてしまった。No.42ストラッカHPDのクラッシュによって、LMP2クラスのトップはNo.40ASMザイテックとなった。
 GT2クラスは、スタート直後No.96AFコルセフェラーリとNo.77フェルベマイヤーポルシェがトップ争いを展開したが、次第にNo.77フェルベマイヤーがトップの座を確保した。それどころかGT1カーを抑えてGTクラスのトップを快走した。2番手にはNo.78シュニッツァーBMWが走った。しかし、レース終盤No.96とNo.95のコルセフェラーリがペースを上げて、BMWを抜いて2位と3位でフィニッシュした。
 GT2カーに先を越されながら、Marc VDS とMatechの3台のフォードGTがGT1クラスのトップ3を独占した。

LMP1
No.3 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 139laps
No.2 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 139laps
No.7 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 139laps
No.1 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 138laps
No.9 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 137laps
No.13 Rebellion Racing Lola B10-60/Judd 127laps
*上位6位まで

LMP2
No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 130laps
No.25 RML  Lola B09-80/HPD 130laps
No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 129laps
No.24 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 128laps
No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 128laps
No.47 Hope Polevision Racing Formula LeMans(FL) 124laps
*上位6位まで

GT1
No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 123laps
No.60 Matech Competition Ford GT 123laps
No.61 Matech Competition Ford GT 121laps
No.50 Larbre Competition Saleen S7R 120laps
No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6R 120laps
No.66 ATLAS EFX-TEAM FS Saleen S7R 120laps
*上位6位まで

GT2
No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 124laps
No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 123laps
No.95 AF Corse - Ferrari F430 GT 123laps
No.79 BMW Team Schnitzer BMW M3 123laps
No.76 IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR 123laps
No.91 CRS Racing Ferrari F430 GT 122laps
*上位6位まで

5月8日
●LMSスパ-フランコルシャン予選 セバスチャン・ブーデェのプジョーがポールポジション

Photo:Sports-Car Racing

 土曜日になってもスパ-フランコルシャンの気温の低さは変わらない。しかし、雨が止んで午後になると大陽も顔を出して、完全なドライコンディションで予選は行われることとなった。
 昨日走り始めた時、アウディはノーズ左右に2枚ずつカナードウイングを装着していたが、ドラッグが多き過ぎたようで、午後になるとカナードウイングを1枚減らして走行した。残念ながら、その程度の変更では、圧倒的なプジョーとの差を縮めることは不可能だった。しかし、セッティングの方向は正しいと判断されたようで、土曜日になると総てのアウディR15+は1枚だけカナードウイングを装着して走るようになった。
 アウディは、2週間前ポールリカールで30時間耐久テストを実施しており、スパにやって来た際も、ルマンスペックの延長線上で走行することを計画していた。具体的に何処がルマンパッケージであるのか?正確には判らない。しかし、スパにやって来たR15+のノーズ内側には、以前は存在しなかった、大きなフラップが取り付けられていた。
 ルマンのテストと言う意味では、カナードウイングを2枚装着するより、1枚の方が相応しかったかもしれない。

 逆にプジョーは、昨日1枚だけカナードウイングを装着して走り始めた。しかし、午後になるとカナードウイングを2枚に増やして、よりダウンフォースを増やして走行している。土曜日朝行われた3回目のプリープラクティスでは、ORECAを含む4台総てが2枚のカナードウイングを装着して走った。
 セッティングを変更しても、2回目と3回目のフリープラクティスでは、時折アウディが上位に顔を出すことはあっても、プジョーの圧倒的有利は変わらなかった。特にセバスチャン・ブーデェは常にトップタイムを記録した。

 LMSの予選は、たった20分間しか行われない。しかも、予選で使用したタイヤを履いて決勝レースをスタートしなければならなっため、ほんの数周しかタイムアタックは行われない。
 プジョー勢ではセバスチャン・ブーデェの乗り組んだNo.3 908が真っ先にコースインした。そして、たった4周のアタックで圧倒的と言える1分57秒884を叩き出し、ポールポジションを獲得した。
 2番手以降は、アウディとプジョーは熾烈なタイム争いを展開することとなった。様々な改良によってアウディは、少なくとも一発のタイムであれば、プジョーと遜色ない速さを発揮することが出来るようだ。最終的にティモ・ベルンハルトが乗り組んだNo.9 R15+が2番グリッドを獲得した。3番グリッドにNo.2プジョー、4番グリッドはORECAプジョーが獲得した。3列目グリッドは、残る2台のアウディとNo.1プジョーが争った。予選開始早々トム・クリステンセンが乗り組んだNo.7 R15+は、ラ・ソース・ヘアピンでダニー・ワッツのストラッカHPDと接触してしまった。しかし、プジョーを押しのけて6番グリッドを獲得した。

 トム・クリステンセンのアウディと接触したダニー・ワッツのストラッカHPDは、とてもLMP2クラスとは思えない素晴らしい速さを発揮しており、シグナチャのアストンマーティンDBR1-2(ローラ)を上回るラップタイムを叩き出して、LMP2クラスのポールポジションを獲得した。シグナチャのアストンマーティンDBR1-2(ローラ)は、常にローダウンフォースで走行しており、予選でさえノーズ左右のアタッチメントを取り外しただけで、一切カナードウイングが取り付けなかった。そのため、ディーゼルエンジンカーを上回る305km/hの最高速度を記録している。
 HPDエンジンは相当強力であるようで、LMP2クラスの2番手はRMLローラ/HPDが獲得した。OAKレーシングのペスカロロ/ジャドや期待されたASMザイテックは、その後ろからスタートすることとなった。OAKレーシングのペスカロロは、ジャドV8を搭載するが、相変わらずマツダのステッカーが貼られている。

LMP1
No.3 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 1分57.884
No.9 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 1分58.519
No.2 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 1分59.421
No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 1分59.623
No.8 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 1分59.707
No.7 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 1分59.795
*上位6位まで

LMP2
No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 2分03.135
No.25 RML  Lola B09-80/HPD 2分05.681
No.24 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 2分07.159
No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 2分07.342
No.29 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分08.309
No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分08.398
*上位6位まで

GT1
No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 2分17.316
No.60 Matech Competition Ford GT 2分18.730
No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6R 2分19.377
No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 2分19.595
No.66 ATLAS EFX-TEAM FS Saleen S7R 2分21.110
No.61 Matech Competition Ford GT 2分21.422
*上位6位まで

GT2
No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 2分20.336
No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分20.416
No.91 CRS Racing Ferrari F430 GT 2分20.811
No.94 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分20.941
No.90 CRS Racing Ferrari F430 GT 2分21.095
No.88 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分21.173
*上位6位まで

5月7日
●LMSスパ-フランコルシャン開幕 プジョーがアウディを圧倒

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよLMS第2戦スパ-フランコルシャンが開幕した。今年アウディとプジョーの2大ワークスチームはシーズンを通じてLMSやALMSには参加せず、インターコンチネンタル・ルマン・カップの参加条件やルマン24時間レースのテストを目的として、それぞれ2つずつしか参加しない。そのアウディとプジョーが、インターコンチネンタル・ルマン・カップでないにも関わらず、共に参加を表明したのはLMSスパ-フランコルシャンだけだった。
 残念ながら、今週末アルデンヌ地方は雲に覆われ、時折雨が降るだけでなく、今朝の最低気温は+1℃まで下がる等、寒い中レースは行われることになりそうだ。

 スパ-フランコルシャンは、アルデンヌ地方の山間部に、その地形を活かして作られたサーキットであるため、非常に激しいアップ&ダウンを最大の特徴とする。そのため、テクニカルサーキットであるにも関わらず、独特のセッティングが要求される難コースだ。有名なオウルージュは、激しい登り坂の右コーナーだ。つまり、速いスピードで進入すると地面に押しつけられる縦Gが加えられ、より速い速度で通過することも可能となる。つまり、大きなダウンフォースより、ダウンフォースを減らしてドラッグを少なくした方が速く走ることが可能となる。しかし、一旦登った後は、再び下りなければならないため、下りコーナーではそれなりのダウンフォースが要求される。

 通常一般的なテクニカルサーキットより、多少ダウンフォースを少なくしたセッティングで走る場合が多い。プジョーとアウディは、それぞれ少々違うセッティングを施して、スパを走り始めた。
 プジョーは、昨年のルマンで使用したスポーツカーノーズではなく、ノーズ左右に大きな開口部が存在するフォーミュラノーズを使用した。しかし、ノーズ左右のカナードウイングは1枚だけだった。
 今年アウディは、空力コンセプトを大幅に変更したR15+を開発している。しかし、アウディはノーズ左右に2枚のカナードウイングを取り付けて登場した。
 似た様な空力パッケージと考えられたが、実際は大違いで、あらゆる面でプジョーがアウディを圧倒する結果となった。

 午前中1回目のフリープラクティスは濡れた路面の中で行われたため、昨年のルマンや“プチ-ルマン”がそうだった様に、アウディが速さを発揮すると思われた。ところが、4台のプジョーが素晴らしい速さで走り回ったのに対して、アウディはプジョーを追うことさえ出来ない状況だった。何とトップタイムを記録したORECAプジョーよりも、アウディの中で最速だったNo.7(アウディのエースカー)は4秒も遅いラップタイムを記録しただけだった。
 今回ACOは最高速度のデータを公表したが、プジョーの方がアウディよりも速い最高速度を記録していた。しかし、プジョーの中で最高速度が公表されたのはORECAだけで、決して充分なデータとは言えないが、少なくとも、プジョーの方がロードラッグであることは間違いないようだ。
 ちなみに、ガソリンエンジン勢は、アウディやプジョーの様なディーゼルエンジンカーより遙かにダウンフォースを削ってドラッグを削減している。そのため、最高速度のトップはアストンマーティンとレベリオンローラ/ジャドが争った。

 午後になってコースは乾いたが、夕方行われた2回目のフリープラクティスも低い気温の中で行われた。アウディ勢の挽回が予想されたが、3台のワークスプジョーがトップ3を独占する結果となった。4位にアウディNo,8、5位にORECAプジョー、その後ろに残る2台のアウディがつけ、ガソリンエンジンカーのトップは、No.12レベリオンローラ/ジャドの8位だった。レベリオンローラ/ジャドとアウディ勢のラップタイムは大きな違いはなく、プジョーの速さが際立っている。
 ちなみに、午後になるとアウディの最高速度も公表されなくなった。

 LMP2クラスはASMザイテックが、GT1クラスはアストンマーティンがトップタイムを記録した。GT2クラスもアストンマーティンがトップタイムを記録した。予想されたことだが、GT1クラスのラップタイムが伸び悩んだのに対して、GT2カーが素晴らしい速さを発揮して、たった1秒差のラップタイムを記録している。

LMP1
No.3 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 1分59.826
No.1 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 2分01.365
No.2 Team Peugeot Peugeot Peugeot 908 HDi FAP 2分02.771
No.8 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 2分02.894
No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 2分03.313
No.9 AUDI Sport Team Joest AUDI R15 TDI 2分03.394
*上位6位まで

LMP2
No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 2分08.488
No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 2分08.881
No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 2分08.950
No.24 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 2分09.503
No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分11.346
No.29 Racing Box  Lola B09-80/Judd 2分12.196
*上位6位まで

GT1
No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 2分20.044
No.60 Matech Competition Ford GT 2分20.806
No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 2分21.652
No.72 Luc Alphand Aventures Corvette C6R 2分22.780
No.61 Matech Competition Ford GT 2分23.355
No.50 Larbre Competition Saleen S7R 2分23.675
*上位6位まで

GT2
No.92 JMW Motorsport Aston Martin V8 Vantage 2分21.318
No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分21.561
No.94 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分22.021
No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 2分22.128
No.95 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分22.660
No.76 IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR 2分22.804
*上位6位まで

5月7日
●ペスカロロが正式にルマン24時間レースのエントリーを取り消し アレジとフィジケラのフェラーリが格上げ

Photo:Sports-Car Racing

 今日ACOは、LMSスパーフランコルシャンで記者会見を行い、新たに3つのチームが、今年のルマン24時間レースのエントリーを辞退したことを発表した。2つはLMP1クラスのペスカロロとSORAで、噂通りペスカロロは最悪の結果となった。3つ目はGT1クラスへコルベットC6RでエントリーしたベルギーのPekaレーシングだ。
 ACOは、LMPクラスからエントリーの取り消しがあった場合、LMPクラスのリザーブリストから格上げして、GTクラスから取り消しがあった場合、GTクラスを格上げすることを決めている。しかし、既にLMPクラスのリザーブリストにはKSMチームしか残ってなかったため、LMP2クラスのKSMローラを格上げする一方、GT1クラスのMatechフォードGTを格上げすることを決定した。
 GT1クラスのコルベットC6Rに代わりは、ジャンカルロ・フィジケラとジャン・アレジが乗り組むAFコルセのフェラーリとなった。このチームは、元々当然エントリーが受け入れられると思われていたチームだったが、ドライバーを明記してなかったため、リザーブリストに回されていた。

Photo:Sports-Car Racing


4月7日
●Sports-Car Racing Vol.19発行


 長い間発行が遅れていましたSports-Car Racing Vol.19が完成しました。4ページ増えますが、価格は従来と同じ2,310円(本体2,200円)に据え置きました。スポーツカーレースの話題満載の1冊です。4月16日から発送となります。
詳しくは下記をご覧ください。

Sports-Car Racing Vol.19のISBN番号:ISBN978-4-925254-14-4

問い合わせ:ask@sports-carracing.net
*当方から直接通信販売を希望される場合、上記アドレスまでEメールにて申し込んでください。販売店からの通信販売を希望される場合、連絡頂ければ、通信販売を行っている販売店をご紹介いたします。
 販売については、当ホームペイジのShopを参考にしてください。

CONTENTS

■The Story of the Porsche 956 / 962
  Part.1 Why was Group C wanted ?  グループCが求められた理由
 歴戦の908で激動の1970年代を闘ったポルシェ



 いよいよグループCを巡る特集が始まります。グループCのために作られた最初のクルマはポルシェ956です。そして最もポピュラーなグループCカーは、956の発展型である962Cでした。そのため、ポルシェ956と962に至るストーリーが展開されます。今回は、その第1回として「グループCが求められた理由」と題した特集を掲載いたします。
 1971年限りで、グループ5(当時)スポーツプロトタイプカーの排気量が明確に3ℓ以下に制限された結果、ポルシェは917をヨーロッパのスポーツカーレースから引っ込めて、北アメリカのCanAmに送り込みました。しかし、ヨーロッパでの活動を諦めた訳ではなく、911RSRによってGTクラス(グループ3とグループ4)で走らせました。
 CSIがロードカーと同じカタチのプロトタイプカーレースカーを構想し始めると、ルールが出来上がってないにも関わらず、ポルシェは911カレラRSRターボを開発して、マトラやアルファロメオの正真正銘のプロトタイプレースカーが走るグループ5カテゴリーに送り込みました。911RSRターボは480馬力を発生する2.1ℓのフラット6ターボエンジンを搭載していました。このエンジンは、そのまま正真正銘のプロトタイプレースカーに積むことが可能だったため、ラインホルト・ヨーストやマルティニレーシングは、歴戦の908/3に911RSRターボの2.1ℓターボエンジンを搭載して走らせるようになります。このクルマは908/3ターボとか908/4と呼ばれますが、1976年グループ5がグループ6に名前を変えるのに併せて、リニューアルされて936の名前を与えられました。
 この時代最大の関心事はオイルショックだったため、1975年、ACOは最初の燃費を制限するルールを設けました。1975年のACOの燃費ルールは非常に厳しく、1回の給油で20ラップを走ることを求めました。それまで優勝争いを行っていたグループ5プロトタイプレースカーは12ラップか13ラップしか走ってなかったため、ヨーストは903/4のフラット6ターボエンジンを古いフラット8に積み替えてルマンを走りました。
 もちろん、1975年のルマンでは、燃費を節約するため、非常に不可解なレースが行われました。
 この頃CSIの技術委員だったのが、あのポール・フレールです。20ラップルールは非常に過酷だったため、プロトタイプレースカーを走らせるレーシングチームは、1976年以降ACOが20ラップルールを継続しても、戸惑うことがないよう、CSIに対して、燃料タンクの容量を拡大するよう要求しました。その時調査を行ったのはポール・フレールです。
 この時からグループCルールが構想されました。しかし、1976年ルノーがルマンをターゲットに定めると、それを阻止するため、ポルシェとの間で3年間に渡って熾烈な闘いが繰り広げられるようになりました。
 やっと落ち着いてグループCが構想されるのは1979年まで待たなければなりません。
 グループCに至る、激動の1970年代のスポーツカーレースのストーリーが展開されます。
 
■ルマンに勝つ方程式を求めて

 当Sports-Car Racing最大のテーマは、ルマンに勝つ方程式の追求です。2004年ルマンは新しいルールを導入しました。最初ルールを解明するだけで精一杯だったコンストラクター達は、2007年頃から、ルールを解明するだけでなく、2004年ルールを活かした開発を追求するようになりました。新時代のルマンに勝つ方程式は、従来考えられていたものとは相当異なっているようです。しかも2009年、ACOは幅1.6mの小さなリアウイングを導入しました。
 童夢の全面的な協力によって、最新のルマンに勝つ方程式を追求します。

■AUDIの戸惑い

 2006年アウディは最初にディーゼルエンジンのLMPカーを実現しました。しかし、2006年に登場したR10は、重さ260kgの巨大な90度V12ディーゼルターボエンジンを積むため、情けない操縦性を持つだけでした。プジョーが登場すると、アウディは防戦一方となったため、2011年に新しいルールが施行されるにも関わらず、アウディは2009年安全に新しいR15を開発することとなりました。V10エンジンを積むR15は、それまで登場した、どのLMPカーとも違うアイデンティティに基づいて開発されました。しかし、総てが上手く行った訳ではなかったようです。

■2009年の正解は何だったか?

 Chapter.1 ACOの目標は3分30秒だった
 1999年トヨタとBMWが激戦を繰り広げて、メルセデスが空を飛んだ時、あまりの過当競争に驚いたACOは、3分30秒のラップタイムをボーダーラインとすることを決定しました。ところが10年後アウディとプジョーが開発競争を繰り広げた結果、3分30秒どころか3分20秒を超えるラップタイムを記録するようになりました。2009年ACOは、幅1.6mの小さなリアウイングを採用する一方、それまで圧倒的に有利だったディーゼルエンジンの性能の引き下げを目論みました。同時にGT1カーのエンジンを積むLMP1カーのルールを整備しています。どのようにルールが変化しているのか?現在のLMPカーの性能指針の特集です。


 Chapter.2 2009年のルマンでプジョーが成功した理由
 2009年ついにプジョーがルマンで優勝しました。2008年でもプジョーの方がアウディよりも速かったため、当然の結果のように考える方々も多いようですが、2008年秋リーマンショックの勃発後、プジョーはLMPプロジェクトを棚上げにしています。2009年のLMPプロジェクトが正式に認可されるのは、ルマンの4ヶ月前のことです。そのため、プジョーの面々は、非常に巧妙な開発とレース戦略を行うことを要求されていたようです。
 プジョーが2009年のルマンで成功するまでのストーリーです。


 Chapter.3 アストンマーティンの登場
 2009年ルマンでの大きな話題は、アストンマーティンの復活でした。しかし、アストンマーティンのLMPプロジェクトは、プジョーやアウディとは少々違うようです。復活したアストンマーティンの秘密に迫るストーリーです。


 Chapter.4 完全にレギュレーションを使い切る方法
 優秀なエンジニアは、レギュレーションを使い切ることを目標として、開発を行っています。しかし、ミッドシップである以上、どうしても前後の重量配分がリア寄りとなってしまいます。前後に履くタイヤの容量の比と前後の重量配分が一致することが、理論上ニュートラルな操縦性を可能とする条件です。そのため、ルール上フロントにもリアと同じ大きなタイヤを履くことが可能でも、前後の重量配分に併せた結果、従来のLMPカーは、リアよりも小さいタイヤをフロントに履いていました。2009年このタブーに挑戦したコンストラクターが現れました。アキュラのLMPプロジェクトを任されていたニック・ワースは、レギュレーションを使い切ることを目標としたARX-02aを開発しました。
 数字の上では素晴らしい出来事と思われますが、速さと言う意味とは、少々違うようです。


 Chapter.5
 2010年ACOは、本気でガソリンエンジンとディーゼルエンジンの性能を整えようと考えたようです。ガソリンエンジンを使うコンストラクター達は、5年ぶりに訪れたチャンスと判断して、マシンの開発に取り組みました。童夢が期待された理由もここにありました。
 また、ニック・ワースの挑戦は、何かの実験だったかもしれません。しかし、2011年以降すべてのコンストラクターが、ニック・ワースと同じ苦労をすることとなります。早くも2011年に成功する方法を追求します。

■フェラーリの最後のターゲットはSuperGTだ!

 昨年SuperGTでは、ACO/FIA-GT2レギュレーションのマシンはGT300クラスで活躍しました。中でもダイシンが走らせたフェラーリF430GTCは衝撃的でした。フェラーリF430GTCは、ミケロットによって開発されたGT2レーシングカーです。2006年に最初のマシンがデリバリーされ、現在ではバージョン6にまで発展しています。現在最強のACO/FIA-GT2カーですが、日本では、ほとんど知られてないようです。昨年JAF-GT300ルールに基づいて独自にフェラーリF430GTレースカーを開発して、現在ACO/FIA-GT2のF430GTCも走らせるJIMGAINERの全面的な協力によって実現した、フェラーリF430GTCのストーリーです。

■我が道を歩むニッポンGT

 SuperGTで夢を見ることは出来るか?
 現在の日本でサーキットを満員に出来るレースはSuperGTだけです。しかし、SuperGTで夢を見ることが出来るのでしょうか?もし、1億円を自由に使えたら、レースで夢を見ることが出来るか?をテーマとしたストーリーです。


3月20日
●2010 INTERCONTINENTAL Le Mans Cup

Logo:ACO

 昨日ACOはインターコンチネンタル・ルマン・カップについて、再度概要を発表した。LMP1カーだけによるシリーズで、マニファクチュラーとチームのタイトルが設けられる。ヨーロッパ、北アメリカ、アジアの3つの地域で行われ、ヨーロッパは9月12日のLMSシルバーストーン、北アメリカは10月2日のALMS“プチ-ルマン”、そしてアジアは11月の早い時期に中国で行われるアジアンルマンシリーズのレースが対象となる。しかし、中国のレースは現在に至るも未決定で、2ヶ月前に噂となった上海は確定していない。4月末に中国のレースの場所と日程を確定することを発表した。

 エントリーは3月30日から5月31日の間受け付けられる。インターコンチネンタル・ルマン・カップに参加する条件は、上記のインターコンチネンタル・ルマン・カップのタイトルがかかった3つのレースだけでなく、ルマン24時間レースを除いた、ルマン格式のレースに2つ、つまり5つのルマン格式のレースに参加することだ。
 既にアウディはインターコンチネンタル・ルマン・カップへの参加を発表しているが、プジョーは中国で行われる場合に参加する等、決して足並みが揃っている訳ではない。11月初めのカレンダーから推測すると、既にDTMが上海でのレースを決定しているため、上海でDTMとのダブルタイトルで行われる可能性が高い。
 しかし、ACOがプジョーの意向を重視するなら、当初見込まれた日本でのインターコンチネンタル・ルマン・カップの開催は無くなるだけでなく、昨年ACOがWTCCと共にサーキットを借りることで、岡山でのアジアンルマンシリーズが開催されていることを考慮すると、ACOが中国に集中する場合、日本でのアジアンルマンシリーズの開催も危うい。

3月16日
●AUDI R15+登場

Photo:Audi

 昨年末アウディが明らかとした予定によると、2月末のALMSセブリングテストか、3月初めのLMSポールリカールテストでR15+は公開されることとなっていた。ところが、この2つの合同テストのどちらへもアウディはやって来なかっただけでなく、現在に至るも、アウディ社外のサーキットでは走っていない。ライバルのプジョーが、既にORECAに908を手渡して様々なテストを行っていることを考慮すると、少々心配な状況だった。

 昨日(15日)アウディは、やっと新しいR15+を公表した。R15+は昨年登場したR15の発展型で、信頼性の向上と空力性能の向上を中心として開発が進められている。2010年ACOのレギュレーションは、ディーゼルエンジンのパワーを約25馬力削減している。プジョーより2気筒少ないアウディにとって、パワーが減ることは有利な条件だっただろう。しかし、R15のコンセプトそのものが、ドラッグ削減よりも大きなダウンフォースの獲得を優先したものだったため、空気抵抗(Cd)の削減とより大きなダウンフォースを求めて、慎重に空力の開発は行われていたようだ。

 元々R15は、開発の最初の段階で、以前のBMWのF1GPカーの様にノーズレスであったと言われている。その後ノーズが追加され、そこに疑惑の対象となった2つの隙間が設けられて、ウイングとしての機能が付加されたようだ。
 新しいR15+のノーズは中心部分が短縮され、公開された写真を見る限り昨年問題となった隙間は見あたらない。ノーズ左右の部分は前に突きだしているが、ノーズ中央部分をウイングと見立てると、翼端板の様な機能を発揮するのかもしれない。ノーズ下面に相当大きな開口部が設けられているが、公開された写真のクルマは、ノーズ下面中央のカバーが取り付けられてない(銀色のサスペンションかパワステの機械部分が見える)ため、どのような機能を目指しているのか?現在のところ判らない。たぶん、ノーズ下面中央部分に特殊なデザインのキールが設けられるのだろうが、このキールが、ノーズから床下に入った空気を、メインフロア直前で、ボディ外側に排出するポイントなのだろう。
  ノーズと左右のタイヤハウスの間の開口部は、高さが大きく低められている。エンジンパワーが少なくなることによって、要求される冷却能力が少なくなるだけでなく、アウディがドラッグ削減に気を使っていることが判る。

 予定より大きく遅れてR15+は、3月3日アウディ社内のヌウスタッドのテストコースでシェイクダウンテストを行っている。その後寒波に襲われていたポールリカールへ送る計画をキャンセルして、セブリング(とホームステッド?)に送られて2週間テストを行っている。しかし、今週末セブリングで行われるALMS開幕戦セブリング12時間へは参加しないで、既にインゴルスタッドに戻されている。
 今後ヨーロッパでR15+の開発は続けられる。4月にLMSポールリカール8時間、5月にLMSスパ-フランコルシャン1000kmに参加するのもテストの一環であるとしている。そしてルマン24時間へ参加する。

 同時にアウディは、TAGホイヤーとパートナーシップを結んだことを発表した。グループC時代を知っている方々は、ボッシュでモトロニックを開発したウーヴェ・ツァッカーがTAGに転職したことによって、メルセデスが、ボッシュとの契約を解消して、新たにTAGと契約した事件を思い出したかもしれないが、この契約は、時計のTAGホイヤーとの間のパートナーシップであって、エンジンマネージメントシステムについてではない。

3月8日
●LMSポールリカールテスト ORECA01EVO/AIMがトップタイムのまま終了


Photo:Sports-Car Racing

 気温が低いだけでなく、非常に強い風が吹いているため、南フランスとは思えないコンディションの中テストは行われている。午後2時になっても気温は4℃に過ぎない。想定外の気温であるため、ほとんどのクルマは、暖機運転の際ラジエターへのダクトを完全に塞ぐ一方、走行する際も70%を塞いで走っている。最新のLMPカーは、ラジエターを通過する空気によって、ノーズ床下の空気を吸い出しているため、空力性能にも大きな影響を与えていることだろう。

 昨夜BMWはエンジンに問題があることを確認したため、問題を特定するため、シュニッツァーはドイツ帰ってしまった。ポールリカールにはACOの記者会見に出席するドライバーだけが残された。
 BMWの撤退によって、GT2ではジャンカルロ・フィジケラやジャン・アレジが乗り組むAFコルセのフェラーリF430GT2勢に注目が集まったが、トップタイムを記録したのはポルシェだった。ポルシェ勢は二強の一角であるIMSAパフォーマンスはドライバーの練習走行に終始して、一方のフェルベマイヤーに至っては、昨日走行開始直後エンジントラブルによって、最初のセッションを棒に振ってエンジンを交換しなければならなかった。二強チームを差し置いてGT2のトップタイムを記録したのは、耳慣れないProsppeed Competitionの997GT3RSRだった。

 LMP2クラスは、ASMザイテックが相変わらずの速さを披露した。しかし、HPD勢を引き離すことは出来ない。ストラッカが走らせるHPD ARX-01cは、2008年のARX-01bにARX-02aのスワンネックでマウントする1.6mリアウイングを取り付けたもので、リアフェンダーの金網は申請を行うことで、そのまま使われている。たぶん、トップクラスのコンストラクターの中で金網を使用するのはHPDだけだろう。

Photo:Sports-Car Racing
右のストラッカHPDは、昨年のARX-02a用と思われるスワンネックでマウントされる1.6mリアウイングと、リア周りのパーツを備えて登場
した。素晴らしい最高速度を記録してASMザイテックを破った。
左が新しいボディを装備してやって来たOAKペスカロロ。サイドボディに注意。ラジエターをクリアするだけで、リアホイールアーチ手
前の部分がローラB10-60と同じ様に大きくえぐられている。既にペスカロロを引き継いでコンストラクターとして活動していることの証明。
ジャドエンジンを搭載するが、マツダの名前とマークを新たに描いているのは?

 ストラッカのHPD ARX-01bとHPDエンジンを搭載するRMLローラは素晴らしい最高速度を記録している。ザイテック勢が、ザイテックがマイレッジ保証したカスタマーエンジンであるのに対して、HPDエンジンは事実上のワークスエンジンであるため、当然の出来事かもしれない。HPDエンジンを使う2チームは、ストラッカはカスタマーと割り切っているが、ローラシャシーを使うにも関わらず、RMLはホンダからの仕事を期待しているようで、非常にピリピリしている。
 昨年末ローラが一生懸命HPDに売り込んでいたが、その仕事をRMLが獲得した訳ではないらしい。第一RMLが走らせたシャシーは噂されたB10-80ではなくB08-80の09アップデイトバージョンであって、RMLが期待しているだけだ。

 既に事実上のペスカロロと考えられているOAKレーシングは、新しいボディを組み合わせたペスカロロP01を持ち込んだ。ペスカロロの状況を考慮すると、せいぜい小改造されているだけと考えられたが、リアカウルだけでなく、サイドボディも新しいデザインとなっている。今年OAKペスカロロはジャドエンジンを搭載するが、どういう訳か、新しいボディには、マツダフランスと書かれている。

 LMP1ではORECA01EVO/AIMがプジョーを圧倒する状況が続いた。午後になってミストラルストレートで追い風となると、早速タイムアタックを行って、プジョーとの差を0.7秒まで広げた。トップタイムを記録した時ORECA01EVO/AIMの最高速度は303km/hに達した。空力開発が成功していることの証明だろう。
 アストンマーティン勢は空力テストに終始したため、見るべきタイムを記録することはなかった。少々驚きだったのは、アストンマーティンを差し置いてプジョーと対等の速さを発揮すると思われたレベリオンローラのタイムが、思ったほど延びなかったことだった。最新のシャシー、期待のドライバー、700馬力のレベリオンジャドエンジン等、総てが素晴らしい内容と思われたが、ORECA勢に対抗することは出来なかった。

Photo:Sports-Car Racing
マンセル親子のザイテックは、予想以上の速さを披露した。
女性ドライバー達が操ったMatechのフォードGTはダークホースとしての資格充分のパフォーマンスを示した。
問題はGT1クラスがシーズンを通して存在するのか?と言うことだ。

 代わってORECA勢を追ったのは、マンセル親子のザイテックだった。ナイジェル・マンセル自身はほとんどドライブしないで、主に2人の息子達がザイテックをドライブした。
 ザイテック勢は、1.6mウイングに合わせて、リアフェンダーの左右後端が盛り上がったボディを使ったが、現在空力開発真っ盛りということで、1ヶ月後に行われるポールリカール8時間までに、フィン付きのリアボディを完成させる。

 終始ORECA01EVO/AIMが、2010年パッケージのプジョーを圧倒して、トップタイムを記録したため、今回のテストを見る限り、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの差が無くなっているように見える。本当にこの通りだろうか?

2日目
LMP1
No.6 AIM Team Oreca Oreca 01EVO/AIM 1分42.963(PM)
No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 1分43.756(AM)
No.12 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分44.025(PM)
No.13 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分44.264(PM)
No.5 Beechdean Mansell Motorsport Ginetta-Zytek 09S 1分44.633(AM)
No.008Signature Plus Lola Aston Martin DBR1-2 1分44.502(PM)
*上位6位まで

LMP2
No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 1分46.174(AM)
No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 1分46.584(PM)
No.25 RML  Lola B08-80 HPD 1分47.313(PM)
No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 1分49.061(AM)
No.30 Racing Box Lola B09-80/Judd  1分49.063(PM)
No.29 Racing Box  Lola B09-80/Judd 1分49.335(PM)
*上位6位まで

GT1
No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 1分57.711(AM)
No.61 Matech Competition Ford GT 1分58.111(AM)
No.68 Marc VDS Racing Team - Ford GT 1分58.597(AM)
No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 1分58.819(PM)
*4台のみ出走

GT2
No.75 Prospeed Competition Porsche 997 GT3 RSR 1分59.213(AM)
No.91 CRS Racing  Ferrari F430 GT 1分59.272(PM)
No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 1分59.754(PM)
No.95 AF Corse  Ferrari F430 GT 1分59.651(AM)
No.89 Hankook Team Farnbacher Ferrari F430 GT 1分59.865(AM)
No.94 AF Corse  Ferrari F430 GT 1分59.898(AM)
*上位6位まで


3月8日
●LMSポールリカールテスト アストンマーティンの本当の目的は空力テスト?

Photo:Sports-Car Racing
左がアタッチメントを取り外して走るSignatureのNo.008、右がアタッチメントを取り付けながら、カナードウイングを取り付けて走るAMRのNo.009

 アストンマーティンにとって、セブリングテストとポールリカールテストの両方に参加する最大の目的は、2010年レギュレーションの700馬力エンジンと駆動系の耐久テストであると考えられていた。つまり、出来る限り多くの距離を走ることが重要であると考えられていた。実際セブリングでは、アストンマーティンは、そう発言していた。
 しかし、昨夜耐久テスト中のエンジンを搭載しているNo.009アストンマーティンDBR1-2は走らなかった。耐久テストが目的であるなら、多少コンディションが悪くても走るはずであるため、次々とアストンマーティンに質問が飛んだ。そしてアストンマーティンは、耐久テストと共に空力テストが、ポールリカールテストにおける大きなテーマであることを認めた。

 1.6mリアウイングを装着したDBR1-2は、高速コーナーでバランスを崩した場合、非常にナーバスな操縦性を示す場合がある。2009年の2度の大クラッシュや2週間前のセブリングでのクラッシュは、この高速コーナーでのナーバスな操縦性が原因であると考えられている。
 今年金網のルールが撤廃された結果、リアのタイヤハウス後方には、従来の金網に代わってフィンが設けられている。AMRでは、新たにフィンを取り付けたリアボディをデザインする際、1.6mリアウイングを手なずける方法を模索している。どのような効果を発揮するのか?判らないが、ほとんどのマシンのフィンは上向きに取り付けられているのに対して、アストンマーティンだけは下向きだった。1.6mリアウイングの苦しめられているAMRの苦労の秘密が隠されている。

Photo:Sports-Car Racing
エンジンルームの内側からタイヤハウス後方のフィンを見たもの、
下向きにフィンが取り付けられているのが良く判る。

 ポールリカールでは、昨日からAMRのNo.009は頻繁に空力パッケージを変更しており、Signature PlusのNo.008とAMRのNo.009はまったく違う空力セッティングで走ることが多かった。
 この違う空力セッティングとは、単純にハイダウンフォースとローダウンフォースのことを指す訳ではない。ポールリカールで試みられた空力パッケージは基本的にローダウンフォースだった。Signature PlusのNo.008はスポーツカーノーズ付きのプジョーを圧倒する317km/hの最高速度を記録しているほどだ。

 DBR1-2のノーズ左右には、取り付けるとスムーズなノーズになり、取り外すとノーズ左右をえぐられたようなカタチとなって、タイヤハウスから床下の空気を吸い出すことが出来るアタッチメントを装着することが可能だ。一般的にアタッチメントを取り付けるとローダウンフォース、取り外すとハイダウンフォースパッケージとなる。
 アタッチメントを取り外して、そこにカナードウイングを取り付けると、ハイダウンフォースパッケージとなるのは言うまでもない。しかし、アタッチメントを取り付けてカナードウイングを取り付けた状態と、アタッチメントを取り外してもカナードウイングを取り付けない状態の2つの空力パッケージも選択肢として存在する。この2つの空力パッケージは、ダウンフォースの大きさやドラッグの量と言った空力性能に大きな違いはないと言われている。

 困ったことに、この2つの空気パッケージは、ダウンフォースの大きさやドラッグの量は大きく変わらなくても、ボディ側面の空気の流れに大きな差が生じるのだ。
 以前からAMRは、様々な空力パッケージの組み合わせによる空力バランスの違いのテストを頻繁に行っているが、どうやら、今年のポールリカールでも、様々な組み合わせによる空力バランスの差のテストを行っていたらしい。
 Signature PlusのNo.008が、終始ノーズ左右のアタッチメントを取り付けるか、取り外しすだけの状態で走ったのに対して、AMRのNo.009は、1日目ノーズ左右のアタッチメントを外して、さらにカナードウイングを取り付けて走った後、2日目になって、ノーズ左右のアタッチメントを取り付け、その外側にカナードウイングを付け替えながら走った。

 同時にAMRのNo.009は、700馬力エンジンと駆動系の耐久テストを行っていたため、速いラップタイムを記録することは出来なかった。もちろんタイムアタックも行ってないため、どの空力パッケージがベストだったのか? 我々には判断出来ないが、ORECAやOAKペスカロロ、そしてローラが、新しい空力パッケージを持ち込んでいるため、もしかしたら、1ヶ月後のLMSポールリカール8時間の際、新しいボディと共に現れるのかもしれない。

3月8日
●LMSポールリカールテスト2日目 プジョーはフォーミュラノーズを投入 トップタイムはORECA01EVO/AIMのまま

Photo:Sports-Car Racing
右が昨日のスポーツカーノーズ付きのORECAプジョー。左が今日フォーミュラノーズ付きで走るORECAプジョー

 2日めになっても気温は上がらない。午前9時テストが再開された時の気温はたった2℃で、1時間が過ぎても気温が上がる気配はない。しかし、昨日の朝と違ってコースは完全なドライコンディションであるため、総てのクルマがセッション開始と同時に次々と走行を開始した。

 昨日ORECAプジョーは、2週間前プジョーが発表した2010年スペックのスポーツカーノーズ付き908を走らせた。ミストラルストレートでは314km/hを超える最高速度を記録して、スポーツカーノーズのアドバンテージを見せつけた。しかし、今日になると一転してフォーミュラノーズを装着して走行を開始した。
 フォーミュラノーズと共にリアウイングの迎え角が大きくされて、ハイダウンフォースとなっているが、最高速度は大きく遅くなった。現在ミストラルストレートは迎え風となっていることもあるが、296km/h程度の最高速度で走っている。昨日の午前中、同じ様にミストラルストレートが迎え風だった時、スポーツカーノーズ付きのプジョーは310km/hを記録している。約14km/hも最高速度は遅くなっているがラップタイムはほとんど変わらない。

 逆にORECA01EVO/AIMは、カナードウイングを1枚取り外したローダウンフォースパッケージで走行している。セッションが始まった後しばらくの間プジョーがトップタイムを維持したが、1時間後ORECA01EVO/AIMが連続走行を開始すると、あっさりとトップタイムを更新してしまった。ちなみにローダウンフォースパッケージのORECA01EVO/AIMの最高速度は、フォーミュラノーズ付きのハイダウンフォースパッケージのプジョーと同じ296km/hだ。
 最高速度の違いから、相変わらずディーゼルターボエンジンの方が大きなパワーを発生していることが予想出来るが、ラップタイムを見る限り、2010年ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの速さに大きな差があるとは思えない。

Photo:Sports-Car Racing
プジョーは、金網のルールが禁止された後、リアフェンダー後方の
開口部にフィンを設けるのではなく、完全に塞いでしまった。もちろ
んロードラッグ/ダウンフォースを優先させた選択だ。同時にリアカ
ウル後端中央部分が盛り上がったリアカウルをデザインしている。


3月7日
●LMSポールリカールテスト ORECA01EVO/AIMの速さは本物 ORECAが01EVO/AIMとプジョーで1-2

Photo:Sports-Car Racing

 午後2時頃雨が降り始めた。一時強い風によって嵐の様な状況となったが、午後2時30分2回目のセッションが開始されると直ぐに雨は止んで、直ぐにコースも乾いた。ほとんどのクルマはしばらくの間様子を見ていたが、コースが乾いていることが確認されると、次々とテストを再開した。しかし、気温は朝からほとんど上がらず、午後3時の時点でも4℃に過ぎない。強い風(マルセイユ名物のミストラルではないそうだ)が吹いているため、体感温度は氷点下だ。

 午後のセッションの初め、ORECAはO1EVO/AIMは走らず、プジョーだけが走行した。そのため、ORECAプジョーが、午前中ORECA01EVO/AIMが記録したトップタイムを破ってタイムボードの一番上に躍り出た。午後のセッション前半、2番手には午前中ほとんど走らなかったNo.12レベリオンローラ、3番手にNo.009アストンマーティンが走った。

 今年LMP1のガソリンエンジンは700馬力以上を発生するため、アストンマーティンは耐久テストの目的で、セブリングテストと今回のポールリカールテストで同じエンジンを使用している。そのため、2週間前セブリングでクラッシュしたマシンからエンジンを取り外して、エンジンとトランスミッションだけをフロリダから空輸してポールリカールで使用するシャシーに積み替えている。午前中クラッシュしたエンジンのチェックのため、全開で走行することは出来なかった。ルマンで使用するギアレシオを組み込んでいるようで、トランスミッションの耐久性のテストも行われているようだ。エンジン同様セブリングでもルマン用ギアレシオが組み込まれていたらしく、パワーアップしたにも関わらず、ラップタイムが伸び悩んだ理由は、ここら辺にもあったかもしれない。

Photo:Sports-Car Racing

 午後5時過ぎ再びORECA01EVO/AIMが走り始めた。そして、ほんの数周でプジョーのタイムを1秒も短縮する1分43秒259を叩き出してしまった。改良型01EVO/AIMの速さは本物であるようだ。
 夕方バックストレートで追い風となったため、プジョーは314km/hの最高速度(午前中の最高速度は310km/h)を記録したが、ラップタイムは逆に落ちてしまい、日が暮れてもタイムアップ出来なかった。3番手と4番手にはNo.12とNo.13の2台のレベリオンローラB10-60/レベリオンジャド、その後ろに本格的に走り始めたNo.009アストンマーティンが付けている。アストンマーティンの後ろには、マンセル親子のザイテックが上がってきた。
 ナイジェル・マンセルは日暮れ直前、最初のドライブのためコクピットに乗り込んだが、他のマシンがそうであるように、低温のためエンジンの始動性が悪く、一旦クルマから下りた。日が暮れてからテストを開始することとなるだろう。

 LMP2クラスは、夕方までNo.42ストラッカレーシングのHPD ARX-01cがトップに君臨していたが、日が暮れた後No.40Quifel-ASMのザイテックに抜かれた。HPDとザイテックも、空力開発を一新しており、様々な空力デバイスを取り付けてポールリカールに現れた。HPDはLMP2クラスの中でダントツの287km/hの最高速度を記録している。

 GT2クラスは、予想通りフェラーリF430GT2バージョン6がトップタイムを記録している。ポールリカールには6台のフェラーリF430GT2がやって来たが、その総てが新しいバージョン6だった。完成したばかりのマシンも多く、カーボン地剥き出しで走っている。AFコルセは3台のF430GT2を持ち込んだが、その中の1台、No.95のF430GT2にはジャンカルロ・フィジケラとジャン・アレジが乗り組む。AFコルセのNo.96 F430GT2がGT2クラスのトップタイムを記録している。トップタイムを記録したジェイミー・メローは2週間前のセブリングテストの際Risiフェラーリでトップタイムを記録した、現代のフェラーリ使いだ。

Photo:Sports-Car Racing

 シュニッツァーは1台のBMW M3を持ち込んだが、ほとんど最後尾のタイムしか記録出来ない。ポールリカールの様な高速コースにおいて、前面投影面積が大きいセダンでポルシェやフェラーリと闘うのが難しいことを痛感しているようだ。
 今日のテストは真夜中の12時まで行われる。夜中まで走るチームは、耐久テストを目的としているため、より速いラップタイムが記録されることはないだろう。明日は午前9時にテストは再開される。

*午前9時30分〜午後7時までのタイム

LMP1
No.6 AIM Team Oreca Oreca 01EVO/AIM 1分43.259(PM)
No.4 Team Oreca Matmut Peugeot 908 HDi FAP 1分44.292(AM)
No.12 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分45.069(AM)
No.13 Rebellion Racing Lola B10-60 Rebellion-Judd 1分45.171(PM)
No.009Aston Martin Racing Lola Aston Martin DBR1-2 1分46.177(PM)
No.5 Beechdean Mansell Motorsport Ginetta-Zytek 09S 1分46.700(PM)
*上位6位まで

LMP2
No.40 Quifel-ASM Team  Ginetta-Zytek 09S 1分47.072(PM)
No.42 Strakka Racing HPD ARX01c 1分47.378(AM)
No.25 RML  Lola B08-80 HPD 1分47.555(PM)
No.35 OAK Racing Pescarolo P01EVO/Judd 1分49.340(PM)
No.41 Team Bruichladdich Ginetta-Zytek 09S  1分50.063(PM)
No.30 Racing Box  Lola B09-80/Judd 1分50.697(PM)
*上位6位まで

GT1
No.52 Young Driver AMR Aston Martin DBR9 1分57.390(PM)
No.70 Marc VDS Racing Team Ford GT 1分58.132(PM)
No.68 Marc VDS Racing Team - Ford GT 1分59.517(PM)
No.50 Larbre Competition Saleen S7R 1分59.546(PM)
No.61 Matech Competition Ford GT 1分59.582(AM)
*5台のみ参加

GT2
No.96 AF Corse Ferrari F430 GT 1分59.391(PM)
No.92 JMW Motorsport Aston Martin V8 Vantage 1分59.649(AM)
No.89 Hankook Team Farnbacher Ferrari F430 GT 2分00.175(AM)
No.77 Team Felbermayr Proton Porsche 997 GT3 RSR 2分00.215(PM)
No.95 AF Corse - Ferrari F430 GT 2分00.243(AM)
No.76 IMSA Performance Matmut Porsche 997 GT3 RSR 2分00.381(PM)
*上位6位まで


3月7日
●LMSポールリカールテスト 最初のセッションはORECA/AIMがプジョーを抑えてトップタイム

Photo:Sports-Car Racing

 今年のヨーロッパは春が遠いようで、例年であれば既に昼間は半袖で過ごすことが可能なマルセイユも、今朝の最低気温は氷点下だった。マルセイユの東の丘の上に位置するポールリカールでは、明け方小雪が舞う状況だった。午前9時30分最初のセッションが開始された時も気温は2℃に過ぎなかったため、コースが乾くまで、最初の1時間ほど、総てのクルマがレインタイヤを履いて走り始めた。

 今年のLMPカーのレギュレーションの中で、ボディ形状の変更を必要とするルールは、金網のルールが撤廃されたことだった。しかし、2011年には新しいレギュレーションが施行されるため、たった1年のためだけに、新しいボディを作るのは難しいとして、ACOは、昨年10月20日までに申請を出したクルマについては、従来通り金網を取り付けたまま2010年も参加出来ることを認めた。ほとんどのコンストラクターが申請したため、新しいボディを作るチームは少数派と考えられていたが、2週間前のセブリングテストで明らかになった様に、トップクラスのコンストラクターの総てが、新しいボディをデザインしているようだ。ポールリカールでは、ORECAが走らせるプジョー、ORECAオリジナルの01EVO/AIM、OAKレーシングが走らせるペスカロロP01EVO、ローラB10/60等、やって来たほとんどのLMPカーが新しくデザインされたボディを装着している。
 中でもOAKレーシングが走らせるペスカロロP01EVOとORECA01/AIMは、空力開発を一新した様で、大きな変更が加えられている。そのORECA01/AIMが、最初のセッションのトップタイムを記録した。
 2番手にレベリオンレーシングのローラB10-60/レベリオンジャド、3番手にORACAプジョーが付けている。レベリオンレーシングのエンジンは、ジャドのGV5.5S2のバッジエンジニアリング版で、ヘッドカバーにはジャドではなくレベリオンの名前が入れられている。

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3月2日
●2010年ALMSのLMP2カーは2mリアウイングに決定   車重は未発表

Photo:Sports-Car Racing

 先週セブリングで公式テストが行われたにも関わらず、IMSAは2010年のALMSにおけるLMP2カーのリアウイング幅を決定していなかった。なぜなら、2010年のALMSのLMPカテゴリーは1つだけで、LMP1とLMP2が一緒に競い合う。そのため、LMP2に性能調整を盛り込んで速さを追加することが必要だったからだ。
 大方の予想では、IMSAはLMP2に古い幅2mの大きなリウイングの使用を認めると思われていた。2010年のALMSに参加するメジャーなLMP2チームであるサイトスポーツとダイソンも2mリアウイングの使用を当然の選択と考えていた。しかし、ハイクロフトだけは、ACOオリジナルルールと同じ1.6mリアウイングの使用を提案していた。
 今年ハイクロフトは、ルマン24時間へも参戦する。ルマンでは1.6mリアウイングが使われることが、ハイクロフトの理由となっている。しかし、1.6mリアウイングを使った場合、新たに速さを向上させる方法を探さなければならない。

 2007年LMP2の車重が775kgだった時、ペンスキーが走らせたポルシェRSスパイダーは圧倒的な速さを披露した。ほとんどのレースでLMP1クラスのアウディR10を破って総合優勝している。この時の経験から、車重を軽くすれば、LMP2カーはLMP1と同じ速さで走ることが出来ることは判明していた。しかし、現在のLMP2のルールは車重825kgであって、実際775kgまで軽量化が可能なLMP2カーはポルシェだけだ。このような事情もあって、先週セブリングで行われた公式テストの際ポルシェだけが、実験の目的?から800kgの車重で走行している。
 残念ながら、セブリングテストの際ポルシェを走らせたのは、有能なペンスキーではなく、ポルシェやペンスキーの腕っこきドライバーもドライブしなかった。サイトスポーツはポルシェのエンジニアの助けによってRSスパイダーのセットアップを一つ一つ行うような状況だった。そのような状態でタイムを追求するのは不可能であるため、せっかく軽い車重に仕立てても、ラップタイムへの影響は見られなかった。ポルシェの試みは未遂に終わった。

Photo:Sports-Car Racing

 軽い車重のデータを何も得られなかっただけでなく、セブリングテストでは2mリアウイングを装着して走行した3台のLMP2カーは、2010年スペックの唯一のLMP1カーであるアストンマーティンDBR1-2の後塵を拝する結果となった。
 セブリングテストの状況からIMSAは、先週末LMP2カーに2mリウイングの使用を認めることを発表した。
 しかし、車重については発表されなかった。セブリングテストの際ALMSのスコット・アタートンは「どのようなレギュレーションを採用しても、速さに差が生じた場合、性能調整を行う」と宣言している。セブリングテストの場合、2009年に性能調整された状態で走行したインタースポーツのローラB06-10が、LMP2カーを破って、アストンマーティンに次ぐ2番手のタイムを記録したことについても、検討されることを示唆していた。
 今回の決定を受けて再度話し合いが行われ、開幕戦セブリング12時間での車重が発表されるのだろう。最初からLMP2に軽い車重を与えるのか? ヨーロッパからプジョーとアストンマーティンがやって来るセブリングの後でLMP2の車重を軽くするのか? IMSAは難しい判断を求められているのだろう。

 先週発表されたブルテンでは、LMP2だけでなくLMP1とGT2についてもふれられているが、LMP1とGT2については基本的にACOのルールを採用することを確認している。しかし、GMが使用を計画しているE85(エタノール85%)燃料を使用する場合、LMP1でもGT2でも、燃料タンク容量を110リットル、ピットでの給油タンクの高さを2.2mとすることが許される。LMP1においては、E85燃料を使用する場合、リストリクター径を5%拡大出来ることも決定した。

 先週発表されたブルテンは、セブリング12時間を含むALMSのレースを対象としている。しかし、ALMSだけでなくインターコンチネンタルカップの1戦としても行われる“プチ-ルマン”については、60日前に決定することを発表した。
 もしACOが、“プチ-ルマン”でACOルールの採用を主張した場合、ALMSのLMP2チームは1.6mリアウイングを買わなければならないし、総合優勝争いから脱落してしまう。ここでも、IMSAは難しい判断を求められるだろう。


2月23日
●セブリングテスト2日目  アストンマーティンがクラッシュ  GT2はRiSiフェラーリがトップのまま終了

Photo:Sports-Car Racing

 今年LMP1クラスのガソリンエンジンのリストリクターが拡大されている。ジャドとアストンマーティンは、共に700馬力を主張している。エンジンパワーが向上しても、信頼性が確保されなければ、ディーゼルエンジンのパワーが引き下げられても、勝つことは出来ない。AMR(アストンマーティンレーシング)は、効果的に耐久テストを行うことを目論んだ。そこでALMS開幕戦セブリング12時間とLMS開幕戦ポールリカール8時間に参加することを決定した。しかし、いきなり700馬力エンジンで12時間レースは冒険過ぎると判断したようで、セブリングで2日間16時間にわたって行われるALMSウインターミーティングを使って、最初の耐久テストを実施しようとした。

 完全な2010年スペックのLMP1カーは、アストンマーティンの1台だけだったため、トップタイムを記録した。ハイクロフトHPDやサイトスポーツのポルシェRSスパイダーが、細かなセットアップに終始したこともあって、2日間のテストのほとんど総ての状況で無敵の速さを示した。ところが、残り2時間の時点でターン1でクラッシュしてしまった。
 現在のところ、昨年2度のクラッシュの原因と考えられている、1.6mリアウイングの失速によって、再びアクシデントが発生したのか? 詳しい原因は判明していない。パドックに戻されたDBR1-2は左側が破壊されていた。モノコック本体とキャビンは無事であるようで、AMRのメカニック達は、たった2時間で破損した総てのパーツ、エンジン、トランスミッションを取り外した。エンジンとミッションはイギリスに送るため、直ぐに梱包された。

Photo:Sports-Car Racing

 今年唯一ボディワークの変更が必要なレギュレーション変更は、金網のルールが撤廃されたことだ。サイドポンツーン前面等一部では金網の使用が許されるものの、従来の様にあらゆる開口部に金網を張ることによって、内側が見えないとは判定されない。しかし、2011年に大きくレギュレーションが変更されるため、たった1年のためにクルマを作り直すのは困難と言う意見が多数出されたため、ACOは、これまで実戦に出走したクルマに限って、昨年10月20日までに申請した場合、金網の使用を認める判断を下した。その結果アウディ、プジョー、童夢を除く、ほとんど総てのコンストラクターが申請を出した。ポルシェもカスタマーチームが走らせるRSスパイダーのため、ローラはアストンマーティンを含む“屋根付き”のローラクーペを申請している。であるから、ポルシェRSスパイダーとアストンマーティンDBR1-2は、昨年と同じボディのまま走ることが出来るハズだが、セブリングにやって来たポルシェRSスパイダーとアストンマーティンのリアフェンダーから金網が取り除かれ、新たにフィンを取り付けたリアフェンダーが設けられていた。
 サイトスポーツのポルシェは800kgの車重で走行していたようで、2年前ペンスキーが使っていたサスペンションセッティング(ジオメトリーの意味?)を施してテストを行っていた。クラウス・グラフがセッティングを担当したが、順調に開発が進んでいる様には見えない。タイムも今一歩で、ダイソンに抜かれてしまった。

Photo:Sports-Car Racing

 アキュラからHPDへとブランドが変わったハイクロフトHPDは順調にテストをこなした。ポルシェ、ダイソンローラ/マツダ、ハイクロフトHPDは、終始2mリアウイングを装着して走行したが、LMP1とのタイム差が1秒程度まで広がってしまったことから、シリーズを通してALMSのLMP2カーは2mリアウイングを使用する見込みだ。元々HPD ARX-01は、LMP2カーとして、それほど軽いクルマではないため、ポルシェの様な軽量状態でのテストは行っていない。
 LMP1との1秒のタイム差を埋めるため、IMSAがどのような性能向上処置を編み出すのか?見物だ。
 ダイソンローラ/マツダは、相変わらずマツダAERターボエンジンのセッティングに悩んでいる。突然トルクが立ち上がることによる操縦し難さは改善されてない。今年イギリスダンロップと契約したため、ダイソンローラには、アメリカ、日本、イギリスの3つの国旗が描かれている。主にリアサスペンションの中心としてセッティングを行った。

Photo:Sports-Car Racing

 GT2クラスは、BMWとフェラーリがコンスタントに走行している。今年スコット・シャープが立ち上げたエクストリームスピードの2台も、2日目となると、どんどんタイムを上げてきた。エクストリームスピードは、昨年スコット・シャープが所属したハイクロフトと同じPATRONのスポンサードによってALMSを闘う。
 BMW勢は、コンスタントに走行したが、タイムアタックは行わなかった。BMWが履くダンロップタイヤは、BMW用がフロントに300/650-18で、ポルシェ用より幅が広い。昨年開発が始まったばかりだが、既にテクニカルコースでは圧倒的な速さを見せるまで開発が進んでいる。もちろんBMWはセブリングの優勝候補だ。
 ポール・ジェンティロッティが持ち込んだワークスジャガーチームは、昨年までのTransAmチームそのものだ。速いストレートスピードを披露したが、昨日がシェイクダウンとあって、とてもタイムを追求するような状態ではなかった。
 フラングラザードのポルシェは1台が2010年モデルだが、中身は2009年モデルと変わらないようだ。少しずつセットアップを進めて、最終的にフェラーリに続くタイムを記録した。

Photo:Sports-Car Racing

LMP
1 LMP1 No.009 Lola B09-60 AstonMartin 1分46秒894(AM)
2 LMP1 No.37 Lola B06-10 AER 1分47秒925(PM)
3 LMP2 No.1 HPD ARX-01c 1分48秒153(AM)
4 LMP2 No.16 Lola B09-86 Mazda 1分48秒496(AM)
5 LMP2 No.6 Porsche RS Spyder 1分49秒318(AM)

GT2
1 GT2 No.62 Ferrari F430GT2 2分2秒559(AM)
2 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR 2分2秒929(AM)
3 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR 2分3秒021(AM)
4 GT2 No.01 Ferrari F430GT2 2分3秒198(AM)
5 GT2 No.17 Porsche 997GT3RSR 2分3秒227(PM)
6 GT2 No.02 Ferrari F430GT2 2分3秒250(AM)
7 GT2 No.90 BMW E92 M3 2分3秒305(PM)
8 GT2 No.92 BMW E92 M3 2分3秒377(AM)
9  GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR 2分4秒252(PM)
10 GT2 No.40 Dran Ford GT 2分4秒835(AM)
11 GT2 No.75 Jaguar XKRS 2分7秒734(AM)

2月23日
●フェラーリF430GT2バージョン6の凄さ  GT2は標準車重は1,245kgに

Photo:Sports-Car Racing
エンジンルームのボディーワークと変更することによって、2インチ幅広い14インチ幅のタイヤを納めている。

 既にロードカーがF450へとモデルチェンジされたため、今年ミケロットではF430GT2レースカーの新車の製造は行わない。にも関わらず、ミケロットはF430GT2の2010年バージョンを開発した。
 F430GT2レースカーの最初のモデルは2005年に登場した。その後毎年アップディトバージョンが開発されたため、2010年モデルはバージョン6と呼ばれる。バージョン1からバージョン5までは、基本的に同じフレームを使って、新たに開発されたアップデイトパーツと交換することで、バージョンアップが可能だった。しかし、2010年のバージョン6は、F430GT2シリーズにとって最大の変更が加えられたため、既にF430GT2レースカーを所有するレーシングチームは、ミケロットからアップデイトパーツを買うだけのバージョンアップは不可能となった。

 F430GT2バージョン6は、従来より100kg重い1,245kgの車重を選択して、車重1,245kg以上に許される14インチ幅(それ以下の車重より+2インチ)のタイヤを履くことを最大の目的として開発されている。もちろん、車重が重くなる分大きなリストリクターの使用が許されることも、100kg重い車重を選択する理由だろう。
 ところが、従来幅12インチのタイヤが納められているスペースに幅14インチのタイヤを納めることは不可能だ。ポルシェの様にボディ外側に大きくオーバーフェンダーを設けてタイヤを張り出させる方法もあるだろう。元々F430の横幅が広いため、ミケロットは、リア周りのボディーワークを作り替えることで、2インチ幅広いタイヤを納めることを決定した。ところが、その結果、従来の様にアップデイトパーツを販売するだけでバージョンアップを行うのが不可能になってしまい、アップデイトを希望するレーシングチームは、ミケロットの向上でマシンを作り替えるため、ミケロットまでマシンを送ることが要求されるようになった。しかし、ALMSとLMSをターゲットとする、ほとんどのフェラーリチームはミケロットにF430GT2を送っているようだ。今週セブリングで行われているALMSウインターミィーティングの際、RiSiの1台、スコット・シャープが新たに立ち上げたエクストリームスピードの2台の3台のバージョン6が登場した。

 従来より2インチ幅広い14インチ幅のタイヤはリアに履くが、同時にフロントタイヤも大きくなる。多少余裕のあったリアと違って、フロントには余裕がなかった。リアについては、2p程度のオーバーフェンダーを設けただけで、幅が広がっていることに気づかない人も多いだろう。しかし、フロントには大きく盛り上がったフェンダーアーチが設けられた。リア以上にフロント部分を改造するため、ミケロットの工場へ送る必要が生じたのだろう。
3台のF430GT2バージョン6は、セブリングで素晴らしい速さを披露している。

Photo:Sports-Car Racing
この、まったく違う2台は、同じサイズのタイヤを前後に履いている

 少し前まで、ACOとFIAのGTカテゴリーでも、軽い車重が最大のアドバンテージと考えられて、レギュレーションによって許されている最も軽い車重を選択することが、重要な条件だった。しかし、GT2の場合、1,245kg(2009年以降)以上の車重の場合、それ以下より2インチ広い幅14インチのタイヤの使用が許される。重い車重と引き替えに大きなリストリクターの使用が許されることもあって、近年登場したGT2カーの多くは1,245kg以上の車重で登場している。
 車重が重くなることで、より軽いクルマの場合重りを積むことが可能となるため、前後の重量バランスに弱点を抱えるRRのポルシェ997は、クルマの前寄りの部分に重りを積んで、前後の重量配分を改善している。
 昨年登場したBMW M3も1,245kgの車重を選択して、クルマの後ろよりに重りを積んでいる。BMWの場合ポルシェとは少々違う理由で、重りを積むことが必要と判断している。BMW M3はFRであるため、どんなに巧妙にシャシーを仕立てたとしても、前後の重量配分を50:50より後ろ寄りとすることは難しい。出来れば、前後とも同じサイズのタイヤを履くことが求められる。しかし、現在GT2カー用のタイヤを作っている総てのタイヤメーカーは、FR用のタイヤは作っていない。リアよりも一回り小さいフロントタイヤを用意している。そこでBMWは重い車重を選択して、クルマの後ろ寄りに重りを積む必要があった。

 現在ではポルシェ用として比較的小さいフロントタイヤを用意しているメーカーも残っているが、ほとんどのメーカーはフロントに幅300(表記、ホイールに組むと幅310〜320mm)、直径650mm、リアに幅310(表記、ホイールに組むと幅355mm)、直径710mmの大きなタイヤを用意している。フロントタイヤの直径が小さいのは、ACOやFIAのGT2カーの場合、フレームを大々的に改造出来ないだけでなく、最大直径の710mmとすると、ボンネット上にタイヤの張り出しを設けなければならないため、650mmに抑えている。このタイヤを履いて能力を引き出すことが、現在のGT2カーに求められる重要な条件だ。
 タイヤメーカー自身、GT2の標準車重は1,245kgであると判断しているため、今後、従来のフェラーリのような幅12インチのタイヤは作られなくなるかもしれない。実際セブリングで幅12インチのタイヤを使ったのはGT3カップカーだけだった。

2月22日
●セブリングテスト1日目トップタイムはアストンマーティン  GT2はフェラーリとBMWがトップ争い

Photo:Sports-Car Racing

 いよいよALMSウインターミーティングが開始された。昨年まで3日間で行われていたスケジュールを2日間に短縮したため、2日間共午前と午後、それぞれ4時間連続でテストが行われる。そのため、非常にタイトな状況となっている。たった1台やって来たアストンマーティンは、唯一の2010年スペックのLMP1カーだ。2010年ルールによって、ガソリンエンジンのリストリクターが大きくなったのに併せて、冷却能力を向上させるため、ノーズ左右のクーリングダクトの入り口が大きくされているが、それ以外は2009年スペックと大きな違いはないようだ。大きくなったリストリクターの効果を遺憾なく発揮して、終始トップタイムを記録した。アストンマーティンは、連続走行可能な今回のテストを使って、耐久テストを実施している。トップタイムを記録したにも関わらず、淡々と仕事をこなしている。
 2位のタイムはインタースポーツのローラB06-10/AERが記録した。しかし、インタースポーツのローラは、昨年シーズン中に性能向上処置を与えられたスペックであるため、異様に速いストレートスピードに対してコーナーでの遅さから、しばしばコースアウトを演じている。

 3台が登場したLMP2カーは、結局3台共2mの2008年リアウイングを取り付けて走行している。リストリクターについては2009年スペックのままだ。ダイソンのローラ/マツダだけは、昨年性能向上処置によって与えられた大きなリストリクターを使っているらしいが、完全な調子ではない。車重については、IMSAによると、今回のテストでは3台共自由とのことだ。しかし、最も軽く仕立てることが可能なサイトスポーツのポルシェRSスパイダーも、2007年ペンスキーが圧倒的な速さを発揮した際の775kgではなく800kgで走行している。
 ハイクロフトHPDとサイトスポーツポルシェは、テストを通じて同等の速さを示した。しかし、それでもLMP1のアストンマーティンの0.5秒遅れだ。2010年のALMSのLMPは、LMP1とLMP2が一緒のクラスであるため、2mリアウイングの装着を許されるだけでなく、さらに性能向上処置が盛り込まれることとなるだろう。

 GT2クラスは非常に賑やかな内容だ。3台の2010年スペックのフェラーリF430GT2、2台のBMW、4台のポルシェ、そしてジャガーとドラン-フォードGTが参加した。ドラン-フォードはオーナードライバーのロバートソンの練習走行に終始したため、本当の速さは判らない。ジャガーは、まだ走り始めた段階で、彼方此方をチェックしながら走行した。
 トップタイム争いは、RiSiのフェラーリF430GT2と2台のBMWだった。
 今回登場した3台の2010年スペックのフェラーリF430GT2は、従来より100kg重い1,245kgの車重とするのと引き替えに、2インチ幅広い14インチ幅のタイヤを履く、大幅改造モデルだ。セブリングの様なテクニカルサーキットの場合軽い車重の方が有利と思われていたが、トップタイムを記録した。
 岡山で見せつけた様に、素晴らしいハンドリングを持つBMWにとって、セブリングは相性が良いサーキットと考えられている。気温が低かった午前中をセッティングに費やしたため、フェラーリにトップタイムを奪われてしまったが、2台共常に安定した速さで走り続けた。

Photo:Sports-Car Racing

LMP
1 LMP1 No.009 Lola B09-60 AstonMartin 1分47秒826(AM)
2 LMP1 No.37 Lola B06-10 AER 1分48秒066(AM)
3 LMP2 No.1 HPD ARX-01c 1分48秒263(AM)
4 LMP2 No.6 Porsche RS Spyder 1分49秒187(PM)
5 LMP2 No.16 Lola B09-86 Mazda 1分50秒261(PM)

GT2
1 GT2 No.62 Ferrari F430GT2 2分2秒286(AM)
2 GT2 No.92 BMW E92 M3 2分2秒584(PM)
3 GT2 No.45 Porsche 997GT3RSR 2分3秒125(PM)
4 GT2 No.01 Ferrari F430GT2 2分3秒169(PM)
5 GT2 No.90 BMW E92 M3 2分3秒211(PM)
6 GT2 No.44 Porsche 997GT3RSR 2分3秒651(AM)
7 GT2 No.02 Ferrari F430GT2 2分3秒862(PM)
8 GT2 No.17 Porsche 997GT3RSR 2分3秒971(PM)
9  GT2 No.54 Porsche 997GT3RSR 2分5秒948
10 GT2 No.40 Dran Ford GT 2分6秒136
11 GT2 No.75 Jaguar XKRS 2分8秒324


2月22日
●ロバートソンレーシングのフォードGTが後方配置のスワンネックを開発

Photo:Sports-Car Racing

 昨年1.6mリアウイングを義務付けられたLMPカーにおいて、最もポピュラーなアイテムはスワンネックだった。スワンネックとは、リアウイングの取り付けスティをウイング下面でなくウイング上面に設けた結果、ウイングスティのカタチが白鳥の首の様に見えるため、そう呼ばれている。小さいリアウイングを義務付けられた結果、より大きな迎え角を付けるようになったため、リアウイングの失速を防ぐ目的で、気流を乱すウイングスティを、失速し易い下面ではなく上面に設けた結果、編み出されたアイテムだ。しかし、誰が考えても判るように、これまで登場したスワンネックは、リアウイングの前にウイングスティが存在するため、スワンネックそのものが、ウイングへ流れる気流の邪魔をしているとの指摘もされていた。それでも効果有りと判断されていたのだが、不満を持つエンジニアも少なくなかった。

 ミュルサンヌコーナーのマイク・フラーは、昨年秋ロバートソンレーシングの仕事をするようになったが、LMP大好きのマイク・フラーがGT2カーチームで何を行っていたのか?と言うと、どうやら、ドラン製フォードGTの空力性能を向上させることだったようだ。その目玉として、リアウイングの後方に取り付けるスワンネックをデザインした。
 スワンネックは大きな強度が求められるため、ロバートソンレーシングが持ち込んだ逆スワンネックは、それなりの分厚いアルミ製だった。開発途上とのことだが、問題なければ、このまま実戦に投入するようだ。

 リアのオーバーハングを750mmに制限されるLMPカーの場合、リアウイング後方にスワンネックを設けるのは困難かもしれないが、ロバートソンレーシングの仕事を見ると、GTカーの場合エンジニアの工夫次第で容易に逆スワンネックは可能であるようだ。今後たくさんのGTチームが真似をしそうなアイテムだ。
 ちなみに、ジャガーXKRSもスワンネックを取り付けてセブリングにやって来た。しかし、ジャガーのスワンネックは、常識的なリアウイングの前にウイングステイが存在するタイプだった。

2月22日
●プジョーが2010年プログラムを発表 上海で行われるインターコンチネンタルカップへも遠征!

Photo:Peugeot-Media

 今日プジョーは2010年のプログラムを発表した。4年目の908HDiFAPの改良モデルを走らせるが、2011年新しいレギュレーションが施行されるため、908HDiFAPにとって最後のシーズンとなる。
 2010年レギュレーションによって、リストリクターの縮小(38.3mm×2→37.8mm×2)と最大ブースト圧の引き下げ(2,750mbr→2,590mbr)られるため、理論上40馬力出力が低下する。そのためエンジンを中心として開発は行われている。
 シャシーについては、2009年のルマンで使われたスポーツカーノーズを使用することを前提として開発は進められている。大きな違いは、フロント床下のディフューザーを拡大することだ。2009年の場合、急遽スポーツカーノーズの使用が決定したため、床下まで手を加える余裕はなかった。パワーが削減されることによって、より本格的にロードラッグを追求した開発が行われているようだ。また、2010年ルールではボディ上面の金網が禁止されるため、エンジンカウルやタイヤハウスが新しいデザインとなる。
 ミシュランが新しいレンジのタイヤを開発したことによって、そのためのテストも行われている。プジョーの発表によると新しいレンジと表現している。しかし、確認したところ、温度レンジを表すものではないらしい。

 既に明らかなように、ルマンへは3台を送り込むが、噂とは違うドライバーラインナップとなった。No.1はマルク・ジェネ、アレクサンダー・ブルツ、アンソニー・デビッドソンが、No.2はニコラス・ミナシアン、フランク・モンタギー、ステファン・サラザンが、No.3はセバスチャン・ボーディ、サイモン・ペジナウ、ペドロ・ラミーがドライブする。噂のセバスチャン・ロウブの名前はなく、既に契約したと考えられていたクリスチャン・クリエンは、グレゴリー・ジルベルトと共にリザーブドライバーとして登録された。

Photo:Peugeot-Media

 プジョーは11回のテストを行う予定を立てているが、最初のビックテストは3月に行われるALMSセブリング12時間へ参加することだ。セブリングへは2台を送り込むが、No.07はアンソニー・デビッドソン、マルク・ジェネ、アレクサンダー・ブルツがドライブし、No.08はセバスチャン・ボーディ、ペドロ・ラミー、ニコラス・ミナシアンがドライブする。
 ヨーロッパでは5月に行われるLMSスパ1000kmに登場する。ルマン後の活動については、9月にLMSシルバーストーン1000kmに参加する一方、現在のところ確定されてないが、上海で行われるインターコンチネンタルカップへも遠征する。LMSシルバーストーン1000kmもインターコンチネンタルカップの1戦であり、ALMSセブリング12時間とLMSスパ1000kmへ参加することで、インターコンチネンタルカップへ参加する条件である「ACOがプロデュースするイベントに5つ以上参加」をクリアしているが、3つ目のインターコンチネンタルカップである“プチ-ルマン”への参加は決定していないようだ。ちなみに、これまでアジアで行われるインターコンチネンタルカップは日本と考えられていたが、どうやら、日本ではなく上海での開催をヨーロッパでは望んでいるようだ。

 また、“90X”と呼ばれる2011年モデルを開発中であることも明らかとした。しかし、今日の発表の際、クルマの内容について、プジョーの面々は一切ノーコメントを貫いた。
*注:Sports-Car Racing Vol.19において、2010年ルールによるエンジン出力について特集記事が掲載されます

2月21日
●2010年ALMSのLMP2カーのリアウイングは2m?

Photo:Sports-Car Racing

 明日からセブリングではALMSのウインターテストが行われる。今日参加チームによる機材の搬入が行われたが、昨日までにIMSAは、2010年のLMP2カーのリアウイングの大きさを決定しなかったため、少々興味深い状況となっている。
 2010年のALMSは、LMPクラスは1つだけで、LMP1とLMP2が一緒に競い合う。LMP1は、世界統一カテゴリーとして、ACOが定める2010年のLMP1ルールに従うことが発表されているが、ACOのルールにおいてLMP2は、LMP1の下のカテゴリーと位置づけられているため、ACOとまったく同じルールの場合、一緒に競い合うことが出来ない。
 そこでLMP2に対して、何らかの性能向上策を盛り込む必要がある。2009年ALMSのLMP2は2mリアウイングの使用が許されたため、大方の意見は2010年もLMP2は2mリアウイングが使われると考えられていた。しかし、2008年までペンスキーのポルシェRSスパイダーが大活躍したことを理由として、シーズンを通してLMP1クラスに参加するチームの中には、軽い車重を与えることを主張する意見も出されていた。

 このような状況からIMSAは、明日から始まるウインターテストの内容を見て、2010年のLMP2カーのリアウイングの大きさを決定する意向であるようだ。今日搬入されたLMP2カーは、ハイクロフトのHPDは1.6mリアウイング付き、ダイソンのローラ/マツダとサイトスポーツのポルシェRSスパイダーは2mリアウイング付きだった。
 しかし、ハイクロフトは2種類のリアウイングを所有して、ダイソンとサイトスポーツは、ローラとポルシェが1.6mリアウイングをセブリングまで持ってきていることを認めている。
 ALMSウインターテストでは、2010年ルールの大きなリストリクターを取り付けたアストンマーティンLMPが走る。アストンマーチン自身にとってだけでなく、2010年ガソリンエンジンに許されたルールの大きなリストリクターを取り付けてトップチームが走る最初の例であるため、非常に注目されているが、アストンマーティンに対してLMP2カーがどれくらいの速さで走るか?によって、IMSAはリアウイングの大きさを決めるのだろう。

 以上はIMSAの意向だが、2010年のALMSには、考慮すべき、もう一つの大きな条件が存在する。ALMS最終戦はロードアトランタで行われる“プチ-ルマン”だが、2010年の“プチ-ルマン”は世界統一選手権であるインターコンチネンタルシリーズの1つとして行われる。既にアウディのワークスチームが参戦を表明する一方、世界中からたくさんのLMP1チームがロードアトランタにやって来ることが判明している。
 しかし、“プチ-ルマン”はALMSの1戦であるから、LMP2カーにもトップ争いの権利があるレースだ。もし、LMP2カーの方が速いルールを作ってしまったら、世界中のLMP1カーがやって来る“プチ-ルマン”で、チグハグなレースを全世界に披露することとなってしまうかもしれないのだ。
 今夜IMSAはミーティングを行うが、実際に走るまで、何も決定出来ないのではないだろうか?

2月11日
●ポルシェはジュネーブショーで997GT3Rハイブリッドレースカーを発表

Photo:Porsche AG

 110年のポルシェの歴史の中、創世記においてポルシェは、世界で初めてのハイブリッドカーであるロウナーポルシェを開発している。誰もが知っているようにハイブリッドカーの起源はポルシェだ。ポルシェは3月4日ジュネーブショーにおいて、997GT3Rをベースとしたハイブリッドレースカーを発表する。

 ジュネーブショーで発表される997GT3Rハイブリッドレースカーは、997GT3Rをベースとして、フロントアクスルに60kWのパワーを発生する電気モーターを左右に合計2つ備えている。エンジンは通常の997GT3Rと同じ480馬力を発生する4リットルフラット6だ。40,000回転以上で回転するフライホイールジェネレーターが、各々の電気モーターに備えられて、ブレーキング時に回生エネルギーを蓄える。ポルシェは、昨年のF1GPがそうだったように、合計120kWに達するハイブリッドパワーをオーバーテイクの際に使用する目論みだ。

 現在のハイブリッドレースカーは、回生効果が大きいフロント車軸に発電機を設けて、回生エネルギーを取り入れることを許されている。しかし、ACOは4輪駆動を禁止しているため、せっかくフロント車軸に電気モーター(発電機)を備えても、フロントを駆動することは出来ない。現在ハイブリッドLMPカーを開発しているメーカーにとって最大の悩みはここにある。
 ポルシェがジュネーブショーで発表する997GT3Rハイブリッドレースカーは、完全にプロトタイプ扱いであるようで、フロント車軸に取り付けた電気モーターによって、そのままフロントを駆動する。ルマンを初めとする、ほとんどのスポーツカーレースは4輪駆動を禁止しているため、プロトタイプカーの出走を認めているニュルブルクリンク24時間レース(5月15日〜16日)へテストのため参加する計画だ。

 ポルシェはフライホイールジェネレーターによってエネルギーを蓄えることで、ハイブリッドカーのウィークポイントである重いバッテリーを積まないことをメリットとして上げている。997GT3Rハイブリッドカーは、997GT3Rをベースとしながらも、写真を見る限り、997GT3RSR同様フロントノーズ内側にラジエターを備えているようだ。しかし、リアフェンダーにも大きな開口部が設けられていることから、他にもポルシェは秘密を隠しているかもしれない。

2月11日
●ALMSセブリングウインターテストエントリーリスト

Photo:Sports-Car Racing

 昨日IMSAは、2月22日と23日にセブリングで開催するALMSウインターテストのエントリーリストを公表した。
 1週間前新しいR15+は、2月末か3月初めに走ることを公表したアウディは、現在のところリストに掲載されていない。10日前3人の新人ドライバーを特訓するため、わざわざアウディは、ドイツからフロリダまでR15を運んで走行している。3人のドライバーの練習だけであれば、ほとんどのF1GPチームが行っているようにバレンシアやポルトマヨで行えば良い訳で、わざわざ大きな費用を費やして大西洋を渡る理由はない。であるから、公開された新人ドライバーの練習走行の後、アラン・マクニッシュとリナンド・カペロによって、R15+のための、何らかのテストを行ったのだろう。そのテストの結果が判明しない段階で、ルマンのエントリーリストが発表されたため、アウディは、新しいR15+は2月末か3月初めに走ると発表しなければならなかったのだろう。
 もし、セブリングのウインターテストに間に合わない場合、3月7日からポールリカールで行われるLMS合同テストでアウディはR15+を走らせることとなるのだろう。

 アウディの状況が不安定であるため、現在のところアストンマーティンとハイクロフトHPDによって、トップタイム争いは行われるだろう。2010年のALMSは、LMP1とLMP2を同じクラスとして行われる。主にLMP2クラスに有利なルールを盛り込むことによって、IMSAは同じ速さを実現する計画だ。現在のところ、特別に申請しな限り、総てのLMPカーは2009年ACOルールの1.6mリアウイングを使用するようだ。性能調整は車重とリストリクターで行われる。
 LMP2クラスには、ハイクロフトHPD、ダイソンローラ/マツダ、サイトスポーツポルシェの有力チームが走る。この3チーム共、2008年までの幅2mのリアウイングを持っているため、IMSAが目論むように、巧妙な性能調整が出来ない場合、LMP2クラスに2mリウイングが復活するのではないだろうか?

 激戦区のGT2は、ジョゼッペ・リシーが2010年バージョンのフェラーリF430GT2バージョン6を持ち込む。バージョン6は100kg重い車重を選択して、その代わり大きなリストリクターと2インチ幅広い14インチ幅のタイヤを装着した大幅改良版だ。現在リシーは1台しかエントリーしていないが、2009年バージョンの100kg軽いF430GT2バージョン5との比較テストを行うと言われている。
 ポール・ジェンティロッティのジャガーは、ライバル達と共に本格的に走る最初の機会となる。TransAmチームをベースとしてプロジェクトが進められているため、最初から速さを発揮することだろう。ジャガーはヨコハマタイヤと契約したが、ポール・ジェンティロッティにとっては、1994年ニッサン300ZXターボGTSカーでデイトナ24時間レースで優勝して以来16年ぶりの再開となる。
 ポルシェは、フライングラザードの1台が新しい2010年バージョンの997GT3RSRだ。しかし、2009年に大幅に改良を行っているため、マイナーチェンジ版と考えられている。
 レイホール・レッターマンのBMWは、エンジンを中心とした様々な改良を加えている。リストに掲載されない様々なドライバーが乗り込むことが噂されている。岡山でポールポジションを獲得したロバートソンのドラン製のフォードGTは、フレーム(サスペンション?)に改良を加えているようだ。
 新しいLMPCとGT3チャレンジ勢にとっては、速いクルマと一緒に走る最初の機会であるため、今回のテストの際、IMSAによって、様々なミーティングが行われる。
 22日(北アメリカ時間)よりレポートを掲載予定です。

P1
No.37   Intersport Racing       Jon Field / Clint Field                               Lola B06/10/AER
No.009  Aston Martin Racing       Chris Buncombe / Harold Primat                                 Lola-Aston Martin
                                                  / Adrian Fernandez / Stefan Mücke  

P2
No.1     Patrón Highcroft Racing  David Brabham / Simon Pagenaud / Marino Franchitti    HPD ARX-01c
No.6     Team Cytosport            Greg Pickett / Klaus Graf                                            Porsche RS Spyder
No.16   Dyson Racing Team        Chris Dyson / Guy Smith                                            Lola B09-86/Mazda

GT2
No.17   Team Falken Tire           Bryan Sellers / Wolf Henzler                                        Porsche 911 GT3 RSR
No.33   Jaguar RSR                   Paul Gentilozzi / Marc Goossens                                   Jaguar XKRS
                                                 / Scott Pruett  /Tomy Drissi
No.40   Robertson Racing          David Robertson / Andrea Robertson / David Murry       Doran Design Ford GT
No.44   Flying Lizard Motorsports    TBD / TBD                                                         Porsche 911 GT3 RSR
No.45   Flying Lizard Motorsports    TBD / TBD                                                         Porsche 911 GT3 RSR
No.54   Black Swan Racing         Timothy Pappas / Jeroen Bleekemolen                           Porsche 911 GT3 RSR
No.62   Risi Competizione          Jaime Melo / TBD                                                      Ferrari 430 GT
No.90   BMW Rahal Letterman   TBD/TBD                                                                 BMW E92 M3
No.92   BMW Rahal Letterman   TBD/TBD                                                                 BMW E92 M3
No.01   Extreme Speed Motorsports  Scott Sharp / Johannes van Overbeek                    Ferrari 430 GT
No.02   Extreme Speed Motorsports  Ed Brown / Guy Cosmo                                        Ferrari 430 GT

LMPC
No.11   Primetime Race Group     Joel Feinberg / Kyle Marcelli                                      Oreca FLM09
No.36   Genoa Racing Genoa Racing   Larry Connor / TBD                                          Oreca FLM09
No.55   Level 5 Motorsports        Scott Tucker / Christophe Bouchut                           Oreca FLM09
No.89   Intersport Racing            Mitch Pagerey / Brian Wong                                      Oreca FLM09
No.99   Green Earth Team Gunnar Christian Zugel / Gunnar Jeannette / Elton Julian      Oreca FLM09

GTC
No.32   GMG Racing                   Bret Curtis / James Sofronas                                     Porsche 911 GT3 Cup
No.33x Kelly Moss Racing            Peter LeSaffre / TBD                                                Porsche 911 GT3 Cup
No.65   Kelly Moss Racing           Rob Walton                                                              Porsche P11 GT3 Cup
No.69   P7 Racing                      Robert Rodriquez / Galen Bieker                                Porsche 911 GT3 Cup
No.44x  GMG Racing                  Brent Holden / TBD                                                 Porsche 911 GT3 Cup
No.92x  Kelly Moss Racing          Darrell Carlisle / TBD                                                Porsche 911 GT3 Cup


2月9日
●華やかなMatech Ford GTルマンチーム

Photo:Matech Competition

 先週ACOが発表した今年のルマンのエントリーリストを見ると、発表時にACO自身がコメントしたように、GT1クラスの存続について、相当悩んだことが想像された。完全な2010年GT1カーをエントリーした数少ないレーシングチームであるMatech Competitionは、エントリー申請した際既に2名の女性ドライバーを登録している。ルマンのエントリーが確定したこともあって、昨日Matech Competitionは、ナターシャ・ガシャンクとシンディー・アレーマンの2人の女性ドライバーと共にルマンを闘うことを発表した。2人共経験豊富とは言えないようで、3人目に腕っこきのベテランドライバーが乗り組むことが予想されるが、昨日の発表の際3人目のドライバーの発表はなかった。

Photo:Matech Competition

 先週Matech Ford GTの新制GT1カーはアスカリサーキットでシェイクダウンテストを終了した後、予定通りポルトガルのポルトマヨに移動してテストを行っている。ポルトマヨではGT3カーも一緒に走行している。GT3カーはFIAGT(オペレーションはSRO)の監視によるテストを行って、その年のハンデキャップを決定する、パフォーマンステストの実施が義務付けられている。そのための最初のテストが行われた。
 あるウェッブサイトで、FIAGT1選手権参戦のフォードGTが比較テストを開始と報じているが、GT1カーやFIAGT1選手権には、そのようなルールは存在しない。完全な間違いだ。
  Maiechにも、そのような情報を流したのか?質問してみたが、もちろん、Matechも、そのような間違った情報は流していないそうだ。それどころか、Matech Competitionは、そのウエッブサイトと雑誌から取材を受けたことすらないそうだ。
  即刻訂正することを願いたい。そして、これからは取材を行って記事を作成されることを願いたい。

2月4日
●2010ルマン24時間レースエントリーリスト       童夢がルマンに復活!  ハイクロフトHPD、BMWも登場

 今日フランス時間午前11時からACOは、ルマンのサルテサーキット近くのウエルカムセンター(関係者の受付等に使われる)において、2010年の55台のエントリーリストを発表した。既に29台のチームがエントリーの権利を授与されているため、残りのたった26台の枠を巡って熾烈な闘いが繰り広げられた。
 また、2週間前に公表したように、従来月曜日と火曜日にジャコバン広場で行われていた車検は、正式に日曜日と月曜日に行われることが発表された。しかし、1日多く走行出来る訳ではなく、車検終了後火曜日は休みとなる。走行スケジュールは従来通り水曜日と木曜日だけで、金曜日は休日で土曜日と日曜日が決勝レースとなる。

 今年もプジョーとアウディは共に3台のファクトリーカーをエントリーした。状況が心配されていたペスカロロは、SORAと共に2台がエントリーした。日本勢では童夢が2年ぶりにルマンに復活することが明らかとなった。
 LMP2クラスには、ALMSチャンピオンのハイクロフトがARX-01cで登場する。RMLのローラ/HPDも注目だ。しかし、ポルシェRSスパイダーは姿を消してしまった。
 LMP1と並ぶ激戦区のLMGT2には、コルベットレーシングのGMワークスコルベットと共に、1999年に総合優勝したシュニッツァーによるBMWワークスチームが登場する。

 動向が注目されたGT1クラスについて、本物の新制GT1カーはフォードGTの2台だけしか存在しないが、最終的にACOは、たった9台でクラスを成立させることを決定した。
  LMP1/LMP2とGT1/GT2に対して、それぞれ5台のリザーブリストは用意された。しかし、LMP1/LMP2については、脱落しそうなチームは皆無と言われている。GT1/GT2については、入れ替わりがあるかもしれない。

 エントリー時に1名ドライバーを記載することが義務付けられているため、ほとんどのチームは1名だけ記載している。しかし、掲載した1名のドライバーも決定した訳ではなく、変更することが可能だ。

LM P1
#1 TEAM PEUGEOT TOTAL(F)         MICHELIN  PEUGEOT 908(5486T)
     Alexander WURZ(A)
#2 TEAM PEUGEOT TOTAL(F)         MICHELIN  PEUGEOT 908(5486T)
   Nicolas MINASSIAN(F)
#3 PEUGEOT SPORT TOTAL(F)          MICHELIN  PEUGEOT 908(5486T)
      Sbastien BOURDAIS(F)
 4 TEAM ORECA MATMUT(F)           MICHELIN  PEUGEOT 908(5486A)?
     Olivier PANIS (F)/Nicolas LAPIERRE (F)
 5 BEECHDEAN MANSELL(GB)          DUNLOP   GINETTA ZYTEK(4495A)
     Nigel MANSELL(GB)/Greg MANSELL(GB)/Leo MANSELL(GB)
 6 AIM TEAM ORECA(F)                   MICHELIN  ORECA AIM(5496A)
     Soheil AYARI (F)
 7 AUDI SPORT TEAM JOEST(D)         MICHELIN  AUDI R15(5499T)
     Tom KRISTENSEN(DNK)
 8 AUDI SPORT TEAM JOEST(D)         MICHELIN  AUDI R15(5499T)
      Andre LOTTERER(D)
 9 AUDI SPORT NORTH AMERICA(D)   MICHELIN  AUDI R15(5499T)
     Mike ROCKENFELLER(D)
 10童夢RACING TEAM(JPN)            MICHELIN  童夢JUDD S102(5496A)
     Sbastien PHILIPPE (F)
 11DRAYSON RACING(GB)                   MICHELIN  LOLA JUDD COUPE(5498A)
      Paul DRAYSON(GB)/Jonny COCKER(GB)
 12REBELLION RACING(CH)             MICHELIN   LOLA REBELLION COUPE(5496A)
      Nicolas PROST(F)/Neel JANI(CH)
 13REBELLION RACING(CH)             MICHELIN   LOLA REBELLION COUPE(5496A)
      Andrea BELICCHI(I)/J.Christophe BOUILLON (F)
 14 KOLLES (D)                                MICHELIN   AUDI R10 (5499T)
      Christijan ALBERS (D)
 15 KOLLES (D)                                MICHELIN  AUDI R10 (5499T)
   Christian BAKKERUD(DNK)
#17 PESCAROLO SPORT(F)               MICHELIN  PESCAROLO JUDD (5496A)
      Ho-Pin TUNG (CHN)
#18 SORA RACING (F)                      MICHELIN  PESCAROLO JUDD (5496A)
      Christophe TINSEAU (FRA)
 19MICHAEL LEWIS/AUTOCON(USA)   DUNLOP    LOLA AER (3995T)
   Michael LEWIS (USA)
#007ASTON MARTIN RACING(GB)     MICHELIN  LOLA ASTON MARTIN (5993A)
      Harold PRIMAT (CH)
 008 SIGNATURE PLUS(F)                                     LOLA ASTON MARTIN (5993A)
      Pierre RAGUES (F)/Franck MAILLEUX (F)
 009ASTON MARTIN RACING(GB)      MICHELIN  LOLA ASTON MARTIN (5993A)
      
Darren TURNER (GB)

LMP2
#24 OAK RACING(F)                       DUNLOP     PESCAROLO JUDD(3397A)
      Jacques NICOLET (F)
 25 RML (GB)                                                       LOLA HPD COUPE (1998T)
      Mike NEWTON (GB)/Tommy ERDOS (GB)
 26 HIGHCROFT RACING (USA)       MICHELIN   HPD ARX.01 (3398A)
      David BRABHAM (AUS)/Marino FRANCHITTI (GB)
 29 RACING BOX SRL(I)                   PIRELLI       LOLA JUDD COUPE (3397A)
      Luca PIRRI (I)
 35 OAK RACING(F)                        DUNLOP     PESCAROLO JUDD (3397A)
      Richard HEIN (MO)
 37 GERARD WELTER (F)                DUNLOP    WR ZYTEK (3396A)
      Philippe SALINI (F)
#40 QUIFEL - ASM TEAM (P)           DUNLOP     GINETTA ZYTEK 09S (3396A)
      Miguel AMARAL (P)/Olivier PLA (F)
 41 TEAM BRUICHLADDICH(GB)      DUNLOP    GINETTA ZYTEK 09S (3396A)
      Karim OJJEH (SAU)/Tim GREAVES (GB)
 42 STRAKKA RACING (GB)              MICHELIN  HPD ARX.01 (3398A)
      Nick LEVENTIS (GB)/Danny WATTS (GB)
 
LMGT1
 50 LARBRE COMPETITION(F)          MICHELIN  SALEEN S7R (6997A)
      Roland BERVILLE(F)/Patrick BORNHAUSER(F)
 52 YOUNG DRIVER AMR (D)            MICHELIN  ASTON MARTIN DBR9 (5993A)
      Christoffer NYGAARD (DNK)/Tomas ENGE(CZE)
#53 PEKARACING NV (B)                                    CORVETTE C6.R (6993A)
      Anthony KUMPEN (B)
 61 MATECH COMPETITION(CH)      MICHELIN   FORD GT (5292A)
      Natacha GACHNANG(CH)/Cyndie ALLEMANN(CH)
#69JLOC (JPN)                                                       LAMBORGHINI MURCIELAGO (5988A)
   余郷 敦(JPN)
 70 MARC VDS RACING TEAM (B)     MICHELIN   FORD GT (5292A)
      Eric DE DONCKER (B)
#72 LUC ALPHAND AVENTURES (F)             CORVETTE C6.R (6993A)
      Luc ALPHAND (F)
#73 LUC ALPHAND AVENTURES (F)              CORVETTE C6.R (6993A)
      Stphane GREGOIRE (F)

LMGT2
 63 CORVETTE RACING (USA)        MICHELIN   CHEVROLET CORVETTE C6 ZR1 (5493A)
     Jan MAGNUSSEN(DNK)/Johnny O'CONNELL(USA)/Antonio GARCIA (ESP)
 64 CORVETTE RACING (USA)        MICHELIN   CHEVROLET CORVETTE C6 ZR1 (5493A)
      Oliver GAVIN (GB)/Olivier BERETTA (MO)
#75 PROSPEED COMPETITION(B)      MICHELIN   PORSCHE 911 GT3 RSR (997) (3996A)
      Paul Van SPLUNTEREN (NL)
 76 IMSA PERFORMANCE MATMUT(F)   MICHELIN   PORSCHE 911 GT3 RSR (997) (3996A)
      Raymond NARAC (F)
#77 TEAM FELBERMAYR-PROTON(D)   MICHELIN   PORSCHE 911 GT3 RSR (997) (3996A)
      Horst FELBERMAYR (AUS)
 78 BMW MOTORSPORT (D)               DUNLOP     BMW E92 M3 (3999A)
      Jrg MULLER (MO)
 79 BMW MOTORSPORT (D)               DUNLOP     BMW E92 M3 (3999A)
      Andy PRIAULX (GB)
#80FLYING LIZARD MOTORSPORT(USA)MICHELIN  PORSCHE 911 GT3 RSR (997) (3996A)
      Seth NEIMAN (USA)
 81 JAGUAR RSR(USA)                     YOKOHAMA  JAGUAR XKRS (4998A)
   Paul GENTILOZZI (USA)/Scott PRUETT (USA)/Marc GOOSENS (B)
#82 RISI COMPETIZIONE(USA)          MICHELIN   FERRARI F 430 GT (3996A)
      Tracy KROHN (USA)/Nic JONSSON (SWE)
#83 RISI COMPETIZIONE (USA)         MICHELIN   FERRARI F 430 GT (3996A)
      Jaime MELO (BRA)
 84 MODENA GROUP RACING (GB)     MICHELIN   FERRARI F 430 GT (3996A)
      Roman RUSINOV (RUS)
 85 SPYKER SQUADRON (NL)            MICHELIN   SPYKER C8 LAVIOLETTE (3990A)
      Tim CORONEL (NL)
#89HANKOOK-TEAM FARNBACHER(D)HANKOOK  FERRARI F 430 GT (3996A)
      Dominik FARNBACHER (D)/Allan SIMONSEN (AUS)
#92JMW MOTORSPORT(GB)         DUNLOP    ASTON MARTIN VANTAGE (4475A)
      Rob BELL (GB)
#96AF CORSE SRL(I)              MICHELIN  FERRARI F 430 GT (3996A)
      Luis PEREZ COMPANC (ARG)/Matias RUSSO (ARG)
#97BMS SCUDERIA ITALIA SPA(I)     MICHELIN  PORSCHE 911 GT3 RSR (997) (3996A)
      Matteo MALUCELLI (I)


RESERVE  LMP1/LMP2
R1 38 PEGASUS RACING (F)          DUNLOP     NORMA JUDD (3397A)
  Julien SCHELL (F)
R2 23 TOKAI UNIV. YGH POWER(JPN)  YOKOHAMA COURAGE ORECA YGH (3998T)
     脇阪薫一(JPN)/密山 祥吾(JPN)
R3 39 KSM (D)                   MICHELIN  LOLA JUDD (3397A)
  Jean de POURTALES (F)/野田英樹 (JPN)
R4 28 JOSE IBANEZ (F)             DUNLOP   LOLA JUDD (3397A)
     Jos IBANEZ (F)/Lionel ROBERT(F)/Arnaud SANTAMATO (F)
R5 22 KANEKO RACING (JPN)        MICHELIN  COURAGE JUDD (5496A)
  山岸 大(JPN)

RESERVE  LMGT1/LMGT2
R1 88TEAM FELBERMAYR-PROTON(D) MICHELIN  PORSCHE 911 GT3 RSR (997) (3996A)
  Marc LIEB (D)/Richard LIETZ (A)
R2 91TEAM HONG KONG RACING(HKG)MICHELIN   ASTON MARTIN VANTAGE (4475A)
     Philip MA (HKG)/Marchy LEE (HKG)/Christian JONES (AUS)
R3 95AF CORSE SRL(I)             MICHELIN   FERRARI F 430 GT (3996A)
      Giancarlo FISICHELLA(I)/Joe FOSTER (USA)
R4 60 MATECH COMPETITION(CH)    MICHELIN   FORD GT (5292A)
      Thomas MUTSCH (D)
R5 86 SPYKER SQUADRON (NL)       MICHELIN   SPYKER C8 LAVIOLETTE (3990A)
      Tom CORONEL (NL)

2月4日
●Matech Ford GTシェイクダウン

Photo:Matech Competition

 2009年初め、新制GT1カーのレギュレーションが完全に発表される前、MatechはフォードGTの新制GT1カーの開発をスタートした。MATECHではフォードGTのGT3カーを走らせていたため、GT3カーをベースとして開発は進められた。新しいエンジン、トランスミッション、サスペンション、空力デザイン等の開発が行われ、1月にGT1カーは完成した。今週MatechはフォードGTのGT1カーをスペインのアスカリサーキットに持ち込んでシェイクダウンを行った。

 チームはこのままイベリア半島に留まって、3日と4日ポルトガルのポルトマヨで本格的なテストを行う。
 テスト終了後Matechは、3月1日パリで発表会を行う予定だ。2月4日にはルマンのエントリーリストが発表されるため、ルマンのGT1クラスの状況や、流動的なFIAGT1チャンピオンシップの動向も明らかとなるだろう。

2月3日
●2010LMSシーズンエントリーリスト


 昨日LMSが2010年のシリーズエントリーリストを発表した。中にはアウディのファクトリーチームの様に、既に3レースしか参加しないことを発表しているチームも記載されているため、レース毎の多少顔ぶれが変わるのかもしれないが、何と44台がエントリーしている。
 LMP1のエントリーは予想されていた通りで、既にスパへの参加を表明しているプジョースポーツの名前はない。注目はLMP2だ。RMLがエントリーしたLola HPD Coupeは、ハイクロフトが走らせると予想されていたクルマだ。世界中にHPD ARX-01による参戦計画を配信していたJASの名前はない。
 2010年は金網のルールが撤廃されるため、申請を行わなかったマシンは、金網を取り外してフィンを取り付ける等ボディを改造しなければならない。ラディカル、ルッチーニ、WR、そしてLMP2のクラージュ(ORECA)の申請は出されていないため、彼らは、どのような改造を行うのだろうか?

 一応ACOはGT1クラスのエントリーを受け付けた。しかし、ご覧のように、たった2台だけであるため、クラスは成立しない。当初ACOが発表したルールに従うと、ルマン24時間におけるGT1クラスは存在しないことを意味するが、大きな駆け引きが行われているようで、明日のACOの発表を待つべきだろう。
 GT2クラスの目玉は、シュニッツァーが走らせるBMW M3だ。名前は変わらないが、フェラーリ勢の多くは、新しい430GT2バージョン6を走らせる。バージョン6は、ポルシェ997GT3RSR同様、車重を100kg重くすることによって、50馬力パワフルで、2インチ幅広い14インチ幅のタイヤを履く、事実上のモデルチェンジバージョンだ。

LMP1
No.008Signature Plus(F)          Lola-Aston Martin DBR1-2
No.4Team Oreca Matmut(F)       Peugeot 908 HDi FAP
No.6Team Oreca Matmut(F)       Oreca 01/AIM
No.5Beechdean Mansell(GB)       Zytek 09S
No.7Audi Sport Team Joest(D)      Audi R15 TDI*ポールリカール、スパ、シルバーストーンのみ
No.8Audi Sport Team Joest(D)      Audi R15 TDI*ポールリカール、スパ、シルバーストーンのみ
No.12Rebellion Racing(CH)          Lola B10/60 Coupe-Rebellion/Judd
No.13Rebellion Racing(CH)          Lola B10/60 Coupe-Rebellion/Judd
No.14Kolles(D)                  Audi R10 TDI
No.15Kolles(D)                  Audi R10 TDI
No.20Noël Del Bello Racing(F)      Lola B10/60 Coupe/Judd

LMP2
No.24Oak Racing(F)              Pescarolo/Judd
No.35Oak Racing(F)              Pescarolo/Judd
No.25RML(GB)                   Lola HPD Coupe/HPD
No.27Race Performance(CH)         Radical SR9/Judd
No.28Ibanez Racing(F)            Lola B05/40/Judd
No.29Racing Box(I)               Lola B09 Coupe/Judd
No.30Racing Box(I)               Lola B09 Coupe/Judd
No.31RLR msport(GB)             Lola EX265/AER
No.33Hache Team(E)             Lucchini/Judd
No.34Hache Team(E)              Zytek 09S
No.37WR / Salini(F)              WR/Zytek
No.38Pegasus Racing(F)            Courage-Oreca LC75/AER
No.39KSM(D)                    Lola B08/47/Judd (39)
No.40Quifel - ASM Team(P)         Zytek 09S
No.41Team Bruichladdich(GB)        Zytek 09S
No.42Strakka Racing(GB)           HPD ARX - 01

LMGT1
No.50Larbre Competition(F)          Saleen S7-R
No.66Atlas FX-Team Full Speed(A)  Saleen S7-R

LMGT2
No.76IMSA Performance Matmut(D)  Porsche 997 GT3 RSR
No.77Team Felbermayr Proton(D)   Porsche 997 GT3 RSR
No.88Team Felbermayr Proton(D)   Porsche 997 GT3 RSR
No.78BMW Team Schnitzer(D)      BMW M3
No.84Modena Group Racing(GB)     Ferrari F430 GT
No.85Spyker Squadron(NL)          Spyker C8 Laviolette GT2 - R
No.89Hankook Team Farnbacher(D)  Ferrari F430 GT
No.90CRS Racing(GB)              Ferrari F430 GT
No.91CRS Racing(GB)              Ferrari F430 GT
No.92JMW Motorsport(GB)         Aston Martin V8 Vantage
No.93JWA Racing(GB)              Aston Martin V8 Vantage
No.94AF Corse(I)                 Ferrari F430 GT
No.95AF Corse(I)                 Ferrari F430 GT
No.96AF Corse(I)                 Ferrari F430 GT
No.99JMB Racing(MO)             Ferrari F430 GT

2月3日
●アウディは2010年LMSの3つのレースに参加   インタコンチネンタルカップへ参加する条件をクリア

Photo:Audi AG                                        This is not R15+

 昨日アウディは、改めて2010年のヨーロッパにおける活動計画を発表した。これまで恒例となっていたALMS開幕戦セブリング12時間へ参加しない代わり、LMS開幕戦ポールリカール8時間へはテストを目的として参加する。続くLMS第2戦スパ-フランコルシャン1000kmへは既に発表した通り参加する。そして6月のルマン24時間に参加する。その後R15+が登場するのは、インターコンチネンタルカップ開幕戦(LMS最終戦)シルバーストーンとなる。
 既にインターコンチネンタルカップへの参加を発表しているため、その後R15+はアトランタへ送られてALMS“プチ-ルマン”10時間へ参加して、その後アジアンルマンシリーズへの参加のだろう。

 インターコンチネンタルカップは、LMSシルバーストーン、ALMS“プチ-ルマン”10時間、そしてアジアンルマンシリーズの3つのレースで構成される。しかし、インターコンチネンタルカップに参加する条件は、インターコンチネンタルカップの3つのレース以外、しかも、ルマン24時間を除外する2つのルマンタイトルのレースに参加することだ。
 アウディが発表したLMSポールリカール8時間とLMSスパ−フランコルシャン1000kmに参加する理由は、インターコンチネンタルカップのタイトル争いを行う条件でもある。

 先週末アウディは、セブリングで4人のドライバーによってR15テストカー(R15+ではないらしい)によってテスト走行を行ったことが目撃されている。目撃した人物が写真を送ってこなかったため、詳しい状況は不明だが、例え新人ドライバー達の練習走行だったとしても、アウディの本気度が低下したようには思えない。

2月2日
●2月4日午前11時ACOはルマンのエントリーリストを公開  WEB.TVでライブ中継

Photo:ACO

 ORECAが1台だけルマン24時間レースへエントリー申請を行ったP01は、AIMエンジンを積むことが判明した。
 どうして、昨日ORECAが発表した際公表されなかったエンジンが明らかになったと言うと、ACOが既に発表直前のエントリーリストを一足早く公表してくれたからだ。

 今朝ACOは2月4日午前11時、ルマンのウエルカムセンターにおいてプレスコンファレンスを行うことを発表した。もちろん、たった3日前に発表するのであるから、地元フランスのメディアを対象としたプレスコンファレンスだが、従来行われなかったプレスコンファレンスをわざわざ実施する理由は、2010年ルマン24時間の最初の55台のエントリーリストを発表するからだ。世界中が不況の真っ直中にあるにも関わらず、2010年のルマンはたくさんのエントリー申請を集めているようだ。元々ACOは2月末にエントリーリストを発表する計画だった。しかし、多くのエントリーを集めたにも関わらず、残されているエントリーの枠は26しかない。エントリーリスト発表後に脱落するチームが存在するため、ACOは早めに最初の選考結果を発表して、その後チームに調整する時間を与えることを決定したのだろう。

 2月4日のプレスコンファレンスでは、今年のルマン24時間レースの開催概要や、ルマンのレーシングスクールで使われるペスカロロルマンLMPカーが発表される。
 しかもACOは、ALMSが行って成功を収めているWEB.TVによる同時中継を試みるらしい。この中継が成功するのであれば、6月の本番レースでも、ライブ中継が行われるようだ。
http://www.lemans.org/

2月2日
●ORECAは1台のP01にソヘイリ・アヤリのドライブでルマンへエントリー申請 タイヤはダンロップ! エンジンは?

Photo:Sports-Car Racing

 1月20日に締め切られたルマン24時間のエントリー申請は、最低1人のドライバーを記載することが求められている。そのため、多くの場合ほとんどのチームは、それぞれのクルマに1人だけドライバー名を記載してエントリー申請を行う。 昨日ORECAは、2010年のルマン24時間へ、既に発表したプジョー908と共に2台目として、自前のP01を1台エントリー申請したことを発表した。1人だけ発表されたドライバーはORECAと付き合いの長いソヘイリ・アヤリだ。

 既にORECAは2011年にプジョーの3.7ℓV8ディーゼルターボエンジンを積むLMP1カーを開発することを発表しているため、自前のP01の開発を継続することは予想されていた。しかし、プジョーがインターコンチネンタルカップへの参戦を決定出来なかったため、ORECAは、インターコンチネンタルカップへ参戦することを条件として、プジョーに2台目の908の供給を打診していることが判明していた。
 もし、ORECAが2台の908を走らせるのであれば、自前のP01を走らせる余裕は無いと考えられていたのだ。

 昨日の発表で2つの驚きがあった。1つはP01がダンロップタイヤを履くことだった。もう1つは最後まで、どのエンジンを搭載するのか?ヒュー・ド・ショーナックが明言しなかったことだった。発表後ORECAに確認の連絡を入れたが、返事は得られなかった。現在エンデュランスインフォを通じて、再度エンジンについて質問を試みている状況だ。
 今日東京でヒロ金田の葬儀が行われる。もしかしたら、ヒロ金田が最後にデザインしたAIM V10ではない他のエンジンが、2010年のORECA P01には積まれるのかもしれない。

 今週に入って次々とルマンへ参戦するレーシングチームが発表を行っている理由は、確定したエントリーの発表は2月末でも、1月末に大まかな選考が行われて、ほとんどの有力チームは今週中に概要が連絡されるためだ。ほとんどのチームはACOの発表を待って体制を発表しているが、ACOからリークされた情報だけで発表してしまうチームが存在するため、ACOが発表してないにも関わらず、今週体制発表を行うチームが相次いでいる。

2月1日
●2010年のアストンマーティンレーシングは2台 シーズン前半の活動計画を発表

Photo:Sports-Car Racing

 昨年大活躍を披露したアストンマーティンレーシング(AMR)は、昨日2010年も活動を継続することを発表した。昨年ローラB08-60をベースとして開発されたローラ-アストンマーティンDBR1-2は、モンツァでクラッシュした1台を含んでも4台しか存在しない。残る3台中1台はSignature Plusに売却されたため、現在のところクラッシュしたマシンが修復されていないことから、2台だけがAMRによって2010年のスポーツカーレースに登場する。

 昨年チャンピオンを獲得したLMSへのシリーズを通した活動は行わない。最初に登場するのは3月20日に行われるALMS開幕戦セブリング12時間で、続いて4月11日に行われるLMS開幕戦ポールリカール8時間、そして翌週に行われるALMS第2戦ロングビーチGPに参加する。ポールリカール8時間の決勝レースとロングビーチGPのフリープラクティスまで移動日を含んでも3日間しかインターバルがないが、どうやら、ヨーロッパと北アメリカに1台ずつDBR1-2を配置して、シーズン前半を闘う計画を立てているようだ。

 ドライバーはクリス・バンコブ、ハロルド・プリマ、ステファン・モカ、ダレン・ターナー、そしてエイドリアン・フェルナンデスの5人が契約した。AMRが所有するDBR1-2は1台だけであるため、2010年にAMRが使用する2台のDBRの1台はシュロースレーシングの所有だ。しかし、息子で有能なチェコドライバーであるヤン・シュロースは、ルノーのリザーブドライバーとして登録されたため、現在のところ6人目としてDBR1-2に乗り組むことは決定していない。噂ではルノーのリザーブドライバーは3人も居るため、ヤン・シュロースはスポーツカーレースを優先すると言われている。
 ルマンへは、この2台でエントリー申請を行ったようだ。

 アストンマーティンを巡る話題として、2008年最初のローラ・アストンマーティンとなったB08-60/HU-01は、昨年AMRからSpeedy Racing Team Sebahに売却されている。素晴らしいパフォーマンスを発揮したが、2010年Speedy Racing Team SabahはRebellion Racingに組織変えされると共に、エンジンをアストンマーティンV12 GT1エンジンからジャドのGV5.5S2レーシングエンジンに積み替えた。Rebellion Racingは新たにB10-60を1台も購入する一方、タイヤをミシュランからダンロップに変更することとなるようだ。

 Signature Plusが購入したDBR1-2は、2009年にLMSニュルブルクリンクに登場したシュロースレーシングが所有していたDBR1-2/04と考えられている。DBR1-2/04は、元々2008年のシーズン後半のLMSに参加したシュロースレーシング所有のローラB08-60/HU02で、モンツァでヨス・フェルスタッペンがクラッシュさせたDRR1-2/03の代わりとして急遽組み立てられている。どちらかと言うと、AMRにとってスペアマシン的存在だった。

 昨日AMRはルマン後の計画を発表しなかったが、2011年に2011年レギュレーションに対応するニューマシンを登場させることを発表しているため、活動を取り止めることはないだろう。シーズン前半にALMSとLMSの3つのレースに参加する理由は、秋から始まるインターコンチネンタルカップに参加するための準備と考えられている。なぜなら、インターコンチネンタルカップは、タイトルがかけられている3つのレース以外に2つのルマンルールのレース(ルマン24時間は除く)に参加することが条件となっているのだ。AMRの活動は継続と判断して良いようだ。
*注:Sports-Car Racing Vol.19に特集記事が掲載されます


1月29日
●アウディが3人のニュードライバー発表 新しいR15+は2月22日セブリングに登場 中国にも遠征?

Photo:Audi AG

 昨日アウディは、新たにマルセル・ファスラー、ブノア・トレルイエ、アンドレ・ロッテラーの3人のドライバーと契約したことを発表した。日本で活動していたブノア・トレルイエとアンドレ・ロッテラーのパフォーマンスは言うまでもないが、マルセル・ファスラーは、以前からアウディが目をつけていたスイス人ドライバーで、2007年スイススピリットが、R8のV8ターボエンジンを積んだローラを走らせた際、アタックドライバーとして乗り組んで、アウディに頼れるドライバーであることを認識させている。
 既に3人の新人ドライバーは、スパ1000kmとルマンでアウディR15+を走らせることが決定している。アウディがインターコンチネンタルカップへの参戦を発表しているため、たぶん秋に日本にもやって来ることだろう。

 現在アウディは、全力で新しいR15+を開発しているが、2月22日にセブリングで始まるALMSウインターテストで公開される。しかし、現在のところ3月に行われるALMS開幕戦セブリング12時間には参加しないようだ。
 セブリング12時間は昨年アウディが勝った唯一のレースだが、セブリングで行われるALMSウインターテストの2週間後ポールリカールでLMSの合同テストが行われるため、R15+はヨーロッパに戻されるのだろう。

 アウディはアラン・マクニッシュ、トム・クリステンセン、リナンド・カペロのゴールデントリオと契約しているため、正式には発表していないが、この3人がR15+のNo.1カーを走らせることとなるだろう。
 ルマン24時間は当然だが、インターコンチネンタルカップに参加する場合、インターコンチネンタルカップとして開催されるシルバーストーン1000km、“プチ-ルマン”10h、アジアンルマンシリーズの3つだけでなく、他に2つのルマンタイトルレースへ参加しなければならない。つまり、発表しているLMSスパ1000kmに加えて、もう1つのレースに参加する必要がある。これまで、最後の1つのレースはセブリング12時間であると信じられていた。

 アウディも最優先課題はルマンであるため、5月にLMSスパ1000kmに参加するように、6月にルマン24時間レースが終了するまで、アウディはヨーロッパを離れることはないだろう。“プチ-ルマン”とセブリング12時間の次に人気のALMSのレースはラグナセカだが、2010年のALMSラグナセカは5月に行われるから、対象とはならない。
 どうやら、最後のレースは、アジアンルマンシリーズのもう1つのレースらしい。既にACOは、インターコンチネンタルカップとして開催されるアジアンルマンシリーズのレースが日本で行われることを暴露している。もちろん、口を滑らせてしまっただけであって、何の契約もないだろうが、2009年の様にアジアンルマンシリーズが日本でしか行われる訳では無いとも語っている。現在アウディ、そしてプジョーが行きたがっているのは中国なのだ。
 現在ACOは、必死に中国のプロモーターと話し合っているが、その後ろ盾はアウディだ。5年前DTMは上海でエキシビジョンレースを開催している。その時DTMを動かしたのはアウディだった。

1月26日
●訃報 ヒロ金田 逝去

Photo:Sports-Car Racing

 昨日、1980年代ホンダのエンジン設計者として一世を風靡した金田博行氏が逝去された。金田博行氏は、1980年代ホンダのF1GPエンジンやF3000エンジンを設計後、フリーランスのエンジン設計者として独立し、イギリスに渡って、ジャドやザイテックで様々なレーシングエンジンを設計した。ジャドのGVシリーズV10やザイテックV8の最初の開発を行ったのも金田博行氏だった。ジャドのGVシリーズV10は、現在最強のスポーツカーレース用ガソリンエンジンとして知られているが、パノスのフロントエンジンLMPカーのため、ザイテックで4ℓV8を開発したのも金田博行氏だった。
 近年AIMと契約して、バンク角を90度に広げたAIM5.5ℓV10を開発した。AIM5.5ℓV10を搭載したORECA P01EVOは、昨年LMSシルバーストーンで優勝した。ヒロ金田の愛称で、レースの世界で知らない人が居ないビッグネームだった。
 1月17日金田博行氏は胸の痛みを訴え緊急入院された。大動脈瘤だった。しかし、4回の手術のかいもなく、昏睡状態となった。そして、昨日息を引き取られた。
 謹んでご冥福を祈りたい。

故 金田 博行 儀
通夜     :2月1日(月)午後6時より7時
告別式   :2月2日(火)午前10時半より12時
場所     :臨海斎場/東京都大田区東海1-3-1
問い合わせ:(株)東京葬祭/03-3671-6111


1月19日
●2010年ルマンの車検は日曜日に始まる?

Photo:ACO

 ルマンの24時間レースは、ほとんどが公道を使用して行われるため、テスト走行を行うことが難しい。そのため、5年ほど前まで5月にテストディを設けていた。ところが1ヶ月前テストディを行っても、販促しはならないとして、近年決勝レースの1週間前の日曜日にテストディは行われていた。
 この販促が問題だ。5月にテストディを行う場合、レーシングチームは、せいぜい3日間しかルマンのホテルに滞在しない。しかも、たった1日のテストディのため、特別料金を請求することはなかった。田舎町であるから、レーシングチームは1人あたり一泊3,000円から5,000円を計上するだけだった。
 ところが決勝レースの1週間前にテストディを設けた場合、元々決勝レースウィークはルマン市内のホテルは例外なく、一泊3万円以上に値上げされ、しかも8泊分が請求される。
 ルマンの誰が考えたのか?判らないが、決勝レースの1週間前にテストディを設ければ、決勝レースウィークと同じ高額な料金を請求出来ると考えたのだろう。そうして、決勝レースの1週間前にテストディは行われるようになった。

 2008年まで、ルマンのバブル時代は続いた。しかし、2008年秋のリーマンショックによって、世界中のレーシングチームが不況に陥った結果、決勝レースに参加するだけでも大変な状況であるのに、1週間前に行われるテストディのため、1人あたり3万円もの高額な宿泊費を捻出出来る状況ではなかった。とくにファクトリーチームに拒否反応が大きかった。

 その結果2009年ACOは、決勝レースの1週間前に行ってきたテストディを取り止めて、水曜日に6時間連続でフリープラクティスを行うことを決定した。
 この結果は正しかった。2009年の場合ACOは、リーマンショック前に4月にブガッティサーキットを使ったテストディを設けていた。こちらは予定通り行われたが、有力チームの参加は皆無で、不況を確認させただけだった。

 しかし、元々予選が行われていた水曜日に6時間連続でフリープラクティスを行った場合、セッティングはもちろん、エンジンの交換等の手順にも支障が出てしまう。
 2009年の場合、誰もが不況を実感していたため、大きな問題はなかった。しかし、新参チームや、新しい技術を投入したチームが参戦するのであれば、とんでもない混乱に陥ることが容易に想像出来るだろう。

 そこでACOは、月曜日と火曜日にジャコバン広場で行ってきた車検を日曜日から行うことを検討している。
 今日ACOは日曜日から車検を行う予定であることを公表したが、現在のところ決定ではない。なぜなら、決勝レース前の日曜日はルマンのレストランにとって、いくさ前の貴重な安息日であるからだ。

 もしACOが、地元商店街の同意を得ないで、日曜日の車検を強行した場合、レーシングチームの面々は、トルコ人が経営する店でサンドウィッチとカバブをビールで胃袋に押し込まなければならない。

1月14日
●ローラがB10シリーズスポーツカーを発表

CAD image:Lola

 2004年に施行された現在のACOのLMPレギュレーションは、来年新しいレギュレーションに移行するが、昨日ローラは2011年ルールにも対応するB10スポーツカーシリーズを発表した。

 現行のレギュレーションが2010年限りであるにも関わらず、昨年ACOは金網のルールの撤廃を発表したため、コンストラクター達は、2010年、たった1年だけのため、新たなボディを作らなければならなくなった。
 もちろん、総てのコンストラクターが反対した結果、10月までに申請したマシンについて、2009年と同じボディワークのまま2010年も走れることをACOは発表した。
 ほとんどのコンストラクターは、この2010年ボディワークを免除する申請を行った。ローラも“屋根付き”のB08とB09シリーズはもちろん、それ以前の古い“屋根無し”のB05〜B07シリーズについても申請して、申請があったマシンの総てをACOは認めている。であるから、2010年にニューマシンは登場しないと思われていた。

 しかし、2011年レギュレーションの基本は、LMP1の場合、現行のLMP1マシンにLMP2のエンジンを組み合わせただけだ。LMP2も、LMP2にGT2カーのエンジンを組み合わせるだけであるから、2011年に現在のLMPカーが使い物にならなくなる訳ではない。1年早く2010年に2011年にも使えるマシンを開発すれば、マーケットを獲得出来る可能性があるのだ。2011年に改良型を開発する場合も、1年分の経験を活かすことも可能だろう。

  第一、ACOが金網のルールを撤廃したため、ACOが許可したと言っても、そのまま金網を使ったボディワークを使うより、新しいボディワークをデザインする方が、優れた空力性能を発揮出来る。
 そこで、ローラは、B09シリーズをベースとしたB10シリーズの開発を決定した。B10シリーズとB09の最大の違いはリアフェンダーで、2009年に1.6mリアウイングに合わせて左右後端がせり上がったリカウルを与えられたB09よりも、B10は、さらに左右後端がせり上げられている。
 2009年ローラは、LMP2カーのB09-80用のせり上がったリアフェンダーは作ったが、LMP1カーのB09-60は2台だけだったため、せり上がったリアフェンダーは作らなかった。チームが独自に対応していたが、これらのLMP1チームは、B10-60のリアカウルを買うこととなるだろう。
 幅16インチのリアタイヤに対応するLMP1カーがB10-60、幅14インチのリアタイヤに対応するLMP2カーがB10-80と呼ばれるのも従来通りだ。
*注:2月初旬発行予定のSports-Car Racing Vol.19にて特集記事が掲載されます。

 


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